「金も信用できない」
銀行や企業が国有化され、食料が配給制になることを懸念する声も

  • 2021/4/12

【編集部注:】

水祭りの大型連休前の最後の営業日、ヤンゴン市内の銀行前に長蛇の列ができました。ここでは、政府への強い不信感から市民らは現紙幣よりドルや金などの安全な資産を欲しがり、ミャンマー通過の下落が続く様子を伝えるFacebookをご紹介します。

~ 以下、Facebook投稿より ~


 「朝6時から並んでいるが、いつお金が届くのかわからない」。ヤンゴン中心部のCB銀行のATMには、数十人が列をなしていた。全国的なゼネストである「市民不服従運動(CDM)」の影響で、銀行のほとんどの店舗が閉まっているのだ。9日は水祭りの大型連休前の最後の営業日とあって、特に多くの人が並んでいた。
 新型コロナとクーデターによる混乱で、収入が途絶えた人も少なくない。この列に並んでいた女性は、経営していた会社は解散に追い込まれ、社員にお金を渡して帰したのだという。
 ミャンマーの通貨であるチャットの相場は、クーデター後に急落している。市中の両替店のレートでは1月の1ドル=1300チャット台半ばから、現在は1600チャットに届こうという勢いで下落している。
 それはそうだ。工場は停止して輸出は滞り、国外からの投資も見込めず外貨が入ってこない。中央銀行は軍の支配下に置かれ紙幣乱発のうわさが絶えない。何より、現在の政府を信頼している人などいないのだ。ドルや金などの安全な資産を欲しがる気持ちは当然だろう。
 近ごろ、ミャンマー政府に特殊な紙幣の材料を卸していたドイツ企業が、クーデターを理由に取引をやめると発表した。現在の紙の在庫がなくなれば、新札を刷ることができない。別の紙を仕入れたところで、今までと質感の違う紙幣が出回った際に、市民はどう反応するだろうか。店舗で新紙幣を受け取らない運動が起こるかもしれない。
 この国の軍事政権は歴史上、何度も廃貨を行って、市民は苦労して貯めた資産がゼロになるという憂き目を見てきた。大銀行の破綻も経験している。列に並んだ市民の1人は「軍政は何をするかわからない。昔のように、銀行や企業が国有化され、食料が配給制になるかもしれない」と心配していた。この2カ月あまり、市民はそれまで想像もしなかった惨劇を目にしてきた。何があるかわからないと話す言葉を否定することができなかった。

(動画は9日、ヤンゴン中心部の銀行に早朝から並ぶ市民、写真は市中の両替店の9日のレートを示す看板)

市中の両替店の9日のレートを示す看板(筆者撮影)

引用元URL:https://www.facebook.com/yuki.kitazumi.92/posts/4215171435231381

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