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	<title>シリア | dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</title>
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	<description>ドットワールドは、一般財団法人国際開発センター（IDCJ）が運営する国際ニュースの情報サイトです。基本姿勢は、「現地から見た世界を知る」です。開発途上国をはじめ、世界のさまざまな国で起きている事象やニュースについて、現地に精通した識者が背景を掘り下げ、社会的な文脈と併せて分かりやすく解説します。</description>
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	<title>シリア | dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</title>
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		<title>シリアのアサド政権転覆で転換を迫られる中国の地政学的な戦略</title>
		<link>https://dotworld.press/implications_for_china_of_overthrow_of_assad_regime_in_syria/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 10 Jan 2025 01:01:10 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[シリア]]></category>
		<category><![CDATA[中国]]></category>
		<category><![CDATA[福島香織]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　シリアのアサド政権が2024年12月８日に突然、転覆してから約１カ月が経つ。新しいアハマド・シャラア指導者は、かつてアルカイダ・テロ組織のメンバーだったが、シリアの少数派を尊重することを約束して権力を掌握した。同氏が率 [&#8230;]</p>
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]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　シリアのアサド政権が2024年12月８日に突然、転覆してから約１カ月が経つ。新しいアハマド・シャラア指導者は、かつてアルカイダ・テロ組織のメンバーだったが、シリアの少数派を尊重することを約束して権力を掌握した。同氏が率いる暫定政権は、ウイグル人を含めた外国人戦闘員の軍幹部への登用を進めているが、特に東トルキスタン独立派のウイグル人指導者が幹部に入ることは、中国と長く友好関係にあったシリアが今後、中国と敵対する可能性があることを示唆している。さらに、シリア反政府軍に加わってアサド政権と戦闘を続けてきたウイグル人兵士たちは、このシリア内戦の経験を糧にして、中国新疆ウイグル自治区で東トルキスタン独立運動を継続すると宣言している。こうした中東の動きが中国の一帯一路戦略にとって大きな脅威になることは間違いなく、中東における中国の地政学的な戦略も転換を余儀なくされるのではないかと注目されている。</p>

<div id="attachment_17058" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_277175029-scaled.jpg"><img fetchpriority="high" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17058" class="wp-image-17058" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_277175029-scaled.jpg" alt="" width="400" height="267" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_277175029-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_277175029-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_277175029-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_277175029-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_277175029-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_277175029-2048x1365.jpg 2048w" sizes="(max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17058" class="wp-caption-text">シリアのダラアにある３月18日広場で新政権が採用した旗を振り、アサド政権の崩壊を祝う人々（20024年12月27日撮影）(c) ロイター/アフロ</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>暫定政権に６人の外国人戦闘員が抜擢</strong></span></p>
<p>　ロイターの報道によれば、シリア暫定政権がこのほど軍事幹部に任命した50人の戦闘員のうち、少なくとも６人がウイグル人やヨルダン人、エジプト人、トルコ人など外国人戦闘員だという。これについては、シリア内部でも不服の声があるようだ。シリアが内戦状態にあった時、１万人以上のスンニ派ムスリムがシリア反政府軍に参加し、アサド政権や親イラン・シーア派の民兵と戦闘を続けてきた。当初はスンニ派同士でも戦争があったが、最終的にはシャアラ氏が率いる「シャーム解放戦線」の下に結集し、2024年12月にアサド政権を転覆させた。</p>
<p>　新政権の事実上の指導者になったシャラア氏は、同組織のシリア化と温和化に尽力し、最も過激だったムジャヒディーンら数十人を排除したうえで、「民兵意識ではシリアは統率できない」と発言していた。</p>
<p>　しかし、シャーム解放戦線は、アサド政権の転覆に貢献した感謝の意味を込めて外国人の戦闘員にシリア国籍を与える約束もした。実際、すでに６人の外国人戦闘員には、将軍職や大佐の地位が与えられている。</p>

<div id="attachment_17060" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_276996075.jpg"><img decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17060" class="wp-image-17060" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_276996075.jpg" alt="" width="400" height="225" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_276996075.jpg 1280w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_276996075-300x169.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_276996075-1024x576.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_276996075-768x432.jpg 768w" sizes="(max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17060" class="wp-caption-text">新政権を率いるシャラア氏は、すべてのグループを解散して国防省の下に統合することで旧反体制派と合意に達した（2024年12月24日撮影）(c) SANA/ロイター/アフロ</p></div>

