【歩く・見る・撮る】― 写真民俗誌/民族誌へのいざない ―
ミャンマー(ビルマ)から ㉕<価格>

  • 2024/6/20

ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全権を掌握した」と宣言してから3年以上が経過しました。この間、クーデターの動きを予測できなかった反省から、30年にわたり撮りためてきた約17万枚の写真と向き合い、「見えていなかったもの」や外国人取材者としての役割を自問し続けたフォトジャーナリストの宇田有三さんが、記録された人々の営みや街の姿からミャンマーの社会を思考する新たな挑戦を始めました。時空間を超えて歴史をひも解く連載の第25話です。

 ㉕<価格> 

 ミャンマー(ビルマ)で暮らしていると、日常生活のさまざまな場面でビルマ数字の読み書きが求められる。さらにそのうえ、例えば「1,000」と「10,000」のように、正確に発音しなければ桁が違ってしまう状況にしばしば直面するため、否応なくビルマ語数字を習得する必要性を感じるようになる。そこで、手始めに1から100までと、1000の位を表現するビルマ数字を覚えることにした。最初はなんとなくとっつきにくさを感じていたが、慣れてくるにつれ、市場で買い物する時のやり取りや、町中で目にする景色の意味をなんとなく理解できるようになり始めた。すると、軍独裁政権下の生活といえども人びとの暮らしが次第に垣間見えるようになり、町歩きがどんどん楽しくなっていった。

 

 

 

 

 

  ここまでミャンマー(ビルマ)における価格の表示方法の違いについて見てきたが、前回(第24話)の秤と同様、「さて、日本での価格表示はどのようになっているのだろうか」と気になったため、折に触れて各地の市場を見て回ることにした 。

 その結果、京都・東京・神戸・大阪・札幌の各市場では、ほぼ9割がアラビア数字で価格が表記されていたが、たまに漢数字で価格を記載しているお店もあった。とはいえ、さすがに、数十年前には見られた漢数字の大字: 壱(1)、弐(2)、参(3)、拾(10)などを使うお店は、私の探す範囲では見当たらなかった。

 

 

 

 

 

 今回の㉕<価格表記>をもって、民俗学者・宮本常一氏へのオマージュとしてタイトルを付けた連載「歩く・見る・撮る」はいったん小休止となります。写真のレイアウトやキャプション修正など、「ドットワールド」編集部の玉懸編集長にはお世話になりました。どうもありがとうございました。

 

 

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