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	<title>ヨーロッパ | dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</title>
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	<description>ドットワールドは、一般財団法人国際開発センター（IDCJ）が運営する国際ニュースの情報サイトです。基本姿勢は、「現地から見た世界を知る」です。開発途上国をはじめ、世界のさまざまな国で起きている事象やニュースについて、現地に精通した識者が背景を掘り下げ、社会的な文脈と併せて分かりやすく解説します。</description>
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	<title>ヨーロッパ | dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</title>
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	<item>
		<title>オーストラリアの安全保障専門家が見るインド太平洋地域の安泰</title>
		<link>https://dotworld.press/munich_security_conference2026/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 02 Apr 2026 14:43:22 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[アメリカ]]></category>
		<category><![CDATA[ドイツ]]></category>
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		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[駒林歩美]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　　ドイツで毎年開催される、国際安全保障政策に関する世界最大規模の会合「ミュンヘン安全保障会議」（MSC）が２月13日から３日間にわたって開かれ、115以上の国や地域から約60人の首脳級を含む1000人以上が参加しました [&#8230;]</p>
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</div>
]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div style="background: #F2EAD4; padding: 15px; border: 0px solid #F2EAD4; border-radius: 10px; word-break: break-all;">
<p>　　ドイツで毎年開催される、国際安全保障政策に関する世界最大規模の会合「ミュンヘン安全保障会議」（MSC）が２月13日から３日間にわたって開かれ、115以上の国や地域から約60人の首脳級を含む1000人以上が参加しました。<br>
　アメリカの「力による平和」と自国主義の高まりによって世界秩序が大きくゆらぐなか開催された今回の会合では、どのような議論が交わされたのでしょうか。オーストラリア国際問題研究所の最高経営責任者で、インド太平洋地域の安全保障に詳しいブライス・ウェイクフィールド氏への独占インタビューを通じて、ドイツ在住エディターの駒林歩美さんが振り返ります。</p>
</div>
<p>&nbsp;</p>
<p>　アメリカのトランプ大統領が「グリーンランドの武力奪取も辞さない」と発言するなど、NATOによる安全保障体制の存続が疑問視されるなかで開かれた今年のミュンヘン安全保障会議（MSC）は、「国際秩序のUnder Destruction（崩壊中）」をテーマに議論が交わされた。<br>
　NATOと同様、アメリカによる安全保障の傘下にあるインド太平洋地域の防衛についても議論が交わされたが、「アジアの防衛体制は欧州とは違って安泰」との声がしばしば聞かれた。アジア太平洋地域の外交・防衛を専門とするオーストラリア国際問題研究所のブライス・ウェイクフィールド氏も、その一人だ。同氏は、今年１月にスイスのダボスで開かれた世界経済フォーラムでカナダのマーク・カーニー首相が「古い秩序は戻らない」と述べ、中堅国（ミドルパワー）の団結を促したことに対し、「日本やオーストラリアなどのインド太平洋地域の同盟国は “中堅国の団結” をすでに積み重ねてきた」と反論する。この地域の安全保障体制をどう見るか、同氏に聞いた。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>欧州の多国間協調とアジアのミニラテラルな体制</strong></span></p>
<p><span style="font-family: impact, sans-serif;"><strong><span style="font-size: 10pt;"><em>── 今年の会議では、アメリカの国際政治アナリストであるイアン・ブレマー氏らから、「日本とアメリカの安全保障関係は安泰」だという発言がありました。その背景の一つに、日本と韓国によるアメリカへの投資の約束があると思われますが、国際秩序が崩れ行くなか、インド太平洋地域に対するアメリカの今後の関与についてどう思いますか。</em></span></strong></span></p>
<p><span style="font-size: 10pt;"><strong><span style="color: #ff6600;"><span style="font-size: 12pt;">ウェイクフィールド氏</span>&nbsp;&nbsp;</span></strong></span>私も基本的には同じ意見だ。ただし、投資そのものというより、インド太平洋との安全保障体制が、アメリカに好まれるためだ。</p>
<p>　トランプ政権はそもそも「統一された欧州」や、NATOという巨大な多国間ブロックを好ましく思っていない。トランプ政権内には、リベラルな欧州をウォーク（Woke）として嫌うイデオロギー派と、リアリストが共存している。イデオロギー派はEUという連合の概念自体を嫌うが、リアリストの目にも、欧州の現在の安全保障体制は「調整不足と冗長性」の極みだと映っている。例えば、欧州27カ国は独自に防衛システムや戦車を製造し、規格も合っていないため、砲兵装備すら共有できない。豊かな経済力を持ち、域内でも武器を作れ、アメリカの武器を買えるにもかかわらず、非効率な防衛体制を温存し、いざとなればアメリカに窮地を救ってもらおうという欧州の姿勢に対し、トランプ政権内のリアリストが強い不満を抱いている。</p>
<p>　それに対し、多国間協調の仕組みを持たないインド太平洋地域の安全保障体制は、アメリカをハブ（中心拠点）とし、同盟関係にある国のスポーク（拠点）が無数に広がる二国間同盟を基本としてきた。この「ハブ・アンド・スポーク」型は多国間同盟のNATOよりも実務的で、アメリカの考え方に合っている。ただし、それも完璧とは言えないため、日本を含む域内の多くの国々が少数の国同士で構成されたミニラテラルな協力体制を構築してきた。イギリスとアメリカ、オーストラリアによる原子力潜水艦などの技術協力や、防衛面で協力する安全保障パートナーシップ「AUKUS」も、その一例だ。ミニラテラリズムとは、具体的な特定の任務達成に力を尽くすことを目指した実務的な協力関係を指す。</p>
<p>　こうしたインド太平洋地域のやり方は、欧州にはあまり理解されていない。だが、欧州も多国間主義に依存し過ぎるのではなく、域内の2、3カ国間で協調するアプローチを進めた方が良いと考えている。</p>

<div id="attachment_19391" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2026/04/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269.jpg"><img fetchpriority="high" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-19391" class="wp-image-19391" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2026/04/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269.jpg" alt="" width="400" height="266" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2026/04/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269.jpg 368w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2026/04/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269-300x200.jpg 300w" sizes="(max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-19391" class="wp-caption-text">オーストラリア国際問題研究所・最高経営責任者のブライス・ウェイクフィールド氏（写真は本人提供）</p></div>

<p><span style="font-family: impact, sans-serif;"><strong><span style="font-size: 10pt;"><em>──それでも日本では、有事の際にアメリカが本当に行動を起こすのか、不安が高まっています。</em></span></strong></span></p>
<p><span style="font-size: 10pt;"><strong><span style="color: #ff6600;"><span style="font-size: 12pt;">ウェイクフィールド氏</span>&nbsp;&nbsp;</span></strong></span>日本は中国や北朝鮮と地理的に近いため、オーストラリアに比べ不安が強いのは当然である。独自思考をするトランプ政権の動向は予測しきれない部分もあるが、存続が危惧されているNATOほどには、オーストラリアや日本は懸念する必要がないだろう。その体制がアメリカに好まれるものであるうえ、アメリカが中国を意識し、インド太平洋地域に焦点を向けようとしてきたためだ。ことがある。日本、アメリカ、オーストラリア、インドの４カ国による戦略的対話枠組み「Quad」で掲げる「自由で開かれたインド太平洋」という思想も、第一次トランプ政権下で受け入れられていた。<br>
　フランスのマクロン大統領は、今回の会議の演説で「欧州は法の支配に合意する共同体だ」と述べ、力強く擁護した。さらに、「より結束を強め、ブロックとしての自立性を高めねばならない」と述べたが、それが現実の方向性となるかは疑問だ。トランプ政権は、欧州もインド太平洋地域のように分断し、それぞれに影響力を行使したいのだと思われる。もっとも、アジアではそれぞれの国が地理的に離れており、NATOのように多国間の安全保障組織を作ることはそもそも不可能だった。</p>

<div id="attachment_19384" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2026/04/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5.jpg"><img decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-19384" class="wp-image-19384" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2026/04/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5.jpg" alt="" width="400" height="246" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2026/04/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5.jpg 419w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2026/04/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5-300x185.jpg 300w" sizes="(max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-19384" class="wp-caption-text">欧米の国々を中心に、世界中の閣僚や専門家が集まったミュンヘン安全保障会議　(c) MSC / Botteccher</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>アメリカ抜きの連携の広がりも</strong></span></p>
<p><span style="font-family: impact, sans-serif;"><strong><span style="font-size: 10pt;"><em>──石破前首相が、アジア版NATOのような構想を提唱していましたが、実現が想像しにくいものでしたね。</em></span></strong></span></p>
<p><span style="font-size: 10pt;"><strong><span style="color: #ff6600;"><span style="font-size: 12pt;">ウェイクフィールド氏</span>&nbsp;</span></strong></span>地理的に離れすぎているうえ、脅威に対する認識や考えも異なるため不可能だ。アメリカが1950年代に東南アジア条約機構（SEATO）の創設を試みたが、参加しようとした国は非常に少なく、実現しなかった。</p>
<p>　NATOが結束できている理由の一つは、ヨーロッパが地理的にまとまり、戦略が統一されていることだ。もし、ロシアが戦車をポーランド国境に進駐させれば、それはフランスのパリやボルドーの住民にとっても、即座に安全保障上の脅威となる。</p>
<p>　一方、アジアでは、台湾への攻撃は日本にとって存亡を脅かす事態となるだろうが、オーストラリアにとってはそうではない。台湾への攻撃によって、インド太平洋地域の戦略的な意識が必ずしも統合されるわけではないだろう。</p>
<p>　とはいえ、台湾有事の際に各国が果たすべき役割は重層的に取り決めがなされている。例えば、日本は琉球列島、フィリピンはバシー海峡、シンガポールはマラッカ海峡を防衛することになっている。オーストラリアは、潜水艦を派遣してロンボク海峡とスンダ海峡を防衛するとともに、インド洋をパトロールして中国の海上交通路を遮断する。つまり、統合された司令部がなくても、各国が自国の生存を守るために、必然的にこれらの海峡の防衛に動くのだ。</p>
<p>　これらの海峡を中国に支配させないように平時から開放状態に保ち、有事の際は中国軍を南シナ海と東シナ海に封じ込めてアメリカ軍が介入して撃退するというのが、基本的な戦略である。海上交通路が遮断されると中国は極めてぜい弱だと指摘する専門家は多く、もし実際にそうなった場合、中国が国家としてどれぐらい機能し続けられるかは不透明である。今後、変更される可能性もあるが、この戦略は今なお変わっていない。だからこそ、AUKUSではオーストラリアにアメリカの原子力潜水艦を配備する戦略が取られ、パースやクイーンズランドに原子力潜水艦を整備できる基地を建設しようとしている。</p>
<p><span style="font-family: impact, sans-serif;"><strong><span style="font-size: 10pt;"><em>──確かに具体的な取り決めがあって効果がありそうですし、非常に実務的ですね。</em></span></strong></span></p>
<p><span style="font-size: 10pt;"><strong><span style="color: #ff6600;"><span style="font-size: 12pt;">ウェイクフィールド氏&nbsp;</span></span></strong></span>欧州諸国は、「われわれはルールに基づく秩序を遵守する」とアピールしたがる。一方、アジアのミニラテラルな枠組みは、少数の参加国が緊密に連携することで実務上の効果を発揮するものが多く、静かに進められることが多い。例えば、日本とアメリカ、オーストラリアの間の防衛協力も、特段、騒ぎ立てたりせず、信頼関係に基づき機能している。</p>
<p>　ミニラテラリズムは、明確に定義された政策成果を得ることに焦点を当てているからこそ、できるだけ少ない参加国で効率的に運営されるべきだ。特に、アメリカとイギリスがオーストラリアの原子力潜水艦の開発と配備を支援するAUKUSのように高度に機密性の高い技術協力の場合、参加国を増やすことはできない。そこでAUKUSは、機密性がそれほど高くないAI技術などを共同研究する２つ目を柱を作り、後から参加したいと表明した国々はそこに加わわることができるようにした。</p>
<p>　近年、インド太平洋地域では広い分野でミニラテラルな取り決めが急増している。例えば、日本はインドネシアなどとの協力を強化し、沿岸警備隊の強化などを支援している。また、一部のASEAN加盟国と海賊対策などで協力する形もある。こうした枠組みが、域内には数百規模で存在する。</p>
<p>　主なミニラテラルな連携はアメリカを中心としたものだが、アメリカを含まないものも増えつつある。たとえば、2007年に「安全保障協力に関する日豪共同宣言」に署名し、2022年にこれを更新したオーストラリアと日本の関係は、ほぼ同盟と呼べるほど緊密だ。両国は2025年12月に防衛相会談で防衛協力の枠組みについても合意し、共同訓練、経済安全保障、軍艦の選定などの面でこれまで以上に協力が進展していくと見込まれている。</p>
<p>　かつてはアメリカをハブに多くのスポークが広がっていたが、近年はこのようにスポーク同士でより緊密な連携と調整が進み、統合が進んでいる。</p>
<p><span style="font-family: impact, sans-serif;"><strong><span style="font-size: 10pt;"><em>──日本は近年、NATOとの協力を強めています。これによってアメリカへの依存を減らすことができるのでしょうか。</em></span></strong></span></p>
<p><span style="font-size: 10pt;"><strong><span style="color: #ff6600;"><span style="font-size: 12pt;">ウェイクフィールド氏&nbsp;</span></span></strong></span>それはまったく現実的ではない。NATOとの協力関係を強めても、日本はアメリカへの依存を減らせないだろう。NATOがインド太平洋地域において大きな役割を果たすことは、まずないからだ。</p>
<p>　仮に、ドイツ艦艇が南シナ海や台湾海峡を航行している時に緊急事態が発生したとしても、艦艇は何もせず帰国するだろう。そのような事態に対処するための補給船も経験も持ち合わせていない。このことは、NATOも明確に認識している。</p>
<p>　とはいえ、「われわれは国際法とルールに基づく秩序を遵守する」という意思を表明するために、EU加盟国は時折、南シナ海や台湾海峡、東シナ海に艦船を派遣しており、「ルールに基づく秩序」の一部として、航行の自由が認められた海峡や公海を航行している。それでも、彼らが有事の際に重要な役割を果たすと考えている者はいない。</p>
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		<title>第13回ベルリン・ビエンナーレで見た弾圧下の人々の力強さ</title>
		<link>https://dotworld.press/13th_berlinbiennale/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 31 Oct 2025 00:24:45 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ドイツ]]></category>
		<category><![CDATA[パレスチナ]]></category>
		<category><![CDATA[ミャンマー]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[駒林歩美]]></category>
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</ol>
</div>
]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　現代アートの世界的な拠点として知られるドイツの首都ベルリンでは、1998年から隔年で現代美術の国際展覧会「ベルリン現代美術ビエンナーレ」が開催されています。今年は６月14日から３カ月にわたって開かれ、ミャンマー人作家９人をはじめ、暴力や独裁、迫害のなか表現を続けてきた各国のアーティストの作品が展示されました。ドイツ在住の筆者が、今回のビエンナーレの狙いと意味を解説します。</p>

<div id="attachment_18640" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/a11b4bb3ba448d1fa402ac3dc62cc91f-scaled.jpg"><img decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18640" class="wp-image-18640" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/a11b4bb3ba448d1fa402ac3dc62cc91f-scaled.jpg" alt="" width="500" height="375" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/a11b4bb3ba448d1fa402ac3dc62cc91f-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/a11b4bb3ba448d1fa402ac3dc62cc91f-300x225.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/a11b4bb3ba448d1fa402ac3dc62cc91f-1024x768.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/a11b4bb3ba448d1fa402ac3dc62cc91f-768x576.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/a11b4bb3ba448d1fa402ac3dc62cc91f-1536x1152.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/a11b4bb3ba448d1fa402ac3dc62cc91f-2048x1536.jpg 2048w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/a11b4bb3ba448d1fa402ac3dc62cc91f-280x210.jpg 280w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/a11b4bb3ba448d1fa402ac3dc62cc91f-150x112.jpg 150w" sizes="(max-width: 500px) 100vw, 500px" /></a><p id="caption-attachment-18640" class="wp-caption-text">軍政への抵抗を続けるミャンマーの農村の女性たちを描いた作品 Lady Farmers’ Magenta Sky, 2022–2025 (c) Zoncy Heavenly; 筆者撮影</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>逃亡者から受け手への「指令」</strong></span></p>
<p>　第13回目となる今年のベルリン現代美術ビエンナーレのテーマは「Foxing（フォクシング）」。都会に現れては姿をくらます、捉えどころのないキツネのような存在を意味している。一方、タイトルを「passing the fugitive on（逃亡者を渡す）」とした理由について、キュレーターのザシャ・コラ氏はオフィシャルサイトの解説のなかで「受け手への指令のようなもの」だと記している。「逃亡者が炎を残して去ると、観客はその熱い文化的な証拠の受け手となる」「すると観客自身が逃亡者としてそれを携えて走り、別の人に伝えるか、伝えられるようになるまで隠さなければならない 」という意味だという。強いメッセージを伝えるアーティストだけでなく、観る人もまた、共犯になるということだろう。<br>
　今年はスーダンや南アジアをはじめ世界各地で暴力行為や文化的ジェノサイドに抵抗する60人以上のアーティストが制作した170点以上の作品が集められ、ベルリン市内の４つの会場で展示された。どの作品も、インスタレーションや絵画、テキスト、パフォーマンスを通じて、社会批判のメッセージや人々が抱える痛みと希望が鮮やかに表現されていた。ここでは、インド出身のコラ氏が祖国インドに加え力を入れて集めたミャンマーのアーティストたちの作品を紹介する。<br>
　かつて職人の労働者会館で、現在は舞台芸術の拠点であるソフィエンゼーレで 目を引いたのは、メジャー・ノム氏らによるコメディ作品『乞食の大会』の舞台映像だ。コメディアンのザルガナー氏がネ・ウィン元大統領の社会主義政策を風刺して1987年から1990年にヤンゴン市庁舎前でたびたび公演した『乞食の全国大会』をリメイクしたパフォーマンスで、乞食たちが自らの権利向上のために話し合ってベルリンで開かれる国際乞食会議に向かう道中を通して、ファシズムやSNS世界の底の浅さを皮肉とともに批判する。</p>