<p>　ロイターの報道によれば、この６人の中に新彊ウイグル地域で東トルキスタンの独立を目指すトルキスタン・イスラム党（TIP）のアブドゥルアジズ・ダウッドクフダベルディ戦闘指揮官が含まれており、中国政府が激怒しているという。TIPとは、新疆ウイグル自治区に「東トルキスタン・イスラム国家」を樹立することを掲げて1990年代後半から2010年代初頭に活動を活発化させた組織で、以前は「東トルキスタン・イスラム運動」（ETIM）と呼ばれていた。中国はこうした動きをテロ行為とみなし、TIPをテロ組織、東トルキスタン独立派勢力との戦争を「テロとの戦い」と位置付けているうえ、TIPともETIMとも無関係のウイグル人たちのことも迫害している。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>東トルキスタン独立派が中国への攻撃を激化</strong></span></p>
<p>&nbsp;　これに対し、TIP側も抵抗姿勢を鮮明に打ち出している。アサド政権が転覆した12月８日に彼らがインターネット上で公開した映像には、戦闘員たちが覆面して機関銃を抱え、新彊のいくつかの都市を名指ししながら「中国の異教徒をその都市から排除する」と威嚇している様子が映っており、将来的に中国を攻撃することを計画していることを明らかにしている。映像にはTIPの指導者の一人、アブドゥル・ハク・アル・トルキスタニも登場し、アサド政権の転覆に祝辞を寄せるとともに、「トルキスタンのムスリムたちは依然として中国共産党の弾圧によって苦しんでいる」「もしもアラーがそう願うなら、中国の異教徒たちはアラーの支持のもとでシャーム地域（シリア）の異教徒たちが味わった苦痛を味わうことになるだろう」と述べている。</p>
<p>　さらにTIPは、中国の習近平国家主席の顔に血痕がついているように加工した写真をSNSで拡散し、シリア軍が押収した兵器の備蓄を中国に対して使用することもほのめかしている。</p>

<div id="attachment_17061" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/37e3808047553cedb34daa9b1d7ab2a3.jpg"><img decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17061" class="wp-image-17061" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/37e3808047553cedb34daa9b1d7ab2a3.jpg" alt="" width="400" height="225" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/37e3808047553cedb34daa9b1d7ab2a3.jpg 1600w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/37e3808047553cedb34daa9b1d7ab2a3-300x169.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/37e3808047553cedb34daa9b1d7ab2a3-1024x576.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/37e3808047553cedb34daa9b1d7ab2a3-768x432.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/37e3808047553cedb34daa9b1d7ab2a3-1536x864.jpg 1536w" sizes="(max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17061" class="wp-caption-text">新彊ウイグル自治区にある小学校の子どもたち。ウイグル人児童に対する漢人化教育が強化されている様子が伝わってくる（2014年頃撮影） (c) 筆者の知人提供</p></div>

<p>　シリア内戦が終結後、中国への攻撃を激化しているTIPの動向には、メディアからの注目も高まっている。例えば、ニューズウィーク紙は在米中国大使館の劉鵬宇報道官にインタビューを実施。「中国政府は東トルキスタン・イスラム運動のメンバーがシリアから相次いで出国し、中国の国内外で（中国人をターゲットにした）暴力テロ事件を複数、計画している事実を確認している」という同氏のコメントを紹介し、「中東における地政学的な対立がさらに不安定化する可能性がある」と指摘している。</p>
<p>　事実、習近平国家主席は2024年12月９日、政治局の集団学習会を招集し、新彊の統治を強化するよう通達を出し、この地域を一層発展させるために、ウイグル語ではなく共通言語である中国語（マンダリン）による授業の実施と、中国語による全国統一教材の使用を求めた。これは、習近平氏が文化的にも経済的にも新疆地域の支配を強めるシグナルだと言える。シリア内戦が終結したことで、これまで反シリア軍に参加していたウイグル人戦闘員たちが、今度は中国に攻撃してくることを警戒してのことだと見られる。</p>
<p>　勉強会に出席した習近平氏は、「国家の安全と社会の安定は新彊の統治を徹底することで維持される」と強調した。習政権の新疆弾圧は2014年ごろから加速度的に強化されつつあったが、ここにきてもう一段、厳しいものになるとの予感が漂っている。</p>

<div id="attachment_17063" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8309-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17063" class="wp-image-17063" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8309-scaled.jpg" alt="" width="400" height="300" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8309-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8309-300x225.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8309-1024x768.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8309-768x576.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8309-1536x1152.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8309-2048x1536.jpg 2048w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8309-280x210.jpg 280w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8309-150x112.jpg 150w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17063" class="wp-caption-text">旧市街の取り壊しが進む（2019年５月、新彊ウイグル自治区カシュガル市で筆者撮影）</p></div>

<p>　第一次トランプ米政権下で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏は、喫緊の10年でTIPがテロ活動を行っているという信頼できる証拠がないとして、2002年から継続していたTIPのテロ組織認定を撤回した。今年１月20日に迫った第二次トランプ政権の発足後、東トルキスタン独立派のウイグル人たちに対して米国がどのような姿勢を取るかはいまだ不透明だが、国内のウイグル人に対して文化的、経済的な支配を強化しつつある中国に人道上の観点からどう対応するのかも含め、新疆問題の行方に米国が大きな影響を有することは間違いない。</p>
<p><strong><span style="font-size: 14pt;">「国際正義の防衛」を建前に構築された蜜月関係</span></strong></p>
<p>　新疆情勢の行方は、一帯一路の拠点という意味からも中国の戦略にとって大きな意味がある。シリアのアサド前政権と中国の習近平政権は、もともとかなり蜜月関係にあった。シリアのアサド前大統領が2024年９月に中国・杭州を訪問すると、両国は戦略的パートナーシップを樹立する。さらに中国は、シリアで石油資源の開発を積極的に進めてきたうえ、水力発電所や紡績工場の建設、タイヤの製造などにも投資を行ってきた。内戦状態にあるシリアに対し、中国は直接的な軍事支援こそしていなかったものの、ロシア、イランと同様、国際社会から排除され孤立を深めていたアサド政権への支持を公式に発表していたのである。実際、アサド前大統領との会談に臨んだ習近平国家主席は、「激動と不確実性に満ちた国際情勢を前に、中国はシリアと協力し、互いに支え合いながら友好と協力を促進し、国際正義を共に守っていく」と語っている。</p>
<p>　さらに、シリア内戦をめぐりアサド前政権に対して30もの非難決議の草案が提出された国連安全保障理事会でも、中国はこれまで10回にわたり拒否権を行使し、採択を阻止した。たとえば、習近平政権は2020年７月、トルコのシリア反政府派に対する支援を延長するという決議草案について、シリアの主権を侵害するものだとしてロシアとともに反対した。なお、この決議は13カ国の賛成によって可決されている。<br>
　張軍・駐国連中国大使は、米国やEU諸国がシリアに行っていた制裁についても、「一方的な制裁は人道主義にもとるものだ」と非難した。また、ロシアと中国は2019年９月、シリア反政府軍の牙城であるイドリブにおける停戦決議案も否決した。</p>

