From Editor(2022年8月)
Newsletter vol.48(2022年8月配信)より

  • 2022/4/26

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「ドットワールド Newsletter」へご登録いただいた皆様

 今年の7月1日で丸6年が経った。日本人7人を含む20人以上がバングラデシュの首都ダッカで襲撃され、亡くなったテロ事件だ。直後に緊急取材に答えて下さった近親者の方々の表情や嘆き、怒りの言葉が鮮やかによみがえってきて、この時期は毎年、気持ちが揺れる。巨額の投資や援助がつぎ込まれ、親日だと言われていた国でなぜこんなことが起きたのか。数日前に「またね」と見送ったばかりの私の友人は、なぜ帰ってこないのか。いくら取材を重ねても理解できなかった。
 事件から3年後の2019年7月に「ドットワールド」を立ち上げた。日本や先進国から見た世界ではなく、現地の人々の喜怒哀楽や、祖国や世界に寄せる思い、彼らの目に映る景色を知りたいという思いが募ったことが、大きな理由だった。さまざまな価値観や、互いの違いを排除することなく認め合い、受け入れ合える寛容な世界の実現に向けて、自分なりに一歩を踏み出したいと思った。
 だが、それからさらに3年が経った今年7月の状況はといえば、世界は一層大きな音を立ててきしみ、不条理と理不尽と分断と暴力に満ちているように思えてならない。各国では強権の嵐がますます吹き荒れ、ウクライナ情勢は5カ月が経っても解決の見通しすら立っていない。クーデターから1年半が経過したミャンマーでも情勢はますます悪化しており、ミャンマー軍は7月下旬、拘束していた民主活動家ら4人の処刑に踏み切った。その後、30日には、現地で取材中だった日本人ドキュメンタリー映像作家、久保田徹さんをミャンマー人同行者とともに拘束。一報が入った直後から、友人や支援者らを中心に解放を求める活動と発信が懸命に続いている。
 誰かの大切な誰かが恐怖により沈黙を余儀なくされ、暴力によって自由を奪われ、別離を強いられている日々。切り裂かれるような悲しみと喪失感が日常化した、排他的で不寛容な今日の世界は、決して私たちが追い求めてきたものではないはずだ。
 理想の未来を自ら手放してしまわないためには、信じられないニュースや、信じたくない現実から目をそらすことなく、互いの痛みに敏感でいたい。そして、それぞれの方法で声を上げ、行動することを意識したい。そして、久保田徹さんが1日も早く、無事に解放されることを心から願う。
                *
 ドットワールドは、現地から見た「世界の姿」を伝えるために、これからも力を尽くします。引き続きご支援のほど宜しくお願いいたします。

 

◆「社会を読み解く」の新着記事(2022年6月27日~2022年8月3日)

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米国の最高裁で「中絶の権利」が否決(在米ジャーナリスト 岩田太郎氏執筆)
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 米連邦最高裁判所は6月24日、「人工妊娠中絶は憲法で保障された権利である」と認定した1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判決を下しました。
 これを受け早くも中絶の禁止に踏み切る州も出ていますが、影響は米国内にとどまりません。
 今回の判決に端を発する世界への影響について米国在住の筆者が解説します。
 ⇒ https://dotworld.press/us_antiabortion_arguments/

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米国は中国の太平洋諸島進出をどう見ているか(在米ジャーナリスト 岩田太郎氏執筆)
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 南太平洋への影響力を急速に拡大し、ソロモン諸島には軍事基地の建設に向けた足掛かりを築くなど、従来の安全保障体制に公然と挑戦の姿勢を打ち出す中国。
 これに対し、これまで数十年間にわたり島嶼国の重視を怠ってきた米国も遅まきながらこの地域への関与を強化する方針を打ち出していますが、米国は現状をどう認識し、どう関与しようとしているのでしょうか。
 米国在住の筆者が読み解きました。
 ⇒ https://dotworld.press/us_view_toward_china_expansion_into_the_south_pacific/

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インド太平洋経済枠組みの意義はどこにあるのか(ジャーナリスト 福島香織氏執筆)
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 5月23日に来日したバイデン米大統領が発足を宣言した「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)。
 米国を含め13カ国がスターティングメンバー、うち7カ国がASEAN加盟国という顔ぶれで、13カ国のGDPの合計は世界の40%を占める大型の枠組みですが、地域への影響力はいまだ不透明です。
 中国包囲網の観点からIPEF立ち上げの背景と意味を探りました。
 ⇒ https://dotworld.press/us_biden_ipef/