<div id="attachment_18624" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo-1-scaled.jpeg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18624" class="wp-image-18624" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo-1-scaled.jpeg" alt="" width="500" height="320" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo-1-scaled.jpeg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo-1-300x192.jpeg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo-1-1024x656.jpeg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo-1-768x492.jpeg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo-1-1536x983.jpeg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo-1-2048x1311.jpeg 2048w" sizes="auto, (max-width: 500px) 100vw, 500px" /></a><p id="caption-attachment-18624" class="wp-caption-text">コメディ『乞食の大会』映像の一部 The Beggars’ Convention, 2025　@Major Nom with Shu1o1O, Ngar galay (Little Fish), Larmashee (c)筆者撮影</p></div>

<p>　なお、『乞食の全国大会』の出演者たちは1990年の上演後に逮捕されたという。出演者に加え、舞台を見て笑っていた人たちも、ある種の秘密を抱えることになってしまった。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>抵抗の中の思考の鮮やかさ</strong></span></p>
<p>　一方、KW現代美術インスティチュートには、「flowers（花）」というタイトルで複数の作品が展示された。その一つ、「Lotus and Water Hyacinth（蓮とホテイアオイ）」という作品は、ミャンマーで政治犯として1993年から約６年間投獄され、2021年のクーデター後にベルリンに亡命した作家のマ・ティーダ氏と、PENクラブ・ミャンマーの元会長で、逃亡中の2023年に亡くなった作家のニ・ピューレイ氏が交わしたメッセージの一部だ。やり取りはマ・ティーダ氏がピューレイ氏の体調を気遣うメッセージで終わっているが、二人の言葉は弾圧下にあっても知性と気遣いに満ちている。メッセージの上に飾られるはずだったピューレイ氏の花の絵は軍の迫害を恐れてミャンマーから搬出できず、白い壁に枠だけが描かれたが、その空白から見えない暴力がひしひしと伝わってきた。</p>

<div id="attachment_18625" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo2-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18625" class="wp-image-18625" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo2-scaled.jpg" alt="" width="500" height="333" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo2-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo2-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo2-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo2-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo2-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo2-2048x1366.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 500px) 100vw, 500px" /></a><p id="caption-attachment-18625" class="wp-caption-text">複数のアーティストが圧政の中で描いた花の絵。ニ・ピューレイ氏の絵はベルリンに届かなかったため、白い壁に枠が描かれた（中央）(c) Eberle &amp; Eisfeld撮影</p></div>

<p>　その近くでは、パフォーマンス「The Fly（ハエ）」の記録映像が２つ、上映されていた。1988年の民主化運動に参加して逮捕され、獄中で密かに絵を描き続けたティン・リン氏が2008年にフランスのパリで行った舞台と、2022年にリン氏が再逮捕された後、かつてパートナーとして共に舞台に立っていたチョウ・イー・ティン氏が行ったパフォーマンスだ。<br>
　椅子に裸同然で縛り付けられたリン氏は、飛び回るハエを目で追う仕草をしつつ羽音を声で表現する。次の瞬間、ハエを口で捕らえて飲み込むと、身体が痙攣して束縛が解け、今度は彼が観客に嫌な態度を取り、迫害し始める。</p>

<div id="attachment_18626" style="width: 343px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo3-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18626" class="wp-image-18626" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo3-scaled.jpg" alt="" width="333" height="500" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo3-scaled.jpg 1707w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo3-200x300.jpg 200w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo3-683x1024.jpg 683w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo3-768x1152.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo3-1024x1536.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo3-1366x2048.jpg 1366w" sizes="auto, (max-width: 333px) 100vw, 333px" /></a><p id="caption-attachment-18626" class="wp-caption-text">ティン・リン氏によるパフォーマンス「ハエ」の映像。もともとは収監中に他の受刑者に見せるために作られたという © Htein Lin、Eberle &amp; Eisfeld撮影</p></div>

<p>　チョウ・イー・ティン氏もハエに扮し、羽音を立てながら床の上で苦しむ様子を表現する。二人とも抑圧され続ける苦しみと生きのびる方法、そして人間がいかにたやすく残虐な側に回りやすいか伝えているようだ。</p>

<div id="attachment_18627" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo4-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18627" class="wp-image-18627" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo4-scaled.jpg" alt="" width="500" height="334" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo4-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo4-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo4-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo4-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo4-1536x1025.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo4-2048x1366.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 500px) 100vw, 500px" /></a><p id="caption-attachment-18627" class="wp-caption-text">抗議運動に参加して追われていたンゲ・ノム氏は、老夫婦の助けを借りて裏庭の溝に姿を隠して逃げおおせた © Nge Nom、Eike Walkenhorst撮影</p></div>

<p>　ヤンゴン生まれのンゲ・ノム氏のインスタレーションも、同じフロアに展示されていた。ノム氏は2021年にクーデターが起きた際、抵抗運動に参加して軍から追われ、近隣に住む老夫婦の家の裏庭の排水溝に身を隠して難を逃れた。そんな彼女は今回、「身を守る隠れ場所」と「異世代間の連帯の象徴」という意味を込め、泥と木、植物で溝を制作した。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>女性の想像力や、国家権力の背景を描いた作品</strong></span></p>
<p>　一つ上のフロアでは、米国で活動してきた前出のチョウ・イー・ティン氏がミャンマー布で人形を作り、市民が数十年にわたり続けてきた軍事独裁への抵抗をシンボリックに表現した「アーティスト・ストリート」が展示されていた。弾圧下でも諦めず、クリエイティブな方法で意見を表明する人々の力強さが伝わる。</p>

<div id="attachment_18628" style="width: 343px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo5-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18628" class="wp-image-18628" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo5-scaled.jpg" alt="" width="333" height="500" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo5-scaled.jpg 1707w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo5-200x300.jpg 200w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo5-683x1024.jpg 683w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo5-768x1152.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo5-1024x1536.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo5-1366x2048.jpg 1366w" sizes="auto, (max-width: 333px) 100vw, 333px" /></a><p id="caption-attachment-18628" class="wp-caption-text">街頭でパフォーマンスをしたチャウアイ・ティン（左）とティン・リンをテーマにした作品。二人はシャンの民族衣装を着ていたことを利用に逮捕されたという。 © Chaw Ei Thein、Eberle &amp; Eisfeld撮影</p></div>

<p>　また、女性用の民族衣装ロンジーを旗のように掲げる抵抗を表した作品もあった。「女性の下半身は汚れている」というミャンマー社会の迷信を逆手に取り、男性権力者が通れないようにロンジーを高く吊るしたゾンシー・ヘヴンリー氏らによる2018年の女性たちの抵抗を表現したものだ。</p>

<div id="attachment_18629" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo6-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18629" class="wp-image-18629" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo6-scaled.jpg" alt="" width="500" height="333" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo6-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo6-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo6-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo6-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo6-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo6-2048x1365.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 500px) 100vw, 500px" /></a><p id="caption-attachment-18629" class="wp-caption-text">ロンジーを旗のように掲げて男性権力者に抗議する女性たち（中央） Chaw Ei Thein, from the series Artists’ Street, 2025. © Chaw Ei Thein;。左奥の壁には「Panties for Peace （平和のためのパンティ）」の記録が集められた。Panties for Peace Emblems, 2010/25; （右上は、東独崩壊前後の1988~93年にエアフルトを拠点に活動した 女性アーティストグループ・エアフルトの作品　© Exterra XX – Künstlerinnengruppe Erfurt）、Diana Pfammatter, Eike Walkenhorst撮影</p></div>

<p>　この迷信を利用した女性たちによるもう一つの抵抗の記録が、「Panties for Peace （平和のためのパンティ）」だ。タイ・チェンマイに本拠を置く女性団体「Lanna Action for Burma（ラナ・アクション・フォー・ビルマ）」の呼びかけで2007年のサフラン革命後から2010年にかけて各国の女性たちが地元のミャンマー大使館に下着を送りつけ、当時の国軍最高指導者、タン・シュエ総司令官に非暴力かつユーモラスに抵抗した運動だ。会場には、シンボルのステッカーやポスター、映像に加え、総司令官にパンティをぶつけるゲームも展示された。</p>
<p>　ロンジーを掲げた前出のヘヴンリー氏は、絵画「Lady Farmers&#8217; Magenta Sky（農婦たちのマゼンタの空）」も出展した。鮮やかなピンクの背景の絵の中心に３本指を立てて軍事独裁への反対を示す農家の女性たちが描かれている。絵の左右におもちゃの戦闘機がぶらさげられ、空襲音が出る仕掛けだ。</p>

<div id="attachment_18630" style="width: 385px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo7-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18630" class="wp-image-18630" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo7-scaled.jpg" alt="" width="375" height="500" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo7-scaled.jpg 1920w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo7-225x300.jpg 225w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo7-768x1024.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo7-1152x1536.jpg 1152w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo7-1536x2048.jpg 1536w" sizes="auto, (max-width: 375px) 100vw, 375px" /></a><p id="caption-attachment-18630" class="wp-caption-text">ピンクと紫で描かれた空襲の空。　Lady Farmers’ Magenta Sky, 2022–2025, © Zoncy Heavenly、Marvin Systermans撮影</p></div>

<p>　2022年にベルリンに移住した彼女は、SNSを通じてミャンマーの農民女性たちの抵抗の様子を追い、空襲や戦闘で家族や農地、家を失ってもなお抗議を続ける姿に感銘を受けたという。ピンクと紫で描かれた空爆後の空の色は、想像力によって塗り替えられる未来を表しているようだ。</p>

<div id="attachment_18631" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo8-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18631" class="wp-image-18631" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo8-scaled.jpg" alt="" width="500" height="333" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo8-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo8-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo8-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo8-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo8-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo8-2048x1366.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 500px) 100vw, 500px" /></a><p id="caption-attachment-18631" class="wp-caption-text">光で照らされたシャン宮殿の模型　サワンウォンセ・ヤウンウェ「ジョーカー本部 すべてのアート作品は、悪ふざけ」© Sawangwongse Yawnghwe、Diana Pfammatter; Eike Walkenhorst撮影</p></div>

<p>　最上階に展示されていたのは、かつてシャン州ニャウンシュエを治めていた統治者の孫、サワンウォンセ・ヤウンウェ氏の作品だ。ジョーカーに扮した同氏が武器取引によって利益を得ている国際社会や白人至上主義的な思想について語る映像が流れ、その横では「ジョーカー本部」の食事メニューとして世界の武器輸出の情報が書かれたバナー幕が吊り下げられた。手前には、ヤウンウェ氏の祖父がかつて暮らしていたシャン宮殿の模型が飾られていた。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>暴力と向き合い、悲劇を語り継ぐ</strong></span></p>
<p>　旧裁判所にも、多くのミャンマー作家の作品が展示されていた。1902年に軍事刑務所に増築される形で建設された煉瓦造りのこの建物では、1916年には反戦デモに参加した社会主義者らの裁判が行われ、ナチス時代には捜査監獄として使わるなど、歴史が詰まっている。第二次世界大戦後は刑務所管理棟、2012年までは裁判所として利用されていた。</p>
<p>　ここではまず、1998年から2004年にティン・リン氏が獄中で描いた作品の数々が目を引いた。彼は刑務所で支給されたロンジーやライター、石鹸などを使って絵を描いては、密かに外へ持ち出した。口が大きく開き、身体が歪んだ苦しそうな人々の姿から刑務所での過酷さが窺える一方、家族らしき人物を描いたあたたかい作品もあり、失われていない希望も見える。彼は2021年のクーデター後にも逮捕され、すでに釈放されたものの、パスポートを軍に奪われてミャンマーから出国できず、英国に追放された家族と会えない日々が続いているという。</p>

<div id="attachment_18632" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo9-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18632" class="wp-image-18632" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo9-scaled.jpg" alt="" width="500" height="333" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo9-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo9-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo9-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo9-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo9-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo9-2048x1366.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 500px) 100vw, 500px" /></a><p id="caption-attachment-18632" class="wp-caption-text">ティン・リン氏が1999〜2003年に獄中で描いた絵のうち、000235シリーズの作品. © Htein Lin、Eberle &amp; Eisfeld撮影</p></div>

<p>　タイを拠点に活動するアカ族のアーティスト、ブスイ・アジャウ氏も、自らの暴力の経験に向き合った。彼女が生まれ育ったミャンマー東部の村は2000年頃、国軍とワ州連合軍の戦闘に巻き込まれ、アカ族の人々は略奪や強姦などの壮絶な被害に遭い、土地や農地を奪われて生存者は川や山を越えてタイに逃れた。人々はその後も無国籍労働者として差別され、抑圧され続けたという。</p>
<p>　そんな彼女が描いたのは、故郷の川沿いの村の記憶に始まり、軍の残忍な暴力をストレートに表現した５枚の連作『軍事国家による人民への弾圧』シリーズだ。覚醒剤を飲んで攻撃的になった兵士に首を切断された人々や、殺害後に胎児を取り出された女性など、生々しい作品もある。絵に描き込まれたアカ族の言葉からは、文化と伝統も失われたことが伝わる。</p>

<div id="attachment_18633" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo10-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18633" class="wp-image-18633" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo10-scaled.jpg" alt="" width="500" height="334" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo10-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo10-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo10-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo10-768x513.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo10-1536x1025.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo10-2048x1367.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 500px) 100vw, 500px" /></a><p id="caption-attachment-18633" class="wp-caption-text">ブスイ・アジャウによるThe Military State’s Oppression of the Peoplesシリーズ。前方上の作品では生まれ育った村が描かれている (c) Busui Ajaw、 Marvin Systermans撮影</p></div>

<p>　また、異なる時代と場所を生きる３人のアーティストの作品が展示された「fugitivity（逃亡性）」というタイトルの部屋もあった。３作品に共通しているのは、逃れるために飛び降りた人々だ。このうち、ミャンマー出身のM. M. テイン氏の「44th St. Fallen Heroes（墜落した44番通りの英雄たち）』は、クーデター後に民主化運動に参加して警察に追われた５人の若者が建物の４階から飛び降りた瞬間が抽象的に描かれている。</p>

<div id="attachment_18634" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo11.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18634" class="wp-image-18634" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo11.jpg" alt="" width="500" height="222" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo11.jpg 726w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/10/Photo11-300x133.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 500px) 100vw, 500px" /></a><p id="caption-attachment-18634" class="wp-caption-text">M. M. テイン氏による「44th St. Fallen Heroes」（右）では飛び降りた５人の若者が抽象的に描かれる (c) M. M. Thein;、左は Steve McQueen氏による, Bounty 37, 2024. (c) Steve McQueen; Thomas Dane Gallery; Marian Goo、Eberle &amp; Eisfeld撮影</p></div>

<p>　また、イギリス出身 のスティーブ・マックイーン氏が大西洋の島国・グレナダの山で撮影した鮮やかな赤い花の写真には、植民化に抵抗した先住民・カリブ族の人々が島の北端にある40メートルの断崖の上から大西洋に一斉に飛び降りたという悲劇的な歴史が込められている。その部屋で流れていたモーリシャス出身 のダニエラ・バスティアン氏によるクレオール語の音響作品は、マダガスカルの山に隠れ住んでいた逃亡奴隷が、追手から逃れるために山から飛び降りたという話に着想を得て制作された。<br>
　いずれの作品も壮絶な悲劇を伝えるが、それでも観客に語り継ぐ意味を再認識させられる。</p>
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		<title>反移民の時代にアートを通じて「移民」の意味を考える意義</title>
		<link>https://dotworld.press/netherlands_art_that_reflects_on_migration/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 29 Aug 2025 05:54:02 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[オランダ]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[駒林歩美]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://dotworld.press/?p=18210</guid>

					<description><![CDATA[<p>世界で排他的な機運が高まっています。各国と同様、移民や難民政策が政策の大きな争点となっているオランダで今年５月、「移民」をテーマにしたユニークなミュージアムが誕生しました。現地を訪ねたドイツ在住の駒林歩美さんが、オープン [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<div style="background: #F2EAD4; padding: 15px; border: 0px solid #F2EAD4; border-radius: 10px; word-break: break-all;">世界で排他的な機運が高まっています。各国と同様、移民や難民政策が政策の大きな争点となっているオランダで今年５月、「移民」をテーマにしたユニークなミュージアムが誕生しました。現地を訪ねたドイツ在住の駒林歩美さんが、オープンの背景や展示作品の一部を紹介します。</div>
<p>&nbsp;</p>

