ロヒンギャ問題で深まる溝
政府は難民キャンプとその周囲の法と秩序を維持せよ
- 2019/8/26
ミャンマー・ラカイン州などに住む少数派イスラム教徒ロヒンギャ。2017年8月のミャンマー国軍による迫害から25日で2年を迎えた。この弾圧により約74万3,000人がラカインから脱出し、バングラデシュ南東部にすでにあった難民キャンプなどに逃れたといわれる。ロイター電によると、バングラデシュの難民キャンプには、2017年の迫害以前から約20万人のロヒンギャが暮らしていたという。
大弾圧から2年、20万人の集会
バングラデシュの英字紙「デイリースター」は、8月26日付の紙面で、最大の難民キャンプであるコックスバザール・クトゥパロンでの集会の様子を報じている。
記事によると、集会は朝7時半から5時間にわたって行われ、約20万人が集まった。「正義をロヒンギャに保証せよ」と記したTシャツを着ている人たちもいたという。同紙によると、集会を主催した「平和と人権のためのアラカン・ロヒンギャ・ソサエティー」の代表であるモヒブ・ウラ―氏は、「私たちは難民キャンプではなく、祖先の土地に帰りたい。そのためにミャンマー政府は、1982年にはく奪した市民権をロヒンギャへ返せ。ロヒンギャの迫害に加担した者たちを罰せよ。そして、われわれの自由を認めよ」と訴えた。国連は2年前、ロヒンギャへの迫害を「典型的な民族浄化の例」と表現しており、ミャンマー国軍に虐殺の意図があったと認定している。
国際的な調査によると、2017年8月以降に起きた迫害では約2万5,000人のロヒンギャが殺害され、約1万9,000人のロヒンギャの女性が性的暴行を受けたという。また、オーストラリア、バングラデシュ、カナダ、ノルウェー、フィリピンの学者や団体による合同調査によると、約4万3,000人のロヒンギャが銃撃され、約11万6,000人がミャンマー当局側に暴力を受けたという。