「チラシ一枚でつかまる国」
小さく平和なレジスタンス
- 2021/4/14
【編集部注:】
クーデターに抗議する市民らに恐怖を与えようと締め付けが強まるミャンマー。インターネットが遮断され、連帯や行動をよびかける数少ない手段であるチラシを所持しているという理由だけで若者が逮捕される現状を伝えるFacebook投稿をご紹介します。
~ 以下、Fcebook投稿より ~
「さっき仲間が捕まってしまった・・・
以前あなたに紹介したあの子も、捕まりました」
スマホのスピーカー越しの報告に、思わず息を飲む。
軍の目をかいくぐって、抗議活動を続けてきた若者たち。
主要なメンバーは実家を離れ、身を隠しながら活動を続けていた。
捕まらないように、警戒していたはずだった。
「○○通りで軍が検問を始めたんです。
それで所持品を検査をされて、引っかかってしまった」
何を持っていたの?と聞く。
「チラシです」
・・・チラシか。
それは、インターネットが遮断されたミャンマーで
人々の連帯や行動をよびかける、ほとんど唯一の手段だ。
若者たちがチラシを配って呼びかけていたのは、非暴力の抗議。
夜空を光で彩る、ハンドライト・ストライキ。
道路や壁に赤いペンキをまく、レッドキャンペーン。
デモ隊が弾圧され、何百人もの人が殺されてからも
若者たちは国軍に対し、そうした小さく平和なレジスタンスを
地道に続けてきたのだった。
誰も傷つけない意思表示。それでも、捕まってしまう。
チラシが見つかってしまったとき、どれほど怖い思いをしただろう。
護送車に乗せられるとき、痛い目にあわなかっただろうか。
今頃、泣いていないだろうか。
無事に出てきてほしい。
拷問もレイプも、絶対にされてほしくない。
心配で、くやしくて、胸が詰まる。
それでも彼らの仲間やミャンマー市民が、抗議をやめることはないだろう。
国軍が罪のない人を傷つければ傷つけるだけ、
反軍政の意思は、その根を深くしていく。
チラシ一枚でつかまるような国で、いったい誰が希望を胸に生きられるだろう。
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昨日から1週間の水祭り休暇に入ったミャンマー。
普段ならそこらじゅうの通り沿いにステージが建てられ、大音量で音楽が鳴り響き、
歩いているだけで、バケツやホースで水をかけられてビショビショになる季節。
今年は、町は閑散としている。
「軍は、いつも通りに水かけ祭りをやって、何事もなくうまくいっているように見せかけたいんだよ。その手にはのるもんか」と、息巻く友人。
一方、いつも陽気なスタッフは
「今年はみんな2月に(軍の放水車で)水をかけられたからね。
水祭りはもう終わったよ!」
と渾身の(?)冗談で笑わせてくれた。
新しい1年は、きっと希望で溢れますように。
ぎらつく太陽の下、人通りの少なくなった町で、こっそりと祈る。