<div id="attachment_18214" style="width: 560px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/03_The-Family-of-Migrants-overview-Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18214" class="wp-image-18214" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/03_The-Family-of-Migrants-overview-Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-scaled.jpg" alt="" width="550" height="367" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/03_The-Family-of-Migrants-overview-Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/03_The-Family-of-Migrants-overview-Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/03_The-Family-of-Migrants-overview-Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/03_The-Family-of-Migrants-overview-Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/03_The-Family-of-Migrants-overview-Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-1536x1025.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/03_The-Family-of-Migrants-overview-Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-2048x1366.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 550px) 100vw, 550px" /></a><p id="caption-attachment-18214" class="wp-caption-text">「移民の家族」―フェニックスで開催される写真展、2025年５月16日撮影 ©︎Iwan Baan, Fenix</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>「排外的」になる世界</strong></span></p>
<p>　７月に日本で実施された参議院議員選挙では、「日本人ファースト」を掲げる参政党が大躍進し、大都市を中心に議席を伸ばした。同党の主張は多岐に渡るが、そのスローガンから外国人に対する排他的な姿勢が注目された。参政党の神谷宗幣代表は７月３日の外国特派員協会での会見で、親近感がある政党として「ドイツのための選択肢（AfD）」やフランスの「国民連合」といった、ヨーロッパの極右政党を挙げている。<br>
　事実、ヨーロッパでは近年、「反移民」を掲げる右翼政党が支持を集めてきた。AfDは移民のルーツを持つ人々の国外追放を意味する「再移民」を訴え、２月の連邦議会選挙で第二党となり、その存在感を高めている。<br>
　その隣国オランダでは、反イスラム・反移民を掲げた極右政党・自由党（PVV）が2023年の総選挙で150席中37議席を獲得し、第一党となった。議席が過半数にほど遠かったPVVは、他３党と連立を組んで政権を発足させたが、今年６月初めに政権は崩壊した。PVVのヘルト・ヴィルダーズ党首は、軍隊による国境警備など、厳しい移民制限を求めたが、他の連立与党から協力を得られずに反発し、PVVを連立から離脱させたためだ。オランダでは10月末に総選挙が予定されているが、移民・難民政策は大きな争点となっている。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>人が行き来してきた都市</strong></span><br>
　そんなオランダで今年５月、北海につながるマース川沿いのロッテルダム市に、「移民」をテーマとする新たなミュージアム「フェニックス（FENIX）」がオープンした。同市には欧州最大の港があり、人々は昔から船で他国と行き来してきた。フェニックスはそんな歴史を踏まえ、移民について現代アートや写真、個人のストーリーを通じて伝える空間である。ロッテルダム市を文化・アートを通じて魅力を高めることを目指すDroom en Daad（Dream and Do）財団が主な出資者となって作られた。</p>

<div id="attachment_18211" style="width: 560px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/1a79c1d2cb7821cca874b82a7777e5de-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18211" class="wp-image-18211" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/1a79c1d2cb7821cca874b82a7777e5de-scaled.jpg" alt="" width="550" height="413" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/1a79c1d2cb7821cca874b82a7777e5de-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/1a79c1d2cb7821cca874b82a7777e5de-300x225.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/1a79c1d2cb7821cca874b82a7777e5de-1024x768.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/1a79c1d2cb7821cca874b82a7777e5de-768x576.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/1a79c1d2cb7821cca874b82a7777e5de-1536x1152.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/1a79c1d2cb7821cca874b82a7777e5de-2048x1536.jpg 2048w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/1a79c1d2cb7821cca874b82a7777e5de-280x210.jpg 280w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/1a79c1d2cb7821cca874b82a7777e5de-150x112.jpg 150w" sizes="auto, (max-width: 550px) 100vw, 550px" /></a><p id="caption-attachment-18211" class="wp-caption-text">オープニング展「All Directions」の入り口に掲げられた、ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のアーティスト、セイラ・カメリッチ氏の作品「EU/Others」(2000)。旧ユーゴスラビアの国々のなかにはEUに加盟した国もあるが、ボスニア・ヘルツェゴビナは加盟しておらず、境界ができてしまった。　©TITIA HAHNE</p></div>

<p>　博物館となった建物は、かつてオランダとアメリカ大陸の間で蒸気船輸送をしていた企業「ホランド・アメリカ・ライン」が、川沿いの倉庫としてかつて使用していたものだ。1923年に建立されたが、第二次世界大戦中にドイツ軍の空襲によって破壊され、1950年に再び復元された。歴史あるこの建物が近年リノベーションされ、生まれ変わってミュージアムとなった（ホランド・アメリカ・ラインは現在、世界中でクルーズを運営しており、Droom en Daad財団は同社の創業者一家の資金で運営される）。</p>
<p>　19世紀から20世紀初頭にかけて、ロッテルダム港からは、約300万人が北米に向けて船で旅立った。相対性理論を発表した物理学者のアルベルト・アインシュタインも、その一人だ。アインシュタインは1920年代にロッテルダムから蒸気船でアメリカに渡り、欧州に一度戻った。しかし、貧困や迫害ゆえに同港から北米に移住した人々の中には、二度とヨーロッパに戻らなかった者も多かった。<br>
　他方、他の地域からヨーロッパに渡ろうとロッテルダム港にたどり着いた人も多く、港の周りには当時、多くの移民が住みつき、多国籍なコミュニティが形成されていった。大陸ヨーロッパ初のチャイナタウンが形成されたのも、この地域だという。多くの人が通るロッテルダムは国際色豊かで、非常に賑やかな街だったそうだ。<br>
　戦時中の空襲でロッテルダムの街が破壊されると、港も大きな被害を受けた。戦後に再建されたが、コンテナ船が水運の主流となった今、港の中心地は、マース川の河口や北海に接する離れた地域に移った。しかし、移民が大きな影響を与えてきた都市ロッテルダムは今も非常に多様で、170カ国籍以上、67万人の人々が住む。15年の在任後、2024年に退任したアフメド・アブタレブ前市長も、モロッコからの移民であった。フェニックスのオープニング式典に出席したオランダのマキシマ王妃も、アルゼンチン出身である。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>移住は「普遍的」なもの</strong></span><br>
　移民が分断の争点になりやすい現在のオランダにおいて、移民をテーマにしたミュージアムを新たに開くというのは、挑戦的にも聞こえる。しかし、フェニックスでは移民に関する政治的な議論が行われているわけではない。ミュージアムの運営者も、政治的な意図を否定している。展示・コレクション責任者であるハネケ・マンテル氏は、施設は「移民が時代を超えた普遍的で人間的なもの」であるということを伝えるとともに、「人々の物語を共有するためのもの」であると、米紙「ニューヨーク・タイムズ」のインタビューに答えている。</p>
<p>　移住が、昔から続いてきた営みであるということは、展示の中で何度も示される。美術館の2階を一面に使ったオープニングの展示会「All Directions 」のテーマ解説には、「移住は普遍的なもの」であり、「人類はその存在が始まったころから、移住し続けている」という記載があった。</p>
<p>　移住の歴史が続いているということ示すためだろうか、17世紀のオランダの画家レンブラントの作品をはじめ、移民が描き出された近代の美術作品も見受けられた。神学者レンブラントはロッテルダムで生まれ、ヨーロッパ各地を旅した。</p>

<div id="attachment_18212" style="width: 440px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/02_Hans-Holbein-the-Younger_Portrait-of-Desiderius-Erasmus_circa-1532_Collection-Fenix.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18212" class="wp-image-18212" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/02_Hans-Holbein-the-Younger_Portrait-of-Desiderius-Erasmus_circa-1532_Collection-Fenix.jpg" alt="" width="430" height="550" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/02_Hans-Holbein-the-Younger_Portrait-of-Desiderius-Erasmus_circa-1532_Collection-Fenix.jpg 1920w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/02_Hans-Holbein-the-Younger_Portrait-of-Desiderius-Erasmus_circa-1532_Collection-Fenix-235x300.jpg 235w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/02_Hans-Holbein-the-Younger_Portrait-of-Desiderius-Erasmus_circa-1532_Collection-Fenix-801x1024.jpg 801w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/02_Hans-Holbein-the-Younger_Portrait-of-Desiderius-Erasmus_circa-1532_Collection-Fenix-768x982.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/02_Hans-Holbein-the-Younger_Portrait-of-Desiderius-Erasmus_circa-1532_Collection-Fenix-1202x1536.jpg 1202w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/02_Hans-Holbein-the-Younger_Portrait-of-Desiderius-Erasmus_circa-1532_Collection-Fenix-1602x2048.jpg 1602w" sizes="auto, (max-width: 430px) 100vw, 430px" /></a><p id="caption-attachment-18212" class="wp-caption-text">ロッテルダム出身で、欧州各地を旅した神学者・カトリック哲学者のエラスムスの肖像画も展示されていた。これは、ドイツ出身の画家ハンス・ホルバインによって16世紀に描かれた作品。　©︎Fenix</p></div>

<p>　アネ・クレマース館長も、「フェニックスは語るのではなく、見せるのです。私たちは、来館者に多くの質問を投げかけ、考えてもらいたいのです」と、ニューヨーク・タイムズに話している。同施設は、ロッテルダムという都市の歴史を確認し、移民の根本的な意味について考えさせる場となっている。</p>
<p>　同施設を支援するDroom en Daad（Dream and Do）財団でダイレクターを務めるウィム・パイブス氏は、ロッテルダム市の文化の中心となる場づくりを模索していた2017年、ニューヨークのエリス島の移民博物館からインスピレーションを受けたと同紙に語る。エリス島とはアッパー・ニューヨーク湾に位置し、米国に移住した人々が初めに集められ、入国審査を受けていた場だ。<br>
　しかし、エリス島など の移民博物館が特定の地域の移民の歴史を解説し展示するのに対し、フェニックスは「移住」という普遍的なテーマを伝えるために、広範囲にわたる地域や時代を見せる。展示しているのも、歴史を伝えるというより、現代アートや写真のインスタレーションなど、見た人に考えさせるというアプローチを取っており、その伝え方も独特だ。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>世界中の人の移動にスポット</strong></span><br>
　フェニックスの１階には、二つの展示ルームがあり、うち一つで開かれている「移民の家族（The Family of Migrants）」という写真展では、1905年の米国で撮られたものから、2025年にシリアで撮影されたものまで、世界中で移動する人々の写真200点が展示されている。時代は100年以上にわたり、撮影された地域も55カ国に上る（と幅が広い）。<br>
　写真には、20世紀初めに米国にたどり着いた移民や、ロッテルダムにやってきた中国系の移民、ベルリンの壁が崩壊した直後に抱き合う人々など、各地の避難民や難民らが記録されているほか、電車で移動する若い中国人カップルの姿や、電車で旅立つ家族との別れを悲しむ人々の姿など、さまざまな場面が映し出される。こうした多様性を通じて、人の移動が戦争や貧困、迫害によってもたらされたものであると同時に、身近なものだということが伝わってくる。</p>
<p>　また、オランダをはじめ、世界各地から集められた2,000個のスーツケースを使って作られた迷路のようなインスタレーション「スーツケース・ラビリンス（Suitcase Labyrinth）」も印象的だ。一部のスーツケースについては、その持ち主のストーリーをオーディオで聴けるようになっている。フェニックスが対象にしているのは、ロッテルダム港にかかわらず、世界中の人々であることが特徴的だ。</p>

<div id="attachment_18215" style="width: 560px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/04_Het-Kofferdoolhof-The-Suitcase-Labyrinth_Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18215" class="wp-image-18215" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/04_Het-Kofferdoolhof-The-Suitcase-Labyrinth_Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-scaled.jpg" alt="" width="550" height="367" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/04_Het-Kofferdoolhof-The-Suitcase-Labyrinth_Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/04_Het-Kofferdoolhof-The-Suitcase-Labyrinth_Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/04_Het-Kofferdoolhof-The-Suitcase-Labyrinth_Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/04_Het-Kofferdoolhof-The-Suitcase-Labyrinth_Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/04_Het-Kofferdoolhof-The-Suitcase-Labyrinth_Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/04_Het-Kofferdoolhof-The-Suitcase-Labyrinth_Fenix-Rotterdam_Photo-Iwan-Baan-2048x1366.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 550px) 100vw, 550px" /></a><p id="caption-attachment-18215" class="wp-caption-text">スーツケース・ラビリンス ©︎Iwan Baan, Fenix</p></div>

<p>　他の都市にある移民博物館でも、スーツケースはよく展示されている。しかし、そこで紹介されているのは、その地から出ていった、あるいはやってきた移民の歴史である。たとえば、19世紀から20世紀にかけて、主に中東欧出身の700万人以上が北米へと渡った港があったドイツのブレーマーハーフェン市の移民博物館にも、大量のスーツケースが展示されている。しかし、そこで伝えられているのは、あくまでその港を経由して移住した人々のストーリーである。<br>
　フェニックスでは、地域や時代も超えているというところからして、他の移民博物館とは一線を画している。</p>
<p><span style="font-size: 18.6667px;"><b>見えない境界</b></span></p>
<p>　オープニング展のAll directionsでは、「移住」「アイデンティティ」「財産」「境界」「逃避」「ホーム」という6つのテーマごとに、さまざまな作品が展示されている。</p>
<p>　特に、「境界」というテーマでは、政治化されやすい移民には多くの境界・壁があることを強調する作品が多かった。なかでも、ベルギー出身の画家、フランシス・アリスによる「Geographies」（2007〜2008）は、ユートピア／ディストピア、他者／自己、物体／主体といった、多様な二項対立を小さな地図のように描いた。特に、「移民」「旅行者」の違いを描いた作品は、その区分によって人の扱いがまったく違ったものになってしまうことを考えさせられ、印象的だ。</p>

<div id="attachment_18216" style="width: 560px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/05_Francis-Alys-Geographies-2007-2008-Collection-Fenix.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18216" class="wp-image-18216" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/05_Francis-Alys-Geographies-2007-2008-Collection-Fenix.jpg" alt="" width="550" height="413" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/05_Francis-Alys-Geographies-2007-2008-Collection-Fenix.jpg 1600w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/05_Francis-Alys-Geographies-2007-2008-Collection-Fenix-300x225.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/05_Francis-Alys-Geographies-2007-2008-Collection-Fenix-1024x769.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/05_Francis-Alys-Geographies-2007-2008-Collection-Fenix-768x577.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/05_Francis-Alys-Geographies-2007-2008-Collection-Fenix-1536x1154.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/05_Francis-Alys-Geographies-2007-2008-Collection-Fenix-280x210.jpg 280w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/05_Francis-Alys-Geographies-2007-2008-Collection-Fenix-150x112.jpg 150w" sizes="auto, (max-width: 550px) 100vw, 550px" /></a><p id="caption-attachment-18216" class="wp-caption-text">フランシス・アリス（Francis Alÿs）, Geographies, 2007- 2008, ©︎ Collection Fenix</p></div>

<p>　「逃避」というテーマでは、難民などの家を追われた人々の姿を描き出した作品などが集まっていた。フランス出身のアーティスト、JRによる「Giants, Kikito and the Border Patrol」という作品は、メキシコと米国の国境を舞台にしている。国境そばに住む１歳のキキトが巨大化し、国境の壁に手をかけて米国側をのぞいているという表現だが、実際にはキキトが国境を越えることはまず許されないという。</p>

<div id="attachment_18217" style="width: 560px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/06_JR-Giants-Kikito-and-the-Border-Patrol-2017-Collection-Fenix-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-18217" class="wp-image-18217" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/06_JR-Giants-Kikito-and-the-Border-Patrol-2017-Collection-Fenix-scaled.jpg" alt="" width="550" height="378" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/06_JR-Giants-Kikito-and-the-Border-Patrol-2017-Collection-Fenix-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/06_JR-Giants-Kikito-and-the-Border-Patrol-2017-Collection-Fenix-300x206.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/06_JR-Giants-Kikito-and-the-Border-Patrol-2017-Collection-Fenix-1024x704.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/06_JR-Giants-Kikito-and-the-Border-Patrol-2017-Collection-Fenix-768x528.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/06_JR-Giants-Kikito-and-the-Border-Patrol-2017-Collection-Fenix-1536x1057.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/08/06_JR-Giants-Kikito-and-the-Border-Patrol-2017-Collection-Fenix-2048x1409.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 550px) 100vw, 550px" /></a><p id="caption-attachment-18217" class="wp-caption-text">JR, Giants, Kikito and the Border Patrol, 2017, ©︎ Collection Fenix</p></div>

<p>　また、外国にルーツがあり、現在はロッテルダムに住んでいる人から提供された 、家族の移住物語にまつわる個人的な思い出の品やそのストーリー、移民としてのアイデンティティを表現した作品なども展示されている。<br>
　一つ一つが移民の一家に対する想像をかき立てると同時に、彼らの扱われ方に関する矛盾について考えさせる内容だ。さまざまな人間性、ストーリーを知ることで、政治化され、見えなくなっている移民という存在に対するイメージが大きく変わると言えるだろう。</p>
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		<title>ドイツの総選挙で極右政党が第二党に浮上</title>
		<link>https://dotworld.press/germany_far-right_party_emerges_as_second_party/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Thu, 10 Apr 2025 08:35:45 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ドイツ]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[駒林歩美]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　２月23日に行われたドイツの連邦議会選挙によって、極右政党である「ドイツのための選択肢（AfD）」が前回選挙から得票率を倍に伸ばし、第二党になった。３月25日から招集された新たな連邦議会では、同党が全体の４分の１にあた [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　２月23日に行われたドイツの連邦議会選挙によって、極右政党である「ドイツのための選択肢（AfD）」が前回選挙から得票率を倍に伸ばし、第二党になった。３月25日から招集された新たな連邦議会では、同党が全体の４分の１にあたる150席以上の議席を有することになり、その影響力は見過ごせない規模となっている。「移民の再移住（Remigration）」を掲げ、反移民政策を訴える同党は、EUからの離脱など、国家主義的で現体制に反対する過激な主張を展開している。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>支持を落とした中道左派政党</strong></span></p>
<p>　今回の総選挙でAfDの議員を選出したのは、主に旧東ドイツの５州だ。ベルリンに近いポツダムやライプチヒなど都市圏の３選挙区を除き、ほとんどの小選挙区でAfDの議員が選出された。2024年に行われた欧州議会選挙の結果でも東部における極右支持は明らかで、西部では「ベルリンの壁を再び作るべきだ」というジョークがしばしばソーシャルメディアなどで見られた。</p>
<blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560">
<p dir="ltr" lang="en">German election map according to exit poll data.<br>
<br>
A stark contrast between West Germany and former Communist East Germany. <a href="https://t.co/5zWx6PHdjB">pic.twitter.com/5zWx6PHdjB</a></p>

