ミャンマー政変から3年 隣国の社説に見る危機感と期待
欠席が続いていたミャンマー国軍がASEAN会議に出席 焦りか暗闇の中の光となるか

  • 2024/3/18

 ミャンマーで国軍がクーデターにより実権を握ってから3年。事態は一向に好転しないうえ、2023年10月末には複数の少数民族武装勢力による国軍への一斉攻撃が始まり、解決策のない泥沼に陥っている。国軍からは離脱兵が増えており、劣勢にあるとも言われる。

ラオスのルアンプラバンで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議に出席した、ミャンマーのアセアン事務次長、マーラータンタイ氏。 (2024年1月29日撮影)(c) AP/アフロ

タイ「焦りをとらえて平和的解決に向けた好機に」
 ミャンマーと国境を接するタイの英字紙バンコクポストは、2024年2月3日付で「東南アジア諸国連合(ASEAN)のミャンマーに関する希望」と題した社説を掲載した。
 社説は1月29日にラオスのルアンプラバンで開かれたASEAN外相会議について取り上げ、2年以上欠席していたミャンマーから外務省高官が出席したことを「前進」だと評価した。ASEANはこれまでクーデターを起こしたミャンマー国軍に対して、会議への出席者は官僚など「非政治的な代表者」に限る、と通達しており、これに反発した国軍側が代表を送らず欠席を続けていた。
 社説によれば、ASEAN関係者は今回、外務省高官が参加したことを「トンネルの先に見えた光」だと評価したという。ASEANは3年前、ミャンマー国軍との間で、和平構築に向けて、暴力の即時停止や、すべての関係者による対話の開始を含む「5項目の合意」を取り交わしている。今回の会議でミャンマー側は5項目のうち「人道支援地帯の設置」について歓迎を表明しており、事態の改善が期待されるという。また、今年のASEAN議長国であるラオス政府はミャンマー問題特使を指名しており、すでに1月、特使がミャンマーの首都ネピドーで国軍最高司令官のミンアウンフラインと会談したという(編集部注:その後、ミャンマー国軍は、3月5日にルアンパバンで開催されたASEAN国防相会議にも代表を出席させた)。
 社説によれば、「クーデター後の3年間、ミャンマーでは平和的な解決に向けた進歩が何一つなかった。国軍への抗議行動に参加した幾千もの人々を、国軍は残酷に扱った。これまでに4,400人以上が殺害され、2万5,000人以上が投獄された」
 社説の言うように、会議への参加がミャンマー国軍の方針転換の兆しだとすれば、その背景には国軍の焦りがあるだろう。社説は、「少数民族武装勢力との武力衝突の混乱の中で、ミャンマーは何重もの危機に陥った。特に、欧米など国際社会からの制裁は、深刻な経済的困難を招いた」としている。
 社説は、この機をとらえて、ASEANがミャンマーの平和と安定を取り戻すためになすべきことを挙げる。「まずは人道支援に力点を置くことだ。そして5項目の合意、特に『関係者すべてによる対話』が実現するよう支援しなくてはならない。そこには、クーデターを起こした国軍政府に対し、ミャンマーの民主派が樹立した政府である国家統一政府をも含めなくてはならない」

自国民の巻き添えを危惧するバングラデシュ
 タイと反対側の西側でミャンマーと283キロもの国境を接する国、バングラデシュでは、国軍と少数民族武装勢力の衝突に懸念が高まっている。英字紙デイリースターは2024年2月5日付で「国境住民の安全が最優先」と題した社説を掲載した。
 社説は、「ミャンマー西部のラカイン州との国境で、治安上の脅威が高まっている。望ましくない影響がバングラデシュにまで及んでいる」と懸念を示した。社説によると、国境地帯には銃弾や爆発物、迫撃砲弾が落下し、死傷者も出たという。「ミャンマーの紛争のために、なぜ私たちの国民が死んだり、恐怖の中で生きたりしなければならないのか。全く容認できない」
 バングラデシュには2017年、100万人近い少数派イスラム教徒ロヒンギャが、軍の弾圧を逃れて大量に流入した。社説は、「今回もすでにバングラデシュへの入国を待つ避難民が報告されている」と指摘したうえで、「ミャンマーから逃れてくる人々をこれ以上は受け入れられない」と述べる。
 社説は、バングラデシュ政府が、国軍と少数民族武装勢力との戦いに中国の介入を求めていると伝える。しかし、他力本願ではいられない。「国境沿いの住民は、財産や家畜を置き去りにして逃げていると報じられている。私たちはこの混乱を黙って見過ごすわけにはいかない。政府は、内戦が続くミャンマーの影響を食い止めるため、最大限の努力をしなければならない」

(原文)
タイ:
https://www.bangkokpost.com/opinion/opinion/2735389/aseans-hope-for-myanmar

バングラデシュ:
https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/the-safety-our-border-residents-paramount-3536886

関連記事

ランキング

  1. ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全…

ピックアップ記事

  1. ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全…
  2.  ミャンマーで2021年2月にクーデターが発生して丸3年が経過しました。今も全土で数多くの戦闘が行わ…
  3.  2024年1月13日に行われた台湾総統選では、与党民進党の頼清徳候補(現副総統)が得票率40%で当…
ページ上部へ戻る