マレーシア、終わらない新型コロナとの闘い
「気の緩み」による感染の再拡大を強く警戒

  • 2020/8/10

 日本を含む多くの国で、新型コロナウイルス感染拡大の「第二波」が始まっている。社会、経済活動の再開を受け、感染予防に対する気の緩みも指摘されている。マレーシアの英字紙ザ・スターは、7月26日の社説でこの問題をとりあげた。

新型コロナの感染拡大の第一波の際は厳しい都市封鎖を行ったマレーシアで、第二波の襲来に向け厳しい警戒が続いている (c) Anton / Unsplash

経済損失は1日20億リンギット

 マレーシアでは6月10日、「回復のための活動制限令(Recovery Movement Control Order)」が発表され、マスクの着用や密を避ける行動を求めながらも、ほぼすべての社会・経済活動が認められるようになった。しかし、その後、感染者は期待されていたようには抑制されず、7月9日時点で63人まで減少していた入院者数は7月中旬、130人に増加した。また、7月上旬からクラスター感染も続いており、7月23日までに発生したクラスターは13カ所に上るという。

 この状況について、社説は「社会・経済活動は再開された一方、人々が現状に満足した結果、感染者数の急増が起きている」と危機感を示し、次のように述べる。「マレーシアで再び都市封鎖を行うことはできない。マレーシアのムヒディン・ヤシン首相も7月20日、経済活動が再び止まれば、損失は1日あたり20億リンギット(約495億円)に上ると発言した。実際、失業率は4月時点で5%と1990年以降で最悪で、いまなお好転の気配はない」

 さらに社説は、第二波の原因の一つとして、感染予防に対する気の緩みを挙げる。「海外渡航から帰国後、自宅での自己隔離期間中に外出したり外食したりするような一部の無責任な人々が原因で、マレーシアは再び都市封鎖の危機に直面している。最近は、街もマスクをしないまま出歩く人であふれている上、入店時に熱をはかったり、客の情報を記録したり、手指の消毒を求めたりといった感染予防を徹底していない店舗もある」

抑制に成功した第一波の経験に学べ

 その上で社説は次のように訴える。「感染予防を遵守させる責任は行政だけが負っているわけではない。われわれ自身がルールを守り、対策をとる責任がある。ワクチンが開発されるまで新型コロナウイルスとの闘いは終わらない」

 マレーシアの感染者数は8,800人あまり、死者は123人に上る。一時は感染者数が抑制され、封じ込めに成功したかにみえたことを踏まえ、社説は「感染予防の徹底によって感染の抑制に成功した第一波の際の取り組みを再び行わなければならない。さもなければ、経済のみならず、社会にも、そしてわれわれ国民の精神上も、将来にわたり甚大な影響がもたらされるだろう」と呼びかける。

 「いま一度、第二波の感染拡大を抑制するために何をすべきか確認しよう。自分自身や家族のためだけでなく、懸命に自らの使命を遂行している医療従事者や感染予防の最前線に立ち働いている人たちのために、われわれはできる限り報いなければならない。手遅れになる前に」

 どの国の、だれにでも当てはまる言葉である。

 

(原文:https://www.thestar.com.my/opinion/columnists/the-star-says/2020/07/26/covid-19-cases-on-the-rise-in-the-wake-of-public-apathy)

 

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