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	<title>アフリカ | dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</title>
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	<description>ドットワールドは、一般財団法人国際開発センター（IDCJ）が運営する国際ニュースの情報サイトです。基本姿勢は、「現地から見た世界を知る」です。開発途上国をはじめ、世界のさまざまな国で起きている事象やニュースについて、現地に精通した識者が背景を掘り下げ、社会的な文脈と併せて分かりやすく解説します。</description>
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	<title>アフリカ | dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</title>
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		<title>チュニジアの大統領選挙に見る「アラブの春」のその後</title>
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		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 28 Apr 2025 12:16:51 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[チュニジア]]></category>
		<category><![CDATA[桐畑杏香]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　私がチュニジアを訪ねてから、１年が経とうとしている。留学していたイギリスの大学院で履修していたアラビア語を実践的に学ぶため、チュニジアにある提携校で2024年４月から１カ月間、研修プログラムに参加したのだ。イギリスを発 [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　私がチュニジアを訪ねてから、１年が経とうとしている。留学していたイギリスの大学院で履修していたアラビア語を実践的に学ぶため、チュニジアにある提携校で2024年４月から１カ月間、研修プログラムに参加したのだ。イギリスを発つ前にチュニジアについて調べようとしたものの、得られたのは2011年に中東・北アフリカ地域で若者層を中心に急速に広がった民主化運動「アラブの春」関連の情報だけ。それ以外は、ほぼ何の情報も入手できないまま現地に向かった私が見たのは、ローマ時代から続く首都チュニスの長い歴史と文化、そして「アラブの春」の名残りだった。<br>
　2024年10月、チュニジアで「アラブの春」から三度めの大統領選挙が行われたことを受けて、私は現地に暮らす若者たちにアンケート調査を実施し、10数年前の民主化運動が今、政治に対する彼らの意識に意外な形で影響を与えているのを感じた。この記事では、複数のメディアの報道を交えながら今回の選挙戦を振り返るとともに、アンケート調査から浮かび上がった現代の若者たちの政治観を掘り下げる。</p>

<div id="attachment_17620" style="width: 360px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/1.jpg"><img fetchpriority="high" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17620" class="wp-image-17620" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/1.jpg" alt="" width="350" height="311" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/1.jpg 1055w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/1-300x267.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/1-1024x910.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/1-768x683.jpg 768w" sizes="(max-width: 350px) 100vw, 350px" /></a><p id="caption-attachment-17620" class="wp-caption-text">チュニジアの若者たちが夕食後にトランプカードで遊びながら話す話題は、政治と仕事だ（2024年４月、筆者撮影）</p></div>

<h1><span style="font-size: 14pt;"><strong>金曜礼拝を通じて域内に運動が拡大</strong></span></h1>
<p>　アフリカ大陸の最北部に位置するチュニジア。人口は約1,246万人（<a href="https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/tunisia/data.html">外務省, 2025</a>）で、日本ではその名を耳にする機会がさほど多くないかもしれないが、中東情勢はこの国を抜きには語れない。というのも、このチュニジアこそ、他国に先駆けて前述の「アラブの春」（ジャスミン革命ともいう）が始まり、その後、民主化に成功した唯一の国であるからだ。</p>
<p>　ことの発端は2010年12月、一人の若者が生計の足しにしようとチュニスの街角の屋台で野菜を売ろうとしていたところ、警察に屋台を押収されて抗議の焼身自殺を遂げるという衝撃的な出来事に遡る。この事件は、普段から同国の失業率の高さに不満を抱えていた国内の若者たちによって、またたく間にSNSで拡散された。そんな彼らの怒りが、当時のベン・アリ政権に対する抗議運動、そして実質的な民主化運動へと発展するのに時間はかからなかった。</p>
<p>　こうした抗議運動の様子は、アラビア語圏向けの衛星放送局アルジャジーラでも24時間体制で報道された。当時、中東・北アフリカ地域では多くの国々で政治的な集まりが禁じられていたが、イスラム教の宗教的な習慣である金曜礼拝が意見交換の場として機能したことも相まって民主化運動は各地に広がり、活発に展開されていく。その一方で、他国の介入によって武力衝突が起きた地域もあり、戦争という手段で目的を達成しようという思想も広がったことから、結果的に多くの国々では民主化運動が内戦や内乱に発展。NHKは「民主化を実現できたのは、エジプトとチュニジアの二カ国にとどまる」と、<a href="https://www3.nhk.or.jp/news/special/new-middle-east/10years-after-arab-spring/">2021年の番組</a>で伝えた。もっとも、エジプトでは2013年、民主的に選ばれたムルシ大統領を軍が引きずり下ろし、当時国防相だったシーシが翌2014年に大統領に就任。政権批判を抑え込む強権的な政治が復活している。</p>
<h1><span style="font-size: 14pt;"><strong>「民主化」は成功したのか</strong></span></h1>
<p>　すでに述べた通り、「アラブの春」を経て唯一、民主化に成功した国とされているチュニジアだが、マグレブ地域の政治学者であるハディジャ・モフセン＝フェナン博士は、そう見ていない。博士は、<a href="https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2024/756843a978d491f0.html">2024年に日本貿易振興機構（ジェトロ）と行った対話</a>の中で「最終的にチュニジアは民主化に成功していない」との見方を示し、その理由として、ベン・アリ政権が崩壊した後に政治を担った人々の政治経験が圧倒的に欠如していたことを挙げている。</p>
<p>　実際、同国ではそれまで政治の枠組みが特権階級に限られており、翌2011年に新政権の座についた人々には、政治を司った経験がなかった。彼らは、民主化運動が経済や社会問題に端を発していたという事実を見落とし、雇用の創出や生活の改善などの具体的な政策を打ち出すことができなかったため、若者の高い失業率や市民生活、政権の汚職問題はベン・アリ政権時代と変わらず、民主化が成功したとは言い難い状況が続いていた。</p>

<div id="attachment_17621" style="width: 310px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/3b-scaled.jpg"><img decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17621" class="wp-image-17621" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/3b-scaled.jpg" alt="" width="300" height="400" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/3b-scaled.jpg 1920w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/3b-225x300.jpg 225w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/3b-768x1024.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/3b-1152x1536.jpg 1152w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/3b-1536x2048.jpg 1536w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></a><p id="caption-attachment-17621" class="wp-caption-text">チュニジアの首都チュニスの中心部の様子（2024年４月、筆者撮影）</p></div>

<p>　そんななか、2019年に行われた大統領選挙で「法に基づく厳格で透明な政治」を掲げて支持を集め、72.7％という圧倒的な得票率を獲得して当選を果たしたのが、現職のカイス・サイード大統領だった。公約とは裏腹に、サイード政権は2021年７月以降、大統領の特別措置を定めた憲法を適用して首相を罷免し、議会を停止するなど、独裁色を強め始める。その後、大統領令によって立法権・行政権を直接行使するなど権力を自身に集めて軍幹部を閣僚に起用し、各省庁の上層部にも軍出身者を配置。警察と軍の中立性が失われていったと<a href="https://www.jetro.go.jp/biznews/2019/10/07bbb5a81b0f27b4.html">ジェトロは報告</a>している。</p>
<p>　2024年の大統領選挙では、いっときとはいえ民主化を果たした国とは思えないほど急速に独裁傾向を強めている現政権の姿が浮き彫りになった。以下、中東の報道を基に振り返る。</p>
<h1><span style="font-size: 14pt;"><strong>外部から遮断された不透明な選挙戦</strong></span></h1>
<p>　まず、今回の選挙では、候補者17人のうち14人が不正の疑いを理由に立候補を無効とされた。このうち、チュニジアで唯一、大統領から独立している行政裁判所が無効を撤廃すべきだという司法判断を示していた３人についても、2021年７月の憲法改正以来、大統領の権力下に置かれている独立高等選挙委員会によって立候補が棄却された。<a href="https://www.aljazeera.com/news/2024/10/4/tunisia-presidential-election-who-is-running-and-what-is-at-stake">中東の衛星テレビ局アルジャジーラ</a>によれば、サイード大統領は行政裁判所が今後、立候補者の選出や選挙に関わることを一切禁じたという。</p>
<p>　結果的に、2024年のチュニジア大統領選選挙において立候補が認められたのは、サイード現大統領に加え、アヤチ・ザメル氏とズハイル・マグザウイ氏だけだったと<a href="https://www.aljazeera.com/news/2024/10/4/tunisia-presidential-election-who-is-running-and-what-is-at-stake">アルジャジーラ</a>は伝えている。</p>
<p>　このうちザメル氏は、コロナ禍の際、厚生福祉委員会の議長を務めていたうえ、2022年９月にはサイード政権に抵抗するアジムン運動を立ち上げた経歴の持ち主で、サウジアラビア初の英字新聞<a href="https://www.arabnews.jp/article/middle-east/article_129864/">アラブニュース</a>によれば、今回の選挙期間中に書類偽装の嫌疑をかけられ投獄された。他方、2013年に発足した左派汎アラブ政党「エシャーブ運動」の事務局長を務めるマグザウイ氏は、これまでサイード政権を擁護する発言を繰り返してきた。同氏は国内のLGBTQコミュニティに否定的なことでも知られ、市民活動団体から非難されていると<a href="https://www.aljazeera.com/news/2024/10/4/tunisia-presidential-election-who-is-running-and-what-is-at-stake">アルジャジーラ</a>は評している。</p>

<div id="attachment_17622" style="width: 310px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/2-scaled.jpg"><img decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17622" class="wp-image-17622" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/2-scaled.jpg" alt="" width="300" height="400" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/2-scaled.jpg 1920w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/2-225x300.jpg 225w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/2-768x1024.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/2-1152x1536.jpg 1152w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/2-1536x2048.jpg 1536w" sizes="(max-width: 300px) 100vw, 300px" /></a><p id="caption-attachment-17622" class="wp-caption-text">政府関係者が多く住むエリアにある港（2024年４月、筆者撮影）</p></div>

<p>　2024年10月６日、一回目の投票が実施され、独立高等選挙委員会は翌日、現職のサイード大統領が90.69％と圧倒的な得票率を獲得したとの<a href="https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/10/b6b4cbd9da208527.html">暫定結果</a>を発表した。投獄中のザメル氏も候補者として登録されていたため7.35％を獲得したが、マグザウイ氏は1.97％にとどまり、二回目の投票が行われることなくサイード氏が再選を決めた。</p>
<p>　選挙後、サイード大統領は政府系の通信社チュニジア・アフリカ・プレスを通じて「国民の願望を実現し、国を築き上げ、腐敗者、懐疑論者、陰謀者を一掃する」との声明を発表した。しかし、ジェトロは今回の選挙戦について、サイード大統領を支持するように投票構造が歪められていたことや、2011年以来初めてEU選挙監視団の立ち入りが認められず、外部から完全に遮断された不透明な形で実施されたことが国内外から批判されていると<a href="https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/10/b6b4cbd9da208527.html">報告している</a>。</p>
<h1><span style="font-size: 14pt;"><strong>民族や宗教を超えて無力感を共有する若者たち</strong></span></h1>
<p>　さらに、かつて「アラブの春」の原動力として民主化運動を支え、政治変革の最前線に立っていた若者たちの政治離れも顕著に表れた。<a href="https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/10/b6b4cbd9da208527.html">ジェトロの報告</a>によれば、「アラブの春」直後の2011年の大統領選挙では64％に上った第一次投票の投票率が、今回は28.8％と激減した。有権者のうち、特に18～35歳の若年層の投票率は６％にとどまり、現政権に対する不信感が如実に示された。</p>

<div id="attachment_17623" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/5b-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17623" class="wp-image-17623" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/5b-scaled.jpg" alt="" width="400" height="300" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/5b-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/5b-300x225.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/5b-1024x768.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/5b-768x576.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/5b-1536x1152.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/5b-2048x1536.jpg 2048w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/5b-280x210.jpg 280w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/5b-150x112.jpg 150w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17623" class="wp-caption-text">重要な政府機関や歴史的建築物に囲まれた、チュニスの政治と歴史の中心地「カスバ広場」。「アラブの春」の際には大きなデモがここで行われた（2024年４月、筆者撮影）</p></div>

