「パチンコと空爆と」
恐怖による支配を終わらせるために
- 2021/4/1
【編集部注:】
住民に恐怖を植え付け、支配しようとする軍の行動がエスカレートしています。ここでは、夜間、住宅街にやって来てアパートの窓ガラスを無差別にパチンコで割る軍の様子を撮影した動画とFacebook投稿をご紹介します。
~ 以下、Facebook投稿より ~
昨日(3月30日)の夜、家の外でカーン、カーンと何かがぶつかる音が聞こえてきた。外をのぞくと、数十人の兵士らがトラックで乗りつけていた。そして、スリングショット(パチンコ)で、周囲のアパートを撃っていたのだ。時折、カシャーンとガラスが割れる音も響く。兵士はサーチライトでベランダを照らしていく。特に的は絞っておらず、多くの兵士が手当たり次第にパチンコで攻撃しているようだ。数十回の音が聞こえた。そして、とうとう私の家の窓ガラスも割られた。目立たないよう照明を落としているため、ガラスを片付けるのは翌朝にした。そして、何故執拗に攻撃しているのかと考えていた。
答えは今日、早朝に外に出て様子をうかがってわかった。昨夜は見えなかったが、近くの通りで古タイヤなどが何者かによって燃やされていたのだ。住民の話によると、タイヤが燃えていることに気がついた部隊がやってきて、その後、アパートに対するパチンコ攻撃を開始したのだという。15分ほど通りを歩いただけでも、20カ所ほどのガラスが割られているのが見えた。
タイヤへの放火の懲罰として、関係が不明な近隣住民のガラスを割る。現代の法秩序からすると決して許されない行為だが、ミャンマー国軍のこうした行為パターンはたびたび目にする。
3月27日以降、カレン州やカチン州などで国軍による空爆が行われている。少数民族武装勢力による、国軍キャンプへの攻撃に対するする報復だという。しかし、少数民族武装勢力の基地が空爆されているのではない。国軍の航空機が爆弾を落としているのは、周辺の村々なのだ。この空爆によってすでに数千人の避難民が出ているとされ、タイ国境を越えられずにに山岳部で立ち往生している避難者の写真がSNSにあふれている。
「放火犯の責任は地域住民が取れ」「武装勢力がキャンプを攻撃してくるなら、こちらは村人を攻撃する」。ミャンマー国軍のこうした行動原理が、住民の恐怖と反発をさらにあおっている。こうした国軍の卑劣さや残虐さをよく知りながらも、市民らは抗議を続けている。いま感じている、恐怖による支配を終わらせるために。
(動画は3月30日夜、アパートに向けてスリングショットを放つ兵士らとその音、写真はスリングショットなどで割られたとみられる窓ガラス)