<div id="attachment_17064" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_230084397-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17064" class="wp-image-17064" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_230084397-scaled.jpg" alt="" width="400" height="319" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_230084397-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_230084397-300x239.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_230084397-1024x816.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_230084397-768x612.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_230084397-1536x1224.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/aflo_230084397-2048x1632.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17064" class="wp-caption-text">中国東部の浙江省の省都・杭州で、シリアのアサド前大統領と会談する習近平国家主席（右）（2023年９月22日撮影）(c) 新華社/アフロ</p></div>

<p>　アサド政権に対して過去10年近く財政援助も行ってきた中国にとって、2016年12月にシリアがアレッポ市を奪還し、反体制派を打ち破ったことがシリア支援の転換点となったことは間違いない。2016年に約50万ドル（約7906万2000円）だったシリアに対する支援額は、2017年に約100倍の5400万ドル（約85億3867万円）に増加。翌2018年10月には、シリア最大のラタキア港に800台の発電機を寄贈した。</p>
<p>　また、シリアの石油・天然ガス分野にも長期的に投資しており、総額は30億ドル（約4743億7200万円）に上る。2008年にはシノペック石油探査開発公司がシリアで二つの油田の操業権を保有していたタンガニーカ・ペトロリアム社（本社：カナダ・カルガリー）を20億ドル（約3,162億4,800万円）で買収した。さらに同社は翌2009年、シリアで操業していた英国の石油ガス探査会社エメラルドエナジー社を8.78億ドル（約1389億2620万円）で買収。翌2010年には、シェル社（本社：イギリス・ロンドン）のシリア子会社の株式を35％取得した。　</p>
<p>　さらに、シリアのガッサン・ザマル電力相は2024年初頭、シリア西部の都市、ホムス近郊に大規模な太陽光の発電所を建設するために中国企業と3.4万ドル（約537万6000円）の契約を締結。2022年には、中国の一帯一路戦略に加盟した。</p>
<p>　その後、中国は米国の二次制裁の脅威にさらされ、シリアからの投資を一部、引き上げたものの、シリアに対して接近を続け、国際正義を防衛するという建前の下で相互に支え合う関係になっていた。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>中東における米中のパワーバランスも崩壊か</strong></span></p>
<p>　しかし、そんなシリアが今回のアサド政権の転覆を受けて、にわかに中国の「敵」になる可能性が出てきた。中国外国部の毛寧報道官は2024年12月、定例記者会見で「シリアの前途と運命はシリア人民が決定すべきだ。できるだけ早く秩序が回復され、社会が安定するように政治的な解決を望む」とだけコメントしたが、中国側は本音ではかなり強い危機感を抱いているようだ。中国のネット民の中には、「これまでシリアに投じてきた中国の資金がすべて無駄になった」として、習近平国家主席のシリア政策の失敗を声高に非難する者もいる。</p>
<p>　上海外国語大学の丁隆・中東研究所教授が中国共産党傘下のタブロイド紙「環球時報」に寄稿した論評によれば、今回のシリアにおける政変は中東政治の枠組みに深遠な影響を与えるという。「これまで拮抗していた中東に対する米中の影響力のバランスが大きく変化するだろう」と教授は言う。　</p>
<p>　一方、台湾にある開南大学の陳文甲・国家地域研究発展センター主任は、ボイスオブアメリカのインタビューに答え、「アサド政権の転覆によって、シリアにおける中国の経済的、地政学的な利益は脅かされ、中国がシリアで関わってきた投資プロジェクトもことごとく挫折するだろう」「中国はシリア反政府軍とも接触を続けてきたが、シリア暫定政権権は中国を信用しないだろう」「中東地域は、台湾海峡やインド太平洋と並び米中の対立が激化している。シリア新政権の中国不信が続けば、シリアに対する中国の影響力は失われるだろう」とコメントしている。</p>