<p>　そこで私は、現地の若者たちが今回の選挙をどう見ていたのかさらに知りたくなり、チュニジア滞在中に交流のあったフランス系チュニジア人の男性と、彼から紹介してもらった男女２人のアラブ系チュニジア人に対して意識調査を実施した。３人は私と同年代（20〜25歳）の大学生で、フランス語で教育を受けている。政治について日頃から家族とどんな話をしているか、投票所に足を運んだか、どの候補者を支持し、今回の結果をどう受け止めているのか尋ねながら回答の背景や理由を探り、今日のチュニジアにおける若者の政治意識を理解しようと努めた。</p>
<p>　アラブ系チュニジア人の女性は、家族と政治の話はするものの、彼女自身は投票に行かなかったという。その理由として、彼女は「今回の選挙で示された数字は、すべて疑わしかったから」だと回答。また、公式に認められた３人の立候補者の中に支持したいと思える人物がいなかったことも投票を見送った大きな理由だとしたうえで、「誰に投票するか、私には選択肢がありませんでした」と振り返った。</p>
<p>　一方、アラブ系チュニジア人の男性も、家族と政治の話はするものの、投票には行かなかったという。実は、彼には明確に支持していた人物がいた。自由憲政党の指導者だった女性弁護士のアビール・ムッシー氏だ。2024年の大統領選挙に立候補する予定だったが、選挙のプロセスを批判したことから、投票日２カ月前の８月に２年間の禁固刑を受け投獄されたという。男性は、「国を率いるにふさわしい資質があったのはムッシー氏だけだった」と、その政治手腕を高く評価したうえで、彼女が逮捕されてサイード氏が圧勝したことについて、「チュニジアは “アラブの春”によって独裁政治を終わらせたはずなのに、今回、大統領として選ばれたのが独裁者だなんて、なんて皮肉なんだ」と嘆いた。</p>
<p>　また、フランス系チュニジア人の男性も、家族と頻繁に政治の話をするものの、投票には行かなかったという。理由を尋ねると、彼は「チュニジアで投票所に行くのは、頭脳よりも根性に忠実な人々だけだから」という答えが返ってきた。彼は、私がチュニジアでお世話になったホストファミリーの息子であり、１カ月間の滞在中、夕食の席でさまざまな話をした。政治に対する強い関心と怒り、そして「どう行動しても、どうせ何も変わらないんだ」という諦念が入り混じった複雑な感情を抱える彼の様子が、強く印象に残っている。彼は、社会の不条理に鋭い視点を向けながらも、それを打破する術がないことに苛立ちを募らせていた。そして、議論が白熱した後に、必ずある言葉を発した。「Anyway、どうでもいいんだけどね」。その言葉には、変化を切望しながらも叶わない現実に対する絶望が滲んでいた。選挙が実施されても彼が投票に足を運ばなかったのは、単なる政治への無関心ではなく、むしろ強く関心を寄せているがゆえの「無力感」が理由なのではないだろうか。</p>

<div id="attachment_17624" style="width: 310px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/6b-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17624" class="wp-image-17624" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/6b-scaled.jpg" alt="" width="300" height="400" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/6b-scaled.jpg 1920w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/6b-225x300.jpg 225w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/6b-768x1024.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/6b-1152x1536.jpg 1152w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/6b-1536x2048.jpg 1536w" sizes="auto, (max-width: 300px) 100vw, 300px" /></a><p id="caption-attachment-17624" class="wp-caption-text">「アラブの春」の成就を記念して作られた「1月14日広場」。中央にはチュニジアの独立を実現し、初代大統領に就任したハビブ・ブルギバ像が建てられている（2024年４月、筆者撮影）</p></div>

<p>　一般的に、政治に対する関心度の高さは、民族や性別、宗教といった属性に影響されると言われる。その意味で、フランス系やアラブ系など異なる民族が共生するチュニジアのような国の場合、支持する候補者や政党が民族ごとに異っても不思議ではない。だが、今回の調査を通じて見えてきたのは、チュニジアの若者たちが民族や宗教の違いを超え、政治への無力感を共有しているという現実だった。「民族や宗教という壁すら見えなくなる独裁政権、そして政治の変革を担おうという気すら排除してしまう選挙」――。それこそが、2024年に行われたチュニジア大統領選挙の本質だと言えるのではないだろうか。</p>
<p>　国の変革を信じ、希望を託したいと思う候補者がいても排除される現実。現在の政治体制に対する不満の声が、「大統領」という名の独裁的な権力者が改変した法律により封じ込められる現実。それを眼前に突きつけられ絶望する若者たちの姿は、チュニジアの未来に残されていた民主主義というわずかな可能性すら、崩れ去ろうとしていることを象徴しているのかもしれない。</p>
<p>　今回、チュニジア大統領選挙に対する若者層の受け止め方について調べてみようと決めた段階では、もっと選挙に熱意のある回答が返ってくるのではないかと予想していた。私が現地に滞在中、さまざまなコミュニティで政治について熱く語る若者に多く出会ったからだ。しかし、改めて話を聞いてみると、政治の批評ができるからといって、必ずしも彼らが社会の課題を打破するために政治活動に積極的に参加しているわけではないことが分かった。</p>
<p>　翻って日本では、政治について声高に批評をする若者こそ少ないものの、以前に比べれば、選挙に行って興味のある社会課題を解決しようと働きかける人が増えてきているように思う。しかし、これは日本の選挙に一定程度の「信頼」があるからにほかならない。せっかく政治の批評という高度な議論を戦わせることができる優秀なチュニジアの若者たちが、「信頼」のない歪められた選挙が横行する国にいるばかりにアウトプットの機会を奪われているのは、あまりにも惜しいと感じる。</p>

<div id="attachment_17625" style="width: 310px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/4-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17625" class="wp-image-17625" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/4-scaled.jpg" alt="" width="300" height="400" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/4-scaled.jpg 1920w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/4-225x300.jpg 225w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/4-768x1024.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/4-1152x1536.jpg 1152w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/4-1536x2048.jpg 1536w" sizes="auto, (max-width: 300px) 100vw, 300px" /></a><p id="caption-attachment-17625" class="wp-caption-text">独立の英雄として人気が高いハビブ・ブルギバの名前を冠した通りの様子（2024年４月、筆者撮影）</p></div>

<p>　「政治について語れること」と、「政治を変えるために行動を起こすこと」の間に大きな壁が立ちはだかっている国、チュニジア。その国で諦めることを余儀なくされている彼らと同じ年代の若者として、また、投票に行くことで世の中の変革を期待できる日本で育った者として、私は、彼らの熱い声が「動き」となり、チュニジアに新たな歴史を刻む日が来ることを心から願っている。</p>
<div>
<div style="height: 12px;"><span style="background: #91D8AC; padding: 6px 10px; border-radius: 5px; color: #ffffff; font-weight: bold; margin-left: 10px;">著者プロフィール</span></div>
<div style="padding: 30px 15px 10px; border-radius: 5px; border: 2px solid #91D8AC;">
<p><span style="font-size: 10pt;">（きりはたももか）2000年生まれ。日本で生まれ育ち、13歳からマレーシアへ留学。親しくしていたイエメン人から紛争の話を聞いたのを機に、中東地域に興味を持つ。大学進学のために一度日本に帰国したものの、卒業後はイギリス・エセクター大学アラブ中東研究所の修士課程に進学。アラブ・中東地域におけるジェンダー学を研究する傍ら、アラビア語を履修し、チュニジアで１カ月間、アラビア語留学を経験した。修士課程を修了後、日本に帰国して2025年４月より民間企業で勤務している。</span></p>
</div>
</div>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p><p>The post <a href="https://dotworld.press/tunisia_arab_spring_presidential_election/">チュニジアの大統領選挙に見る「アラブの春」のその後</a> first appeared on <a href="https://dotworld.press">dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</a>.</p><div class='yarpp yarpp-related yarpp-related-rss yarpp-related-none yarpp-template-list'>
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		<title>ケニアのゴミ山で生きる「政府公認」のウェストピッカーたち</title>
		<link>https://dotworld.press/kenya_waste_pickers_in_disposal_site/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 19 Oct 2023 10:42:42 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ケニア]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[長谷川将士]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://dotworld.press/?p=13554</guid>

					<description><![CDATA[<p>　ゴミ山に足を踏み入れると、ただ呼吸をするだけで吐き気が込み上げてくる。暴力的な臭気が容赦なく鼻から入り込んできて息を詰まらせた後、胃へと下降してうずきだす。ゴミに混じった金属などを回収するためにあちこちで火がつけられる [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　ゴミ山に足を踏み入れると、ただ呼吸をするだけで吐き気が込み上げてくる。暴力的な臭気が容赦なく鼻から入り込んできて息を詰まらせた後、胃へと下降してうずきだす。ゴミに混じった金属などを回収するためにあちこちで火がつけられるが、分別されていない山にはプラスチックも混じっているため、有毒ガスに十分気を付ける必要がある。腐った生ゴミから大量発生したハエが水分を求めて身体にまとわりついてきて、羽音の振動で肌が震えているような錯覚を覚えるほどだ。<br>
　こんな身も心も消耗しそうな環境下で、日々を生き抜くために労働に精を出す人々がいる。ゴミ拾いを生活の糧とするウェストピッカーたちだ。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>人口増加に伴い急増するゴミの量</strong></span></p>
<p><strong>&nbsp;　</strong>ケニアの首都ナイロビから一時間ほど北へ車を走らせると、キアンブ県のティカというベッドタウンにあるカンゴキ最終処分場が見えてくる。ここは同県で唯一の最終処分場で、県内のすべてのゴミがここに集められる。ケニアでも日本と同様にごみの処分は地方政府が所管しているが、日本で多くの自治体でゴミを焼却処分しているのとは対照的に、ここでは運ばれてきたゴミがそのまま次々と野積みされていく。</p>
<p>　キアンブ県では近年、ティカを中心に人口が急増している。国勢調査によれば、2009年に162万人だった人口は、2019年には242万人となったという。10年あまりで80万人も増加したことになる。人口が増えるのに比例してゴミの量も増えるため、リサイクルや再利用といったゴミの排出量を減らす対策が求められているが、普及は進んでおらず、現在のリサイクル率は３％と推計されている。</p>
<p>　ここカンゴキ最終処分場は、日本の国際協力機構（JICA）が支援を行っていることもあり、ケニア人の中でも、他の処分場と比べてよく管理されていると認識されている。2015 年にはメタンガスなどの有毒ガスの発生を抑制できる「福岡方式」（準好気性型）を採用した衛生埋立処分場のモデルサイトが建設されたが、気アンプ県の政策決定者の理解不足などもあり、未だ稼働はしていない。そもそも管理者であるキアンプ県政府に長期計画がなかったり、計画があっても必要な資機材を確保するだけの予算が確保できなかったりと、課題が山積している。</p>

<div id="attachment_13555" style="width: 272px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5-1.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13555" class="wp-image-13555" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5-1.jpg" alt="" width="262" height="350"></a><p id="caption-attachment-13555" class="wp-caption-text">あたり一面を覆うカンゴキ処分場に広がるゴミ。奥の青白く光っている場所にはペットボトルが集中的に廃棄された（筆者提供）</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>県と連携して３Rを推進</strong></span></p>
<p><strong>&nbsp;　</strong>「カンゴキ最終処分場の広さは約120エーカー（筆者注：東京ディズニーランドとほぼ同じ面積）ですが、近年、ゴミの量が急増していることもあり、あと数年でいっぱいになってしまうという試算もあります」</p>
<p>　キアンブ県で環境政策を担当しているモニカ・キンゴリさんは、眼前に広がるゴミ山を眺めながら、そう説明した。この問題に対処するためには、ゴミの3R（リデュース、リサイクル、リユーズ）を推進し、とにかくゴミの量を減らすことが急がれるとモニカさんは言う。キアンブ県には焼却処分をする施設があるが、焼却処分をすると県が支払わなければならない費用が増えるため、カンゴキ処分場では分別もされず野積みされているのが現状だ。それはつまり、野積みされたゴミの中には、使える資源物が多く含まれていることを意味する。</p>
<p>　実際、ゴミ山を歩いてみると、少し修理すればローカルマーケットで十分売ることができそうなサンダルや衣類を多く見つけた。ペットボトルや段ボールを集めれば引き取ってくれる民間業者もあるし、<a href="https://dotworld.press/kenya_booming_beauty_industry/">捨てられたウィッグを洗剤で洗い、インフォーマル地域などで販売している美容サロンの事例もある（2023年８月10日付）</a>。そのまま放置していればただのゴミだが、回収すれば資源として活用できるモノがそこかしこに散乱しているのだ。</p>

<div id="attachment_13556" style="width: 273px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-1.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13556" class="wp-image-13556" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-1.jpg" alt="" width="263" height="350" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-1.jpg 235w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-1-225x300.jpg 225w" sizes="auto, (max-width: 263px) 100vw, 263px" /></a><p id="caption-attachment-13556" class="wp-caption-text">キアンブ県で環境を担当しているモニカさんが、ゴミ山を回って状況を説明してくれた（筆者提供）</p></div>

<p>　そこでキアンブ県はウェストピッカーたちと協働し、「政府公認」のゴミ拾いとして彼らの権利を保護することでゴミ拾いを奨励する方針を打ち出した。ウェストピッカーは、視点を変えれば、処分場でゴミを分別、回収し、民間業者に売ることによってリサイクルや再利用を実践してくれる者たちだ。彼らを管理することで県政府は3Rを推進でき、ウェストピッカーたちは、より安全で効率的にゴミ拾いに従事することができる。</p>
<p>　カンゴキ処分場には現在、700人程度のウェストピッカーがおり、そのうち350人ほどがすでにキアンブ県に登録しているという。登録は無料で行われ、ゴミを運搬する重機に近寄らない、ゴミの焼却禁止を徹底する、といった安全管理上のトレーニングが提供される。登録を終えたウェストピッカーたちは５つほどのグループに分かれ、それぞれ決められた曜日にゴミ拾いに従事しつつ、政府との協働を実現している。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>家族のために日銭を稼ぐ</strong></span></p>
<p><strong>&nbsp;　</strong>では、強烈な臭気や大量のハエと闘わなければいけない過酷な環境で、ウェストピッカーたちはどのように働いているのだろうか。そもそも、彼らはどのような経緯でウェストピッカーになったのだろうか。５つのグループの１つ、カンゴキサウスグループのリーダーをしているミシェック・マイナさんに尋ねると、意外なほど前向きな答えが返ってきた。</p>
<p>　「ゴミ処分場といっても、ここカンゴキは県との連携を進めようとしているので、状況は悪くないよ。JICAも僕たちを助けてくれるしね」</p>
<p>　ケニアの中央部にある街で生まれ育ったマイナさん（30歳）は、高校を卒業した2020年に職を求めてティカの街に出てきた。自営業をやっていた時期もあったが上手くいかず、生活していくために選んだのがゴミ拾いの仕事だった。マイナさんは妻や息子を養うために一生懸命働き、毎月約３万シリング（約３万円）を稼いでいるという。</p>