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米軍のアジアシフトで沸騰する太平洋地域(ジャーナリスト 福島香織氏執筆)
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 国際社会における安全保障の枠組みが大きく変わろうとしています。この夏、特に熱いのは南太平洋地域です。
 米国が、軍事プレゼンスの軸足を中東から太平洋、アジアへと変え、この地域で先行する中国に対抗する準備を加速化しているためです。
 この地域を舞台に先鋭化しつつある米中対立の最新状況と安全保障の枠組み、そして日本の役割について、中国情勢に詳しい筆者が読み解きました。
 ⇒ https://dotworld.press/us_army_and_security_in_south_pacific_region/

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いきいきと育まれるタイの高齢者ケア現場を訪れて(国際教養大学 3年/野毛坂グローカル スタッフ 鈴木知世氏執筆)
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 超高齢化社会を迎えている日本を筆頭に、アジア諸国で著しいスピードで進む高齢化。
 社会保障制度の整備が追いつかない実情もあるなか、タイでは地域に根付いたコミュニティベースの高齢者ケアが行われています。
 質の高い生活を送るタイの高齢者の様子を視察した日本の大学生が、コミュニティケアの可能性と日本への示唆について綴りました。
 ⇒ https://dotworld.press/thailand_elderly_care/

◆「世界写真館」の新着写真(2022年6月27日~2022年8月3日)

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【Pray for Myanmar】雨のシットウェ(写真家 新畑克也氏撮影)
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「ミャンマー西部ラカイン州、州都シットウェ。かつては「アキャブ」と呼ばれた、太平洋戦争の激戦地としても知られる街。初めて訪れたラカインで雨の洗礼。気合いを入れて宿から外に出たものの、全く土地勘もなく中央市場の前で行き交う人の波に立ち尽くす。」
 ⇒ https://dotworld.press/photogallery_myanmar_sittwe_in_the_rain/

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【Pray for Myanmar】チン州の人たち(写真家 亀山仁氏撮影)
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「2020年3月に訪問したチン州の村で出会った人たち。チン州はクーデター以降、 「人間の盾」や「村を焼き払う」など軍の弾圧が激しく続く地域。彼女たちの無事を祈らずにはいられない。」
 ⇒ https://dotworld.press/photogallery_myanmar_people_in_chin_state/

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チューメンエクの公演(モンゴル)(写真家 小池隆氏撮影)
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「ウランバートル中心部の国立歌劇場で開かれた民族オペラ(Tumen Ekh)の舞台。オーケストラや伝統楽器の演奏に合わせてモンゴルの伝統的な衣装をまとった歌手が歌と踊りを披露する、きらびやかなひとときだ。」
 ⇒ https://dotworld.press/photogallery_mongolia_tumen_ekh/

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【Pray for Myanmar】得度式(旅フォトグラファー 三田崇博氏撮影)
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「ミャンマーでは仏教徒の男性は必ず20歳までに一度僧侶になります。その際に行われる得度式はミャンマー人にとってとても大切な行事です。街中で着飾った行列を見つけたので知らずについて行きましたが、最後にはご飯までご馳走になりました。」
  ⇒ https://dotworld.press/photogallery_myanmar_entering_buddhist_priesthood_ceremony/

◆「報道を読む」の新着記事(2022年6月27日~2022年8月3日)

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「破産」を宣言したスリランカ(スリランカ・Daily News紙 2022年7月25日付社説、ネパール・Kathmandu Post紙 2022年7月21日付社説より)
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 深刻な経済危機に陥り、7月5日に「破産」を宣言したスリランカでは、今も混乱が続いています。
 26年に及ぶ内戦からの復興の途上にあったにも関わらず、再び混とんとした状態に戻ってしまった同国について、地元英字紙とネパールの社説を紹介しました。
 ⇒ https://dotworld.press/sri_lanka_on_fire/

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ミャンマー軍部、民主活動家ら4人を処刑(ミャンマー・Irrawaddy 2022年7月25日付社説およびインタビュー記事より)
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 ミャンマーの国営紙は7月25日、アウンサンスーチー氏の側近であるピョーゼーヤートー氏(41)ら4人に対する死刑が執行されたと報じました。
 隣国タイを拠点に、ミャンマー国内の民主化運動を支持する立場から情報発信を続ける独立系インターネットメディア「イラワジ」が同日付けで深い憤りとともに掲載した社説とインタビュー記事を紹介しました。
 ⇒ https://dotworld.press/myanmar_execution_democracy_activists/

