パキスタンの社説がミャンマー軍の殺戮行為を批判
国軍記念日に代表を派遣したパ政府の判断も糾弾

  • 2021/4/8

 軍のクーデターに対する抗議運動が全土に広がるミャンマーで3月27日、「国軍記念日」の式典が行われた。この日は、クーデター発生以来、最悪の殺戮が行われた日となった。3月30日付のパキスタンの英字紙ドーンは、社説でこの問題を採り上げた。

(c) The Irrawaddy – Burmese Edition / Facebook

「国軍記念日」への参加を批判

 社説はこの日の出来事をこのように伝える。
 「軍事クーデターに対するミャンマー市民の抵抗運動によって、残念ながら血塗られた残虐な殺戮が次々と起きている。3月27日土曜日の「国軍記念日」には幼い子どもを含む100人以上が殺害され、2月1日にクーデターが発生して以来、最悪の日となった」
社説によれば、抗議行動を続ける市民に対して警察や軍が容赦なく発砲を続けた結果、ミャンマー全土でこれまでに400人以上(編集部注:4月上旬には500人を超えた)が殺害された。
 「国軍トップであるミン・アウン・フライン総司令官が“国軍は民主主義を守る”と発言したその日、軍は市民をなぎ倒した。なぜこのように野蛮な戦略が民主主義を育むなどと言えるのか、まったく理解の範疇を超えている」
 さらに社説は、この記念式典に政府代表を派遣した国々のことも「理解不能」だと批判した。パキスタンもそうした国の一つであったことを、社説は厳しく非難する。
 「この大殺戮は、国際社会から広く批判を受けている。しかし、大変懸念されることが起きた。パキスタンは、インドや中国、ロシアなど、ごく一部の国々とともに、ミャンマーの「国軍記念日」のパレードに政府代表を派遣した。無慈悲に国民をなぶり倒すような軍隊の祝典に、わが国は公式な代表者を送るべきではなかった」

希望を取り戻せ
 一方、社説は、「アウン サン スー チー氏が率いたNLD政権は、いわば軍と民政のハイブリッド政権であり、必ずしも民主主義のお手本だと言えるような政府ではなかった」とも指摘した上で、次のように訴える。
 「長い軍事政権を終わらせたミャンマーにとって、彼らは希望であった。しかし今、時計の針は巻き戻された。軍は総選挙をやり直すと言っているが、それがいつなのか、だれにも分からない。軍による傀儡政権が作られる可能性すらある」
 2011年に民政移管が実現後、アウン サン スー チー氏が率いた政権が完全ではなかったにせよ、民主主義を願う国民に強く支持されていたのは事実だ。軍による弾圧をものともせずクーデターへの抗議行動が続いていることが、そのことを何よりも強く証明している。
 「ミャンマーのような多民族国家にとって、権威主義は国の分断を助長し、国家統合の妨げとなる。理想を言えば、ミャンマー国軍は昨年11月に実施された総選挙により国民に選ばれた政権に実権を返すべきだ。しかし、現実はこの理想とはほど遠い。軍が握った実験を手放すことはないため、間違いなくミャンマーは西側諸国から孤立し、制裁を招くだろう。暴力の連鎖は軍が国際的な孤立に耐えられなくなるまで続き、いつ終わるのかは誰にも分からない」
 数えきれない犠牲と長い痛みを伴ってミャンマーの民政移管は実現した。それを知っているからこそ、ミャンマー国民は「今、時計の針を戻してはならない」と、命を懸けて立ち上がっている。「国軍記念日」を共に祝ったパキスタン政府を批判し、軍事政権にはっきりとノーを突き付けたドーン紙の言葉は力強い。

 

(原文:https://www.dawn.com/news/1615430/myanmar-bloodbath)

写真の引用元RL:https://www.facebook.com/theirrawaddyburmese/posts/4375317775845674

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