— Clash Report (@clashreport) <a href="https://twitter.com/clashreport/status/1893719646651420785?ref_src=twsrc%5Etfw">February 23, 2025</a></blockquote>
<p><script async="" src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script></p>
<p>　このように、これまではAfDの支持があたかも東部特有の現象であるかのように考えられてきたが、必ずしもそうとは言えないことが今回の連邦議会選挙で明らかになった。今回は旧西ドイツの州でも、AfDが大きく支持を伸ばしたためである。東部チューリンゲン州の38%には及ばないものの、南部バイエルン州やバーデン・ヴィッテンベルク州、ラインランド・プファルツ州でもAfDが20％前後を得票し、ドイツ社会に衝撃が走った。<br>
　例えば、西部の旧ルール工業地帯に位置するゲルゼンキルヒェンの比例代表選挙で24.7%と最も多くの票を集めたのは、AfDだった。ドイツの選挙は小選挙区比例代表併用制で、有権者が２票を投票する。結果的に同市で選出されたのは、小選挙区で勝利した社会民主党（SPD）の議員だったが、SPDは比例で前回選挙より13％も支持を失っている。<br>
旧ルール工業地帯の街では、これまで労働者の権利を主張する中道左派政党のSPDが伝統的に支持を集めてきた。しかし、そんな街でもSPDが支持を落とし、AfDが票を伸ばすという現象が起きたのだ。<br>
　なお、ゲルゼンキルヒェンはかつて炭鉱の街として栄え、第二次世界大戦後には周辺国から多くの炭鉱労働者が働きに来ていた。しかし、時代の変化とともに石炭業は縮小され、2008年には市内で唯一、採掘が続いていた鉱山も閉鎖された。同市は鉱山跡を公園にしたり、かつての工業施設を文化施設に改造したりするといった改革を進めてきたものの、大規模産業は依然として失われたままで、人々の所得は低い。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>労働者の困窮化で高まる反移民の機運</strong></span><br>
　ゲルゼンキルヒェンは現在、失業率が14％以上と高く、就労者の４人に１人が基礎的な所得支援を受けて生活している。ドイツのハンス・ベックラー財団・経済社会科学研究所が2019年に実施した<a href="https://www.wsi.de/de/einkommen-14582-einkommen-im-regionalen-vergleich-40420.htm">調査</a>によれば、同市の平均可処分所得は一人当たり１万7015ユーロ（約274万円）と、ドイツ全体で最も低い水準であった。家賃相場も低く、所得の低い移民労働者が次々と移り住んでいる同市は早い段階からゲストワーカーを受け入れており、移民とその子孫が人口に占める割合は2023年時点で37.6%と、全国平均の29.7％を上回っている。中東・アフリカ出身者だけでなく、ブルガリアやルーマニアなど東欧の国からの労働者も多い。<br>
　他方、同市では産業が限られており、政府に十分な予算がない。予算の不足からインフラの老朽化が進んでいるうえ、学校でも必要な修繕がすぐに対応できないのが現状で、治安が悪い地域もある。早い段階からゲストワーカーを受け入れ、多様な移民がともに働く場所として知られてきた同市は今、産業がなくなり、貧しい移民を多く抱える課題の多い街として知られるようになった。2024年にはサッカーのヨーロッパ選手権の試合をホストしたにもかかわず、イングランドのサッカーファンからソーシャルメディアで「クソ溜め都市」と酷評される始末だ。</p>

<div id="attachment_17528" style="width: 610px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo1.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17528" class="wp-image-17528" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo1.jpg" alt="" width="600" height="86" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo1.jpg 2048w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo1-300x43.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo1-1024x147.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo1-768x110.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo1-1536x220.jpg 1536w" sizes="auto, (max-width: 600px) 100vw, 600px" /></a><p id="caption-attachment-17528" class="wp-caption-text">ゲルゼンキルフェン市の町並み　(c) Jesse Kraußderivative work / NatiSythen, Public domain, via Wikimedia Commons</p></div>

<p>　そんななか、同市に昔から住んでいる人たちも、貧困化が進む街の様子を目の当たりにして「移民たちが金をむしり取っているのが原因だ」というAfDのロジックに影響されつつあるようだ。実際、今回の選挙でAfDに投票したのは、定職がない人や、生活に余裕のない人が多かった。</p>
<p>　ドイツでは、難民認定を受けた人や低所得者は、市民手当と呼ばれる生活保護（成人単身者の場合、563ユーロ、約９万円）か、児童加算手当や住宅補助を受けることができ、未成年の子どもには子ども手当（一人当たり255ユーロ、約９万1000円）のほか、子どもの学習に必要な費用や昼食費といった手厚い支援もある。</p>
<p>&nbsp;別の街に住むある女性は、「子育ては皆、同じようにお金がかかるにも関わらず、所得が低い移民だけが支援を受けられるのは不公平だと感じる」と語った。AfDを断固として支持しなくても、低所得者の移民が増え続けていることを快く思わない人は一定数、存在しているのだ。</p>
<p>　ドイツでは近年、エネルギー価格や家賃、物価が高騰しており、支援対象ではなくても、それほど裕福ではない労働者の生活が苦しくなりつつある。そうした背景から、低所得の移民と労働者の割合が高い地域では、反移民を主張するAfDが支持を集めているのだ。</p>
<p>　同じ州内でも、可処分所得が比較的高いケルンやデュッセルドルフといった大都市圏では、比例選挙におけるAfDの得票率が10％前後とそれほど高くないのに対し、移民の割合が全国平均より高く、所得が低いデュイスブルグではAfDの得票率が20％に上っており、社会経済状況により投票行動が変わることが分かる。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>スケープゴートにされる移民たち</strong></span></p>
<p>　極右支持が強い東部は、移民の割合が西部よりも低い。ドイツ統計局によると、東部における移民とその子孫が人口に占める割合は2023年時点で11.4％と、全国平均の半分に満たない。それでも、東部における外国人への嫌悪感は西部に比べて強い。</p>
<p>　ライプチヒ大学が2023年に旧東ドイツ５州で成人3500人を対象に実施した<a href="https://efbi.de/files/efbi/pdfs/Policy%20Paper/2023_2_Policy%20Paper.pdf">調査</a>によると、外国人が福祉国家を「利用」するためだけにドイツに来ていると考える回答者が約７割に上った（そのうち３割は「ある程度そう思う」と答えている）。また、６割程度が「ドイツは外国人によって危険なほど外国化されすぎている」と考えている。</p>
<p>　ベルリンから近い東部ブランデンブルグ州のポツダムでAfDに反対する「極右に対抗するおばあちゃんたち」という団体で活動するウルスラさんは、「周囲のAfD支持者たちは、外国人が悪いと考えている」と語る。だが、実際にはそういう人々が外国人と接する機会はないため、偏見に基づいた考えではないかと彼女は言う。</p>
<p>　実際、東部には大企業や国際的な企業が少ない。移民社会となって歴史が長く、外国人と接する機会が自然に増えている西部とは異なり、国際的な企業があるのは旧東独地域では大都市に限られる。外国人と接する機会がなく、彼らを理解しようとせず偏見に満ちているからこそ反移民のレトリックに陥り、極右政党に票が流れかねないと言うのだ。「自分たちの生活も楽ではないのに、外から来た移民ばかりが政府から金を受け取っていい思いばかりしていると考えているために、彼らの間で外国人嫌悪が高まっていくのだろう」と、ウルスラさんは考えている。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>分極化する若者層</strong></span></p>
<p>　極右に対する支持は、一部の若者の間にも広がっている。調査機関インフラテスト・ディマップの出口調査によると、18～24歳の若者の４分の１から票を得たのは左派政党の左翼党だったが、それに次いで21％の票を得たのはAfDだった。</p>
<p>　AfDは若者のSNSの使い方について熟知しており、ソーシャルメディアを通じて若者にうまくリーチしてきた。短い動画でコンパクトに主張を伝え、国が抱える課題に対処しようとしているスマートな党であるかのように見せているのだ。ミュンヘン連邦軍大学が所有するソーシャルメディア・モニタリングツールの<a href="https://dtecbw.de/sparta/">SPARTA</a>によると、連立政権が崩壊した11月７日から選挙前日の２月22日までの間に、AfDがTikTokにアップした動画は３億3000万回以上と、政党の中で最も多い閲覧数を獲得した。ドイツのフリードリッヒ・エーベルト財団が2024年に20歳未満を対象に実施した青少年選挙調査でも、若者層が主にソーシャルメディアから政治情報を得ていることが明らかになっている。実際、彼らの多くは新聞やラジオをまったく視聴せず、テレビもごくたまにしか見ないと答えており、ソーシャルメディアの影響が非常に強いことが伺える。</p>

<div id="attachment_17529" style="width: 360px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo2.png"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17529" class="wp-image-17529" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo2.png" alt="" width="350" height="192" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo2.png 2907w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo2-300x164.png 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo2-1024x561.png 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo2-768x421.png 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo2-1536x842.png 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/04/Photo2-2048x1123.png 2048w" sizes="auto, (max-width: 350px) 100vw, 350px" /></a><p id="caption-attachment-17529" class="wp-caption-text">AfDの共同党首で首相候補だったアリス・ヴァイデルのTikTokアカウントは100万人近いフォロワーを獲得している</p></div>

<p>　ノルドライン・ウェストファーレン州ゾーストという街のある中等学校で模擬選挙を行ったところ、約４分の１の生徒がAfDを支持したという。「彼らは極右が主張する通り、社会のすべての問題は移民が原因で起きていると信じているようだ。学校の校舎は老朽化し、電車などの社会基盤インフラも故障が多いなど、ドイツ社会には問題が多い。彼らはその原因をすべて政府が移民にばかりお金を使っているためだと主張する」と、同校の教員は語っている。</p>
<p>　ミュンスター大学で教育科学を教えるカリン・ベッラート氏も、ドイツの新聞「TAZ」の取材に次のように答えている。</p>
<p>　「多くの若者は、現在の政治が問題を解決できず、自分たちの課題や考えを真剣に受け止めてくれないと感じている。 それに対し、右翼過激派の若者文化は、規範的な家父長制的な男性性と結び付き、単純な解決策として彼らの目に映る」</p>
<p>　多くの人が生活や将来に対する不安を抱えるなか、本来の問題から目を逸らし、外国人や既存の制度に罪をなすりつける極右政党。その他の既存の政党が有効な政策を打てない限り、極右の勢いを止めるのは難しそうだ。</p>
<p>&nbsp;</p><p>The post <a href="https://dotworld.press/germany_far-right_party_emerges_as_second_party/">ドイツの総選挙で極右政党が第二党に浮上</a> first appeared on <a href="https://dotworld.press">dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</a>.</p><div class='yarpp yarpp-related yarpp-related-rss yarpp-related-none yarpp-template-list'>
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		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 11 Mar 2025 13:59:17 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[アメリカ]]></category>
		<category><![CDATA[ウクライナ]]></category>
		<category><![CDATA[ロシア]]></category>
		<category><![CDATA[中国]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[福島香織]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://dotworld.press/?p=17392</guid>

					<description><![CDATA[<p>　米国で第二次トランプ政権が発足して以来、誰もが国際社会の枠組みの再構築に向けた動きが加速し始めたと実感している。問題は、次なる国際社会の枠組みがどのような価値観、秩序で組み立てられるのかだ。 　トランプ氏は大統領就任演 [&#8230;]</p>
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]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　米国で第二次トランプ政権が発足して以来、誰もが国際社会の枠組みの再構築に向けた動きが加速し始めたと実感している。問題は、次なる国際社会の枠組みがどのような価値観、秩序で組み立てられるのかだ。</p>
<p>　トランプ氏は大統領就任演説で語った通り、力による平和と領土拡張をマニフェスト・デスティニーとして正当化している。半世紀続いたグローバル経済化の流れに逆走するかのごとく自国ファースト主義と保護貿易主義を掲げるその姿を前に、かつて17～19世紀の列強諸国が掲げていた重商主義に戻るつもりなのではという意見まで出ているほどだ。トランプ氏の支持者たちは、ネオリベラリズム（新自由主義）を否定・排除し、米国主導のネオマーカティリズム（新重商主義）により世界を再構築することを期待しているのかもしれない。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>米ウの公開ケンカでほくそ笑んでいるのは</strong></span></p>
<p>　トランプ米大統領は２月末、ウクライナのゼレンスキー大統領をホワイトハウスに招き公開対談に臨んだ。しかし、両氏はその席上で激しい口論となり米ウの交渉は決裂。米国の仲介でロシア・ウクライナ戦争を停戦に導く構想が遠のいてしまった。これを受けて、日本では「ゼレンスキーの態度があまりにも無礼だった」「いや、その前の米国の挑発的な態度もひどい」「そもそもロシアの侵略行為を棚にあげてトランプがあそこまでプーチンに肩入れする方がひどいのではないか」といった論評がメディア上で飛び交った。最終的にはゼレンスキーが謝罪し鉱物資源協定の調印に向けた交渉は継続していくようだが、世界中のメディアが注目する国家指導者が顔をつき合わせて交渉する場において、かくも感情を爆発させ、それが国際平和の行方をたやすく左右する状況を目の当たりにして、世界は震撼しただろう。</p>

<div id="attachment_17393" style="width: 460px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/512px-President_Trump_and_Ukrainian_President_Zelenskyy_Clash_During_Meeting_in_Oval_Office_Feb._28_2025.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17393" class="wp-image-17393" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/512px-President_Trump_and_Ukrainian_President_Zelenskyy_Clash_During_Meeting_in_Oval_Office_Feb._28_2025.jpg" alt="" width="450" height="253" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/512px-President_Trump_and_Ukrainian_President_Zelenskyy_Clash_During_Meeting_in_Oval_Office_Feb._28_2025.jpg 512w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/512px-President_Trump_and_Ukrainian_President_Zelenskyy_Clash_During_Meeting_in_Oval_Office_Feb._28_2025-300x169.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 450px) 100vw, 450px" /></a><p id="caption-attachment-17393" class="wp-caption-text">ウクライナのゼレンスキー大統領（左）と衝突するトランプ米大統領とバンス副大統領 （2025年２月28日撮影）© The White House / wikimediacommons</p></div>

<p>　チャイナウォッチャーから見れば、米ウが交渉の席で公開ケンカをし、米欧が分断することでほくそ笑んでいるのは、当然、ロシアのプーチン大統領であり、中国の習近平国家主席がそれを上回る最大の受益者になる可能性がある。中国は、表向きにはロシアとウクライナのどちらにも武器や軍事的支援を供与せず、両国の「和平の仲介者」を名乗り続けてきた。そのうえでロシアとも「上限のないパートナー」として、良好な関係を維持している。</p>
<p>　トランプ大統領がプーチン大統領に急接近し、ロシアに有利な形でロシア・ウクライナ戦争を終わらせようとしていることについては、中ロの蜜月の分断を図ることで中国を孤立させようとしているというのが一般的な見方だ。しかし、プーチン大統領と習近平国家主席は１月21日にオンライン会談に臨み、両国の結束をアピール。さらに中国は、米ロの接近について公式には歓迎の意を示している。米ウ、そして米欧の関係悪化がこのまま続けば、最終的にはオセロの駒のように、すべてが中国に有利に動く可能性がある。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>第三次世界大戦前夜の外交戦と「逆ニクソン戦略」</strong></span></p>
<p>　さて、歴史を振り返れば、国際社会の枠組みが再構築される時には決まって世界大戦の危機も高まってきた。その意味では、まさに今、第三次世界大戦前夜とも言うべき複雑な外交戦が展開されている。トランプ・ゼレンスキー会談の決裂とその後の展開、欧州の反応などはまさに、そういう複雑な外交戦を反映したものだと言えるだろう。おそらく欧州国家はトランプ政権に対する不信感をさらに募らせ、米欧の分断傾向は、より顕著になった。こうした動きを「第三次世界大戦に近づいている」と警告する識者も少なくない。</p>

<div id="attachment_17394" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_283840984-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17394" class="wp-image-17394" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_283840984-scaled.jpg" alt="" width="400" height="267" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_283840984-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_283840984-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_283840984-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_283840984-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_283840984-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_283840984-2048x1365.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17394" class="wp-caption-text">英国ロンドン、ウェストミンスターにある国会議事堂前のデモで、ドナルド・トランプ米大統領とウラジミール・プーチン露大統領が描かれたプラカードを持って立つ抗議者たち。米ロの接近に欧州で危機感が高まっている（2025年３月５日撮影）© ロイター/アフロ</p></div>

<p>　トランプ大統領がロシアに接近し、ロシア有利の状況でロシア・ウクライナ戦争を早急に終わらせようとしている背景に、もう一つの意図があるとの見方もある。米国の最大のライバルである中国の脅威に対抗するために、米国の軍事リソースをインド太平洋へと振り分けたいという目的だ。また、中ロ関係の分断を狙う、いわゆる「逆ニクソン戦略」があるとも見られる。<br>
　「逆ニクソン戦略」とは、1970年代初頭にニクソン米大統領（当時）がキッシンジャー国務長官（当時）を通じて米中関係を電撃的に改善し、中国を西側自由主義社会に引き込むことに成功したことを踏まえている。第二次大戦後、米国を中心とする西側陣営と、旧ソ連を中心とする東側陣営が対抗する東西冷戦が続いていたが、50年代後半には中ソの対立も激化し、60年代末には中ソ間で核戦争が起こりかねないほど緊張関係が高まった。こうしたなか、前述のニクソン戦略によって米中との関係が改善され、結果的に核戦争も回避されたうえ、東西冷戦が終焉して旧ソ連が解体されるにいたった。</p>