<div id="attachment_17066" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8260-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17066" class="wp-image-17066" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8260-scaled.jpg" alt="" width="400" height="300" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8260-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8260-300x225.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8260-1024x768.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8260-768x576.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8260-1536x1152.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8260-2048x1536.jpg 2048w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8260-280x210.jpg 280w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/01/IMG_8260-150x112.jpg 150w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17066" class="wp-caption-text">観光地化されたウイグル人の暮らし（2019年５月、新彊ウイグル自治区カシュガル市で筆者撮影）</p></div>

<p>　アサド政権の転覆は、中国にとって、一つの盟友国家を失ったというだけでなく、新彊地域の不安定化を加速させ、この地域を拠点とした中国の一帯一路戦略の根幹を揺るがすとともに、中東における米中のパワーバランスが崩壊するなど、地政学上の大きな損失に拡大するかもしれない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p><p>The post <a href="https://dotworld.press/implications_for_china_of_overthrow_of_assad_regime_in_syria/">シリアのアサド政権転覆で転換を迫られる中国の地政学的な戦略</a> first appeared on <a href="https://dotworld.press">dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</a>.</p><div class='yarpp yarpp-related yarpp-related-rss yarpp-related-none yarpp-template-list'>
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		<title>シリアに放置される「“敵”の子どもたち」</title>
		<link>https://dotworld.press/syria_children_of_the_enemy/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 28 Aug 2023 00:02:30 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[シリア]]></category>
		<category><![CDATA[スウェーデン]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[関根健次]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　イラクからシリアにかけて広範囲を支配したイスラム教原理主義過激派の武装組織、ISIS（イスラム国）。2014年には、指導者のアブー・バクル・バグダディーが「預言者の後継者」を意味する「カリフ」を名乗り、国境地帯に国家の [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　イラクからシリアにかけて広範囲を支配したイスラム教原理主義過激派の武装組織、ISIS（イスラム国）。2014年には、指導者のアブー・バクル・バグダディーが「預言者の後継者」を意味する「カリフ」を名乗り、国境地帯に国家の樹立を一方的に宣言して世界中を恐怖に陥れました。その一方で、「カリフ国家」の理想に共感し、世界各国からシリアに移り住む人々もまた、数多くいました。その後、米国主導の有志連合軍による掃討作戦によって、ISISは2017年に崩壊したとされているものの、シリア北東部の難民キャンプには多くの子どもたちが取り残されており、彼らの帰還は進んでいません。</p>
<p>　あまり知られていないこの問題について描いたドキュメンタリー映画『“敵”の子どもたち』（2021年、スウェーデン、デンマーク、カタール）が今年９月、日本でも公開されます。人と人をつなぎ、世界の課題を解決することを掲げて映画の配給を行うユナイテッドピープル株式会社の関根健次さんが、本作との出会いと、配給を決めた理由について綴ります。</p>
<p><iframe loading="lazy" title="YouTube video player" src="//www.youtube.com/embed/oeRN2TRQLSo" width="560" height="315" frameborder="0" allowfullscreen="allowfullscreen"></iframe></p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>孫たちの救出に奮闘する男のドキュメンタリー</strong></span></p>
<p>　世界には、報道で取り上げられていなくても、信じがたい状況に追い込まれている人々が数多く存在している。そうした人々に光を当てる役割も担っているのが、映画だ。2002年にユナイテッドピープルを設立して以来、長年にわたり映画の配給を手掛けてきた筆者は、相当数の作品を観ていると自負しており、正直、どんな映画を見てもそう簡単には驚いたりしないと常々思っている。しかし、映画『<a href="https://unitedpeople.jp/coe/">“敵”の子どもたち</a>』（原題：Children of the Enemy）を初めて見た時には度肝を抜かれ、「心を揺さぶられるドキュメンタリーとまた出会ってしまった」と感じた。</p>
<p>　映画の舞台は、シリアの難民キャンプだ。シリアやイラクでISISが「カリフ国家」の建設に向けて勢力を拡大していた頃、その主張に賛同する人々が、欧州をはじめ世界各地から移り住んだが、ISIS掃討作戦を受けて死亡。幼いうちに彼らに連れて行かれたり、現地で生まれたりした子どもたちが、母国に帰ることができず劣悪な環境下で取り残されている実態を描いている。</p>

<div id="attachment_13356" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub5.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13356" class="wp-image-13356" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub5-1024x576.jpg" alt="" width="400" height="225" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub5-1024x576.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub5-300x169.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub5-768x432.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub5-1536x864.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub5.jpg 1920w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-13356" class="wp-caption-text">パトリシオの孫たち （映画のワンシーンより） ©Gorki Glaser-Müller／筆者提供</p></div>