<div id="attachment_13557" style="width: 272px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/5e4896966c9944fcf00890f4502605bf-1.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13557" class="wp-image-13557" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/5e4896966c9944fcf00890f4502605bf-1.jpg" alt="" width="262" height="350" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/5e4896966c9944fcf00890f4502605bf-1.jpg 226w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/5e4896966c9944fcf00890f4502605bf-1-225x300.jpg 225w" sizes="auto, (max-width: 262px) 100vw, 262px" /></a><p id="caption-attachment-13557" class="wp-caption-text">グループのリーダーとして奮闘するマイナさん（左から２番目）（筆者提供）</p></div>

<p>　また、今年で48歳になるというナイト・オピヨさんは、勤めていたサイザル工場が閉鎖したことがきっかけで、10年前に夫と共にティカに移住してきた。他の若いウェストピッカーたちと競い合ってゴミを拾うことはせず、黙々と残飯を袋に詰め、家畜用の飼料として売っている。50キロの袋一つでだいたい200シリング（約200円）になるという。</p>
<p>　「子どもの頃は、自分が将来、まさかウェストピッカーになるなんて思ってもみませんでした。でも、私には、特別な経験も、スキルも、何もないんです。だからこの仕事に就くしかありませんでした」</p>
<p>　オピヨさんには７人の子どもがおり、娘の一人がカンゴキで一緒にウェストピッカーとして働いている。ハエにまみれて泥だらけになりながら働くオピヨさんの姿は確かに辛そうに見えるが、娘はこの仕事を誇りに思っていて、積極的にオピヨさんを助けてくれるのだという。</p>

<div id="attachment_13558" style="width: 335px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269-1.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13558" class="wp-image-13558" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269-1.jpg" alt="" width="325" height="350"></a><p id="caption-attachment-13558" class="wp-caption-text">オピヨさんは残飯を集めて飼料として売っている。袋にはたくさんのハエがたかっていた（筆者提供）</p></div>

<p>　ヴェルマ・オティエノさん（25歳）は、１歳９カ月になる一人息子を抱えるシングルマザーだ。６年前に高校を卒業し、ティカに来た。ウェストピッカーになったきっかけは、友人の誘いだったという。</p>
<p>　「I love this job！簡単で、働ければ働くほど日銭が稼げるからね。私は気に入っているよ」</p>
<p>　収入は、多い時で一日500シリング（約500円）程度だが、集めたゴミを運搬するトラックを利用するために、毎月2300シリング（約2300円）を支払っている。息子を育てながらゴミ拾いの仕事をこなすのは激務で、毎日が闘いの連続だという。</p>

<div id="attachment_13559" style="width: 273px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73-1.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13559" class="wp-image-13559" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73-1.jpg" alt="" width="263" height="350" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73-1.jpg 244w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/10/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73-1-225x300.jpg 225w" sizes="auto, (max-width: 263px) 100vw, 263px" /></a><p id="caption-attachment-13559" class="wp-caption-text">筆者の前でおどけてみせるヴェルマさん。子育てのため、ゴミ拾いに精を出している（筆者提供）</p></div>

<p>　ゴミ拾いをする時に彼女が心掛けているのは、「なんでも拾うこと」だという。ウェストピッカーの中には、プラスチックやペットボトルなど、自分が狙うゴミだけを集中的に拾い集める者もいるが、ヴェルナさんは分別の手間をかけず、残飯だろうが金属だろうが手あたり次第、なんでも拾っている。</p>
<p>　そんな彼女は、金目のゴミを拾った時も、できるだけ周囲の人と利益を分け合っているという。「人は一人では生きていけないから。隣人を愛さないとね」と微笑む。</p>
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		<title>ケニア人のお洒落ゴコロに応え活況を呈する美容業界</title>
		<link>https://dotworld.press/kenya_booming_beauty_industry/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 09 Aug 2023 22:00:38 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ケニア]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[長谷川将士]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://dotworld.press/?p=13295</guid>

					<description><![CDATA[<p>　近年、ケニアで勢いがあるのが、美容業界です。癖の強い髪をまとめて編み上げるドレッドヘアーが流行している様子（2020年２月29日付）や、白い肌に憧れて漂白剤がブームになっている様子(2019年８月20日付）などで現地の [&#8230;]</p>
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<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>母娘３代が通うサロンの意外な経営努力</strong></span></p>
<p>　ケニア有数のモノづくりの街として知られるカリオバンギ地区の昼下がり、４人の子どもの母親であるアンナ・モマーニさんは、髪の手入れをするために、行きつけのサロンに向かっていた。自宅から100メートルほどのところにある店だ。彼女が子どもだった頃、母親に連れてきてもらって以来、ここに通い続けており、今では自分の娘たちを連れてくるようになった。</p>
<p>　サロンに着くと、アンナさんは慣れた様子で店内に入り、従業員や他の客に挨拶した。予約をしたことは一度もなく、いつでも気軽に来ることができるところが気に入っていると言う。お洒落を楽しむ人々で華やいだ雰囲気の中、席に案内された彼女のもとにスタイリストがやって来て、「今日はどんなスタイルにしようか？」と、にこやかに尋ねた。スタイリストは、形や長さ、色がさまざまなウィッグを彼女の前に並べた後、前回つけたエクステンション（付け髪）を手際よく外し始めた。複数のウィッグを手に取り、じっくり眺めながらアンナさんが選んだのは、長さ36センチほどのブロンドの人毛のウィッグだった。</p>
<p>　「このブロンドの人毛ウィッグの値段は600シリング（約600円）です。しかし、高級サロンに行けば数千シリングは請求されるでしょう。この店では、見栄えのするヘアスタイルを手ごろな価格でお願いできるので、お金を使い過ぎることはありません」と、アンナさんは言う。</p>

<div id="attachment_13296" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13296" class="wp-image-13296" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5.jpg" alt="" width="400" height="324" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5.jpg 357w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5-300x243.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-13296" class="wp-caption-text">カリオバンギにあるジャッキーさんの店の様子。店内はいつも多くの女性で賑わっている（筆者撮影）</p></div>

<p>　そうこうしていると、店のオーナー、ジャッキー・ムラヤさんが入ってきた。創業して15年あまりのベテラン経営者だ。ビジネスが上手くいかない時にも何とかここまでサロンを続けてこられた秘訣として、ジャッキーさんはアンナさんのような固定客の獲得に成功していることを挙げる。「ビジネスをゼロから立ち上げることは決して簡単ではありませんが、起業するよりビジネスを15年以上続ける方が、さらに大変です。私がやってこれた理由は、常に顧客を維持することができたからです。固定客を獲得して通ってもらえれば、売り上げが安定しますからね」。</p>
<p>　さらにジャッキーさんは、「適正な価格の設定と、新たなサービスを開発するための発想力によって、お店とお客がwin-winになることが大切です」と強調する。開店当初、この店のメニューはヘアーカットが中心だったが、顧客を獲得するために新たなサービスを積極的に取り入れた。常連からの要望が高かったウィッグのサービスもその一つだが、特に注目されるのが、その手法だ。</p>
<p>　高額なウィッグをリーズナブルに顧客に届けるため、この店では、廃品回収業者に50シリング（約50円）を支払い、廃棄物の中からウィッグやエクステンションなどの毛髪製品の回収を依頼しているのだ。集めたウィッグは洗浄用洗剤で丁寧に洗い、殺菌してから販売したり、レンタルしたりすることで、料金を市場価格の10分の１程度に抑えることができている。</p>

<div id="attachment_13297" style="width: 321px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-1.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13297" class="wp-image-13297" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-1.jpg" alt="" width="311" height="400" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-1.jpg 271w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-1-233x300.jpg 233w" sizes="auto, (max-width: 311px) 100vw, 311px" /></a><p id="caption-attachment-13297" class="wp-caption-text">ジャッキーさんの店では、ゴミ捨て場から拾いリサイクルしたウィッグを提供することで、価格を抑えている（筆者撮影）</p></div>

<p>　「もちろん、ゴミ捨て場から拾ってきたと聞けば利用をためらうお客もいるでしょう。でも、これだけ価格を下げられているのには相応の理由がありますし、それを必要としている人々もいるのです。実際、このビジネスは今も成り立っているでしょう？」</p>
<p>　ジャッキーさんは笑顔でこう話し、「高級店と競争するのは難しいので、私はじっくりとお客に寄り添い、彼らに喜ばれるサービスを提供するというビジネスモデルを立ち上げました。この店では今、手頃な価格で、お客が関心を持ってもらえるサービスを提供できています」と、胸を張った。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>激化する価格競争の生き残り策</strong></span></p>
<p>　ジャッキーさんのサロンから数メートル先には、ロージー・マシュさんが営むネイルスパがある。近隣のサロンと協力し合い、厳しい経済状況を乗り切ってきたという。　</p>
<p>　「ジャッキーさんのサロンとは、競合していませんよ。むしろ、共に手を取り合いビジネスできればと思っています。うちのお客が髪の手入れにも興味があるようだったら、彼女のサロンを紹介しているし、逆に、彼女もネイルサービスに興味がありそうなお客にはうちを紹介してくれるよ」と、ロージーさんは話す。</p>
<p>　ロージーさんによれば、近年、安価なサロンでも質の高いサービスが求められる傾向が強まっているという。客はできるだけお金をかけずに、一流のサービスを受けることを望んでおり、その期待に応えられないサロンは、たちまち他店に客を奪われてしまうのだ。</p>
<p>　フリーランスで美容師をしているエスター・オモサさんも、サロンの価格競争の過酷さについて、身をもって感じている一人だ。彼女は約５年にわたり自分のサロンを経営していたが、経営難に陥り、2021年に閉店を余儀なくされた。</p>
<p>　「できる限り長く続けようとあらゆる手を尽くしましたが、救いようのない状況もあります」と、エスターさんは当時を振り返る。</p>
<p>　サロンを閉めた後、彼女はフリーランスで美容サービスを提供している。もともと腕が良いこともあり、あちこちのサロンから声がかかるうえ、個人客の自宅に呼ばれてヘアメイクをすることもしばしばあるという。家賃などのコストを考える必要がなく、サービス料をそのまま利益として受け取ることができるうえ、次から次に予約が入るため、毎日がとても忙しく、充実していると話す。「店を閉めたのは最高の決断でした」と、エスターさんは笑顔で言い切った。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>美容サロンの枠を超えた高級店も</strong></span></p>
<p>　ナイロビではここ10年ほどの間に、富裕層が多く住む地域にサロンが次々と立ち上げられた。外国人駐在員が多い地区に３つの店舗を展開するシーア・サロンも、その一つだ。カリオバンギにある低価格のサロンと違い、店内は終始、落ち着いた雰囲気で、客やスタイリストがひしめき合うことはないうえ、ヘアセットやネイルサービス以外にも、全身のトリートメントを受けられるコースや、さまざまな機器を使って脂肪燃焼を促すコースなど、独自のケアやサービスが用意されている。</p>
<p>　「シーア・サロンが一流である理由は、顧客のニーズや要望に合わせたサービスを心がけているからです」と、アシスタント・マネージャーのエリック・キニュアさんは言う。</p>

<div id="attachment_13298" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/5e4896966c9944fcf00890f4502605bf.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13298" class="wp-image-13298" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/5e4896966c9944fcf00890f4502605bf.jpg" alt="" width="400" height="325" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/5e4896966c9944fcf00890f4502605bf.jpg 340w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/5e4896966c9944fcf00890f4502605bf-300x244.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-13298" class="wp-caption-text">シーア・サロンの店内。鏡に正対する席に以外に、写真のようなカジュアルな席も用意されている（筆者撮影）</p></div>

<p>　このようなサロンでは、通常、飛び込みのお客を受け入れることはなく、事前予約制で厳密に対応している。稀に、リピーターが飛び込みで来店しても、シーア・サロンでは断っているという。ジャッキーさんのお店にあるような気軽さや融通が利くサービスは、ここにはない。</p>
<p>　料金は店舗によって違うが、例えば足のペディキュアはサービス料込みで7000シリング（約7000円）、手のネイルは3000シリング（約3000円）と、ケニアの庶民にとってはかなり高い価格設定だ。</p>
<p>　「料金設定の詳細については説明を避けたいのですが、お客様は私たちのサービスの質を高く評価してくださっているので、私たちのサービスは一人一人のお客様のニーズにお応えしたサービスの提供に努めています。料金はもちろん、私たちのサロンご提供するものはすべて、質の高いサービスを受けることに喜んでお金を払ってくださるお客様のためのものなのです」と、エリックさんは話す。</p>
<p>　一方、外国人向けのラプンツェル・ヘア・アフェアは、「自然派ヘアサロン」を打ち出し、自然な髪のケアをサポートしている。同サロンのスーパーバイザー、マーク・オティエノさんは、店のコンセプトに自信を見せる。</p>
<p>　「髪の毛に不自然なことをしているお客様が多い今こそ、私たちは自然な育毛をお勧めしています。当店ではお客様に最高のサービスしかご提供しないように心がけており、シャンプーなどもロレアルのミザニやオラプレックスといったブランド製品を使っているほか、地毛の成長に合わせて使用できる独自の製品も開発し、発売しています。その分、お値段は張りますが、お客様はそのことをご理解くださっていますし、素晴らしい結果が得られるので、喜んで支払ってくださいます。win-winの関係ですね」</p>

