「フラインタヤーへの支援活動に同行した」
命がけの食料支援

  • 2021/4/11

【編集部注:】

クーデター後、多くの工場が操業を停止したために生活が困窮している工場労働者たちを支援しようという動きがあるそうです。軍に見つかると拘束されるリスクがある中でも助け合いが行われている様子を伝えるFacebook投稿をご紹介します。

~ 以下、Facebook投稿より ~

支援物資を一人ずつ渡していく(筆者撮影)

 国軍がクーデターを起こしてから、ミャンマーで困っている人たちはたくさんいる。そして、困っている人たちを助けようとする人たちもたくさんいる。今日(4月8日)はそうしたグループに同行した。
 場所は、3月14日と15日に100人近い(200人以上との情報もある)犠牲者が出たフラインタヤーだ。ここは地方から来た人たちが多く、生活に困っている人が特に多い地域のひとつだ。
車は橋を超えてフラインタヤー地区に入った。しばらく走った後、車が止まり60代と思える男性が乗り込んできた。Pと名乗る彼は周囲を気にしていた。彼は支援する地区の世話役であり案内役だった。
 車は路地に入っていき、突き当りで止まった。隣はちょっと広い敷地をもつ家だった。そこは田舎の家の風情で、庭には既に支援物資が並んでいた。事前に物資を持ってきてここで仕分けしていたのだ。
 しばらくすると住民が集まってきた。この地区だけで全部で150家庭に食料を渡す。米、油、卵、玉ねぎ、豆、化学調味料、洗剤などが入った大きなポリ袋をみな大切そうに持って帰った。
ここはヤンゴン中心部と全く違う匂いがした。田舎の匂いだ。それもそのはず、住宅地の中に牛舎や豚小屋がある。家畜の匂い、藁の匂いが漂っいた。まるでミャンマーの田舎にいる雰囲気だった。この匂いをかぐとクーデターのことなど忘れてほんわかした気持ちになってしまう。
 この場所は以前は田園だった。それが居住区に変わったのは1990年から91年にかけてだった。88年の民主化運動とその後のクーデターにより成立した軍事政権がタムエ地区を開発するという名目で、タムエの開発地区に住んでいた人たちをここに強制移住させたのだ。
 そして、2006年の巨大サイクロン、ナルギスがここの姿を大きく変えた。ナルギスは特にエーヤワディ地域が甚大な被害を与えた。そこに住めなくなった多くの人たちがヤンゴンにやってきたのだ。中心部は高くて住めないので、エーヤワディ地域から来るとヤンゴン中心部の手前にあるフラインタヤーに留まる人が多かった。
 一部の人たちはチュージョーと呼ばれる小屋を建て始めた。それは、政府が管理しているが使われていない土地に勝手に家を建てたのだ。彼らが生きていくためにはそれしか方法がなかった。そして、ここ数年は縫製工場などの工場がフラインタヤーにたくさん進出してきた。工場での賃金は月に15万チャット(約1万1500円)程度だが、仕事がない農村よりもよかった。農村での労賃は1日に1500チャット(約120円)から2000チャット(約150円)程度だし、それもいつもあるわけではない。
 しかし、工場労働の仕事もクーデターのために少なくなった。日系、韓国系の工場はほとんど停止したという。中国系の工場が多少稼働しているが、賃金未払いのところも多い。
 昨日(4月7日)放火で焼けた中国系工場(靴を製造)がある。地元の人の話だと、工場は2カ月間の賃金を未払いだった。それに、工場主と軍が放火したのではという噂がある。工場内の機械が事前に全て持ちされていたという。また、出火したのが午前3時頃で、その時間に住民が外を出歩けるわけがない。ただ、この噂が本当かどうか真実を突き止めるのは難しい。
 クーデター以後、フラインタヤーから田舎に帰る人が増えたという。しかし、田舎に帰っても仕事はないのでここに留まっている人も多い。今はボランティアで支援してくれる人たちがいるので、なんとか生きていける。しかし、今の状況が長引くとどうなるだろうか。
 そういえば以前、食料支援で若者のボランティア団体が来た。しかし、援助の当日に軍に襲われ若者たち10人が逮捕されてしまった。今は、援助活動するだけで軍に捕まってしまうのだ。

庭に並べられた支援食料(筆者撮影)

政府所有の土地に勝手に建てた家。チュージョーと呼ばれる(筆者撮影)

4畳半よりも狭いアパート。ここで月に4万チャット(約3000円)(筆者撮影)

住宅地の中にある養豚場(筆者撮影)

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