<div id="attachment_17395" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/lossy-page1-771px-President_Nixon_meets_with_Chinas_Communist_Party_Leader_Mao_Tse-_Tung_02-29-1972_-_NARA_-_194759.tif.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17395" class="wp-image-17395" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/lossy-page1-771px-President_Nixon_meets_with_Chinas_Communist_Party_Leader_Mao_Tse-_Tung_02-29-1972_-_NARA_-_194759.tif.jpg" alt="" width="400" height="311" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/lossy-page1-771px-President_Nixon_meets_with_Chinas_Communist_Party_Leader_Mao_Tse-_Tung_02-29-1972_-_NARA_-_194759.tif.jpg 771w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/lossy-page1-771px-President_Nixon_meets_with_Chinas_Communist_Party_Leader_Mao_Tse-_Tung_02-29-1972_-_NARA_-_194759.tif-300x233.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/lossy-page1-771px-President_Nixon_meets_with_Chinas_Communist_Party_Leader_Mao_Tse-_Tung_02-29-1972_-_NARA_-_194759.tif-768x598.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17395" class="wp-caption-text">中国共産党の毛沢東指導者と会談するニクソン大統領（1972年２月29日撮影） © U.S. National Archives and Records Administration /wikimediacommons</p></div>

<p>　中国共産党を創設した毛沢東氏の死後、自由主義経済圏で国際デビューを果たした中国は国力を増強し、世界第二の経済大国になった。このプロセスで、中華民国・台湾は国際社会から締め出されたものの、米国の軍事的な庇護を受け独立状態を保ってきた。トランプ大統領は今日にいたるこうした国際社会の枠組みを米国主導で再構築するために、戦争で疲弊したロシアに手を差し伸べ、西側陣営に迎え入れる代わりに中国共産党を孤立させ、崩壊に追い込もうとしているのではないか、というわけだ。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>目的が一致するトランプ大統領とプーチン大統領</strong></span></p>
<p>　大国の論理を振りかざして小国ウクライナを翻弄するかのようなトランプ氏率いる米国に日本の保守層が比較的好意を寄せ、ウクライナに侵略したロシアに若干の理解を示す人すらいる背景には、「中国の脅威が縮小されるならばたいがいの不条理も見て見ぬふりをしたい」という心理が働いているのかもしれない。</p>
<p>　だが、仮に今後、逆ニクソン戦略が成功したとして、再構築される国際社会は、日本の保守層が期待するような形になるだろうか。ネオマーカティリズムの価値観で国際社会が再構築した場合、自国を守る軍隊も持たなければ、自立できる資源や食糧生産力もなく、米国が造った核の傘に身を寄せ、自由主義経済の枠組みに乗っかることで生きてきたひ弱な日本は、はたして国際社会で生き残ることができるだろうか。</p>

<div id="attachment_17396" style="width: 320px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_281584602-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17396" class="wp-image-17396" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_281584602-scaled.jpg" alt="" width="310" height="400" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_281584602-scaled.jpg 1984w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_281584602-233x300.jpg 233w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_281584602-794x1024.jpg 794w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_281584602-768x991.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_281584602-1191x1536.jpg 1191w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/aflo_281584602-1587x2048.jpg 1587w" sizes="auto, (max-width: 310px) 100vw, 310px" /></a><p id="caption-attachment-17396" class="wp-caption-text">ロシアのプーチン大統領とドナルド・トランプ米大統領が電話会談を行ったことを伝える表紙の日刊紙が、ロシア・モスクワの路上の新聞販売店に並べられていた （2025年２月13日撮影）© ロイター/アフロ</p></div>

<p>　さらに、そもそもトランプ大統領が目指す逆ニクソン戦略が本当に実現するのか、という懸念もある。香港で発行されている日刊の英字新聞、サウスチャイナモーニングポストは３月４日付報道によれば、ウクライナのクレバ元外相は「新しい現実についてはっきりさせておく必要がある」として、「米ロ接近はウクライナ問題にとどまらず、欧州全体の問題であること、そして理由は定かではないものの、トランプ大統領とプーチン大統領の目的が一致していること」を挙げたという。さらに同紙は、「この動きは、実は中国を利する可能性がある」とも指摘している。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>空洞に入り込む中国資金　米国が孤立する可能性も</strong></span></p>
<p>　トランプ米大統領の「逆ニクソン戦略」は、反中姿勢を鮮明に打ち出すマルコ・ルビオ米国務長官がオンラインニュースサイトのブライトバート・ニュースの取材に答えてそう解説したことで世間に広まった。だが、ウクライナのクレバ元外相は、「ありえない」と否定する。</p>
<p>　プーチン大統領がトランプ大統領と接近すれば、欧州の対米不信が深まって同盟関係は崩れ、そのすきに中国が欧州との関係強化に動くだろう。実際、トランプ政権が米国国際開発庁（USAID）などの国際開発組織を解体し、国連人権理事会や国連組織から相次いで離脱して各国の人道支援NGOが米国資金離れを余儀なくされている空洞に、中国の資金が入り込み始めている。例えばカンボジアは、地雷・不発弾除去プロジェクトに対する米国の資金援助が止まった直後、中国から新たに資金援助を受けることを表明した。欧米の一部の識者は、トランプ政権より中国の方が多極主義でリベラルだと言い出す始末だ。</p>

<div id="attachment_17397" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/512px-Cambodian_Landmine_museum_99572860.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17397" class="wp-image-17397" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/512px-Cambodian_Landmine_museum_99572860.jpg" alt="" width="400" height="299" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/512px-Cambodian_Landmine_museum_99572860.jpg 512w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/512px-Cambodian_Landmine_museum_99572860-300x224.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/512px-Cambodian_Landmine_museum_99572860-280x210.jpg 280w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/512px-Cambodian_Landmine_museum_99572860-150x112.jpg 150w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17397" class="wp-caption-text">カンボジア地雷博物館© tajai from Malaysia / wikimediacommons</p></div>

<p>　さらに米国には、トランプ大統領自身の性格による政策の不確実性に加え、４年ごとに大統領が選挙によって変わる可能性があり、大統領の座に就いた者の思想一つで国際安全の枠組みが動揺するという問題がある。他方、中国は習近平氏が長期にわたって政権の座にあり、経済的に低迷しつつ、世界で唯一、安定したパワーを維持してきた。もちろん、だからといって欧州諸国がいそいそと中国との間で自由貿易圏を設立するというわけにはいかないだろうが、米欧がこれまでがっちりと築いてきた同盟枠組みに、中国が入り込む余地は今後、さらに大きくなるだろう。</p>
<p>　これまで、中国はロシア寄りだと欧州から批判を受けてきた。しかし、トランプ政権がロシアに急接近している今、ウクライナの方が中国に秋波を送り始めている。ゼレンスキー大統領は１月22日、ブルームバーグのインタビューに答え、「習近平国家主席は、プーチン大統領に和平を強く呼びかけられる立場にある。ロシアの経済は中国への依存が高いからだ」と、中国への期待を口にした。ウクライナを恫喝したトランプ大統領と異なり、習近平国家主席がロシアとウクライナ双方と交渉できる関係を維持していることを示している。</p>
<p>　それだけではない。もしもプーチン大統領がトランプ大統領にすり寄るふりをしつつ、中国も裏切らず、中国主導による新たな国際社会の枠組みの再構築に協力することがあれば、今度は米国が世界から孤立する可能性もある。逆ニクソン戦略を図っているつもりの米国が、中国とロシアの結託によって欧州社会と分断され、インド太平洋諸国とも分断の罠にはまれば、米国一極主義の国際社会が瓦解するということだ。かつてニクソン戦略によって国際社会の枠組みが劇的に再構築されたのは、たかだか50年前の出来事であり、世界の人々の記憶に新しい。ゴルバチョフ・ソ連書記長（当時）の決断を失敗だと考えているプーチン大統領も習近平国家主席も、今度は米国の思惑通りには動くまいとするかもしれない。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>動揺する台湾政界と日本の尖閣諸島問題</strong></span></p>
<p>　さらに懸念すべきは、米国がロシアの武力侵攻による領土拡大を結果的に容認する形でロシア・ウクライナ戦争を終結させた場合、同様の論理で中国が台湾の武力統一に自信を抱くかもしれないということだ。少なくとも、ウクライナに対するトランプ政権の厳しい姿勢は、台湾政界の動揺を誘っている。事実、トランプ大統領は、「もし中国が台湾に武力で侵攻した場合、米軍を派遣して台湾を守護するか」とメディアから問われた際、言質を与えていない。同じ懸念は日本も持つべきだろう。万が一にも尖閣諸島が中国の軍事力で実効支配され、日本の自衛隊の力だけで奪還することが無理である場合、トランプ大統領は尖閣諸島を奪還するために米軍を派遣するだろうか。</p>
<p>　ロシア・ウクライナの戦争が早々に終結してほしいという願いが世界共通であるのは、言うまでもない。しかし、それによって世界が必ずしも平和になり安定するというわけにはいくまい。米中ロという、核を保有する大国がネオリベラリズムと真逆の価値観で国際社会の新たな枠組みを再構築することを望み、武力と経済力で領土拡張を競うような時代が始まるかもしれない。</p>
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		<title>ドイツから見えた慰安婦問題と、困窮した日本の女性を守る施設</title>
		<link>https://dotworld.press/comfort_women_issue_and_shelter/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 04 Mar 2025 04:37:34 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ドイツ]]></category>
		<category><![CDATA[日本]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[韓国]]></category>
		<category><![CDATA[駒林歩美]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://dotworld.press/?p=17339</guid>

					<description><![CDATA[<p>ベルリンで再び話題となった慰安婦像 　日本軍の慰安婦問題が日韓の政治問題となり、解決が困難になって久しい。問題は、筆者の住むドイツにも波及している。2011年に韓国・ソウルの日本大使館前に慰安婦像が置かれて以来、米サンフ [&#8230;]</p>
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]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>ベルリンで再び話題となった慰安婦像</strong></span></p>
<p>　日本軍の慰安婦問題が日韓の政治問題となり、解決が困難になって久しい。問題は、筆者の住むドイツにも波及している。2011年に韓国・ソウルの日本大使館前に慰安婦像が置かれて以来、米サンフランシスコなど世界各地に次々と設置され、ドイツ国内でもフライブルグ、フランクフルトなど数多くの都市に置かれてきた。</p>
<p>　2020年９月にベルリン中心部のミッテ区に置かれた慰安婦像は日本でも大きな話題となり、たびたび報道されてきた。日本政府は当初から像の撤去を求めてきたが、ミッテ区議会や市民による設置の支持を受け、４年以上そこにある。しかし、2024年５月のベルリン市長カイ・ウェグナーの訪日以降、市は撤去に向けて動き出した。ミッテ地区長は、公募によらず公有地に設置された像の設置許可を延長することは不可能とし、像の設置者である在独の市民団体・コリア協議会に同像の撤去を求めた。しかし、同団体は命令の差し止めを求めてベルリン行政裁判所に提訴しており、その判断が待たれている。撤去に対する抗議運動も起こり、その騒動は2024年６月頃からベルリンのメディアを中心に繰り返し報道されてきた。</p>

<div id="attachment_17340" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo1-scaled.jpeg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17340" class="wp-image-17340" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo1-scaled.jpeg" alt="" width="400" height="253" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo1-scaled.jpeg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo1-300x189.jpeg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo1-1024x646.jpeg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo1-768x485.jpeg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo1-1536x969.jpeg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo1-2048x1293.jpeg 2048w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17340" class="wp-caption-text">ドイツの市民団体・コリア協議会によってベルリンに設置された慰安婦像（2024年９月、筆者撮影）</p></div>

<p>　日本政府はかつて慰安婦問題を解決するために努力し、2015年の日韓合意でも解決が試みられた。しかし、合意決裂後の現在、解決に向けた議論すらあまりなされなくなっている。世界各地に設置される慰安婦像は増えているが、像は日本では「日本を非難する」ものとして捉えられ、拒絶反応が出がちだ。しかし、ドイツのコリア協議会は慰安婦問題を女性の人権問題として発信し、フェミニズムや戦時性暴力の問題として人々に受け止められている。そんななかでベルリン市に圧力をかけて像を撤去しようとする日本政府のやり方は、問題の解決に繋がらないどころか、ドイツ側に与える印象も悪く、得策ではないように筆者には思われた。<br>
　そこで、日本史・東アジア史を専門とし、慰安婦問題に関する著書もあるボン大学のラインハルト・ツェルナー教授に意見を仰いだ。教授は、日本政府のこれまでの解決に向けた取り組みでは「被害者たちの人間的な側面に十分な配慮を欠き、和解を目指す象徴的な行動に踏み切ることもできていない」と指摘する。教授は当事国ではないドイツに慰安婦像を設置することには否定的な立場だが、韓国側の主要な要求に応じて東京に従軍慰安婦に関する碑を設置することが解決につながると見ている。もし新たに設置することが難しいならば、すでに千葉の館山市に設置されている従軍慰安婦碑を外交に活用することが、慰安婦問題の解決につながるのではないかという意見も持っていた。<br>
　「日本政府は、なぜこの記念碑を外交に活用しないのでしょうか。たとえば韓国の政治家を正式に招待し、一緒に訪問するのも一案です。すでにこのようなものが日本国内に存在することを、日本の外交官はもっと発信すべきです」</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>過去を告白した元日本人従軍慰安婦</strong></span><br>
　館山市にある慰安婦碑とは、行き場のない女性のために長期自立支援施設「かにた婦人の村」に、1985年に木柱が建てられ翌年に石碑に改められた鎮魂碑だ。同施設に入所していた城田すず子さん（仮名）という女性が、従軍慰安婦だったという過去を告白し、死んでいった他の女性たちの慰霊を願いって設置した。「噫（ああ）従軍慰安婦」という文字が彫られており、毎年８月15日には、この像の前で鎮魂祭が開催されているという。<br>
　婦人保護施設（現 女性自立支援施設）は、1955年の売春防止法の成立後、行き場のなくなった女性たちの保護施設として始まった。かにた婦人の村は、障害があるなどより厳しい状況にある女性たちが長期間暮らせる施設として1965年に開設された。<br>
　同村の前施設長、天羽道子さんの2015年の講演録によると、城田さんは1921年 に東京の裕福な家庭に生まれ、成績も良く、女学校に通っていたものの、家の事業が傾いたために退学して奉公に出され、17歳で遊郭に売られるという過酷な人生を送った。台湾・南洋にあった軍人のための慰安所で働いた後、なんとか戦後に帰国するも家族に受け入れられず、各地の赤線地帯で体を売って生きていた。妹の死に際して、自分の職業のせいではないかと感じて足を洗うことを決意し、1955年にキリスト教系の団体が運営する救済施設（のちに婦人保護施設となった）「慈愛寮」に入寮し、教会に通い洗礼を受けた。その後、「かにた婦人の村」の創立者である深津文雄牧師と知り合い、同師が創設した東京都内の婦人保護施設「いずみ寮」に入所した。そこで、深津牧師が提唱した、行き場のない女性たちが長く安心して暮らせる村の設立を目指す「コロニー運動」に賛同したという。しかし、婦人の村に入所したのは、脊椎骨折によって6年半寝たきりでの入院を経てからだった。介護を受けて車椅子で生活できるくらいに回復したのちに過去の告白に至ったという。<br>
　しかし、その告白があった1980年代初めには、慰安婦の存在は公には知られていなかった。石碑の設置から３年後の1988年に韓国挺身隊問題対策協議会代表のユン・ジョンオク（尹貞玉）さん が「かにた婦人の村」を訪れた。それがきっかけとなって1990年に韓国KBSテレビが従軍慰安婦に関するドキュメンタリー番組を制作し、かにたにある慰安婦碑と城田さんを紹介した。その番組が反響を呼んだことが、1991年に韓国でキム・ハクスン（金学順）さんが、自分も慰安婦だったことを名乗ったきっかけになったそうだ。</p>
<p>　ドイツでもベルリンでの騒動に触れ、慰安婦問題について考えた筆者は、2025年１月に一時帰国した際、かにた婦人の村を訪問した。同施設は、東京に本部を置くキリスト教系の社会福祉法人「ベテスダ奉仕女母の家」によって運営されている。<br>
　慰安碑は、館山の丘の中腹に作られた村の中でも高い丘の上にあり、傾斜のある土地にさまざまな建物が建てられている。第二次世界大戦まで海軍が要塞として利用していた土地が安く払い下げられ、その山を切り開いて施設が作られた。かにた婦人の「村」には、深津牧師が提唱した「コロニー（共同体）」への思いが込められている。入所者の女性が中で農作業をしたり、パンを焼いたりして生活に必要なものを作り、それを分けあって自分たちの暮らしを作り上げることが目指されてきたからだ。作業のための建物やチャペルが施設内にはあった。</p>

<div id="attachment_17341" style="width: 273px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo3.jpeg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17341" class="wp-image-17341" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo3.jpeg" alt="" width="263" height="350" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo3.jpeg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo3-225x300.jpeg 225w" sizes="auto, (max-width: 263px) 100vw, 263px" /></a><p id="caption-attachment-17341" class="wp-caption-text">かにた婦人の村の中にあるチャペル（2025年１月、筆者撮影）</p></div>