<div id="attachment_13299" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13299" class="wp-image-13299" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269.jpg" alt="" width="400" height="392" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269.jpg 605w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269-300x294.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269-60x60.jpg 60w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-13299" class="wp-caption-text">ラプンツェル・ヘア・アフェアでは、独創的なヘアセットも人気だ ©Rapunzel Hair Affair.</p></div>

<p>　ケニアで有名な高級サロンといえば、フォイナ・ビューティーも見逃せない。同サロンは10年以上の歴史があり、今やケニアで最も有名な高級サロンの一つだ。マネージャーを務めるジョイ・ムワンギさんは、フォイナ・ビューティーがケニアの美容業界にいかに貢献してきたかについて、こう語る。</p>
<p>　「お客様は、私たちのサービスの質の高さを知っています。数年前までネイルはあまり人気がありませんでしたが、最近では、お洒落に敏感なケニア人女性たちはネイルのために何千ドルものお金を使うようになりました。ケニアでここまでネイル文化が普及した背景には、私たちのような高級サロンが新しい流行を発信してきたことが大きく貢献しているのです」</p>

<div id="attachment_13300" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-13300" class="wp-image-13300" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73.jpg" alt="" width="400" height="275" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73.jpg 575w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/08/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73-300x207.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-13300" class="wp-caption-text">ケニアで最高レベルのネイル施術を行うフォイナのインスタグラム。自らがケニア美容業界に貢献してきた自負がある©Phoina Beauty</p></div>

<p>　フォイナ・ビューティーの勢いは増すばかりで、美容師の専門学校の経営や、美容商品の開発にも乗り出しており、単なる美容サロンを超えた存在になっている。</p>
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		<title>デジタル決済が変えるケニアのインフォーマルビジネス</title>
		<link>https://dotworld.press/kenya_digital_settlements_change_informal_business/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 04 Apr 2023 00:46:18 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ケニア]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[長谷川将士]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://dotworld.press/?p=12593</guid>

					<description><![CDATA[<p>　新型コロナウィルスによって人々の生活は一変した。世界中で行動制限が課され、経済活動ではリモートワークの普及や物流網の再構築が進んだ。対面の営業活動が忌避され、経済活動自体の縮小も見られたが、それを逆手に取ったビジネスも [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　新型コロナウィルスによって人々の生活は一変した。世界中で行動制限が課され、経済活動ではリモートワークの普及や物流網の再構築が進んだ。対面の営業活動が忌避され、経済活動自体の縮小も見られたが、それを逆手に取ったビジネスも誕生している。金融業では、非接触による感染防止という特徴を前面に売り出したモバイルマネーなどのデジタル決済が急拡大している。国際通貨基金（IMF）が2022年に発表した「金融アクセス調査」（The Financial Access Survey 2022）によれば、アジアやアフリカでモバイルマネーの現金化や預金を扱うエージェントは、2019年に10万人あたり450店だったのが、2022年には880店へと倍増した。現金払いが主流だった市場での売買や日雇い労働でデジタル決済が進んだことは、コロナ禍による新たな現象だと言える。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>官民挙げてキャンペーンを展開</strong></span></p>
<p>　生活に根付き、サービスの拡充が進むモバイルマネー。特に、低中所得国を中心に普及が進んでいるが、中でも特徴的なのがケニアだ。ケニアはもともとコロナ禍以前から世界第二のモバイルマネー大国だったが、現在はさらに普及が進み、ケニア通信庁による報告によれば、21年９月には71.0％だったモバイルマネー普及率は、22年９月には75.7％と、一年間で4.7％も上昇している。政府が感染防止のためにモバイルマネーを推奨し、銀行などの金融機関が手数料を無料にするといったキャンペーンを展開したことがその背景にあるが、人々が生活の中でモバイルマネーやデジタル決済の利点を再認識したことも大きい。</p>
<p>　特に注目されるのが、中小企業や個人事業主が営むインフォーマルビジネスにおけるデジタル化だ。シングルマザーのマーシー・ギショゲさんは、６年にわたり屋台でソーセージやサモサ（肉や野菜で作った餡を小麦粉で揚げたもの）、チャパティ（薄く伸ばした小麦粉を油で焼いたもの）などを売りながら二児を育ててきた。<br>
　「ケニアでコロナ患者が確認された当初、人々は感染を恐れて、屋台で物を買ったり現金を手渡したりすることを避けたため、売り上げも一気に悪化しました。その状況はケニア政府が介入してモバイルマネーの支払いを推奨するようになるまで変わりませんでした」</p>

<div id="attachment_12594" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/338344181_1251096632509170_8118056036316438844_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-12594" class="wp-image-12594" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/338344181_1251096632509170_8118056036316438844_n.jpg" alt="" width="400" height="294" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/338344181_1251096632509170_8118056036316438844_n.jpg 624w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/338344181_1251096632509170_8118056036316438844_n-300x221.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-12594" class="wp-caption-text">６年にわたり屋台でビジネスを営むマーシー・ギショゲさん（筆者提供）</p></div>

<p>　感染拡大が始まった当時は、「現金にウィルスが付着して、コロナに感染する」という噂がケニアで広まっていた。噂の真偽は定かではなかったが、実際、人々は対面接触や現金による売り買いを恐れるようになったため、デジタル決済を導入していなかった露天商のマーシーさんは、大きな影響を受けた。</p>
<p>　「当時はさまざまな困難がありました。たとえば、商品を返品する人も多かったですね。しかし、モバイルマネーを導入して現金の受け渡しがなくなるにつれ、お客さんも安心してくれて売り上げも次第に回復しました」</p>
<p>　露天商の間でデジタル決済がそれまでさほど普及していなかった理由は、割高な手数料が原因だった。しかし、サービス事業各社が積極的に手数料の無料キャンペーンを打ち出したことによって徐々に露天商が導入を始め、その利点が認知されてからは一気に利用者が増えたという。</p>
<p>　「零細ビジネスでもデジタル決済が使えるということを知り、飛びつくように導入を決めました。払い戻しができない仕組みも整ったうえ、貯金もできるようになり、毎日の売り上げも管理できるようになりました。記録を残すことでローンの借入可能額も増えるため、商売がやりやすくなり規模も拡大できました」とマーシーさんは振り返る。</p>
<p>　彼女が利用したのは、ケニア最大のモバイルマネー事業社であるサファリコムが提供している「M-Shwari」というシステムだ。デジタル口座で入出金を管理し、その実績に基づきローン借入額を増やすこともできる仕組みだ。また、銀行と同様に、預入金額に応じて利子も入るため、まだ銀行口座を持っていない人々が多いケニアではお得なサービスだと言える。</p>
<p>　コロナ禍で多くのビジネスが停滞した中、このサービスのおかげでビジネスの拡大に成功したマーシーさんは、「新たに従業員も一人雇うことができ、ケニアの雇用創出に貢献している」と、誇らしげに話した。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>当初は手数料を忌避する声も</strong></span></p>
<p>　ジェラルド・ムワンギさんは、大学を卒業して職探しに奔走したが、上手くいかず、９年間にわたりバイクタクシーを営んでいる。後ろに客を乗せ、二人乗りで目的地まで運ぶバイクタクシーは、ナイロビの都市風景の一部にもなっている。</p>
<p>　「ウーバーやボルトなどのプラットフォーム型の配車アプリがケニアに参入した時、俺はその傘下に入りたくないと思ったんだ。手数料が高すぎて手取りが減ってしまうので、お客と直接やりとりして現金を受け取る方がいいと考えたからね」</p>

<div id="attachment_12595" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/337742087_735432424727832_7538898800505191358_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-12595" class="wp-image-12595" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/337742087_735432424727832_7538898800505191358_n.jpg" alt="" width="400" height="222" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/337742087_735432424727832_7538898800505191358_n.jpg 624w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/337742087_735432424727832_7538898800505191358_n-300x167.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-12595" class="wp-caption-text">デジタル決済の導入を機に自分のお店を持つことができたジェラルド・ムワンギさん（筆者提供）</p></div>

<p>　ナイロビでは近年、街行く人々のほとんどがスマートフォンを持っており、ウーバーやボルトをインストールしている人も多い。特にタクシーやバイクタクシードライバーにとって、客待ちの時間を短縮して手軽にマッチングが行えるこれらのサービスのメリットは大きく、急速に普及が進んでいる。しかし、中には彼のように手数料を嫌い、かたくなにアプリをインストールしようとしないドライバーも、一定数いる。</p>
<p>　「友達からは、早く使ってみたらどうかって何度も説得されたさ。でも、どうしても気が進まなくてね。気持ちが変わったのは、コロナ禍がきっかけだった。移動が制限されて、稼ぎ時の時間に人々が家から出て来ない中で、唯一、稼働していたサービスが、ウーバーやボルト、そして（アフリカ版のアマゾンと呼ばれる）ジュミアなどのフードデリバリーだった。数少ないバイクタクシー利用客も配車アプリからドライバーを呼ぶようになったのを見て、自分も生き残るためにこうしたサービスを利用せざるを得なくなったというわけさ」</p>
<p>　こうして、やむなくウーバーとボルトを使うことにしたジェラルドさんだったが、利用にあたっては、東アフリカ最大の銀行、エクイティバンクのデジタル決済サービスの導入が必要だった。彼は「これが人生最大の転機だった」と振り返る。これによって、貯金だけなくローンの借り入れが可能になり、パソコン部品の小売業を始めることができたためだ。コロナ禍を機にしぶしぶデジタル決済を導入した一人のタクシードライバーが店舗オーナーになってしまったというのは驚きだが、まさに「死中に活あり」ということわざを体現したストーリーだと言えよう。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>ローンの借り入れでしのいだ生活</strong></span></p>
<p>　ジョイス・ロングゥさんは、ケニアで二番目に大きなマザレ・スラムで３年間、八百屋を営んでいる。二児を育てるシングルマザーで、毎日、どれだけ売り上げがあるかが子どもたちにご飯を食べさせてあげられるかどうかに直結している。そんな彼女がモバイル決済を使い始めたきっかけも、コロナ禍によって客がそう望んだからだった。</p>
<p>　「コロナ禍のために一時は店を閉めようかとも思いました。スラムの住民の多くは、他の地域に行き、洗濯や清掃、工事現場や工場などで日雇い労働をして現金収入を得ることによってなんとか暮らしていたのですが、移動が制限され生計手段を失ったため、誰も野菜を買わなくなったのです」</p>

<div id="attachment_12596" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/337042969_1336981790366891_3299770495976977766_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-12596" class="wp-image-12596" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/337042969_1336981790366891_3299770495976977766_n.jpg" alt="" width="400" height="267" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/337042969_1336981790366891_3299770495976977766_n.jpg 624w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2023/04/337042969_1336981790366891_3299770495976977766_n-300x200.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-12596" class="wp-caption-text">コロナ禍でも店を守り抜いたジョイスさん。売れ行きは回復したと話す（筆者提供）</p></div>

<p>　コロナ禍による外出制限や、ソーシャルディスタンスなどの理由から、スラムの住民たちは、日雇いの仕事の機会が激減し、目に見えて収入が減った。<a href="https://www.worldbank.org/en/country/kenya/brief/monitoring-covid-19-impact-on-households-and-firms-in-kenya">コロナ禍の影響が深刻だった2020年５月から2022年６月にかけて世界銀行が行った調査</a>によると、収入が軒並み減少したことに加え、<a href="https://documents.worldbank.org/en/publication/documents-reports/documentdetail/384651613652984513/socio-economic-impacts-of-covid-19-in-kenya-results-update">食費を切り詰めたことによる健康状態の悪化</a>も確認されている。ウガリ（トウモロコシを練った主食）の粉すら買えない状況下では、ジョイスさんが扱っているような野菜の購入は、一層、難しい。</p>
<p>　ジョイスさんは、「そんな時、かすかな希望となったのが、フリーザ（編集部注：サファリコム社が提供するデジタル決済およびローンサービス）でした」と、振り返る。「フリーザのおかげで、手元に十分なお金がない厳しい時期にもローンで商品を購入し、子どもたちにご飯を食べさせることができ、生き抜くことができました。フリーザにはとても感謝しています。このようなサービスがない国ではどうなっていたのか、想像するだけで胸が痛みます」</p>
<p>　世界第二位のモバイルマネー大国と言われるケニアでは、日々、さまざまなデジタル決済とローンのサービスが開発されている。安易なローンの利用によって生活が破綻する人もケニア人も少なくないが、彼女のケースはコロナ禍を生き抜く術としてうまく活用できた例だと言えよう。</p>
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		<title>ケニアで深刻化する若者の投票率低下</title>
		<link>https://dotworld.press/kenya_declining_youth_voter_turnout/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 08 Aug 2022 01:00:32 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ケニア]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[長谷川将士]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://dotworld.press/?p=11722</guid>