<p>　主人公のパトリシオ・ガルヴェスは、チリで生まれ、スウェーデンに移住したミュージシャンだ。娘のアマンダは、パトリシオの元妻とともにイスラム教徒に改宗し、その後、国内で最も悪名高いISISメンバーの男性と結婚。2014年には、カリフ国家の建設に参加する夫と共に、子どもたちを連れてシリアに密航した。パトリシオは、スウェーデンに帰ってくるように何年にもわたり説得を試みるものの、娘は聞き入れようとしなかった。その一方で、娘は次第に生活が困窮し、パトリシオに資金援助を求めるようになるが、ISISに資金が入り支援につながる恐れがあるからと彼が断っているうちに、娘夫婦はISIS掃討作戦の空爆を受けて死亡した。こうして、１歳から８歳まで計７人の彼女の子どもたち、つまりパトリシオの孫たちが、シリア北東部にあるアルホル難民キャンプに遺されたのだ。</p>
<p>　「娘は失ったが、孫は救いたい」。その一念で、スウェーデンからシリアに決死の決意で孫たちを迎えに行こうとするパトリシオだが、当初はスウェーデン政府からはなかなか協力を得られないうえ、SNS上では「テロリストの子どもを連れて帰るな」「子どもたちとシリアに留まれ」などと、大バッシングにあう。映画『“敵”の子どもたち』は、そんなパトリシオが、「子どもたちには罪はない」と訴え続け、シリアの難民キャンプから命懸けで孫たちを救出するために奮闘する姿に密着したドキュメンタリーである。</p>
<p>　彼の強くて揺らがない覚悟の源泉には、娘を救うことができなかったことに対する後悔があるように思う。ミュージシャンとして活動していたパトリシオだが、必ずしも順調とは言えず、妻とは離婚。以来、娘と共に暮らすことはできず関係は希薄だった。シリアから帰ってくるように説得することに失敗したうえ、頼まれた経済支援は拒絶したことで結果的に娘を永遠に失ったことへの懺悔の気持ちが、孫たちの救出という行動に彼を駆り立てたのだ。</p>

<div id="attachment_13357" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub7.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13357" class="wp-image-13357" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub7-1024x576.jpg" alt="" width="400" height="225" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub7-1024x576.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub7-300x169.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub7-768x432.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub7-1536x864.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Sub7.jpg 1920w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-13357" class="wp-caption-text">アルホル難民キャンプに残された７人の孫たちを取り戻そうと奔走するパトリシオ（映画のワンシーンより） ©Gorki Glaser-Müller／筆者提供</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>帰還者の受け入れを拒否する根強い声</strong></span></p>
<p>　この映画で描かれているのは、決してISISが過去に残した、中東地域の特殊な問題などではなく、国際社会にとって無視できない人道問題だ。その理由は三つある。</p>
<p>　第一に、パトリシオが孫たちの救出に向かったシリア北東部のアルホル難民キャンプには、今なお5万人以上が収容されており、シリアの国内避難民とイラクからの難民以外に、外国人も約１万人、収容されているためだ。世界約90の国々で活動する非営利の医療・人道支援団体<a href="https://www.msf.org/generation-lost-danger-and-desperation-syria%E2%80%99s-al-hol-camp">「国境なき医師団」の報告</a>によれば、彼らはイギリスやオーストラリア、中国、スペイン、フランス、スイス、スウェーデン、マレーシアなど、60あまりの国々から来た人々だという。５人に１人が外国人という計算だ。「国境なき医師団」は、「キャンプは常に過密かつ非衛生的で、物資も不足しているうえ、ラディカルな思想を持った人々がいるため安全ではない。子どもたちが過ごすべき場所とはとても言えない。事実上、巨大な屋外監獄のようなキャンプで生まれた子どもたちは、暴力にさらされ続けている」と、強く<a href="https://www.msf.org/generation-lost-danger-and-desperation-syria%E2%80%99s-al-hol-camp">警鐘を鳴らす</a>。</p>
<p>　赤十字国際委員会（ICRC）のファブリツィオ・カルボーニ中東事業局長も、「移送中に家族が離れ離れになってしまうケースが少なくないうえ、一定の年齢に達した少年は家族から引き離されて大人用の施設に移されるため、子どもたちは恐怖におびえながら暮らしている」と指摘。さらに、「大人たちの置かれている状況も看過できない。一人一人が法的手続きにのっとり、正当かつ人道的な処遇を受ける権利を有している」として、国際社会に対して問題解決に向けた連帯を<a href="https://jp.icrc.org/activity/remarks-fabrizio-carboni-icrc-near-and-middle-east-regional-director-record/">求めている。</a></p>

<div id="attachment_13358" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Still0003363.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13358" class="wp-image-13358" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Still0003363-1024x576.jpg" alt="" width="400" height="225" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Still0003363-1024x576.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Still0003363-300x169.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Still0003363-768x432.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Still0003363-1536x864.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/Still0003363.jpg 1920w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-13358" class="wp-caption-text">©Gorki Glaser-Müller</p></div>