<p><strong><span style="font-size: 14pt;">解決困難になった日韓問題</span></strong><br>
&nbsp;　かにた婦人の村の五十嵐逸美施設長に「従軍慰安婦碑を慰安婦問題解決に活用できる」というツェルナー教授の意見を伝えると、「戦時性暴力の反省と防止の象徴として活用することには反対です」と、断固否定された。<br>
　 施設は、今、困っている入所者のためにあり、碑を取り巻く事柄に支援スタッフの手を取られる余裕はない。また、政治的な主張をするために施設の敷地に無許可で入って写真や動画を撮られることで、入所者の身元や顔が外に知られることは許されない。</p>
<p>　「ここは、生きづらさを抱える女性の回復とリスタートのための施設です。城田さんは、そのような女性の一人としてここで生活し、この碑の建立を願い、当時の施設長だった深津文雄牧師がサポートしました。願いが実現した城田さんは、ご自分の過去からある程度癒やされ、安らかに生涯を終えました。この碑は、安心・安全が求められる施設に個人の願いで立てられたモニュメントなのです。法人としては、現入所者の生活を優先しなければなりません。故人から引き継いだ大切な遺産として、粛々と保存していきたいと思っています」</p>
<p>　日韓双方にそれぞれ課題を抱えているとしても、ツェルナー教授の言う通り、日本政府が韓国に寄り添う姿勢なしの解決は難しいのだろうと思った。城田さん本人と会ったこともあるという五十嵐施設長も、正面から向き合う必要があると言う。<br>
　「河野談話、村山談話で国が出した『お詫び』に立ち戻り、日本が戦時性暴力の防止に先頭立ってアナウンスし、活動すべきです。韓国政府と一緒に手をつなぎ、穏やかに平和にやるべきです」</p>

<div id="attachment_17342" style="width: 273px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo2.jpeg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17342" class="wp-image-17342" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo2.jpeg" alt="" width="263" height="350" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo2.jpeg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2025/03/Photo2-225x300.jpeg 225w" sizes="auto, (max-width: 263px) 100vw, 263px" /></a><p id="caption-attachment-17342" class="wp-caption-text">慰安婦碑（噫｟ああ｠従軍慰安婦）と彫られている（2025年１月、筆者撮影）</p></div>

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		<title>米国人とウクライナ人は「トランプ和平」に何を見ているのか</title>
		<link>https://dotworld.press/us_ukraine_views_on_trump/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 30 Dec 2024 03:31:42 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[アメリカ]]></category>
		<category><![CDATA[ウクライナ]]></category>
		<category><![CDATA[岩田太郎]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://dotworld.press/?p=17004</guid>

					<description><![CDATA[<p>　大統領選挙で「ロシアとウクライナの戦争をすぐに止めさせる」と公約して当選した米国のトランプ次期大統領。その就任が2025年１月20日に迫る中、2022年２月にロシアがウクライナに侵攻した際に対ウクライナ軍事支援に積極的 [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　大統領選挙で「ロシアとウクライナの戦争をすぐに止めさせる」と公約して当選した米国のトランプ次期大統領。その就任が2025年１月20日に迫る中、2022年２月にロシアがウクライナに侵攻した際に対ウクライナ軍事支援に積極的だった米世論は、様変わりした。具体的には、しつこいインフレや国民の負担増を招いた移民問題で米経済が疲弊するなか、これ以上のウクライナに対する援助に反対する声が賛成を上回り始めたのである。<br>
　一方、苦戦を強いられ、米国の軍事的な後ろ盾を失えば国が亡びるかもしれない被侵略国のウクライナでも、驚くべきことに半数近い国民が「トランプ次期米大統領を信頼する」と、世論調査に回答している。<br>
　ウクライナの戦勝や失地回復が見込めない非情な現実を受け、米国とウクライナの世論は何を物語るのか、読み解く。</p>

<div id="attachment_17006" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5-8.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17006" class="wp-image-17006" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5-8.jpg" alt="" width="400" height="255" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5-8.jpg 339w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/29d3bc99193cb0b837fb8cc53f050ae5-8-300x191.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17006" class="wp-caption-text">トランプ次期大統領と会話するウクライナのゼレンスキー大統領。トランプ氏の調停の下、ウクライナはロシアへの領土割譲を行う一方、長年の念願である北大西洋条約機構（NATO）加盟を断念せざるを得ない可能性が強い。(c)<a href="https://x.com/JamesPorrazzo/status/1868730174650634687">James Porrazzo / X</a></p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>形成を再逆転したロシア</strong></span></p>
<p>　当初はロシア軍に押されていたウクライナ軍の反転攻勢が成功した2022年の秋、ゼレンスキー大統領はロシア軍を一気に追い込むために、バイデン大統領に兵器の追加供給を訴えた。だが、バイデン氏は躊躇した。国家安全保障問題担当のサリバン米大統領補佐官は、「追い詰められたロシアが核兵器使用に踏み切る可能性がある」とバイデン大統領が考えたためだと示唆している。<br>
この及び腰の姿勢が仇となり、ロシアは形勢を再逆転させることに成功。現在、ウクライナの東部戦線では、ウクライナ軍が一方的に押され、次々と重要拠点を喪失している。</p>

<div id="attachment_17025" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-2.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17025" class="wp-image-17025" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-2.jpg" alt="" width="400" height="297" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-2.jpg 319w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-2-300x223.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/cbf5b9f60da99bf791c0aa12a770f429-2-150x112.jpg 150w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17025" class="wp-caption-text">ウクライナ軍の兵士たち。物量不足と人員欠乏でロシア軍に圧倒され、士気の低下が指摘されている。(c) <a href="https://x.com/P_Kallioniemi/status/1847509351893696747">Pekka Kallioniemi / X</a></p></div>

<p>　また、ウクライナ軍には、ロシアの西部クルスク州内への越境攻撃を敢行することによってウクライナ東部ドンバス州で攻勢を続けるロシア軍の主力をクルスク正面に転用させ、ドンバス正面のロシア軍の攻勢を弱めるという戦略的な意図があった。しかし、これは失敗に終わった。それどころか、クルスクの占領地では徐々に占領地を奪還されつつある。</p>
<p>　ウクライナの東部戦線におけるロシア軍の進撃速度は、2024年12月に入ってやや落ちたものの、依然として勢いを維持している。こうしたなか、ウクライナ軍は補給も部隊の増援も交替もなく士気が低下し、敵への投降も増加していると伝えられる。戦況は圧倒的に不利だ。こうした中、「泣きっ面に蜂」のことわざの如く、ロシアに同情的なトランプ次期大統領が就任するのだ。</p>
<p>　トランプ氏の調停の下でウクライナはロシアへの領土割譲を行う一方、長年の念願であった北大西洋条約機構（NATO）への加盟を断念せざるを得ない可能性が強い。これを受けてトランプ次期大統領は、一部ですでに崩壊しつつあるとされるウクライナ軍に対する米国の軍事支援は継続する方針を示したと、英フィナンシャル・タイムズ紙が伝えている。</p>
<p>　ロシアに有利な停戦を模索しながらも、ウクライナ全土がロシアに蹂躙される事態は回避する基本方針のようだ。こうしたトランプ次期大統領の方向性は、実は米世論とも呼応したものである。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>早期停戦へと傾く米国の世論</strong></span></p>
<p>　ウクライナに対する米国民の支持は、ロシアによる侵攻の直後から強かった。国際協調を重んじる民主党の支持者と、内向きな共和党の支持者の間で温度差があるとはいえ、2022年に侵攻が開始された当初は「ウクライナの失地回復を支援する」と答えた割合は全体で65%と過半数を大きく上回り、「早期の終戦が必要」だと答えた割合は30％ほどに過ぎなかった。</p>
<p>　ところが、2024年12月には「早期の終戦が必要」だと答えた割合が50％と、「ウクライナの失地回復を支援する」と答えた48％を初めて上回り、国内問題で疲弊した米国民がトランプ次期大統領の提言する停戦に傾いていることが明確に示された。</p>
<p>　これは、全体の68％が「ロシアとウクライナのどちらも戦争に勝っていない」と回答したことに見られるように、膠着した戦況の中で和平が現実的な解として浮上していることを物語っている。</p>

<div id="attachment_17011" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/5e4896966c9944fcf00890f4502605bf.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17011" class="wp-image-17011" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/5e4896966c9944fcf00890f4502605bf.jpg" alt="" width="400" height="346"></a><p id="caption-attachment-17011" class="wp-caption-text">米世論調査大手ギャラップがウクライナ侵攻の始まった2022年8月から継続して行う調査で2024年12月に、「早期の終戦が必要」が「ウクライナの失地回復を支援」を初めて逆転して上回った。（<a href="https://www.semafor.com/article/12/20/2024/more-americans-want-quick-end-to-ukraine-war-gallup-survey">Semafor</a>より）</p></div>

<p>　その一方で、同じ調査で、米国の対ウクライナ支援については「やり過ぎ」だと回答した割合が37％だったのに対し、「適切」だという回答が31％、「十分ではない」が30％と、依然として支援への熱意が高いことが示されたのは、興味深い。この割合は、民主党の支持者であるほど高くなる傾向がある。</p>

<div id="attachment_17012" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17012" class="wp-image-17012" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269.jpg" alt="" width="400" height="266" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269.jpg 335w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/1efad1b5aa917a846fa5b3fc11367269-300x200.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17012" class="wp-caption-text">ウクライナは、米国や英国、NATOなどからの砲弾供給に強く依存している。（c) <a href="https://x.com/TRTWorldNow/status/1861917955526705249">TRT World Now</a></p></div>

<p>　米ニューヨーク・タイムズ紙は2024年10月21日付の紙面で、各地の有権者の戦争に関するインタビューを<a href="https://www.nytimes.com/2023/10/21/us/united-states-israel-ukraine-war.html">掲載</a>した。</p>
<p>　バイデン大統領が米国民に対して行ったウクライナやイスラエルへの軍事支援に関する演説の中継を南部ジョージア州アトランタの酒場で聞いていたウィリアム・ミラー氏（50）は、「なぜ大統領は（米国内の）ホームレス問題やギャングの暴力の解決について話さないんだ？」と、疑問を口にした。</p>
<p>　その一方で、近くで飲んでいた元米陸軍衛生兵のアンソニー・べガンド氏（56）は、「米国は同盟国を支える必要がある」と述べ、ウクライナへの軍事支援を支持した。また、別のテーブルにいたティム・ヤング氏（57）も、「米国には、ウクライナを支えるだけの資金が十分にある」と答えた。</p>
<p>　今回の大統領選で最激戦州となった東部ペンシルベニア州では、フィラデルフィア在住の元警察官、アルバート・アルテンバーガー氏（85）が、「ウクライナでもイスラエルでも戦争は泥沼化しているのに、なぜ米国はウクライナに金を送らなければならないのかい？なぜわれわれが全世界の面倒をみなきゃならないんだ？」と記者に畳みかけた。</p>
<p>　このように、米世論は割れながらも、全体的には停戦に傾いている。そうした大衆感情の波に乗って再選を果たしたトランプ次期大統領が戦争の終結を急ぐことは、間違いない。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>不利な停戦案を受け入れ次のステップへ</strong></span></p>
<p>　こうしたなか、米政治サイトのポリティコは2024年12月10日、ウクライナで実施されたトランプ次期大統領に関する世論調査の<a href="https://www.politico.eu/article/more-than-44-percent-ukrainians-trust-us-donald-trump-poll-war/">結果</a>を報じた。</p>
<p>　それによれば、2023年の時点では、ロシアに有利な形で停戦を訴えていた当時のトランプ前大統領に対するウクライナ国民の支持は10%にとどまった一方、ウクライナ支援に積極的なバイデン大統領に対する支持は78%と圧倒的であった。</p>
<p>　ところが、トランプ氏が大統領選を制した直後の2024年11月中旬に1000人のウクライナ国民を対象に実施された新たな調査によれば、「トランプ次期大統領を信頼・支持する」という回答が44.6％と37ポイント近い急上昇を見せた一方、バイデン現大統領に対する支持は55％へと下落した。</p>

<div id="attachment_17013" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17013" class="wp-image-17013" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73.jpg" alt="" width="400" height="266" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73.jpg 338w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/7d6fddc4d5f4457e598413974089fe73-300x200.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-17013" class="wp-caption-text">ウクライナ世論の変化とトランプ氏の返り咲きを受け、ゼレンスキー大統領は極めて厳しい選択を迫られる。（c) <a href="https://x.com/front_ukrainian/status/1773967839474352285">MilitaryNewsUA / X</a></p></div>

<p>　これは、失地の回復を切望しながらも、多くのウクライナ国民が自国に不利な戦況を前により現実的になり、トランプ次期大統領が推進するウクライナに不利な停戦案を受け入れ次のステップに進む心の準備をしていることを物語る結果だ。　</p>

<div id="attachment_17014" style="width: 309px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/7adfed136bf50c6b1f5c23f5919c3a0a.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-17014" class="wp-image-17014" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/7adfed136bf50c6b1f5c23f5919c3a0a.jpg" alt="" width="299" height="400" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/7adfed136bf50c6b1f5c23f5919c3a0a.jpg 252w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/7adfed136bf50c6b1f5c23f5919c3a0a-224x300.jpg 224w" sizes="auto, (max-width: 299px) 100vw, 299px" /></a><p id="caption-attachment-17014" class="wp-caption-text">ウクライナ和平のカギを握る「タイム誌2024年今年の人」のトランプ次期大統領。（c) <a href="https://x.com/TiffanyFong_/status/1867190384100532727">Tiffany Fong / X</a></p></div>

<p>　もちろん、ウクライナ人は停戦交渉を楽観しているわけではない。事実、同じ世論調査では、64.1％の人々が「ロシアとの交渉に懐疑的」だと回答している。また、現在の米国を含む西側諸国のウクライナ支援についても、57.2％が「不十分」だと答え、「西側諸国はできる限りのことをやってくれている」と答えた40％を上回っている。</p>
<p>　加えて、次期米大統領としてのトランプ氏の仲介が成功するかも、現時点では不明だ。しかし、米国だけでなく、ウクライナの世論も「トランプ和平」に好意的に傾きつつある現状は、第２次世界大戦後に米国主導で確立された国際協調の仕組みが根源的に変化したことを物語っている。</p>
<p>　2017～2021年の第１次トランプ政権の時には、「戦後国際協調のシステムは『トランプ後』に回復する」と見られていたのだが、そうではなく、各国世論が恒久的に変質してしまったと見るのが妥当だろう。</p>
<p>　これは、トランプ氏の掲げる「米国第一主義」が米国において党派を問わず一般国民に広く浸透し、その現実が世界でも受容され始めていることを示すものだ。また、米国以外でも「自国第一主義」は逆らえない潮流になりつつある。</p>
<p>　こうしたなか、地政学的な安定が世界から失われつつある。奪い取ったウクライナの領土を停戦協定によって自国領とできるはずのロシアでさえ、アサド独裁政権を支えるだけの余裕を失っていたことが直近のシリアの政変によって露呈するなど、大国としての地位の弱体化が目立つ。</p>
<p>　ウクライナにおける「トランプ和平」がどのような形を取るにせよ、世界は地政学的な再編と激動の時代に突入したようだ。日本も、地政学の現実に目覚めて対応をとるべき時期に来ている。</p>
<p>&nbsp;</p><p>The post <a href="https://dotworld.press/us_ukraine_views_on_trump/">米国人とウクライナ人は「トランプ和平」に何を見ているのか</a> first appeared on <a href="https://dotworld.press">dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</a>.</p><div class='yarpp yarpp-related yarpp-related-rss yarpp-template-list'>
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		<title>政治の混乱と経済危機で強まるドイツの右傾化</title>
		<link>https://dotworld.press/germany_shift_to_the_right/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 20 Dec 2024 00:31:30 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ドイツ]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<category><![CDATA[駒林歩美]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　12月16日にオラフ・ショルツ首相の信任投票が否決された。それを受け、2025年２月23日に解散総選挙がなされる。もともと任期満了に伴う総選挙が９月に予定されていたが、前倒しに実施されることになる。任期中の議会解散はド [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　12月16日にオラフ・ショルツ首相の信任投票が否決された。それを受け、2025年２月23日に解散総選挙がなされる。もともと任期満了に伴う総選挙が９月に予定されていたが、前倒しに実施されることになる。任期中の議会解散はドイツでは珍しく、約20年ぶりになるという。</p>

<div id="attachment_16837" style="width: 460px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo1-scaled.jpeg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-16837" class="wp-image-16837" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo1-scaled.jpeg" alt="" width="450" height="237" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo1-scaled.jpeg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo1-300x158.jpeg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo1-1024x539.jpeg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo1-768x404.jpeg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo1-1536x808.jpeg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo1-2048x1077.jpeg 2048w" sizes="auto, (max-width: 450px) 100vw, 450px" /></a><p id="caption-attachment-16837" class="wp-caption-text">ドイツ・ベルリンにある連邦議会議事堂 （筆者撮影）</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>異例の連邦議会解散</strong></span></p>
<p>　議会解散のきっかけとなったのは、11月６日の連立政権崩壊だ。2021年12月に成立した三党連立政権は運営が膠着し、2022年半ば以降、支持率は下がっていた。三党のうち、中道左派「社会民主党」（SPD）、環境政党「緑の党」は歳出を増やして課題に問題に対応しようとしてきたが、親ビジネス政党「自由民主党」（FDP）がそれに反対したため、対立が続いた。</p>
<blockquote class="twitter-tweet">
<p dir="ltr" lang="de">Der Kanzler stellt die Vertrauensfrage, der Wahlkampf läuft längst aus dem Ruder. Die politische Kultur kippt. Danke für nichts, Ampel! Eine Analyse. <a href="https://t.co/tENotf5Vfk">https://t.co/tENotf5Vfk</a> <a href="https://t.co/9JpC85Fb3l">pic.twitter.com/9JpC85Fb3l</a></p>