					<description><![CDATA[<p>　日本で「若者の政治離れ」が叫ばれて久しいが、実は、ケニアでも同様の問題が国内外のメディアで取り上げられていることをご存知だろうか。2019年の統計によれば、同国では35歳以下人口が全体の75.1％、約3570万人を占め [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　日本で「若者の政治離れ」が叫ばれて久しいが、実は、ケニアでも同様の問題が国内外のメディアで取り上げられていることをご存知だろうか。2019年の統計によれば、同国では35歳以下人口が全体の75.1％、約3570万人を占め、有権者層の中で18歳～35歳の人口も49％、約1378万人に上るなど、若者が自らの意思で政治家を選んで社会の変革に参加できる可能性が大きい国だ。にも関わらず、８月９日に迫った総選挙の有権者登録状況を見ると、この年齢層の登録者は約880万人と、有権者全体に占める割合は前回に比べて約５％低下しており、ウフル・ケニヤッタ現大統領の後継者を選ぶ重要な選挙への投票権を放棄している様子がうかがえる。若者が投票をボイコットするのはなぜだろうか。本記事では、さまざまな立場の若者を取材し、その答えを探った。　</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>「この国に民主主義は存在しない」</strong></span></p>
<p>　看護学校に通うスー・ムンビさん（23歳）は、今回、投票をするつもりがない若者の一人だ。彼女は、若者がいくら声を上げても、ケニアで問題として取り上げられることはないと考えている。</p>
<p>　「若者は政治に関与しておらず、政治家は見世物のために存在するだけです。誰が政治を担うかは政治家の間で決まってしまい、投票では決まりません。この国に民主主義は存在しないし、これからも存在することはないのだから、私は自分のことに集中しようと思います」</p>

<div id="attachment_11724" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/290623000_1106517870274216_6162691391134406507_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-11724" class="wp-image-11724" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/290623000_1106517870274216_6162691391134406507_n.jpg" alt="" width="400" height="218" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/290623000_1106517870274216_6162691391134406507_n.jpg 624w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/290623000_1106517870274216_6162691391134406507_n-300x163.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-11724" class="wp-caption-text">投票の無意味さを説くスー・ムンビさん</p></div>

<p>　ケニアで今日のような複数政党制を軸とした民主主義制度が定着した のは、1992年からと歴史が浅い。しかも、その後も汚職や暴力、時には暗殺が横行したため、「見せかけの民主主義」だと糾弾する声もある。実際、選挙は権力者たちによるパワーゲームの様相を呈しており、そこに市民の声が入り込む余地がどれほど存在するか分からないようにも思われる。</p>
<p>　「民意が汲み取られない投票にわざわざ行っても無駄だ」という意識は、多かれ少なかれケニア人が抱いており、スーさんの意見が特異なわけではない。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>不十分な政治教育</strong></span></p>
<p>　一方、「投票は憲法で定められた権利であり、政治において自分の役割を果たすことができる最良の方法の一つであり、今回の選挙も投票に行くつもりだ」と話すのは、デジタル機器の小売や撮影事業を営むファミナ・アリ・オチエンさん（30歳）だ。</p>
<p>　彼は、「ケニアでは、分権化を進めるようになって、政府関連の仕事に従事する若者が増えました。他のアフリカの国と比べても多いのではないかと思います」とした上で、「問題は、こうした若者たちが、仕事にありつけたと同時に、当初の志を忘れてしまうことです」と嘆く。<br>
　「ケニアの政治家の多くは、いまだにニャヨ・システム、すなわち、政治とは強奪することだという考えに従い行動しています。そのため、いったん議席を獲得した若者たちは、支えてくれたコミュニティに貢献したり、還元したりすることはありません」</p>

<div id="attachment_11725" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/296020244_744897816719796_3331451494969442980_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-11725" class="wp-image-11725" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/296020244_744897816719796_3331451494969442980_n.jpg" alt="" width="400" height="225" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/296020244_744897816719796_3331451494969442980_n.jpg 624w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/296020244_744897816719796_3331451494969442980_n-300x169.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-11725" class="wp-caption-text">教育映像の撮影を通じて啓発を行うファミナ・アリ・オチエンさん</p></div>

<p>　ファミナさんは、撮影業の傍ら、若者を啓発するために、政治関連の教育映像を撮影し続けている。ケニアでは、ほぼ全ての若者が初等教育を受けているが、政治に関する教育はまだまだ不十分だと考えているためだ。</p>
<p>　「選挙で汚職は付き物ですが、その原因は貧困や非識字率の高さではありません。誰かが賄賂を渡しているかどうか知る上で、学校教育を受けているかどうかは関係ありません。正しい価値観を育んでこそ、汚職のない、力のある若い世代を育てることができます。政治は、選挙戦中の話題にとどまらず、日々の生活に根差した授業として実践されるべきです。そのためには、若者を継続的に感化することが必要です」</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>果たされない公約、変わらない顔ぶれ</strong></span></p>
<p>　「選挙には行かないわ。これまで10年も20年も同じ公約を繰り返し、一向に実現してこなかった政治家たちの顔ぶれを見ると、投票する意欲がなくなるの。雇用を生み出して若者を育てる教育と、成長を後押しする制度が必要で、NGOや民間セクターはそのためのプログラムを開発しようとしているけれど、政府はまだまだ遅れています」</p>
<p>　こう語るのは、ナイロビにある有名レストランで若くして総料理長を務めるモーリーン・チェベトさん（27歳）だ。彼女は、停滞する政治の現状にうんざりしていると共に、政府が若者の政治参加を望んでいないと感じている。ケニアでは歴史的に民族を基盤とした、年配の有力政治家によって政治が行われてきたためだ。汚職にまみれた政治家たちは、自分たちが権力を握るために、また同じような指導者を選ぶ。その結果、多数派であるはずの若者が政治の片隅に追いやられ、彼らの声が変化に結び付きにくい現状だ。</p>

<div id="attachment_11726" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/290583455_748501263121074_1570731796862193022_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-11726" class="wp-image-11726" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/290583455_748501263121074_1570731796862193022_n.jpg" alt="" width="400" height="226" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/290583455_748501263121074_1570731796862193022_n.jpg 624w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/290583455_748501263121074_1570731796862193022_n-300x169.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-11726" class="wp-caption-text">「政府は責任を果たしていないため、投票に行く気はない」と答えるモーリーン・チェベットさん</p></div>

<p>　「私たちは、国民が高い収入を得られ、政府が芸術とイノベーションを後押ししてくれるような国の姿が見たいのです。若者たちは希望を失っており、今回の選挙で有権者の多くが投票には行かないでしょう。もし、若者を政治参加させたいなら、腐敗した指導者を逮捕したり、県レベルでもっと仕事を作ったり、起業家が働きやすい環境を作ったりすることによって政治家が模範を示し、国を率いるべきではないでしょうか」</p>
<p>　モーリーンさんは、「政府が主要な問題に取り組んでいないのに、なぜ国民が投票しなければならないのでしょうか」という疑問を投げかける。若い政治家もいなくはないが、彼らは年老いたリーダーたちのお飾りに過ぎない。「だからこそ、自分たち若者は、どこで何が一番苦しいかを知っている本物の若者の代表を求めているのです」と話す。もっとも、そのような代表は、これまでのところ現れていない。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>選挙への不信感と、民主主義への信念</strong></span></p>
<p>　「不正にまみれたリーダーたちのせいで、この国の政府はめちゃくちゃだ。だからこそ、問題を解決するために、もちろん投票に行くさ。ただ、多くの若者はすでにこの国のシステムを諦めており、国を変えるために一丸となることはないだろうね。僕だって、いつまでも代わり映えしない候補者の顔ぶれを見ると、この国が変わるなんて信じちゃいないけどね」</p>
<p>　キベラスラムでアーティストをしながら市民団体を運営するモーゼス・ムモ氏（25歳）はこう吐き捨てる。ナイロビ大学を首席で卒業した英才だが、今も生計を立てるのに四苦八苦している。</p>
<p>　「若者は選挙のキャンペーンに　、金を支払われて参加し、時には暴力に巻き込まれる。キベラスラムの住民のほとんどは貧しいから、生きていくために仕方ないんだ。忠誠心などではなく、金のために参加するんだと割り切っている。僕はこうしたキャンペーンには参加しない。注目すべき政治家はいないし、民主主義と正義を信じているから」</p>

<div id="attachment_11727" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/295891526_594466998955842_32543775998492424_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-11727" class="wp-image-11727" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/295891526_594466998955842_32543775998492424_n.jpg" alt="" width="400" height="225" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/295891526_594466998955842_32543775998492424_n.jpg 624w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2022/08/295891526_594466998955842_32543775998492424_n-300x169.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-11727" class="wp-caption-text">選挙に対する不信を顕わにしながらも「民主主義を信じている」と話すモーゼス・ムモさん</p></div>

<p>　ムモさんの地元選挙区では、選出議員が資金を横領したことで区役所が閉鎖されたため、行政サービスを受けようとすると、別の区役所まで行かなければならない状況だ。住民が強欲な政治家によってとばっちりを受けた形だが、こうした理不尽はケニアでは枚挙に暇がないという。</p>
<p>　ムモさんは、有権者に対する教育が正しく行われれば、なぜ投票しなければならないのか、どのような指導者に投票すればよいのか理解できるはずだと信じている。しかし、状況が変わるまでどのくらいの時間を要するか、誰もその答えを持っていない。</p>
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		<title>アフリカに輸入される中古電子製品の光と影</title>
		<link>https://dotworld.press/kenya_waste_electrical_and_electronic_equipment/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 26 Dec 2021 15:44:14 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[YUKO SHEM OKOTH]]></category>
		<category><![CDATA[ケニア]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　いまや、アフリカでも首都なら最新の電化製品を簡単に入手できる。大型ショッピングセンターに行けばビジネスマンが最新のiPhoneを使いこなしているし、有名どころのスタートアップ企業には、カスタマイズしたコンピューターを駆 [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　いまや、アフリカでも首都なら最新の電化製品を簡単に入手できる。大型ショッピングセンターに行けばビジネスマンが最新のiPhoneを使いこなしているし、有名どころのスタートアップ企業には、カスタマイズしたコンピューターを駆使するエンジニアもいる。その一方で、庶民はもっぱら先進国から輸入される手ごろな価格の中古製品に頼ることが多く、ダウンタウンを歩けばまだまだ現役で使える型落ち製品の数々が陳列されている。こうした中古製品は需要があり、ヨーロッパ諸国やアメリカからアフリカ各地へと大量に輸入されているが、近年は不十分な処理体制や法規制による弊害が懸念されている。</p>

<div id="attachment_10389" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/269615737_600924684524219_3139024630678201543_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-10389" class="wp-image-10389" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/269615737_600924684524219_3139024630678201543_n.jpg" alt="" width="400" height="244" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/269615737_600924684524219_3139024630678201543_n.jpg 1430w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/269615737_600924684524219_3139024630678201543_n-300x183.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/269615737_600924684524219_3139024630678201543_n-1024x624.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/269615737_600924684524219_3139024630678201543_n-768x468.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-10389" class="wp-caption-text">同社廃棄物センターの溶接場の様子（筆者撮影）</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>深刻化する電気電子機器廃棄物の弊害</strong></span></p>
<p>　中古家電や電話機などの廃棄物が問題視されたのは、有害物質が含まれる電気製品を途上国向けに輸出することによる環境悪化が注目されるようになった1970年代から1980年代にかけてのことだ。こうした電気電子機器廃棄物（Waste Electrical and Electronic Equipment：WEEE）は、技術発展の速度と比例するように世界中にあふれ出し、その後、データ通信産業で起こった急速な「情報革命」が状況に拍車をかけることとなった。</p>
<p>　WEEEは、環境への悪影響もさることながら、人体への健康被害が懸念されている。製造元の先進国では、回収や処理に関する設備や規制が法令によって比較的整えられている一方、輸入元である途上国では未整備な場合が多い。インフォーマルセクターに従事する住民が生計を立てるために身の危険も顧みずゴミ山に分け入り、WEEEを回収して健康を害するケースも少なくない。こうした中古製品は、需要が高いからこそ輸入が増える一方で、無造作に投棄されて環境と人々の健康を害するという悪循環は根強く、断ち切ることは容易ではない。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>コンピュータースクールから始まった挑戦</strong></span></p>
<p>　喫緊の対応が迫られるWEEE問題だが、中にはリスクの深刻さを認識し、状況を変えようと立ち上がる者も現れ始めている。ケニアで子どもたちに無料でパソコンを配布するNGOを運営しているボニー・ムビチ氏も、その一人だ。</p>

<div id="attachment_10390" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/264540725_299401451959160_6701004231281383671_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-10390" class="wp-image-10390" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/264540725_299401451959160_6701004231281383671_n.jpg" alt="" width="400" height="267" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/264540725_299401451959160_6701004231281383671_n.jpg 1430w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/264540725_299401451959160_6701004231281383671_n-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/264540725_299401451959160_6701004231281383671_n-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/264540725_299401451959160_6701004231281383671_n-768x512.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-10390" class="wp-caption-text">NGO代表と廃棄物管理会社CEOを務めるトニー・ムビチ氏（筆者撮影）</p></div>