<p>　こうした状況を受けて、国連は、シリア北東部のアルホル難民キャンプにいる外国人が本国に帰還できるよう、各国に受け入れを呼びかけている。<a href="https://www.hrw.org/report/2022/11/21/my-son-just-another-kid/experiences-children-repatriated-camps-isis-suspects-and">国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチの報告</a>によれば、2019年から2022年11月までに1500人以上が母国に帰還した。スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ドイツ、カザフスタン、コソボ、ロシア、タジキスタン、ウクライナ、米国、ウズベキスタンは、すでに自国民のほとんどをキャンプから受け入れ、オーストラリア、フランス、オランダも2022年から受け入れを再開している。しかし、カナダ、モロッコ、トリニダード・トバゴ、イギリスなどへの帰還は進んでいない。映画で描かれているように、「ISISに共鳴してシリアに渡った人々は自分たちを脅かす“敵”であり、彼らの子どもたちは“敵”の子どもたちであるため、帰ってきてほしくない」という拒否感が社会に根強いためだ。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>親の「罪」を負わされる子どもたち</strong></span></p>
<p>　国際社会がこの問題を無視できない第二の理由は、「世界人権宣言」だ。国際社会は1948年、数千万人もの死者を出した第二次世界大戦の惨禍を繰り返さないために、国連総会の場でこの宣言を採択した。第一条、および第二条では、すべての人間が生まれながらにして自由であり、平等な尊厳と権利を有することや、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、出自、財産、地位などの理由で差別されることなく権利と自由とを享有できること、そして、独立国、信託統治地域、非自治地域、他の主権制限下など、場所によらず差別は許されないことなどが謳われている。アルホル難民キャンプの子どもたちがISISにゆかりがあるという理由で「人としての尊厳」を奪われている実態は、世界人権宣言が掲げるこの精神に反していると言わざるを得ない。</p>
<p>　そして第三の理由として、「“敵”の子ども」の問題の普遍性だ。筆者は最近、『私はカーリ、64歳で生まれた』（カーリ・ロースヴァル、ナオミ・リネハン著、速水望訳、海象社、2021年）を読む機会があった。カーリが64歳の時に知った自らの出自は、衝撃的なものだった。彼女の両親はナチス親衛隊の男性とノルウェー人女性で、ナチスがかつて「純粋」なドイツ民族アーリア人を増殖するために設立した施設「レーベンスボルン」の中で生まれたのだ。彼女は自分の過去を探求することで悲しい現実や新たな試練に次々と直面するが、希望を持ち続けて人生を変えていく。彼女が１歳の頃にスウェーデン赤十字によって救出されて、スウェーデンで育てられたことは幸いなことだった。もしも母親の祖国であるノルウェーに連れて行かれていたら、全く違う人生になっていたかもしれない。ナチス・ドイツに侵略されたノルウェー社会ではナチスに対する反感感情が高く、この計画に協力した女性たちの多くは収容所に送られ、「レーベンスボルン」で生まれた子どもたちは、虐待や性的搾取を受けたり、恣意的な検査により知的障害施設に送られたりしたからだ。</p>
<p>　この問題は、日本にとっても他人事ではない。「敵の子ども」として差別された子どもたちは、戦後の日本にも存在した。日本人女性と米軍兵士の間に生まれた子どもたちだ。彼らは、学校でも、就職する時も、差別され続けたという。1948年に神奈川県内に設立された児童養護施設エリザベス・サンダース・ホームは、こうした子どもたちの救済を目的としていた。</p>
<p>　親の罪を子どもに負わせることの是非。親がどんな人間かによって、子どもに偏見をもち、差別してしまうことの是非。映画『“敵”の子どもたち』が問うのは、まさにこういう問題だ。</p>
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		<title>分断された人々をつなぎ平和をもたらすワイン</title>
		<link>https://dotworld.press/lebanon_peacewine_unite_people/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 09 Dec 2022 12:49:31 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[シリア]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[関根健次]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　ビールと並び世界で最も古い酒類の一つで、世界中の人々に愛され続けてきたワイン。世界で初めてのワイン醸造所がジョージアで作られたのは約8000年前で、人類の文明が発祥したのとほぼ同じ頃である。「これほど人類と長く深い関わ [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　ビールと並び世界で最も古い酒類の一つで、世界中の人々に愛され続けてきたワイン。世界で初めてのワイン醸造所がジョージアで作られたのは約8000年前で、人類の文明が発祥したのとほぼ同じ頃である。「これほど人類と長く深い関わりがあるワインを、世界平和の実現のために活用できないだろうか」。そんな思いから生まれた生まれた事業がある。世界のドキュメンタリー映画を届けてきたユナイテッドピープルが、国境や宗教などの違いを超えた人々の繋がりを構築するために立ち上げた。ゆくゆくはイスラエル・パレスチナの地にワイナリーを設立し、長年対立を続けてきた当事者たちが共に働き、相互理解を深め、友情を育む場にしたいと夢見ている。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>20年越しの夢</strong></span></p>
