「市民の間でささやかれる国軍への一斉蜂起」
突然奪われた民主主義や、人権、自由を取り戻すために
- 2021/6/1
【編集部注:】
クーデターから4カ月が経過したミャンマーで、6月に国軍への反撃が開始されるという噂が市民の間でささやかれているようです。街のささやかな雰囲気の変化を伝えるFacebook投稿を紹介します。
~ 以下、Facebook投稿より ~
先週また少し、ヤンゴンの様子が変わった。
交番や、軍の施設などに、土嚢袋が積み上げられるようになったのだ。
車両通行止めのバリケードも、心もち増えた気がする。
つまり、市民からの攻撃に対する国軍側の警戒レベルが上がっている。
最近は、毎日のように市内のどこかで爆弾が爆発し、銃撃が起きている。
たとえば、区役所や、学校や、ショッピングモールの駐車場で。
あるいは、兵士が駐屯しているお寺を「何者か」が銃撃した、というニュース。
とある結婚式に届いた小包が爆発して新婦が亡くなった、という衝撃的なニュースもあった。
公共施設が狙われやすく、国軍側の警戒度が上がっている様子を見れば
これは市民側の反撃では・・・と思ってしまうのだが
ミャンマー人に「軍へのリベンジ?」と聞くと、みんな一様に「わからない」という。
「すべては軍による自作自演」と断言する人もいて、真実は闇の中。
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27日には、複数の友人からこんな話を聞いた。
「NUG(民主派政府)が、ついにPDF(国民防衛隊)に、国軍への反撃を呼びかけた。
6月6日に全国のPDFが一斉蜂起するっていう話だよ」
(PDFについてはこちら:
https://www.facebook.com/JapaneseDiaryFromMyanmar/posts/140746788092948)
6月6日、というのは、ミャンマー人が重視する「ゾロ目の日」で
そこそこの真実味を感じる日取りだ。
その反撃の日に向けて、なのか、NUGの副大統領や閣僚から
「これからの2週間で、食料などを備蓄しておくように」という通達も出たという。
友人のうちの一人は
「あぁ、買い出しに行かなきゃ。でも現金がないから、誰かに借りなきゃ」と電話をかける。
1万円ほど借りる算段がついたらしく、よかった、と胸をなで下ろす。
別の友人は困惑した表情で、こんなことをつぶやいた。
「国軍に反撃するって言っても、何が起きるのかよくわからないのよ。
今までそんな経験したことないし、いったい何をどう警戒したらいいんだろう」
・・・ただ、このPDFの反撃作戦については、
メディアでも取り上げられず、あまり話題になっている様子もない。
おかしいな、ガセネタじゃないかな、と思って友人に確認すると
「あまり騒ぐと軍の警戒度が上がるから、水面下でやってるんだと思う」と言われたりして、本当のところはよくわからない。
それでも、複数のミャンマー人から「6月は何か起きる」と言われるので
何かは起きるのかもしれない、と思う。
CRPH(民主派の議会)の公式FBページには、
5月28日、PDFの訓練の修了式をおさめた動画がアップされた。
実に、43万件の「いいね」を集め、11万件もシェアされている。
https://www.facebook.com/crph.official.mm/posts/189013336557979
コメント欄には「PDFはすべてのミャンマー人の希望」「PDFの兄弟たちを誇りに思う」などの応援コメントが並ぶ。
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個人的な感情として、市民側が暴力的になっていく、というのは
そこだけを取り上げれば、決して喜ばしいことではない。
40万兵力を誇る国軍への反撃が、さらなる悲劇を招くのではないか、という不安もある。
でも、2月1日以降、
市民が必死で非暴力の抗議活動を続けてきたこと、
軍がそれをあまりに非道な殺戮で弾圧してきたこと、
そしてそれに対し、国際社会が何ら有効な手立てを打てていないことを思えば
「これからも非暴力でがんばって!」というのは、あまりに酷だと思う。
友人の一人は「6月で、今度こそひっくり返すぞ」と笑顔を見せた。
軍政下で青春時代を送った、二児の父親だ。
「そうだね、ひっくり返さないとね」
曖昧に笑い返しながら、そう答えることしかできなかった。
突然奪われた民主主義や、人権、自由を取り戻すために
いったいどんな戦略が本当に有効なのだろう。