「あなたの魂、大丈夫? 〜レイッピャー ロウン イェーラー?」
ユーモアとともに痛烈な批判を伝えるミャンマー人の言葉のセンス

  • 2021/4/23

【編集部注:】

クーデターに反対する市民の抗議運動が続くミャンマー。デモ行動だけでなく、歌やアートなど、さまざまな表現で人々は抵抗の意思を示しています。ここでは、そうした表現の一つ、「レイッピャー ロウン イェーラー?」という標語に込められた意味について、現地の社会情勢に詳しい方が解説するFacebook投稿をご紹介します。

~ 以下、Facebook投稿より ~

「武器を持たない市民を攻撃する戦闘に加わるあんたらレイッピャー ロウン イェーラー?」 (c)The Irrawaddy Burmese Edition

 抗議する市民の間で広く使用されているデモの標語の一つに「レイッピャー ロウン イェーラー」というものがある。ある種の破壊力を持った文句なのだが、一言で日本語にするのが難しい。
レイッピャーは「蝶」を意味するミャンマー語だ。そしてこの言葉には、「魂」という意味がある。
 「ロウン」は安全だとか完全に守られている状態を表す。(ロウンジョウン(チョウン)イェーは「安全」「治安」)。ちなみに国連安保理をミャンマー語訳には、この「ロウン」という単語が使われている。「治安部隊」の略称は、「ロウンテイン」だ。
 直訳すると、「あなたの魂は守られている状態ですか?」という問いかけになる。
 では、どのような呼びかけの中で使われるのだろうか。
 例えば、CDM参加者がCDMに参加していない人たちに対して、「出勤することを選んだあなた、レイッピャー ロウン イェーラー?」と言った具合で使われる。
 何から「守られているか」と問うているのかというと、魂の潔白と真逆に位置付けられる不正義や悪からだ。そういうものに対してあなたの魂は潔白ですか?と問いかけているのだ。
 直訳するとソフトに聞こえるこの質問、実は、「そんなことしてて恥ずかしくないの?」とか「恥を知りなさい」というくらい手厳しい皮肉が込められていて、これを聞かれるとミャンマー語を話すミャンマーの人なら皆ドキッとする。私でさえ、ドキッとする。いわゆる「言葉の経済効率」という意味ではとても良い表現なのだ。
 痛烈な批判をリズミカルにユーモアを交えつつもしっかりと伝えるミャンマー人の言葉のセンスが、非暴力の闘いで冴え渡っている。

黄色で囲まれたカードに、「おまえら、非武装の市民と戦うなんて恥ずかしくないのか?」というレイッピャーの文言が書かれている。「おまえら、あんたたち」という表現から、市民の怒りが伝わってくるという(筆者提供)

写真の引用元URL:https://www.facebook.com/theirrawaddyburmese/photos/a.14222516248

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