<p>　映画会社のユナイテッドピープルがワイン事業を始めた理由から説明したい。創業者である筆者は、大学を卒業する時から、いずれワインの輸入商社を興してフランスでワイナリーを経営しようと心に決めていた。学生時代に中国に留学した時のルームメイトがフランス人で、彼の実家を訪ねた時にフランスが大好きになったことと、ワインのある日常に心を惹かれたことが理由だった。</p>
<p>　しかし、卒業旅行でたまたま紛争地のガザ地区を訪れて心揺さぶられたのを機に、<br>
「ワインを飲んでいる場合ではない。世界を平和にしなければ」<br>
　と痛感し、2002年７月にユナイテッドピープルを創業。以来、世界の実情を伝えるドキュメンタリー映画を届けてきた一方で、ワインの夢は塩漬けにしたままだった。それから歳月が流れ、ユナイテッドピープルを創業して20年の節目を迎えた2022年に、万を持してというべきか、学生時代に思い描いていた形とは違う目的ではあるものの、ワイン事業を立ち上げることになって運命を感じている。</p>
<p>　きっかけは、10年前に遡る。ユナイテッドピープル設立10周年のイベントに、ゲストの一人が南アフリカ産の「ニュービギンィングス」というワインを差し入れてくれたのだ。<br>
「このワインは、南アフリカでアパルトヘイトが終焉を迎えたことを記念し、新しい時代の幕開けの象徴として、白人と黒人が協力して造ったワインなんです」</p>
<p>　閃きの瞬間だった。それまで単なる趣味としか見ていなかったワインと平和が結び付いたのだ。平和構築のためにワインを使うことができるというアイデアの種を受け取ったこの日の出来事が、「いつかは筆者の活動の原点である中東イスラエル・パレスチナ間の平和のためにワイナリーを造ろう」という夢を膨らませるきっかけとなったのだ。その後、月日が飛ぶように流れる中で、長年あたためていた構想も動き出し、ユナイテッドピープル創立20周年が目前に迫った2021年9月21日のピースデーに、「ユナイテッドピープルワイン」がスタートした。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>「ピースワイン」を求めて訪ねたレバノン</strong></span></p>
<p>　ワイン事業を開始するにあたり、３段階のステップを考えた。１段階目は、すでに日本に輸入されている平和コンセプトのピースワインを販売すること。続く２段階目は、ユナイテッドピープルとしてワインを輸入し、販売すること。そして最後の３段階目が、ワイナリーの設立だ。</p>
<p>　２段階目のワインの輸入先として選んだのは、中東レバノンだった。国境や宗教などの壁を超えて製造されているワインがないかと探していた時に見つけたのが、レバノンでナチュラルワインを造っているワイナリーのメルセルワインだった。すぐにコンタクトしてオンラインで何度か打ち合わせを重ね、2021年11月にワイナリーを訪問することになった。<br>
　さらに、時期を同じくして平和をテーマにしたワインドキュメンタリーを探している時に、たまたま『戦地で生まれた奇跡のレバノンワイン』（<a href="https://unitedpeople.jp/winewar/">https://unitedpeople.jp/winewar/</a>）を発見したことから配給を決めるとともに、この映画に登場するワイナリーもいくつか訪問することにした。</p>
<p><iframe loading="lazy" title="YouTube video player" src="//www.youtube.com/embed/xGZqj1U1Sqk" width="560" height="315" frameborder="0" allowfullscreen="allowfullscreen"></iframe></p>
<p>　移動は、いつもと同じように慌ただしかった。福岡空港から出発し、オランダ・アムステルダムにしばらく滞在した後、パリ経由で地中海の東端に位置するレバノン・ベイルート空港に着陸したのは深夜だった。当時はまだコロナ禍の影響で、空港で抗原検査を受けないと入国できなかった。<br>
　レバノンに到着したという事実に、感慨がこみ上げた。イスラエル・パレスチナの真北に位置し、それまで幾度も訪れたことがある地域ではあったが、パスポートにイスラエルのスタンプが押されていると入国が許されないといった特殊な事情から、長年、訪問がかなわずにいた国だったからだ。</p>
<p>　空港では、メルセルワインのオーナー、エディー・シャミさんが出迎えてくれた。エディーはアシスタントワインメーカーとして、シリア難民のアブダラ・リヒさんと一緒にワインを造っている。驚いたことに、エディーはキリスト教徒で、アブダラはイスラム教徒。国境も宗教の違いも超えて造っている彼らのワインは、まさにユナイテッドピープルが探し求めているものだった。彼らのワインのことを知った時には運命を感じたし、偶然にも皆、同世代であることも分かった。すでに心は決まっていたため、今回の訪問は、彼らのビジョンを直接聞きながらブドウ畑やワイナリーを訪問することが最大の目的だった。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>真っ暗な首都で持ち続ける希望</strong></span></p>
<p>　予約していたホテルがあるベイルートの中心部までエディーの車で向かいながら、車窓の景色に大きな衝撃を受けた。まず驚いたのが、高速道路が真っ暗だったことだ。トンネルの中ももちろん真っ暗だったし、市内に入ってからも暗闇が広がっており、明かりがついている建物はほんのわずかだった。筆者はこれまで60カ国ほど旅して来たが、ここまで暗い都市――しかも首都――は、初めてだった。</p>

