「銃口で動く列車」
誇り高きミャンマーの「ぽっぽや」の苦しみ
- 2021/3/26
【編集部注】
クーデターに抗議し、ミャンマー全土で公務員を中心に不服従運動が続く中、しばらく運行していなかった列車が、昨日、ヤンゴン市内を走ったそうです。物流の要である鉄道の運行を司る国鉄職員たちの苦悩を、暮れなずむ街に響く「がたん、がたん」という音とともに伝えるFacebook投稿をご紹介します。
~ 以下、Facebook投稿より ~
昨日(25日)夕、貨物列車が近所の踏切を通過した。ここしばらくはゼネスト(CDM)で、列車は運行していなかったはずだ。第一、数日前までは、踏切の線路の上には土嚢や古タイヤが並べられ、当局の行く手を阻むバリケードとなっていたのだ。
ガタゴトという音を聞いてバルコニーから見ると、通過している貨物列車の荷台のいくつかには布の覆いがかけられ、明らかに普段と違う様相だった。
付近の住民に聞くと、両手で銃を構えるしぐさをした。別の住民は、「50人くらいの銃を持った兵士が乗っていたのを見た」と話した。「国鉄職員はストライキ中で、脅されて仕方なく動かしているに違いない」と話す住民もいた。
ミャンマー国鉄のストライキは、ミャンマーのCDMの象徴的な存在となっていた。2月1日のクーデター後の早い段階からCDMに突入、一時は「スト率100%」とも言われ、列車もほぼ全面的に運行が止まっていた。多くの職員が線路に寝転んで三本指を立てて運行を妨害する写真は、抵抗運動に参加するミャンマー国民を鼓舞していた。
しかし、これに対する国軍側の弾圧も熾烈を極めている。2月25日には、国軍の支持者とみられる暴徒がヤンゴン中央駅を襲撃。それ以降も、各地の職員寮が暴徒に襲われたほか、当局の家宅捜索を受けている。 「CDMをやめないなら寮から出ていけ」と言われ、家族ぐるみで引っ越しを余儀なくされる様子が繰り返し報じられている。私自身も、ヤンゴン中央駅近くの職員寮の入り口近くに展開する数十人の武装した兵士と警察官を目撃している。こうして脅されていても、多くの職員は「ここでストをやめるわけにはいかない」と寮を退去する決断をするという。
苦境にある鉄道職員を寄付などで支える市民も多い。誇り高きミャンマーの「ぽっぽや」が、銃で脅されるのではなく、平和に毎日の列車を動かす日が来ることを願ってやまない。
(動画はヤンゴンの踏切を通過する貨物列車・ナレーション付)
引用元リンク:https://www.facebook.com/100002156974471/videos/4163341790414346/