— WirtschaftsWoche (@wiwo) <a href="https://twitter.com/wiwo/status/1868549542313939128?ref_src=twsrc%5Etfw">December 16, 2024</a></blockquote>
<p><script async="" src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script><span style="font-size: 8pt;">2021年末に成立した連立政権は、各党の色を取って「信号連立」（赤・SPD、緑・緑の党、黄・FDP）と呼ばれた</span></p>
<p>　崩壊の引き金になったのは、米国でトランプが次期大統領に選出された直後、FDP党首のクリスティアン・リントナー（FDP）が財務大臣を解任されたことだ。オラフ・ショルツ首相（SPD）は、リントナーが「国益よりも党の利益を優先した」とコメントしている。その後、FDPは連立から離脱し、連立政権は過半数を満たせなくなった。FDPは連立与党中で最も議席が少なかったが、財務を握っていたために強力な権力を有していたためだ。現在、ドイツは経済危機に見舞われているが、それでも機動的に必要な政策を十分に打ち出すことが難しくなっていた。</p>
<p>　ドイツでは憲法で「債務ブレーキ」が定められており、連邦政府の構造赤字をGDPの0.35％までに制限することが求められている。緊急時は条件付きで制限を超えることが許されており、ショルツ首相と緑の党はウクライナでの戦争を緊急時の理由として、このブレーキを超える歳出を望んだ。一方、FDPは債務ブレーキに固執して債務増加を嫌い認めなかったため、折り合いがつかなかった。</p>
<p>　そんな対立の中で作り上げられた2025年の予算案は、連邦議会による承認前に連立が崩壊してしまった。承認は選挙後に内閣が成立し、議会が招集された後になると見込まれている。政治的決断ができないなか、政府は仮予算をもとに運営されることになり、大きな歳出が難しい。しかし、ドイツでは経済危機、防衛・軍備への投資、ウクライナへの支援、デジタル化、インフラ危機など、対応すべき問題は山積みである。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>支持を伸ばす極右政党</strong></span></p>
<p>　現政権は当初、リベラル政権として改革が期待されていたが、政権運営の膠着によって支持を落とし、右寄りの政党が支持を集めていった。12月初めに調査会社インフラテスト・ディマップが行った世論調査によると、保守政党のキリスト教民主・社会同盟（CDU・CSU）に対する支持が32%を占め、首位に立つ。同党が選挙で勝利することは、現在、ほぼ確実視されている。</p>
<p>　一方、問題視されているのは、極右ポピュリズム政党「ドイツのための選択肢（AfD）」が18％と、２番目に多くの支持を集めていることだ。同党は、「右翼過激派の疑いがある組織」として連邦憲法擁護庁によって数年間監視されてきた。しかし、2021年の選挙時には10％程度だった同党への支持率は、23年後半には20％を超えた。2024年１月には、同党に所属する議員の一部が、移民や「同化していない市民」を含む数百万人を国外追放する「基本計画」について議論していたことが報じられ、各地で大規模な反AfDデモが起きたものの、その勢いは止まらない。</p>
<p>　事実、AfDは2024年９月の欧州議会選挙で躍進し、２番目に多く得票した。さらに、その後、旧東独のチューリンゲン州、ザクセン州、ブランデンブルグ州で行われた州議会選挙では各州で３分の１の議席を獲得し、議会に及ぼす影響力を高めている。AfDが第一党となったチューリンゲンでは他3党が連立政権を形成するなど、政権入りは各州で逃しているものの、AfD外しを目指して形成された州の連立政権は政策面での対立を抱え、今後の議会運営には不安定さが残る。</p>
<p>　11月13日、113人の連邦議会議員によって、AfDの政党活動禁止検討を求める動議が提出された。ドイツでは憲法で「自由民主主義の基本秩序を弱体化または廃止しようとする」政党を禁止することが認められているため、憲法裁判所の判断を仰ごうという狙いだ。とはいえ、実際に禁止された政党は過去に非常に少なく、そのためのハードルは高い。さらに、無理やりAfDを禁止しようとすれば、現在の政治のあり方そのものに疑問を唱える同党の議論に正当性を与えかねないことから、この裁判には反対の声も多い。</p>
<p>　そんななか、きたる2025年２月の総選挙でAfDがどこまで連邦議会で票を伸ばすかが注目されている。反移民・反民主主義的な主張をするAfDと連立を組むことは、ドイツではタブー視されており、同党が連立与党入りする見込みは、今のところない。しかし、同党の議席が大幅に増えれば、その分、安定的な政権運営が難しくなることは間違いない。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>深刻化するドイツ経済の停滞</strong></span></p>
<p>　政治が不安定化するドイツでは、深刻な経済危機にも見舞われている。ドイツのGDPは日本を追い抜いて世界第３位となったものの、2024年は2年連続でマイナス成長となる見込みだ。特に製造業における打撃が大きく、コストの増加と需要の減少によって廃業に追い込まれる事業が増えている。ドイツ連邦統計局の調査によると、2024年１月の製造業の廃業数は、戦争前の2022年同月より20%程度増えた。</p>
<p>　かつてドイツでは、ロシアから安いガスを輸入して作った製品を、中国という巨大な市場に輸出することで大きな利益を出してきた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻後はエネルギー価格が高騰し、ロシアからの資源の輸入を断たなければならなくなった。そのためにドイツでは10％を超えるインフレが続き、人件費が上昇して、製造業は大幅なコスト増に見舞われている。</p>
<p>　さらに、中国とは地政学的な対立が生じ、逆に中国から電気自動車などの製品が次々にドイツに流入するようになった。そんななか、EUはドイツの反対を押し切って、中国から輸入されるEVに高率の関税を課す決定を下したため、中国からの報復措置が恐れられており、もともとのドイツのビジネスモデルが崩壊しつつある。</p>
<p>　ドイツを代表する自動車メーカーのフォルクスワーゲンは2024年10月、経営不振からドイツ国内の工場を複数閉鎖する意向を示した。背景にあるのは中国市場での不振と、大幅に投資をしていたEVへの市場の移行が停滞したことがある。雇用維持を求める労働組合と、人件費が高いドイツでの操業を縮小したい経営陣が対立し、12月にはストライキも行われるなど、話し合いは続く。</p>
<p><iframe loading="lazy" title="YouTube video player" src="https://www.youtube.com/embed/LQ8U631Zx_k?si=NF4_TgZcH0f9OlDj" width="560" height="315" frameborder="0" allowfullscreen="allowfullscreen"></iframe><span style="font-size: 8pt;">雇用維持を求める労働組合と、人件費が高いドイツでの操業を縮小したい経営陣が対立し、12月にはストライキが続いている。</span></p>
<p>　それ以外にも、大企業の工場縮小、人員削減が次々と発表されている。大手鉄鋼メーカーのティッセンクルップが１万1,000人の削減を予定しているほか、大手化学メーカーBAMFもドイツ工場の縮小を発表している。クリスマスを前に、多くの人が仕事を失う不安を抱えているわけだ。</p>
<p>　こうしたなか、政府による経済対策が求められてきたが、連立政権が崩壊したため、すぐには大きな手を打ちにくい。25年度予算もないなか、景気浮揚の成長戦略や財源確保は難しい。</p>
<p>　経済・社会不安が広がるなかで、AfDや、左派ポピュリスト政党であるザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟（BSW）など、移民を嫌う政党が総選挙で支持を伸ばすことが予想されている。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>移民の抑制とムスリムの統制を掲げる保守政党</strong></span></p>
<p>　さらに、次の首相になる可能性が高いと予想されているCDUのフリードリッヒ・メルツ党首は、同党を保守化させている。リベラルな政策を次々に取り入れた前CDUのアンゲラ・メルケル前首相は同党を中道に寄せたが、そのために伝統的保守層が同党を離れ、極右支持に移行したという批判がドイツにはある。AfDへの対抗を意識するなか、CDUは右傾化を進めている。</p>

<div id="attachment_16843" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo2.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-16843" class="wp-image-16843" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo2.jpg" alt="" width="400" height="266" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo2.jpg 512w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/Photo2-300x200.jpg 300w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-16843" class="wp-caption-text">CDUのフリードリッヒ・メルツ党首 (c)Steffen Prößdorf / wikimediacommons</p></div>

<p>　CDUは、近年、問題視されることが増えてきた前出の「債務ブレーキ」を支持する。同ルールは、政府による無駄遣いをなくすためにメルケル時代に憲法に組み込まれたのだが、その制約のために機動的な財政出動と必要な改革が妨げられるというデメリットがある。課題が山積みの今、約半数の経済学者がその改正が望ましいと述べているが、憲法改正は容易ではない。この規制は厳しく、2021年にコロナ対策のために国債を発行して調達した資金の余剰金を政府が2022年の気候変動対策に転用していたことについて、連邦憲法裁判所は2023年末に違憲とした。そのために600億ユーロ（約９兆6,000億円）の財政赤字が発生し、電気自動車（EV）への補助金などが途中で断たれるなどの混乱も生じて、政権に対するイメージを悪化させた。</p>
<p>　注目すべきは、CDUが移民の抑制・ムスリムの統合を党のマニフェストに含めたことだ。ドイツは2015年、メルケル政権（当時）の下で中東から100万人以上の難民申請者を受け入れた。大規模な難民受け入れについては当初は歓迎ムードだったが、次第に反発が高まり、CDUは支持を落とし、AfDの連立議会入りを招いた。</p>
<p>　そんななか、CDUは移民について「無秩序な移民に歯止めをかけ、人道的な移民をドイツの統合能力に過度の負担をかけないレベルに制限する」としている。その手段として同党が主張するのは、難民申請者の審査をルワンダで実施することだ。そうすることで、難民認定を求めてやってくる人々の流入を抑制しようというのだ。しかし、第三国での難民審査を実現しようとしてきたイギリスの政策を、欧州人権裁判所や英国最高裁判所は「人権違反」に相当すると判断している。</p>
<p>　CDUのマニフェストでは、イスラム教徒は「我々の価値観を共有する限り」ドイツに属すると記載されている。ドイツには現在、500万人ほどのイスラム教徒がいるが、リベラルな価値観やドイツの政治体制を否定する者、過激派などには居場所はないというわけだ。</p>
<p>　この右傾化は、AfDの支持者を取り込むための努力でもあると考えられるが、そうすることで、逆にAfDの正当性を高めてしまうことになりかねないという見方もある。メルケル前首相は、独誌「シュピーゲル」のインタビューで、「AfDの代わりに選挙で選ばれるため、難民が多すぎるという過激なコメントをしなくてはいけないと考える人がいる。しかし、それは間違っている。正反対だ」と述べている。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>シリア・アサド政権崩壊で再燃する難民問題</strong></span></p>
<p>　そんな折、12月７日にシリアでアサド政権が崩壊した。シリアではイスラエルによる空爆も続いており、今後の状況は不確実である。しかし、「多すぎる難民」に反対してきたCDUやAfDの政治家は、その直後から、シリア人の帰国を勧めるような発言をしている。</p>
<p>　メルツ党首と関係が深いとされるCDUのイエンス・シュパーン議員は、シリアからの人々の帰還を促すため、各人に1,000ユーロ（約16万円）の配給と、チャーター便の手配を呼びかけた。CSU党首でバイエルン州首相のマルクス・セーダー氏も、大規模な帰還方法を検討するよう求めている。</p>
<p>　さらにアサド政権崩壊の翌日、連邦移民・難民局（BAMF）は、シリア人からの難民申請の審査を即時凍結した。現在申請中の４万7,000人程度が影響を受ける。今後シリアの状況がどうなるかはわからないとして、ナンシー・フェーザー内務大臣（SPD）は最終的な帰還についてコメントすることに否定的だ。今回の措置は、不確定な状況の中での審査の一時的な停止と考えられる。しかし、次の政権がどう判断するかはわからない。ドイツの発表に続き、イギリス、オーストリア、ノルウェー、デンマークなど、数々のヨーロッパの国々も、シリア人による難民申請の審査凍結を発表した。</p>
<p>　一方、労働力不足に苦しむドイツでは、シリア人の帰還を促すような声は、社会を苦境に追いやるという懸念も生まれている。シリア出身者の多くは建設、飲食、介護などの分野で働いており、 ドイツで重要な労働力になっている。ドイツで働く外国出身の医師として最も多いのもシリア人だという。さらに、医療従事者の６％をシリア出身者が占める。ドイツ保健省は、現在、看護部門で約20万人の欠員があると発表しており、シリア出身の医療従事者がドイツを去れば、保健セクターはますます逼迫する。</p>
<p>　2023年末までに16万人以上のシリア人が帰化した。筆者の周囲にいるシリア出身者はドイツに帰化している人も少なくなく、現状で帰国を考えている人はいない。今後シリアがどういう状況に置かれるかわからないため、現状では一時訪問ですらまだ検討できないという答えが返ってきた。すでに10年以上ドイツで暮らしており、シリアには生活の基盤も家族もいないという人もいる。幼い頃にドイツに来て、ドイツで学校に通い、シリアのことはあまり知らないという若者も多い。</p>
<p><iframe loading="lazy" title="YouTube video player" src="https://www.youtube.com/embed/mU7WDwvEsus?si=ansb6k0QsTPl58AF" width="560" height="315" frameborder="0" allowfullscreen="allowfullscreen"></iframe><span style="font-size: 8pt;">ドイツには現在、100万人ほどのシリア人がいる</span></p>
<p>　いずれにせよ、2025年２月の選挙では、移民問題が選挙運動で大きく取り上げられることが予想される。程度の問題こそあれ、政府の右傾化は避けられなさそうだ。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p><p>The post <a href="https://dotworld.press/germany_shift_to_the_right/">政治の混乱と経済危機で強まるドイツの右傾化</a> first appeared on <a href="https://dotworld.press">dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</a>.</p><div class='yarpp yarpp-related yarpp-related-rss yarpp-related-none yarpp-template-list'>
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		<title>ベルリンで体験した世界の鉄道の「破壊と創造」</title>
		<link>https://dotworld.press/berlin_destruction_and_creation_of_world_railway/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 10 Dec 2024 10:54:38 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ウクライナ]]></category>
		<category><![CDATA[ドイツ]]></category>
		<category><![CDATA[中国]]></category>
		<category><![CDATA[土方揚]]></category>
		<category><![CDATA[日本]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://dotworld.press/?p=16765</guid>

					<description><![CDATA[<p>　ドイツ・ベルリンで２年に１度、開催される鉄道の国際見本市「イノトランス」には、開発されたばかりの最新の鉄道車両がずらりと並ぶのが恒例だ。世界の最新の鉄道事情を知ろうと、鉄道会社やメーカー、政府関係者、そして鉄道ファンも [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　ドイツ・ベルリンで２年に１度、開催される鉄道の国際見本市「イノトランス」には、開発されたばかりの最新の鉄道車両がずらりと並ぶのが恒例だ。世界の最新の鉄道事情を知ろうと、鉄道会社やメーカー、政府関係者、そして鉄道ファンも一堂に会する。2024年の会場には、「破壊と創造」の展示が並んだ。　</p>

<div id="attachment_16766" style="width: 460px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6204b-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-16766" class="wp-image-16766" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6204b-scaled.jpg" alt="" width="450" height="239" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6204b-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6204b-300x159.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6204b-1024x544.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6204b-768x408.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6204b-1536x815.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6204b-2048x1087.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 450px) 100vw, 450px" /></a><p id="caption-attachment-16766" class="wp-caption-text">世界の鉄道技術が集結したイノトランスの会場（2024年９月25日、ドイツ・ベルリンで筆者撮影）</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>ウクライナ鉄道の駅名標が伝えるロシアの銃撃痕</strong></span></p>
<p>　2024年９月24日から27日にかけて開催された今回のイントランスで話題の中心だったのは、AI技術と、水素燃料電池列車など環境関連の技術である。どちらも鉄道の未来には不可欠な技術であり高い注目を集めていたが、会場の一角に異質な展示があった。ウクライナ鉄道のブースである。</p>
<p>　そこには、銃撃で穴だらけになった駅名標が飾られていた。スマホの翻訳機能付きカメラを駅名標にかざすと、「ソリャニキ5世」駅と書かれているようだ。その傍らには焼けこげた看板もあり、大部分が真っ黒になっているものの、同じようにカメラをかざすと、「アンスク」、「専門家」、「スタッフ」といった単語だけが読み取れる。アンスクとはザボリージャ州ベルディアンスクのことだろうか。その街では激しい戦闘があり、現在はロシアの占領下に置かれていると聞く。その地にある駅に掲げられていた駅員室の看板なのかもしれない。</p>

<div id="attachment_16767" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6150-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-16767" class="wp-image-16767" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6150-scaled.jpg" alt="" width="400" height="267" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6150-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6150-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6150-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6150-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6150-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6150-2048x1365.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-16767" class="wp-caption-text">ウクライナ鉄道のブースには、銃撃で穴だらけになった駅名標が展示されていた （2024年９月24日、ドイツ・ベルリンで筆者撮影）</p></div>

