「医療従事者に感謝し、自らの役割を果たそう」
コロナ禍の社説、マレーシアの場合

  • 2020/4/1

東南アジアの中でも、新型コロナウイルスの感染拡大が厳しい状況にあるマレーシア。地元の英字紙「ザ・スター」は、3月22日の社説でこの問題を取り上げた。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、国民の外出や企業の経済活動を制限する活動制限令が続くマレーシアでは、関係者らの懸命の対策が展開されている。この日も首都クアラルンプールを代表する観光名所、ペトロナスツインタワー付近ではドローンによる消毒剤の散布が行われていた (2020年3月31日撮影) (c) AFP/アフロ

全土に「活動制限令」が発令

 マレーシアでは、3月18日から、感染症予防管理法と警察法に基づく「活動制限令」が発令され、宗教、スポーツ、社会、文化活動を含む大規模な集会が禁止されたほか、スーパーマーケット、公的市場、食料品店、コンビニエンスストアなどの日常必需品を販売する店舗以外の商業施設と、礼拝施設がすべて閉鎖された。

 さらに、マレーシア人の出国を禁じ、海外からの帰国者には14日間の隔離を求めるとともに、外国人のマレーシアへの入国も禁止された。生活インフラの運営に必要とされるもの以外の政府機関や民間企業も閉鎖されている。

 こうした措置にも関わらず、制限令が出された時に500人あまりだった国内の感染者数は、5日後、この社説が掲載された3月22日には1000人を超えた。同紙は、「新型コロナウイルスの感染拡大の第二波とも言える感染者増は続いており、毎日100人単位で新たな感染者が発生している」として、外出を控えて家にいることや、手指をこまめに洗浄すること、顔をなるべく触らないことなどの注意事項を改めて呼び掛けている。 

 社説が最も懸念しているのは、イタリアのような「医療崩壊」だ。社説は、「感染拡大がさらに津波のように相次いで起きれば、医療崩壊につながりかねない。イタリアの状況をよく見なくてはならない」「感染拡大の第三の波を警戒する中でも、心臓発作や脳梗塞、糖尿病の合併症などの治療は必要になるのだ」と指摘し、マレーシアの医療対応能力に限界があることを改めて強調する。

 さらに社説は、経済に与える影響にも強い懸念を示している。「我が国の経済はすでに厳しい状態にあるが、この都市封鎖がさらに続けばさらに悪化し、不況になるだろう」。

医療崩壊を防ぐために

 医療崩壊を防ぎ、さらなる感染拡大を阻止するためには、まず「各人が自らのなすべきこと」をしなくてはならない、と社説は主張する。

 「医療従事者たちは、英雄だ。彼らはわれわれのために最前線で働いている。われわれは、そんな彼らを支えなくてはならない。そのためにできることは、外出を控え、社会的距離を保ち、感染拡大を抑えることだ」「目に見えない敵とたたかうことは難しい。しかし、われわれがそれぞれの役割を果たしたなら、パンデミックに打ち勝つことができるだろう。マレーシア人よ、ともにたたかおう」

 社説が呼びかけていることは、難しいことではない。自分にできることを、確実に実行する。今回に限らず、社会の一員としていつでも当然のことを、新型コロナウイルスの感染拡大は改めて教えてくれていると言える。

(原文:https://www.thestar.com.my/opinion/columnists/the-star-says/2020/03/22/stemming-the-tide-together)

 

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