アメリカの大手銀行で初の女性CEOが誕生
「コロナ後の社会は女性活躍の好機」インドの英字紙が訴え

  • 2020/9/25

 米シティグループは9月10日、次期最高経営責任者(CEO)にジェーン・フレーザー社長(53)を起用する人事を発表した。アメリカの大手銀行初の女性CEOの誕生ということもあって注目を集めている。9月12日付のインドの英字紙タイムズ・オブ・インディアは、社説で女性の社会的な活躍について採り上げた。

シティグループは米系の大手銀行として初めて女性CEOの誕生を発表した

米国での女性CEOの誕生

 社説はフレーザー社長のCEO就任について、「変化の兆しだ」と歓迎した上で、米国の主要500社の中で指導的な立場にあった女性が昨年時点で31人に過ぎなかったと指摘し、次のように述べる。

 「インドは明らかに米国より女性進出が進んでいる。主要な銀行で女性が高い地位を占めているからだ。しかし、金融業界における性差は世界各国が共通して抱える課題だ。女性は、金融業界における労働力の52%を占めている(2017年、20カ国を対象にした調査)が、行内での出世となると限定的で、中間管理職に占める女性の割合は37%、管理職については16%まで減ってしまう」

 しかし、社説は「喜ばしいことに、変権力の姿は変わりつつある」と、指摘する。

 「組織は、さまざまな生き方を実践していたり経験を有したりしている有能な指導者がより良い決断をすることを認識し始めた。偏見や障壁を取り払い、女性たちをもっと自由にしなくてはならない」

コロナ禍が生み出した新しい働き方

 さらに社説は、女性たち自身が管理職をはじめ、より責任ある立場に就くことを避けている要因について、「家庭での仕事の負担が女性たちにかかっているからだ」と、指摘。その上で、「しかしここにも、喜ばしいニュースがある」として、新型コロナウイルスの感染拡大によって普及したリモートワークなどの新しい働き方が女性の社会進出を後押しするのではないか、との見方を示し、次のように述べる。

 「フレキシブルな働き方に抵抗してきた企業も、もはや選択の余地はなく、有能な女性たちを罰する理由にもならない」「家事の負担を分かち合うことで、男性も女性も仕事と生活のバランスをとり、自身のキャリアを高めることができる。機会を奪われることはない」

 新型コロナウイルスの感染拡大による暮らしや働き方の変化がもたらしたのは、必ずしもネガティブな影響だけではない。社説が指摘するように、リモートワークは家庭に縛られがちだった女性をはじめ、社会的弱者たちに広くチャンスをもたらすだろう。

 世界はいまだ、コロナ禍にある。この新しい暮らし方、働き方が、果たして「コロナ後」といわれる社会でも継続していくのか。あるいはまた元に戻るのか。コロナが浮き彫りにした社会の矛盾や無駄や暗部を、元に戻すことなく変えていくためには、私たち一人ひとりが、「コロナ後」の世界をどう生きるのか、今から考えておく必要があるだろう。

 

(原文: https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-editorials/bank-on-women-citi-chooses-a-woman-ceo/)

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