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新型コロナ、変異株で何度目かの感染拡大
(パキスタン・Dawn紙 2022年7月19日付社説、バングラデシュ・Daily Star紙 2022年7月14日付社説、タイ・Bangkok Post紙 2022年7月7日付社説より)
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 日本を含む世界各地で、新型コロナの感染がまた拡大しています。
 各国が特に警戒を強めているのが、感染力が特に強く、既存のワクチンが効きにくいと言われるオミクロン株BA5系統への置き換わりです。
 パキスタン、バングラデシュ、タイの社説を紹介しました。
 ⇒ https://dotworld.press/pakistan_bangladesh_thailand_covid19_surge/

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安倍元首相の殺害をアジアはどう報じたか(シンガポール・Straits Times紙 2022年7月11日付社説、インド・Times of India紙 2022年7月8日付社説、タイ・Bangkok Post紙 2022年7月17日付社説より)
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 安倍晋三元首相(67)が7月8日、奈良市で街頭演説中に銃撃されて死亡した事件は、日本国内のみならず世界に衝撃を与えました。
 シンガポール、インド、タイの社説を紹介しました。
 ⇒ https://dotworld.press/singapore_india_thailand_abe_assassination/

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深刻化する気候変動に高まる危機感(ネパール・Kathmandu Post紙 2022年6月21日付社説、フィリピン・Philippine Daily Inquirer紙 2022年6月26日付社説、バングラデシュ・The Daily Star紙 2022年6月21日付社説)
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 気候変動により年々悪化する地球環境。
 アジアの国々では、効果的な対策が打ち出されないまま自然破壊が進んでいることへの危機感が募っています。
 ネパール、フィリピン、バングラデシュの社説を紹介しました。
 ⇒ https://dotworld.press/nepal_philippines_bangladesh_closer_to_disaster/

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米国の銃規制の厳格化をアジアはどう見ているか(タイ・Bangkok Post紙 2022年6月20日付社説、シンガポール・Straits Times紙 2022年6月20日付社説より)
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 アメリカのバイデン大統領は6月25日、21歳未満の銃の購入者に対する審査の厳格化などを含む銃の規制法に署名しました。
 28年ぶりと言われる本格的な銃規制法が成立した背景には、国内で相次ぐ銃乱射事件があります。
 これに前後して、銃規制について考える社説や、「アメリカへの視線」を綴る社説を掲載したアジアの社説を紹介しました。
 ⇒ https://dotworld.press/thailand_singapore_gun_control_needs_review/

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「忘れられたミャンマー」(マレーシア・New Straits Times 2022年6月24日付社説、ミャンマー・Irrawaddy 2022年6月21日付社説より)
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 ミャンマー軍は6月22日、アウンサンスーチー氏(77)を首都ネピドーにある刑務所へと移送しました。独居房に収監されたと報じられています。
 また、軍が設置した軍事法廷から死刑判決を受けた民主活動家らの上告か棄却され、死刑執行が承認されました。
 国際社会の関心がウクライナ侵攻に集中している中、ミャンマーで今なおさまざまな人権侵害が続いていると訴えるアジアの報道を紹介しました。
 ⇒ https://dotworld.press/nst_leader_myanmar_forgotten/

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燃料や物価の高騰がアジア経済に及ぼす影響(タイ・Bangkok Post紙 2022年6月13日付社説、フィリピン・Philippine Daily Inquirer 2022年6月9日付社説、インド・Times of India 2022年6月22日付社説より)
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 世界各国で歴史的な物価高が発生しています。
 要因の一つは、ロシアによるウクライナ侵攻がもたらした燃料高騰、そして食料輸出をめぐる混乱です。
 この問題について、タイ、フィリピン、インドの社説を紹介しました。
 ⇒ https://dotworld.press/thailand_philippines_india_all_must_help_save_energy/

◆You Tubeチャンネル「Listen to the Voiceless by Fuki」のご紹介

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「自己責任」と切り捨てるあなたへ(2022年8月1日更新)
(動画制作:構二葵氏)
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 声なき人に寄り添い、動画で彼らの思いを伝えるYouTubeチャンネル「Listen to the Voiceless by Fuki」が更新されました。
 ヤンゴン市内で7月末、抗議デモの取材中に拘束されたドキュメンタリストの久保田徹さんをはじめ、不当に収容されている多くの人々の解放を求める友人たちの様子です。
 「自己責任」と切り捨てる人たちに明確に異を唱える構さんの思いとともに、以下のリンクよりぜひご覧ください。
 ⇒ https://www.youtube.com/watch?v=ggZt_NvJaLA&t=184s

 *ドットワールドは「Listen to the Voiceless by Fuki」に賛同し、ご紹介しています。
 連携に寄せる思いは以下に綴っていますので、ご一読ください。
 ⇒ https://dotworld.press/listentothevoiceless/

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