<p>　ムビチ氏は2002年に「コンピュータースクール・フォー・ケニア」という非営利団体を立ち上げ、学校に新品のパソコンを配布する活動を始めたが、新たな廃棄物問題が発生していることに気づいたという。<br>
　「数年前に配布したコンピューターが使われなくなって学校の片隅に積み上げられていたのですが、処理方法を誰も知らなかったのです」</p>
<p>　そうした状況を目の当たりにしたムビチ氏は、廃棄物管理分野の新たなビジネスに取り組むことを決意し、電気・電子廃棄物センターを設立。社員をヨーロッパに派遣して研修を受けさせ、コンピューターやバッテリー、テレビなど、廃棄物の種類に応じた管理方法とリサイクルについて学ばせた後、古いコンピューターを回収して新しいコンピューターに交換する事業を開始した。また、リサイクル施設の運営にはいくつかの許可も必要だったため、センターとは別会社も設立したという。</p>
<p>　廃棄物センターは、省庁をはじめ、学校や病院、施設などを対象に、廃棄物の種類に応じた管理サービスを提供している。さらに、テレビやラジオ、ソーシャルメディアを通じて廃棄物を適切に処理する必要性について企業などに呼びかけながら、各家庭から廃棄される不要な電気・電子製品を回収している。中古の家電を扱うNGOと環境コンサルタントをミックスしたような業態を取りつつ、環境問題に正面から取り組んでいるのだ。</p>

<div id="attachment_10391" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/266860149_4798469020198675_7496335100118407640_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-10391" class="wp-image-10391" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/266860149_4798469020198675_7496335100118407640_n.jpg" alt="" width="400" height="293" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/266860149_4798469020198675_7496335100118407640_n.jpg 1430w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/266860149_4798469020198675_7496335100118407640_n-300x220.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/266860149_4798469020198675_7496335100118407640_n-1024x750.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/266860149_4798469020198675_7496335100118407640_n-768x563.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-10391" class="wp-caption-text">廃棄物センターの検査所で製品の状態を確認するスタッフ（筆者撮影）</p></div>

<p>　「創業から20年近くが経った今、取り引き先はアフリカ15カ国、約8000社に広がり、これまでに回収したWEEEは総計１万トン以上になります。私たちが提供する価値は、このビジネスを通じて環境を安全なものにし、収益を上げつつ雇用を生み出すことです。当社は各国の地域コミュニティーや若者たち、特にインフォーマルセクターの人々1000人以上に廃棄物の適切な回収方法を教え、専門回収員として雇用しています。回収したコンピューターは、修理して無償でケニア国内の学校に寄付しています」</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>顧客からパートナーへ</strong></span></p>
<p>　また、同センターは、仏系チェーンスーパーのカルフール店内に回収ボックスを置いたり、石油企業シェルの支援を受けてソーラーパネルの回収やリサイクルを展開したりと、省庁や大企業との連携プロジェクトも次々と立ち上げている。</p>

<div id="attachment_10392" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-10392" class="wp-image-10392" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429.jpg" alt="" width="400" height="250" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429.jpg 353w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-300x188.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-10392" class="wp-caption-text">カルフール店内に設置されたWEEEの回収ボックス©WEEE CENTRE</p></div>

<p>　同社は、廃棄を依頼する企業や法人から料金を徴収する一方、個人には請求していない。廃棄物の適切な処理に関する知識を普及したいという目的があるためだ。CEOのボニー氏は、「私たちは、循環型経済を促進する環境に優しい企業として、回収した部品は可能な限り再利用しています。廃棄物という“原材料”に付加価値をつけ、地元企業で使えるものは地元企業に、グローバル企業で使えるものはグローバル企業に提供することで利益を得ているのです」と話す。</p>
<p>　驚くべきことに、同社のサポーター企業には、サファリコムやオラクル、いすゞをはじめ、世界の名だたるハイテク企業が名を連ねている。<br>
「彼らはまず、われわれと取り引きし、顧客として取り組みを見てくれた後で、助成金やパートナー提携などの形で支援してくれるようになりました」</p>
<p>　そんな同社が廃棄物を再利用するプロセスを説明してくれたのは、運営責任者のウォルター・バロンゴ氏だ。</p>
<p>　バロンゴ氏は、「持ち込まれた機器はセンターで計量した後、すべての部品をテストしますが、テストエリアで不合格となった部品は解体場に送られます。解体された部品には、プラスチック、鉄、バッテリーといったラベルが貼られ、その後、リサイクル業者に売却されるため、無駄になるものはありません」と、話す。<br>
　同氏によれば、地元で管理できない分は、通常、ヨーロッパに輸出しているほか、マザーボードから部品を取り出すことができるパートナー会社もあるという。また、破壊したマザーボードを利用してアート作品を制作したり、ガラス素材を粉砕して再販したりする企業もある。同社にはバッテリーの検証マシンがあるため、特性や放電レベル、充電レベルをチェックし、レベルに応じて分離し、新しいバッテリーを作るために使用している。モットーは、「できるだけ余すところなく」だ。</p>

<div id="attachment_10393" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/265242633_2523936904406332_422866993631592689_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-10393" class="wp-image-10393" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/265242633_2523936904406332_422866993631592689_n.jpg" alt="" width="400" height="343" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/265242633_2523936904406332_422866993631592689_n.jpg 1430w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/265242633_2523936904406332_422866993631592689_n-300x258.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/265242633_2523936904406332_422866993631592689_n-1024x879.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/12/265242633_2523936904406332_422866993631592689_n-768x660.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-10393" class="wp-caption-text">センターで運営責任者を務めるウォルター・バロンゴ氏（筆者撮影）</p></div>

<p>　最近は、新型コロナウィルスの影響で、多くの企業に逆風が吹いた。そうした中、同社の活動は注目を集め始めており、今年2021年は、社会企業分野で世界の開発課題に取り組む企業を支援するサンカルプ循環経済賞を受賞した。</p>
<p>　そんな、ボニー氏は、逆境の中でも、未来へ向けたビジョンを描いているようだ。<br>
　「当社は、新型コロナの感染拡大を考慮し、各従業員の距離を空けるためにオフィスを増設しました。それでも顧客の中には倒産したところもあるし、電子機器の廃棄物自体が顧客の間で優先度の低いものとなりました」「だからこそ、私たちにとっては同じ価値観を持つ人たちとパートナーを組むことが大切です」と話す。</p>
<p>　さらに「私たちがこれまで成功してきたのは、パートナーシップがあったためです」と、振り返る。</p>
<p>　「私たちは、ビジョンを共有する人や企業からのパートナーシップに対し、常に門戸を開いています。私たちはアフリカ最大のWEEEの管理会社として、癌などの病気から身を守り、環境汚染を防ぐために支援しています。ケニアでは、廃棄物の安全な処理に関する意識がいまだ十分ではなく、廃棄物の管理に携わる関係者を規制する法律もないため、廃棄物を手放すことに慣れておらず、ほとんどの人々が自分の責任ではないと考えている、という文化の問題もあります。当社は人々の意識改善を通じてこの問題を解決するために、学校でWEEE管理のカリキュラムを導入することを推進しています」</p>
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		<title>ケニア社会に残る結婚持参金と交渉人</title>
		<link>https://dotworld.press/kenya_marriage_dowry/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 20 Oct 2021 08:02:51 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[YUKO SHEM OKOTH]]></category>
		<category><![CDATA[ケニア]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>人生で最も重要なイベントの一つである結婚。しかし、結婚には、幸せの象徴としての側面だけではなく、とてつもない苦労を乗り越えて達成される難行という側面があるのも事実だ。個人主義が浸透し、家族や親族のしがらみがない社会であれ [&#8230;]</p>
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]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>人生で最も重要なイベントの一つである結婚。しかし、結婚には、幸せの象徴としての側面だけではなく、とてつもない苦労を乗り越えて達成される難行という側面があるのも事実だ。個人主義が浸透し、家族や親族のしがらみがない社会であれば、役所手続きを済ませるだけでスムーズに終えられる場合もあるが、親類や地域コミュニティーとの付き合いが深い社会であればあるほど、配慮しなければならないことが山積みだ。ケニアの場合、結婚を考える男性は必ずと言っていいほど持参金をどう工面するかという問題に頭を悩ませる。</p>

<div id="attachment_10077" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/pexels-git-stephen-gitau-1801263.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-10077" class="wp-image-10077" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/pexels-git-stephen-gitau-1801263.jpg" alt="" width="400" height="266" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/pexels-git-stephen-gitau-1801263.jpg 640w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/pexels-git-stephen-gitau-1801263-300x200.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-10077" class="wp-caption-text">ケニアでは結婚の際に持参金の交渉人が重要な役割を担う(c) Git Stephen Gitau / Pexels</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>現金や不動産、家畜の場合も</strong></span></p>
<p>　結婚持参金という制度は古代ギリシア時代より存在しているが、嫁側が払うか、婿側が払うかは、それぞれの社会のルールによって異なる。アフリカ諸国の場合、女性が重要な労働力とみられることから、持参金は婿側が支払うと定められているコミュニティーが多い。ケニアを語る際、日本人の女子大生が旅先で出会ったケニア人（多くの場合マサイ人）から「牛を何頭贈るから結婚してほしい」という言葉で求婚されたというエピソードを聞いたことがある読者も多いだろう。実際、ケニアでは、結婚持参金は現金か、たまに土地などの不動産で支払われることが多い。</p>
<p>　牧畜民族の場合は、家畜が唯一無二の婚資と位置付けられている。彼らにとって、家畜は重要な資産であると同時に、お金に換えられない名誉や誇りといった意味がある。たとえば、トゥルカナ人をはじめ、一部の民族では、一千頭を超える牛を個別識別することができたり、牛に詩を贈る習慣があったりするなど、彼らの人生のライフイベントには常に牛が寄り添う。そのため、心を込めて育てた牛を相手に贈るということは、大げさに言えば、自らの魂を相手に捧げることに近い意味合いを持っているのだ。</p>
<p>　しかし、この持参金を決める交渉は、必ずと言っていいほど難航する。金額の相場は一応あるものの、結局は話し合いの中で両家が合意にいたるかどうかという可変的なものであるためだ。花嫁の家族から要求された額に不満を抱き、いつになれば結婚を許してもらえるのかと悩むケニア人男性は数えきれない。もちろん彼らも大切な花嫁のために十分な金額を用意したいのはやまやまだが、財布の中身は心許ない。近年、都市部を中心に、ケニアでも裁判所の手続きだけで結婚を済ませる若者層が現れつつあるものの、持参金の重要性は、今も変わらず多くの民族社会で残っている。</p>
<p>　結婚がドラマチックで幸せな理想ではなく、現実にある儀式の一つに過ぎないと考えるなら、持参金について腹を割って本音で語り合いつつ、どこかで両者が合意できる着地点を見出さなければならない。そんな時に登場するのが、持参金を調整するための交渉人たちである。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>名うてのベテランはかく語りき</strong></span></p>
<p>　結婚持参金の交渉人は、その名の通り、持参金を値下げするために雇われる人を指す。交渉人たちは、手練手管を駆使し、両家を納得させつつ持参金を値切る。ウィリアム・カボゴロは名うての交渉人として長年活躍をしており、今ではケニア西部にあるブンゴマ県で知らぬものはいないほどだという。</p>
<p>　「人徳があり、人々から尊敬されている年配の人間にとって、持参金の交渉を任されることは名誉であり、期待以上の成果を出すべきだと考えています。もしも貴方が一人で持参金の話し合いに行き、新婦側のおじさんという人の口車に乗ってお金を巻き上げられたり、未来の妻を失うことになったりしては、たまったものではないでしょう。だからこそ、私たちのような交渉人がいるのです」</p>

<div id="attachment_10076" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244520223_2971147813127883_8462576377671386347_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-10076" class="wp-image-10076" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244520223_2971147813127883_8462576377671386347_n.jpg" alt="" width="400" height="372" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244520223_2971147813127883_8462576377671386347_n.jpg 609w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244520223_2971147813127883_8462576377671386347_n-300x279.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-10076" class="wp-caption-text">持参金交渉について語るウィリアム氏（筆者撮影）</p></div>

<p>　ウィリアム氏によれば、持参金の交渉では、30万ケニアシリング（約30万円）相当の現金を求められることもあれば、１頭２万5000ケニアシリング（250ドル）の牛を15頭要求されることもあるという。首都のナイロビでも月給２万シリングの定職に就ければ「御の字」だという状況からすれば、持参金のハードルは高い。ウィリアム氏は持参金の交渉は、金額だけの問題ではなく、カップルが今後、共に家庭を築いていきたいと願っていることを思い出させる機会だと表現する。<br>
　「時には、新郎側と新婦側の意見が大きく食い違っている場合もあります。そんな時は、状況が悪化する前に事態を収拾することが大切です。その見返りとして、新郎の家族のためになんとか減額してもらった金額の10％をいただいています。その方が、交渉のモチベーションになるからです」<br>
　「例えば、花嫁の“値段”として、最初、20万シリング（約20万円）の持参金を要求された時、私が10万シリングまで交渉すれば、10万シリングの値引きを実現したことになります。その場合、私は報酬として総額の10％に相当する１万シリングを受け取ります」</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>新婦側の親族を擁護する役割も</strong></span></p>
<p>　デイビッド・オスウェゴ氏も持参金の交渉人として、10年以上のキャリアがある。彼は、ケニア西部のホマベイ郡では特に名が知られた存在で、この地域の若者は、皆、自分の叔父よりもデイビッド氏にそばにいてもらいたいと願うという。ただし、彼は「腕が良すぎるのも考えものだ」と言い、こう続ける。<br>
　「俺は、常にいい仕事をしてきたよ。今まで、仕事ぶりに文句をつけられることはなかったさ」<br>
　「特に、隣村や遠くの村の人間と結婚するケースの交渉を引き受けるようにしているよ。というのも、地元じゃ名前が知られすぎて、交渉の場に入らせてもらえなくなったんだ。いつも5000シリング（約5000円）、あるいは依頼主が払える分で仕事を受ける。持参金なんて、相場があってないようなものだからね」<br>
　彼らのようなプロを相手に、花嫁側の親族も自分たちが妥当だと考える金額に近づけようと、あの手この手で交渉に臨む。<br>
　デイビッド氏によれば、花嫁の父親の中には「娘を育てるためにかかった教育費を負担してほしい」と言う者も多いという。確かに、　「これまで汗水働いてお金をかけたおかげでこんなに素敵なお嫁さんに育ったのだから、新郎側にもこれまでの苦労を分かち合ってほしい」という理屈は、それなりに説得力があるように思われる。そんな時、デイビッド氏は花嫁側の親族たちの主張を受け入れ、新郎側にいくばくかのお金を出すよう提案することにしている。そうすることで、結果的に結婚時のわだかまりをなくし、交渉も早く終わるという。お金を渡すべきところではためらうことなくそうするのも、円滑な交渉術の一つだ。</p>