<p>　看板の横には、戦時下のウクライナ鉄道に関する状況が英語で説明されていた。そこにはこんなことが書かれていた。</p>
<p><span style="font-family: 'times new roman', times, serif;">　<em>ウクライナ鉄道は、連日のように、駅、列車、軌道、事務用の建物などがロシア軍の攻撃の標的になっているが、乗客や貨物の輸送は止めていない。これまでに鉄道作業員のうち707人が死亡し、1982人が負傷した。亡くなった鉄道作業員の遺児たちは、ウクライナ鉄道が責任を持って金銭的・社会的なサポートを行うとともに、破壊された従業員の住居も再建している。</em></span></p>
<p>　前回、2022年9月に開催されたイノトランスには、当時、ウクライナ鉄道のCEO（最高経営責任者）を務めていたオレクサンドル・カムイシン氏が出席し、ドイツ鉄道との間で業務提携契約を締結。ドイツ鉄道からウクライナの鉄道インフラの復興支援や鉄道の運用管理手法に対するアドバイスを得ることで合意した（<a href="https://dotworld.press/ukraine_railway_business_after_war/">「水面下で動く「終戦後」のウクライナ鉄道ビジネス」2023年６月23日掲載</a>）。</p>
<p>　当時は、戦争がこれほど長引くとは、誰も予想していなかっただろう。新しい鉄道を建設し、既存の鉄道をより良いものにするために技術を紹介することを目的に開かれるイノトランス。しかし、この一角だけは、今、まさに鉄道インフラの破壊が進行していることを、如実に示していた。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>ハイパーループ開発の最新状況も明らかに</strong></span></p>
<p>　技術の話に戻ろう。イノトランスの会場に展示されていたのは、AIや環境対策に関するものだけではなかった。たとえば、真空のチューブの中をポッドと呼ばれるカプセル状の乗り物が超高速で走行する「ハイパーループ」。リニアモーターカーと同様に磁気浮上式で走行するが、空気抵抗がないため、JR東海が開発するリニア中央新幹線の時速500kmの２倍、つまり時速1000kmでの走行が可能という。</p>
<p>　2013年には、テスラやスペースXで知られるイーロン・マスク氏がアメリカのロサンゼルスとサンフランシスコ間をハイパーループで結ぶという構想を発表し、大きな話題を呼んだ。その後も、リチャード・ブランソン氏率いるヴァージングループをはじめ、世界各国で多くの企業がこの事業に参入し、研究や開発にしのぎを削っている。</p>

<div id="attachment_16768" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6162-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-16768" class="wp-image-16768" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6162-scaled.jpg" alt="" width="400" height="267" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6162-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6162-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6162-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6162-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6162-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_6162-2048x1365.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-16768" class="wp-caption-text">磁気浮上式で走行するハイパーループは、空気抵抗を受けないために時速1000kmでの走行が可能だ （2024年９月24日、ドイツ・ベルリンで筆者撮影）</p></div>

<p>　会場に展示されていたポッドの斜体には、「TUM ハイパーループ」と書かれていた。TUMとは、多くのノーベル賞受賞者を輩出したドイツの名門、ミュンヘン工科大学（TUM）のことである。同校の航空宇宙工学・測地学部が、バイエルン州の協力を得てハイパーループを開発しているのだ。ミュンヘン郊外にテストコースも建設しているという。ポッドに見入っていると、「2023年７月にはヨーロッパで初めて客を乗せたポッドが真空のチューブ内を走行しました」と、スタッフが誇らしげに語った。「今後はテストコースの距離を１km程度に延長し、試験走行を重ねてデータを蓄積していきたい」という。</p>
<p>　日本国内では、「ハイパーループが実現すれば、リニア中央新幹線は不要だ」という声も聞かれる。しかし、そもそもハイパーループもリニアモーターカーも、磁気によって浮上し走行するという点で原理は同じであるうえ、チューブを真空にする必要があるという点で、ハイパーループの方が難易度は高い。しかも、本来なら空路で移動すべき長距離区間を短時間で移動できることがハイパーループの強みなのだが、それほど長距離にわたり真空チューブを敷設するには多額の建設費用がかかることは、誰の目にも明らかで、「まずは近距離から始めるのが現実的」というのが、一般的な見方だ。その意味では、都市内移動や空港アクセスなど、短距離での活用が有力視されているが、短距離では十分な時間短縮効果が得られないため、費用対効果で疑問が無残る。イノトランスの会場で得た情報から判断する限り、ハイパーループはあくまで未来の乗り物であり、実用化されるまでには相当な年月がかかりそうだ。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>より現実的な日本の「新交通システム」</strong></span></p>
<p>　もう少し現実味のある展示はないだろうかと思って会場内を歩き回っていたら、お膝元、日本企業が集積する「ジャパンバビリオン」で出くわした。三菱重工業のAGTである。</p>
<p>　AGTとは、Automated Guideway Transit（自動案内軌条式旅客輸送システム）の頭文字を取ったもので、小型で軽量の車両がコンピューター制御による自動運転で専用軌道上の「案内軌条」に従いゴムタイヤで走行する交通システムである。路面電車やバスでは輸送力が足りないものの、鉄道では輸送力が過多になるような区間で利用される中間的な存在として誕生した。日本では新交通システムと呼ばれることが多く、東京臨海新交通「ゆりかもめ」、日暮里・舎人ライナー、最多新都市交通「ニューシャトル」などがその代表例として挙げられる。</p>
<p>　AGTは、一般的な鉄道より小型で軽量な車両を用いるため建設費を抑えることができ、ゴムタイヤを使用するため鉄輪と比べて急勾配でも走行できる。しかも、ゴムタイヤは鉄輪より騒音レベルが小さいため、住宅街でも走行できる。海外ではフランスのリール、トゥールーズ、イタリアのトレノ、シンガポール、台湾・台北などの都市で採用されている、近年は、都市間の輸送にとどまらず、世界の大型空港でターミナル間の移動手段としてAGTが続々と採用されている。日本では三菱重工業がAGTを得意としているが、海外ではフランスのアルストムやドイツのシーメンスといった大手メーカーも手がけており、国際間での受注競争は厳しい。</p>
<p>　そんななか、三菱重工がライバル勢に打ち勝つために導入した技術が、給電レールが不要になる「架線レス」である。近年、架線から電力を取り入れる代わりに、バッテリーで走行する列車の開発が進んでおり、この仕組みをAGTに取り入れた。日本では近年、特にCO2の削減などの観点から、非電化区間でディーゼル列車からバッテリー列車への置き換えが期待されている。しかし、AGTについては、別の狙いもありそうだ。</p>
<p>　AGTの車両は、新開発された蓄電デバイスが供給する電力で走行している。駅に停車すると、客の乗降するわずかな時間で急速充電し、次の駅に向かうための電力を確保する。AGTの給電レールが不要になれば、その分、建設コストは安く済むし、軌道の小型化も可能になる。しかも、給電レールがない分、保守費用が削減できる。</p>
<p>　軌道の小型化には、ほかにもメリットがある。同社のこれまでのAGTは最小曲線半径が30mだったが、これをさらに小さくでき、よりきついカーブにも対応できるようになる。これは、用地取得が楽になるということを意味する。</p>
<p>　AGTの登場は1970年代であり、決して最新の技術というわけではない。しかし、その進化は著しく、高度にシステム化されて無人運転を行っている路線も少なくない。しかも、現実的な形で進化が続いているとあれば、ハイパーループよりはるかに期待度が大きいと言えよう。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>シーメンスが開発した「砂漠仕様」の高速列車とは</strong></span></p>
<p>　イノトランスの会場内では、シーメンスとアルストム、そして、中国中車という大手メーカーの展示スケールが、他を圧倒していた。シーメンスが会場に持ち込んだのは、高速列車「ヴェラロ」のエジプト向け仕様だった。高速列車は、つねに気象条件の良い場所を走行するとは限らない。酷暑の中を走ることもあれば、極寒の中を走ることもある。エジプトといえば砂漠環境であるため、この車両には、機器の故障の原因になりかねない砂塵の侵入を防ぐといった対策が施されているということだった。</p>
<p>　もっとも、一言で砂塵といってもエジプトの砂にはたくさんの種類があることから、運行エリアで８種類の砂を採取し、それぞれについて分析・検証を行ったという。また、砂嵐の中を高速で走行する場合の空気抵抗についても検討し、最適な先頭形状になるように改善を加えたそうだ。さらに、気温40〜50度という高温の状況下で走行しても、客室内の温度が25.6度という快適な気温に保たれるように検証したという。地味な技術ではあるものの、世界で安全運行するためには、こうしたきめ細かい配慮も欠かせない。</p>

<div id="attachment_16769" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_5916-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-16769" class="wp-image-16769" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_5916-scaled.jpg" alt="" width="400" height="267" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_5916-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_5916-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_5916-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_5916-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_5916-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/12/DSC_5916-2048x1365.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-16769" class="wp-caption-text">シーメンスが会場に持ち込んだ高速列車「ヴェラロ」のエジプト向け仕様 （2024年９月23日、ドイツ・ベルリンで筆者撮影）</p></div>

<p>　中国中車の車両では、ART（次世代都市交通システム）という新たな交通モードが気になった。外観はどう見ても路面を走る列車なのだが、車輪は鉄ではなく、ゴムタイヤである。道路には、レールの代わりに白線マーカーが敷設され、そのマーカーに沿って車両が走行する。鉄道と比べれば、はるかに簡便な仕組みである。マレーシアなどで運行実績があるうえ、日本国内でも、山梨県が提唱する富士山の登山鉄道構想を実現する際の交通モードの一案として検討されている。</p>
<p>　このように、イノトランスでは、会場を少し歩き回っただけでさまざまな新たな技術に触れることができる。会場があまりに広かったため、訪れることができなかったブースもたくさんあった。そこにも今後の鉄道を変えるような画期的な技術開発があるに違いない。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>&nbsp;</p><p>The post <a href="https://dotworld.press/berlin_destruction_and_creation_of_world_railway/">ベルリンで体験した世界の鉄道の「破壊と創造」</a> first appeared on <a href="https://dotworld.press">dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</a>.</p><div class='yarpp yarpp-related yarpp-related-rss yarpp-related-none yarpp-template-list'>
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		<title>ジャーナリストの玉本英子さん「同じ時代を生きる人々に心を寄せる」</title>
		<link>https://dotworld.press/living_in_war_torn_ukraine/</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[dotworld_admin]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 03 Nov 2024 10:10:10 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[ウクライナ]]></category>
		<category><![CDATA[玉懸光枝]]></category>
		<category><![CDATA[社会を読み解く]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　ジャーナリストの玉本英子さん（アジアプレス・インターナショナル）が10月26日、東京・青山で戦火のウクライナで出会った人々について講演した。2015年からウクライナで保健サービスの改善に取り組んできた世界の医療団（特定 [&#8230;]</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>　ジャーナリストの玉本英子さん（アジアプレス・インターナショナル）が10月26日、東京・青山で戦火のウクライナで出会った人々について講演した。2015年からウクライナで保健サービスの改善に取り組んできた世界の医療団（特定非営利活動法人 メドゥサン・デュ・モンド ジャポン）と玉本さんが10月22日から６日間にわたり開催した写真展の一環で、ギャラリートークとして企画された。玉本さんは2022年２月にロシアによる軍事進攻が始まって以降、三度にわたって現地に入り記録してきた映像や写真を紹介しながら、人々が何を思い、どのような状況に置かれているのか、語った。</p>

<div id="attachment_16351" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0154-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-16351" class="wp-image-16351" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0154-scaled.jpg" alt="" width="400" height="267" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0154-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0154-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0154-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0154-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0154-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0154-2048x1365.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-16351" class="wp-caption-text">戦火を生きるウクライナ市民の様子を伝えるジャーナリストの玉本英子さん（右）と、世界の医療団スタッフの中嶋秀昭さん（2024年10月26日、東京で筆者撮影）</p></div>

<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>子どもからお年寄りまでリアルな声を記録</strong></span></p>
<p><strong>&nbsp;　</strong>ロシア軍とウクライナ軍の戦闘が各地で続いているウクライナでは、大勢の市民が生命を落としたり、住み慣れた土地を追われて国外に逃れたりしているほか、逃れることもままならず国内避難民として厳しい状況に置かれている人々も多い。</p>
<p>　これまでイラクやシリアなど中東の紛争地域のほか、アフガニスタンやミャンマーなどを取材してきた玉本さん。ウクライナには、ロシアによる侵攻が始まって半年後の2022年８月よりウクライナの中部や南部を中心に、ロシア軍の砲撃に日々さらされている前線の村やミサイル攻撃を受けた現場を訪ねて、子どもから高齢者まで、戦火を生きる市民の姿を記録している。この日の講演でも、玉本さんは行く先々で出会ったさまざまな人々のリアルな声を紹介した。</p>
<p>　例えば中部の街ウマニでは、ロシアのミサイル攻撃によって数日前に娘夫婦を失くしたばかりの女性に出会った。そうとは知らず玉本さんが彼女に声をかけたのは、崩壊した集合住宅の跡地で後片付けをしていた彼女が、冷静で落ち着いて見えたからだったという。しかし、娘夫婦の部屋が直撃を受け、別の部屋にいた自分だけ免れたことや、仲睦まじく暮らしていた二人の話を一粒の涙も見せることなく淡々と語る彼女の姿に、「あまりにもつらい現実に感情が追い付かず、放心状態にあるのを感じた」と振り返った玉本さんは、「どのような理由があれ、一般の人々を攻撃することは決して許されるべきではない」と強い口調で語った。</p>
<p>　この爆撃では、女性の娘夫婦を含む23人の住民が犠牲となったが、うち６人は子どもだったという。玉本さんは、亡くなった子どもたちの遺影の前で立ち尽くし、ぬいぐるみを手向ける近所の同級生らの姿も紹介しながら、「生き残った子どもたちの心にも、深い傷が一生残るだろう」と思いやった。</p>
<p>　また、ウクライナ第二の都市ハルキウでは、地下鉄の駅構内に机を並べただけの急ごしらえの「教室」で授業を受ける小学校低学年ぐらいの子どもたちに出会った。おもちゃやお菓子を喜びそうな、あどけなさが残る彼らは、玉本さんに欲しいものを尋ねられると、「平和な空がほしい」と答えたという。「そう口にした彼らの表情は非常に大人びていて、ハッとさせられた」「子どもたちをここまで追い込んでいるのは、いまだロシアの侵攻を止められない国際社会。私たちひとりひとり人にも深く関わっている」と、強調した。</p>
<p><span style="font-size: 14pt;"><strong>「今の戦争について知ることは、自分自身の未来を見据えること」</strong></span></p>
<p>　世界の医療団は、紛争や自然災害、貧困、差別などにより医療サービスを受けられない各国の人々に医療を届けるとともに、現地で起きていることを伝える「証言」にも併せて取り組んできた。ウクライナでは東部のドンバス地方で保健システムの改善に取り組んできたが、2022年２月にロシアが本格侵攻に踏み切ってからは緊急支援に切り替え、戦闘の最前線である東部や西部のルーマニア国境などで、未熟児を保護して育てる保育器などの医療資機材や薬剤の供与、巡回診療を行っている。</p>
<p>　海外事業プロジェクト・コーディネーターの中嶋秀昭さんは、現地の状況について「病院や学校など公共施設は国際人道法で攻撃が禁じられているにも関わらず、医療施設が次々と破壊されて機能不全に陥っている」「不衛生な水や栄養不足の問題も深刻」だと指摘した。世界の医療団の現地スタッフや家族の中にも、犠牲になった人がいるという。そのうえで中嶋さんは、「傷ついた子どもたちを癒す存在であるべき大人たちも傷ついているのが現状。医療従事者のウクライナ人たちもつらい思いを抱えているからこそ、外部からの支援が必要」だと訴えた。</p>
<p>　さらに、防空壕での暮らしが長期化している高齢の女性の姿を伝える玉本さんの写真について、「複数人が狭いところに雑魚寝しているうえ、地下で薪を使って煮炊きしているのは、精神的にも身体的にもリスクが大きい」と懸念を示した。</p>
<p>　最後に玉本さんは、「戦争は人間の悲しみそのもの」「いったん戦争が始まると、止めることは難しい」と指摘。そのうえで「今起きている戦争について知ることは、自分自身の未来を見据えることにつながる」と述べ、同じ時代を生きる人々に心を寄せる大切さを強調した。</p>

<div id="attachment_16352" style="width: 410px" class="wp-caption aligncenter"><a href="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0156-scaled.jpg"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-16352" class="wp-image-16352" src="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0156-scaled.jpg" alt="" width="400" height="267" srcset="https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0156-scaled.jpg 2560w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0156-300x200.jpg 300w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0156-1024x683.jpg 1024w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0156-768x512.jpg 768w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0156-1536x1024.jpg 1536w, https://dotworld.press/cms_wp/wp-content/uploads/2024/11/IMG_0156-2048x1365.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 400px) 100vw, 400px" /></a><p id="caption-attachment-16352" class="wp-caption-text">NPO法人 日本ウクライナ友好協会の協力でギャラリーに展示されたウクライナの民族衣装を囲む玉本さん（右）と中嶋さん（2024年10月26日、筆者撮影）</p></div>

<p>　国連人口基金（UNFPA）が10月22日に発表した推計によると、2022年２月にロシアがウクライナに全面侵攻を開始した時点で約4300万人だったウクライナの人口は、現在までに約800万人減少したという。約670万人もの人々が国外に脱出したうえ、ロシアによる攻撃を受けて多くの人々が犠牲になったことが背景にある。</p>
<p>　世界各地で戦火の炎が上がり、次々と話題が移りゆくなか、ひとつひとつの戦闘の影で膨大な数の人々が命を落とし、悲嘆にくれている現実から目を背けてはならないことを再認識させられるイベントであった。</p>
<p>&nbsp;</p><p>The post <a href="https://dotworld.press/living_in_war_torn_ukraine/">ジャーナリストの玉本英子さん「同じ時代を生きる人々に心を寄せる」</a> first appeared on <a href="https://dotworld.press">dotworld｜ドットワールド｜現地から見た「世界の姿」を知るニュースサイト</a>.</p><div class='yarpp yarpp-related yarpp-related-rss yarpp-related-none yarpp-template-list'>
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