バガン遺跡が世界遺産に登録 
~遺跡の保護を最優先に

  • 2019/7/16

時代の変化映す社説

 ミャンマーの仏教遺跡「バガン」が7月、ユネスコの世界遺産に登録された。ミャンマー国内では、2014年に登録された「ピュー古代都市群」に次ぐ2番目の世界遺産だ。引用本文にも出てくるが、バガン遺跡は1995年に当時の軍事政権が、世界遺産登録を目指して申請したが、遺跡修復の手法や周辺地域の開発に課題があり、実現しなかった。

世界遺産に登録されたミャンマー・バガン遺跡の夕景 (c) Sébastien Goldberg on Unsplash

 広大な国土を持つミャンマーだが、世界遺産はまだ2つ目。軍事政権下で長い間、事実上の鎖国状態にあったことも無関係とはいえない。「国際社会と手を携えて」文化遺産の保護に取り組むべきだ、というこの社説には、時代と意識の変化が映り込む。

 「国際社会と守る責任」に言及

 バガンのユネスコ世界遺産登録を祝福したい。バガンには、3500以上の仏塔、寺院、僧院などの宗教施設があり、いずれも11世紀から13世紀にかけて建てられた。つまり1000年余りもの間、さまざまな困難にたえて遺されたものなのだ。

 我が国の文化遺産が「世界遺産」に登録されたということは、国際社会が、バガンの優れた普遍的な価値、国境も世代も越える文化的な意義を認めたということである。そしてそれは、バガンがこれから何千年にもわたって、国際社会によって保護されるということだ。また、国際社会に保護されるということだけではなく、私たちが国際社会とともに守ってゆく責任を担うということでもある。

 私たちは、遺跡を守るための法的枠組み、組織の枠組みを改善しなくてはらならない。特に保護区域の無秩序な開発は、いまだに脅威として残っており警戒が必要だ。

 1995年、私たちはこのバガンを世界遺産に登録しようとしたが、適切な保存方法ではないという判断を覆すことができず、登録には至らなかった。その後私たちは新しい遺跡保存法を作り、パゴダ周辺のホテルや観光関連開発の影響を抑制する計画を立て、文化区域にはいかなるインフラ施設も作らないようにした。

 文化遺産を保存するというのは、私たちの歴史とつながり、文化の中に息づくものを保存することであり、無機質な建物だけを守るという意味ではない。その責務は、すべての人々、保存活動に携わるすべての団体にある。

(原文:http://www.globalnewlightofmyanmar.com/as-bagan-gets-world-heritage-status-conservation-must-be-prioritized/)

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