暑い、暑い、暑い!南アジアを襲う熱波
無計画な都市化による猛暑に立ち向かう

  • 2023/6/2

 4月半ば、連日40度を超える猛烈な暑さが南アジアを襲った。なかでもバングラデシュは、1965年以来、実に半世紀ぶりの猛暑となり、熱中症などに警戒するよう呼びかけられた。

(c) Dan Gold / Unsplash

バングラデシュ 58年間で最も暑かった日

 バングラデシュの英字紙デイリースターは4月17日、「猛暑でも安全に」と題した社説を掲載した。

 社説によると、首都ダッカでは4月16日、過去58年間で最も暑い40.5度を記録。南西部クルナ州のチュアダンガでは、4月15日に42.2度を記録したという。

 「このような状況下では、熱中症のリスクが高い。昨年7月に猛暑が続いた時には、北部地域でわずか3日間のうちに少なくとも70人が熱中症で死亡した。現在進行中の記録的な熱波と大都市の大気汚染は、我々にとって恐ろしい組み合わせだ」

 この熱波の原因は何だろうか。社説は「原因は多岐にわたり、特定できない」としながらも、無計画な建築や開発により引き起こされた気候変動の結果だ、と指摘した。「特に計画性に欠けているのは、ダッカだ。空いている土地があれば、周囲への影響を考慮せずに建物が建てられる。高層ビルは風の流れを妨げるため、熱がこもりやすく、さらにエアコンの多用で気温が上がる。一方、地方では、河川が枯渇したあとに残った砂地が、熱を発している。湿地が減り、植樹されるよりも多くの緑が破壊されている。こうして我々は今、猛暑に直面しているのだ」

 社説は、無謀な都市化と森林破壊を食い止め、水域を守ることが特に必要だ、として、早急に対策をとるよう求めている。

インド 致死的な熱波との闘い

 インドの英字メディア、タイムズオブインディアは4月21日、「猛暑の中の不運:インド各地で異常気象、政府は弱者のことを考えているのか」と題した社説を掲載した。

 社説は冒頭で、猛暑のために学校が閉鎖されている現状に触れ、「熱波はインドにおけるニューノーマルになった。より長く、より頻繁に、より致命的になりつつある」と指摘し、気候変動が社会や生活に新しい常態をもたらしていることを伝えた。

 さらに社説は、昨年10月のランセット誌を引用し、「インドでは17年間で熱中症による死者が55%増加した。65歳以上で見ると、2000年から4年間の死者は約2万人だが、2017年からの4年間では約3万1,000人に増加している」と紹介した。また、インドの労働者全体の66%が、鉱山労働者や建設労働者など、屋外の仕事で暑さにさらされている人たちだと述べ、どれほど多くの人が酷暑の影響を直接的に受けているのか指摘した。

 そのうえで社説は、現在、政府が打ち出している対策は、乾燥した暑さだけを想定した不十分なものだ、と問題視する。乾燥した暑さに対しては、「冷却、水分補給、休息」というシンプルな組み合わせ――具体的には、職場での飲水を義務付けたり、勤務時間を短縮したり、日陰を作って休憩したりすることで対策できるが、湿度が高い地域におけるジメッとした蒸し暑さへの対策は考慮されておらず、人々の知識も不十分だと言うのだ。

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 熱波は自然現象だが、その原因は人為的なものだ。また、その結果引き起こされる熱中症などの健康被害は、適切な対策によって未然に防ぐことができる。気候変動は、一部地域だけの課題ではなく、人類の課題として取り組むべきテーマであることを改めて認識させられる。

 

(原文)

バングラデシュ:https://www.thedailystar.net/opinion/editorial/news/stay-safe-the-heat-3298771

インド:https://timesofindia.indiatimes.com/blogs/toi-editorials/hapless-in-heat-as-extreme-summer-temperatures-hit-many-parts-of-india-are-govts-thinking-of-vulnerable-groups/

 

 

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