<div id="attachment_10078" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244687517_243152917761287_2593307634908032385_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-10078" class="wp-image-10078" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244687517_243152917761287_2593307634908032385_n.jpg" alt="" width="400" height="397" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244687517_243152917761287_2593307634908032385_n.jpg 606w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244687517_243152917761287_2593307634908032385_n-300x298.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244687517_243152917761287_2593307634908032385_n-150x150.jpg 150w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244687517_243152917761287_2593307634908032385_n-60x60.jpg 60w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244687517_243152917761287_2593307634908032385_n-120x120.jpg 120w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-10078" class="wp-caption-text">交渉の際の工夫について説明するデイビッド氏（筆者撮影）</p></div>

<p>　持参金の習慣がある地域で交渉人をしていると聞けば、ほとんどの場合、新郎側に協力して持参金を減らそうとする男性の交渉人を思い浮かべるだろう。しかし、花嫁側に協力して持参金を上げるために奮闘する女性の交渉人も、少数ながら存在する。ウィニー・ニャボケ氏は、そんな一人だ。<br>
　「私は、女性の価値はもっと高く、持参金も適切な価格が支払われるべきだと信じています。多くの人々の目に私は敵のように映るかもしれませんが、全く気にならないし、それでいいと思っています。手ごろな値段で交渉しますよ」<br>
　ケニアの田舎のように持参金の風習が一般的な民族社会では、交渉人をはじめ、仲介や仲裁役、あるいは村長などの役割を担うのは、多くの場合、年配の男性だ。これは、コミュニティーの中で権力や信頼が集まりやすいのが年配の男性であるためだが、持参金の交渉人が男性しかいないと、女性の立場に立って花嫁の親族を擁護する者がいなくなるからこそ、ウィニー氏のような存在は希少で重要だ。</p>

<div id="attachment_10079" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244775894_2112376952244914_1402508417895206455_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-10079" class="wp-image-10079" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244775894_2112376952244914_1402508417895206455_n.jpg" alt="" width="400" height="288" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244775894_2112376952244914_1402508417895206455_n.jpg 368w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/10/244775894_2112376952244914_1402508417895206455_n-300x216.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-10079" class="wp-caption-text">数少ない女性交渉人のウィニー氏（筆者撮影）</p></div>

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		<title>ケニアの女性が巻き込まれた相続トラブル</title>
		<link>https://dotworld.press/kenya_inheritance_trouble/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 04 Aug 2021 05:00:35 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[YUKO SHEM OKOTH]]></category>
		<category><![CDATA[ケニア]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://dotworld.press/?p=9461</guid>

					<description><![CDATA[<p>　ジェンダー平等に向けた改革が推進され、アフリカ諸国の中では女性の社会参加が比較的進んでいると言われるケニア。その反面、今なお慣習に縛られ、経済的、社会的な権利が踏みにじられている女性たちがいるのも現実だ。 　2009年 [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　ジェンダー平等に向けた改革が推進され、アフリカ諸国の中では女性の社会参加が比較的進んでいると言われるケニア。その反面、今なお慣習に縛られ、経済的、社会的な権利が踏みにじられている女性たちがいるのも現実だ。<br>
　2009年、18歳の時にクリスマス休暇で故郷の村に帰省したネリー・ナブウィレさんは、隣の家に住む恋人の子どもを身ごもったのを機に、学校を退学した。ネリーさんの予想外の妊娠によって実家と恋人の家の関係が悪化したことで、両家から勘当同然の身となったネリーさんは、首都ナイロビのキベラスラムで友人の家を渡り歩く生活を余儀なくされ、その後、女性であるがゆえの不条理に直面することになる。</p>

<div id="attachment_9464" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/joecalih-1Uwcoo-ttjY-unsplash.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-9464" class="wp-image-9464" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/joecalih-1Uwcoo-ttjY-unsplash.jpg" alt="" width="400" height="266" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/joecalih-1Uwcoo-ttjY-unsplash.jpg 640w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/joecalih-1Uwcoo-ttjY-unsplash-300x200.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-9464" class="wp-caption-text">ケニアの首都ナイロビ© Joecalih /Unsplash</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>予期せぬ妊娠から始まった結婚生活</strong></span><br>
　「私たち夫婦は、若くして結婚したこともあり、夫婦になってからはキベラスラムで一緒に暮らす以外に選択肢がありませんでした。夫は工場で日雇い仕事に付き、私はナイロビ市内で外国人が多く住む裕福なキリマニ地区で家事手伝いとして働いていましたがいました。仕事がある時には、良くて日に1500シリング（約1500円）、悪い時は500シリング程度の稼ぎでした」<br>
　ネリーさんはその後、新たに３人の子どもに恵まれ、2018年にようやく結婚の持参金を持参して親類への挨拶回りを終わらせた。寄る辺なくスラムで暮らしていた家族は、伝統的な結婚式を済ませてようやく婚姻関係を認めてもらえたことを受け、夫の実家近くで家を建てることにした。彼らの民族の伝統では、婚姻関係を認めてもらうまでは家を建てることが禁じられていたのだ。<br>
　しかし、家の建設を進めていた矢先に新型コロナが世界中でまん延。ネリーさん一家は収入が断たれ、家計は火の車となった。生活を立て直すためにナイロビから義理の実家の地元に帰ったが、これが今なお続くトラブルの始まりになろうとは予期もしていなかった。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>思いがけない</strong></span><span style="font-size: 18.6667px;"><b>夫殺しの容疑</b></span></p>
<p>　夫の実家に頼ることになったネリーさん一家がまず直面したのが、家族が暮らす住居をいかに確保するかということだった。</p>
<p>　「義父は気乗りしない様子でしたが、夫が頼み込んで土地を少し使わせてもらえることになりました。私は土地の所有権も譲ってほしかったために文句を言いましたが、驚いたことに、夫は気に留めていませんでした。夫と兄弟たちの間で、義理の両親の生前中は土地を与えないということで話がまとまっていたことが後から分かりました」<br>
　使用を認められた土地に家を建てたネリーさんは、その後も粘り強く夫と話い合いを継続。根負けした義父は３人の息子に土地を分割して与えたが、その直後にネリーさんの夫は体調を崩し、2020年11月に亡くなった。すると、それまで決して良好とは言えなかった義実家の家族たちは、ネリーさんが土地を引き継ぎたい一心から、夫（彼らの息子）に毒を盛って殺害したのではないか、と非難し始めたという。</p>

<div id="attachment_9465" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/223803608_4441407415878810_8182124623731620789_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-9465" class="wp-image-9465" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/223803608_4441407415878810_8182124623731620789_n.jpg" alt="" width="400" height="247" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/223803608_4441407415878810_8182124623731620789_n.jpg 1141w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/223803608_4441407415878810_8182124623731620789_n-300x185.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/223803608_4441407415878810_8182124623731620789_n-1024x632.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/223803608_4441407415878810_8182124623731620789_n-768x474.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-9465" class="wp-caption-text">インタビューに応じるネリー・ナブウィレ氏 （ 筆者撮影）</p></div>

<p>　「まるで囚人のような気持ちでした。残された土地でできることも限られており、メイズや野菜を植えることも許されませんでした。さらに、夫の親族が家にやって来て、残された土地の所有権に関する書類を奪おうとしたのです」</p>
<p><span style="font-size: 18.6667px;"><b>高額な裁判費用に泣き寝入り</b></span></p>
<p>　ケニアでは、慣習上、未亡人の相続権を認めていないコミュニティーが多く、夫の実家家から追い出されることがしばしばある。特に、農村部であればあるほど、未亡人や女性が司法に頼る機会は限られ、夫の親族や村長たちが伝統的慣習の中で嫁の人権を無視して差別するケースも珍しくない。</p>
<p>　相続に詳しいジャッキー・ムワンギ弁護士は、「ケニアでは、夫を亡くした妻を夫の実家から追い出したり、残された土地を取り上げたりすることは法的に認められていない」と指摘した上で、「実際には、こうした法律が実行力を持つことは滅多にない」と述べた。ジャッキー氏によれば、ケニアでは高額な裁判費用を支払うことができる女性はほとんどおらず、裁判を起こすこともできないまま、泣き寝入りせざるを得ないケースがほとんどだという。彼女たちは、たとえ法的に認められていても、自らが相続すべきであった土地や家を失ってしまうこともあるという。</p>

<div id="attachment_9466" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/221804433_256823155904614_1834801203658113103_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-9466" class="wp-image-9466" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/221804433_256823155904614_1834801203658113103_n.jpg" alt="" width="400" height="337" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/221804433_256823155904614_1834801203658113103_n.jpg 471w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/08/221804433_256823155904614_1834801203658113103_n-300x253.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-9466" class="wp-caption-text">弁護士のジャッキー・ムワンギ氏 （筆者撮影）</p></div>

<p>　「人及び人民の権利に関するアフリカ憲章」は2018年、死別や離婚時の女性の権利を含む包括的な意味での女性の権利を保障する、通称「マプト議定書」を採択している。しかし、議定書を採択した後も現行の法律が修正されないまま適用されている国が数多くあり、女性の人権が守られていない懸念は近年、拡大しつつある。<br>
　ジャッキー氏は、「ケニアでは憲法で男女同権が保障されている」とした上で、「残念ながら、マプト議定書の内容が実行されるという段階には至っていない」との見方を示す。その理由として、同氏は、ケニア憲法の夫婦財産法では、配偶者は婚姻期間中、裁判所の命令による場合を除き、他方の配偶者によって夫婦の家から追い出されてはならないと規定されていることを挙げている。<br>
　実際、ネリーさんの場合、土地の相続は夫の名義で行われていたため、書類上は彼女の所有権が証明できない状態となっていたという。<br>
　「私の場合、妻はよそ者とみなされ、家族会議には参加できませんでした。話し合いが全て終わった後に、与えられた土地と書類を見せられただけです。家財はすべて私が購入したにも関わらず、所有権を証明する書類は何一つありませんでした」（ネリーさん）</p>
<p>　ジャッキー氏によれば、このケースでは夫婦財産法の二項が適用され、金銭的あるいは非金銭的な支援による貢献が重要となるという。ここでいう「非金銭的な支援」とは、家事や家の管理、育児、畑仕事などを指し、金銭を介さない労働の経済価値を認め、財産の所有権が誰にあるか判断する材料とされる。つまり、直接的に金銭を支払わなかった場合でも、死別や離婚した後に家庭への貢献が認められる限り、財産の所有権が存在すると解釈されるのだ。しかし、実際には、多くの女性が法律を理解する機会もないまま財産を失っている。「こうした状況を変えるために、啓発活動に注力すべきだ」と同氏は断言する。</p>
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		<title>ケニアの農村で高まるワクチンへの期待と不安</title>
		<link>https://dotworld.press/kenya_covid19_vaccine/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 28 Mar 2021 11:57:34 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[covid19]]></category>
		<category><![CDATA[YUKO SHEM OKOTH]]></category>
		<category><![CDATA[ケニア]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://dotworld.press/?p=8279</guid>

					<description><![CDATA[<p>　新型コロナウイルスの感染拡大によって一変した世界。かつてない状況に各国ともさまざまな対応を迫られているが、ケニアの場合、特に農村部では高齢者が多いため、とにかく村人が誰も感染しないことが最も大切であり、ワクチンが地方に [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　新型コロナウイルスの感染拡大によって一変した世界。かつてない状況に各国ともさまざまな対応を迫られているが、ケニアの場合、特に農村部では高齢者が多いため、とにかく村人が誰も感染しないことが最も大切であり、ワクチンが地方にも適正に分配されるかどうか、人々の心配が募る。一方、大都市で発動されたロックダウンはある程度奏功したものの、社会に生まれた分断の意識はいまだに消えない。航空便や学校などの制限が徐々に解かれつつある中、農村部の現状と村人の意識に迫った。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>人口密度が低い農村</strong></span></p>
<p>　「もし無料なら、早くワクチンを打ちたいです。無料じゃなかったら家族全員分のお金がかかるから、お財布と相談しなくちゃいけないけれど」</p>
<p>　首都ナイロビから50キロほど北上したライキピア県の農村に住むマリー・ワンジルさんは、ワクチンのニュースに関心があるものの、こんな田舎では十分な情報が手に入らないと嘆く。メディアではワクチンの確保をめぐって進捗やスキャンダルが数々報じられているが、もしワクチンがすでに到着しているにしても、そんな情報はまったく耳に届かない。どこへ行けば受けられるのか、最初に接種するのは誰か、そして、どんな計画に基づいて接種が開始されるのか。疑問が膨らむばかりである。</p>
<p>　マリーさんによると、この村ではまだコロナ感染者はおらず、村人はたいていいつも畑に出て農作業に勤しんでいる。</p>
<p>　「一時間くらいその辺りを歩いてみるといいよ。多分、誰にも出会わないから」</p>
<p>　全ての村人とは顔見知りだが、そもそもお互いに会いに行ったり、人が集まったりすること自体、ほとんどないという。それもそのはず、ライキピア県は広大な面積の割に人口が少なく、人口密度は、日本で最も少ない北海道（68.6人/㎢）よりもさらに少ない（54人/㎢）。</p>
<p>&nbsp;</p>