<div id="attachment_12200" style="width: 460px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/city.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-12200" class="wp-image-12200" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/city-1024x501.jpg" alt="" width="450" height="220" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/city-1024x501.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/city-300x147.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/city-768x376.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/city-1536x752.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/city.jpg 1920w" sizes="auto, (max-width: 450px) 100vw, 450px" /></a><p id="caption-attachment-12200" class="wp-caption-text">ベイルートの街は、首都とは思えないほど真っ暗だった（筆者撮影）</p></div>

<p>　筆者が滞在したホテルや、付近の飲食店の中の一部は、自家発電で運営を続けていた。ホテルのフロントの鏡にはひどいヒビが入ったままで、まるで2020年８月に多くの死傷者を出したベイルート港爆発事故の傷跡を記憶しておこうとしているかのようだった。長年にわたる戦争で荒廃したところに、追い打ちをかけるかのように起きたあの爆発事故から１年以上が経ってもまだ、人々の記憶は生々しいままだった。</p>

<div id="attachment_12201" style="width: 310px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/window-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-12201" class="wp-image-12201" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/window-768x1024.jpg" alt="" width="300" height="400" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/window-768x1024.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/window-225x300.jpg 225w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/window-1152x1536.jpg 1152w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/window-1536x2048.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/window-scaled.jpg 1920w" sizes="auto, (max-width: 300px) 100vw, 300px" /></a><p id="caption-attachment-12201" class="wp-caption-text">ホテルのフロントの鏡には爆発事故の記憶をとどめておこうとするかのように ひどいヒビが入ったままだった（筆者提供）</p></div>

<p>　その日の日記にはこう記した。<br>
　「車はベイルート市内に向けて高速を走っていく。暗い！真っ暗だ。政府は破産状態で電力が供給できない。だから街灯がつけられない。市内に入っても同じく暗い。ビルの明かりが見えるところはほぼなかった。そしてビジネス街は封鎖されていた。２年前に始まったデモの結果、封鎖されたのだそうだ。通りかかった道の壁には一面、ずらりと去年の大爆発で亡くなった方の肖像画が描かれていた」</p>

<div id="attachment_12202" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1964-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-12202" class="wp-image-12202" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1964-1024x768.jpg" alt="" width="400" height="300" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1964-1024x768.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1964-300x225.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1964-768x576.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1964-1536x1152.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1964-2048x1536.jpg 2048w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1964-280x210.jpg 280w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1964-150x112.jpg 150w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-12202" class="wp-caption-text">2020年８月に爆発事故が発生し、多数の死傷者が出たベイルート港（筆者撮影）</p></div>

<p>　街に続く長いトンネルのように、日に18時間も停電するこの国の先行きは暗い。それでもエディーは明るかった。多くの若者たちが生活のために海外に活路を見出そうと国を離れていくなか、彼は逆に隣国ドバイからレバノンに通い、この地に希望を届けるためにワイナリーを設立したのだ。</p>
<p>　そんなエディーにレバノンの将来についてどう思うか尋ねると、こんな答えが返ってきた。</p>
<p>　「これ以上悪くなることはないから、良くなるだけだと思うよ。未来には希望を感じている」</p>
<p>　笑みがこぼれていた。強い。経済破綻したレバノンでは預金封鎖が続いており、訪れた当時も、月に400ドルしか引き出せない状況が続いていた。どんな障害があってもしなやかに立ち向かう姿は、頼もしかった。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>グラスに浮かぶ難民たちの夢</strong></span></p>
<p>　翌日から、ワイナリーとブドウ畑への訪問を始めた。エディーが経営するメルセルワインの拠点では、アブダラ・リヒさんが出迎えてくれた。彼は、内戦が始まったシリアからレバノンに難民としてやって来てエディーと出会い、ワインメーカーになった人物だ。彼には、いつか妻子を残してきたシリアに戻って、自分のワイナリーを設立したいという夢がある。アブダラから打ち明けられたエディーは、その日が来るまでここで自分のワインを造るよう言い、アブダラを応援したという。そうして誕生したワインに、アブダラは『ダー・リヒ・ハナン』（<a href="https://upwine.jp/products/900">https://upwine.jp/products/900</a>）という名前を付けた。ハナンは彼の妻の名前であり、「ダー・リヒ」は「リヒの家」という意味だという。その話を聞きながら、アブダラのワインも絶対に輸入しようと心に決めた。</p>

<div id="attachment_12203" style="width: 460px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1455-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-12203" class="wp-image-12203" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1455-1024x576.jpg" alt="" width="450" height="253" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1455-1024x576.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1455-300x169.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1455-768x432.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1455-1536x864.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1455-2048x1152.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 450px) 100vw, 450px" /></a><p id="caption-attachment-12203" class="wp-caption-text">シリア難民のアブダラ・リヒさん（左）から、「いつか祖国で自分のワイナリーを 立ち上げたい」という夢について聞く筆者（筆者提供）</p></div>

<p>　エディーやアブダラが暮らしている場所にはブドウ畑があり、土着品種のメルワが植わっていた。そのブドウ畑を通り過ぎて案内されたのは、一時的に移設したステンレスタンクがあるワイン醸造所だった。聞けばガソリンの入手が困難であるため、ブドウ畑からブドウをワイナリーまで運ぶことができず、一時的に設備の一部をここに移して醸造しているということだった。</p>
<p>　このワイナリーでは、つい最近までパレスチナ人の女性醸造家も一緒に働いていたということで、彼女が造ったワインも飲ませてもらった。残念ながらこの時は家族が病気のためレバノンを離れており、会うことはできなかったが、エディーはダイバーシティーを大切にしており、難民や女性とも積極的に仕事をしているということだった。</p>

<div id="attachment_12204" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1479-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-12204" class="wp-image-12204" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1479-1024x768.jpg" alt="" width="400" height="300" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1479-1024x768.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1479-300x225.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1479-768x576.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1479-1536x1152.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1479-2048x1536.jpg 2048w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1479-280x210.jpg 280w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/12/IMG_1479-150x112.jpg 150w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-12204" class="wp-caption-text">レバノンに希望を届けるためにワイナリーを設立したエディー・シャミさん（左）と、 アシスタントワインメーカーのアブダラ・リヒさん（筆者提供）</p></div>

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