<div id="attachment_8280" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/03/163076925_348119916585645_273979256505017670_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-8280" class="wp-image-8280" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/03/163076925_348119916585645_273979256505017670_n.jpg" alt="" width="400" height="300" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/03/163076925_348119916585645_273979256505017670_n.jpg 624w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/03/163076925_348119916585645_273979256505017670_n-300x225.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/03/163076925_348119916585645_273979256505017670_n-280x210.jpg 280w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/03/163076925_348119916585645_273979256505017670_n-150x112.jpg 150w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-8280" class="wp-caption-text">村人と農作業を進めるマリーさん（右）（筆者撮影）</p></div>

<p>　マリーさんによれば、政府は国民に対して真剣に新型コロナウイルスに警戒するよう呼び掛けており、マスクの着用や手洗いの推奨、握手の禁止などを推奨しているという。これを受け、手洗い場を新設した家庭も多い。</p>
<p>　しかし、マリーさんはいつもマスクを着けるわけではないという。「近所に農作業のことで連絡する用事があったり、５人以上集まったりする時だけマスクを着けるよ。あとは、街に出かけたり教会に行ったりする時かな。村ではお互いに感染しないよう気を付けているからね。警官も、皆がマスクを着けているか、人込みができていないかいつも目を光らせているよ」</p>
<p>　幸い、旅行者が田舎の農村にわざわざやってくることないし、人々が村の外に出かけることも稀だ。ただし、首都ナイロビなど大都市から来る人々には注意する必要があるようだ。<br>
　「隣の村で、葬式に参列するために街から来た人がいて、コロナに感染したという話を聞いたよ。子どもたちがコロナに感染しないように毎日祈っているけど、同時に、街に住んでいる人はそのまま街にいて、村にウイルスを持ち込んでほしくないという気持ちもあるね」</p>
<p>　マリーさんが今、一番心配しているのは、学校が再開され、子どもたちが感染リスクにさらされることだ。政府には、できれば子どもたちからワクチンを接種してほしいと願っている。</p>
<p>　「人の往来をなくして、村の中で勉強できればいいと思うんだよね。私もお正月には両親に顔を見せたかったけれど、バスを乗り継いで行かないといけないし、農作業も繁忙期だから、結局、諦めたよ。家族が健康でいることが一番大切だし、誰もコロナにかかってほしくないからね」<br>
　家族を大事に思うからこそ帰省を見送ったマリーさんだが、ケニアの片田舎でも、ナイロビでも、そして東京でも、同じような選択を強いられた人々は大勢いたに違いない。</p>
<p><strong><span style="font-size: 14pt;">息子の感染を心配する親心</span></strong></p>
<p>　定年で教師の職を退き、現在は同じライキピア県内の農村で小さな雑貨屋を営みながら老後を過ごしているチャールズ・カリウキさんも、ナイロビに住む息子がコロナに感染したが大事にはいたらなかったと胸をなでおろしつつ、当時の様子を話してくれた。<br>
　「昨年11月のことでした。息子は私たちに心配かけたくなくて、電話してくるまで部屋に閉じこもっていたようです。幸いにも症状は軽く、入院することもなかったのですが、二カ月も咳が続いたと言っていました」</p>
<p>　チャールズさんは、昨年３月にケニア国内で感染者が確認され、ロックダウンが始まろうとしていた時に、地元に帰ってこないかと息子に尋ねたという。</p>

<div id="attachment_8281" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/03/163579922_421240878973416_1954240920526390223_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-8281" class="wp-image-8281" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/03/163579922_421240878973416_1954240920526390223_n.jpg" alt="" width="400" height="240" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/03/163579922_421240878973416_1954240920526390223_n.jpg 624w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2021/03/163579922_421240878973416_1954240920526390223_n-300x180.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-8281" class="wp-caption-text">チャールズさんが経営する店舗。手前のポリタンクは手洗い用に設置している（筆者撮影）</p></div>

<p>&nbsp; さらにチャールズさんは、隣村に住む友人が感染した時の様子も話してくれた。<br>
「彼はナイロビの工事現場で働いていた時に感染したらしく、気管に疾患が出て二週間も入院したよ。彼のように街から来る人のことをことさら心配したり、恐れたりする人は多いね。その気持ちも分からなくはないが、私の子どもや孫は街に住んでおり、彼らが拒絶されたり歓迎されなかったりしたら嫌な気持ちになるだろうと思うので、賛同はしない」</p>
<p>　もちろん、チャールズさん自身も感染しないよう、常にマスクを着けて、手洗いも欠かさない。雑貨屋の前にも手洗い場を設置した。今や、どの家庭にも手洗い場はあるし、教会をはじめ、街のいたるところにも設置されたという。チャールズさんは今、ワクチンが早く村にも届けられ、多くの命が救われることを願っている。</p>
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		<title>ケニアの家政婦たちが直面する苦境</title>
		<link>https://dotworld.press/kenya_covid19_housekeeper/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 29 Dec 2020 23:25:25 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[covid19]]></category>
		<category><![CDATA[YUKO SHEM OKOTH]]></category>
		<category><![CDATA[ケニア]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　世界各国で感染拡大が続く新型コロナウイルス。特に、サブサハラアフリカの非正規就労者たちの生活に与える影響は深刻だ。感染対策の下で雇い止めが相次ぐ彼女たちの苦境に密着した。 サブサハラ地域の5500万人の仕事に影響 　一 [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　世界各国で感染拡大が続く新型コロナウイルス。特に、サブサハラアフリカの非正規就労者たちの生活に与える影響は深刻だ。感染対策の下で雇い止めが相次ぐ彼女たちの苦境に密着した。</p>

<div id="attachment_7545" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/pexels-karolina-grabowska-4239113.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-7545" class="wp-image-7545" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/pexels-karolina-grabowska-4239113.jpg" alt="" width="400" height="267" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/pexels-karolina-grabowska-4239113.jpg 600w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/pexels-karolina-grabowska-4239113-300x200.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-7545" class="wp-caption-text">コロナ禍で家政婦たちが苦境に陥っている(c) Karolina Grabowska / Pexels</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>サブサハラ地域の5500万人の仕事に影響</strong></span></p>
<p>　一般的に、開発途上国では、家政婦の仕事は典型的な非正規就労、あるいは非熟練の仕事として分類される。特殊技能を必要とせず、誰でもできる間口の広い職業であるため、世界のあちこちで富裕層や外国人駐在員が現地の家政婦を雇用するという光景が見られる。</p>
<p>　しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大して以来、こうした状況が一変した。ケニアの場合、複数の家庭で家事業務を兼務する家政婦たちは感染源となる可能性が高いとみられ、本人たちが感染を恐れて仕事に出られなくなるケースのみならず、雇い主が、ある日突然、何の手当もなく解雇するという事態が相次ぎ、深刻化している。</p>
<p>　国際労働機関（ILO）が2020年６月に修正発表した予測によれば、サブサハラアフリカ全体で新型コロナによって仕事が減少したり、失ったりした家政婦たちは5500万人に上るという。また、家政婦をはじめ、インフォーマルワーカーと呼ばれる非正規就労者は経済的に脆弱で、ひとたびショックが起きて失職すれば、貧困に陥りやすいと言われている。世界銀行の推計によると、この地域で2020年中に新たに4000万人が絶対的貧困に陥るとみられている。</p>
<p>　家政婦を斡旋業務のイザベラ・ンジギさんは、ILOや世銀が出しているこれらの予測値に賛同していると話す。ケニアで今年３月に初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されて以降も、はじめの１カ月は30人ほどいる家政婦たちに上手く仕事を回せていたという。職を求める家政婦たちからはじめに登録料1000シリング（約950円）を支払ってもらい、最初の仕事が終わればさらに報酬の半額を支払うというシステムも順調に回っていた。</p>
<p>　「しかし、最近６カ月間で私が斡旋できた仕事は、たった16回です。その多くも短期で雇い止めにあったり、そもそも移動制限で仕事に出かけることすらままならなくなったりしました。給与が支払えないため、スタッフを実家に帰さざるを得ませんでしたが、彼らの給料に依存している家族への影響も甚大で、政府による支援が必要な状況です」</p>

<div id="attachment_7539" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/133364203_150575029898078_6647807901482193660_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-7539" class="wp-image-7539" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/133364203_150575029898078_6647807901482193660_n.jpg" alt="" width="400" height="268" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/133364203_150575029898078_6647807901482193660_n.jpg 1128w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/133364203_150575029898078_6647807901482193660_n-300x201.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/133364203_150575029898078_6647807901482193660_n-1024x686.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/133364203_150575029898078_6647807901482193660_n-768x515.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-7539" class="wp-caption-text">家政婦の斡旋業務を行っているイザベラ・ンジギさん（筆者撮影）</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>将来への不安に眠れぬ夜</strong></span></p>
<p>　ビートリース（仮名）さんの人生は、新型コロナの感染が拡大する以前はうまくいっていたという。地元の農村に残る二人の息子の学費も支払えていたし、必要なものも買って与えることができていた。月に7000シリング（約6650円）を稼げば、首都ナイロビで最大規模のキベラスラム内にある賃貸アパートの家賃も支払うことができた。夫が亡くなってからは一時的に子どもたちを養育できない時期もあったが、母親に子どもたちを預けてナイロビで職を探し、友人の助けを借りて仕事を見つけてからは、コロナ流行までの４年間、働き続けてきた。</p>
<p>　「しかし、雇い主が急に１カ月の給料と引き換えに退職を求めてきたのです。今の状況は深刻で、1000シリング（約947円）の家賃すら払えず、地元にいる家族の食費もまかなえません。今はコロナ禍のため学校は休校していますが、このままだと学費を支払うこともできません」</p>
<p>　状況の深刻さの表れだろう、ビートリースさんは、本名を明かすことも、写真の撮影も、きっぱり拒否した。</p>
<p>　各国政府が新型コロナへの警戒を強める中、ビートリースさんのような家政婦たちは、一様に眠れぬ夜を過ごしている。寝床についてからも、次に食事を取れるのはいつのことだろう、お金を稼げるのはいつだろうかと、生活の不安で押しつぶされそうになるのだ。彼女たちの雇い主たちがコロナ対策に取り組み、自分たちの家族を感染症の脅威から守ろうとすればするほど、家政婦たちは解雇され、生活が困窮するという厳しくも複雑な現実がある。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>誰が、何が、彼女たちを守るのか</strong></span></p>
<p>　ケニアのホテル業界や教育機関、医療関係者らで構成される労働組合の相談員を務めるジョージ・オゴラさんは、家政婦がどれだけ追い詰められているのかについて、こう説明する。</p>
<p>　「新型コロナ対策の影響から、家政婦の需要は激減しています。家政婦の多くは農村から都市部に出稼ぎにやってきていますが、彼らはよそ者だからと差別され、職を得られず、お金がないため地元に帰ることもできません。結果的に、精神に問題を抱えたり、自殺を試みたりする者が後を絶たない状況です」</p>
<p>　2010年に制定されたケニア憲法では、全ての労働者の権利を尊重することが謳われている。また、2007年に改正された労働法では、家事労働者が他の職業と同様の雇用条件を享受し、実働８時間、年休21日、産前産後３カ月の休暇を取得できること、病気休暇、住居の提供、健康管理、組合加入権などが保障されることが定められている。更に、ケニア労働省は2015年に新たな規定を定め、ナイロビの家政婦の最低賃金をそれまでの9781シリング（約9265円）から１万954シリング（約１万380円）に引き上げた。</p>
<p>　これらの法制度だけ見れば、一見、家政婦を取り巻く環境が改善しつつあるように思われるかもしれない。しかし、オゴラさんは、「実際は最低賃金が守られておらず、急な雇い止めが行われても十分な補償が行われていない」と、訴える。オこうした状況に立ち向かうべく、オゴラさんは、雇い主が従業員に生活費を支払うよう政府が介入すべきだとして裁判所に異議申し立てを行っているという。</p>

<div id="attachment_7540" style="width: 344px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/133725819_163055422233796_6495470578318287266_n.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-7540" class="wp-image-7540" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/133725819_163055422233796_6495470578318287266_n.jpg" alt="" width="334" height="400" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/133725819_163055422233796_6495470578318287266_n.jpg 803w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/133725819_163055422233796_6495470578318287266_n-250x300.jpg 250w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2020/12/133725819_163055422233796_6495470578318287266_n-768x920.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 334px) 100vw, 334px" /></a><p id="caption-attachment-7540" class="wp-caption-text">家政婦たちが加盟する労働組合で相談員を務めるジョージ・オゴラさん（筆者撮影）</p></div>

<p><p>The post <a href="https://dotworld.press/kenya_covid19_housekeeper/">ケニアの家政婦たちが直面する苦境</a> first appeared on <a href="https://dotworld.press">dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</a>.</p><div class='yarpp yarpp-related yarpp-related-rss yarpp-related-none yarpp-template-list'>
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