「「ダベイッ」に思うこと」
過去から学んだことを命がけで未来へとつなぐミャンマーの人々
- 2021/3/27
【編集部注】
連日の武力行使で多くの市民が犠牲になっているミャンマー。ここでは、全国で広がっている夜間抗議行動(ニャ・ダベイッ)の「ダベイッ」というミャンマー語に寄せて、人々の連帯と強さを伝えるFacebook投稿をご紹介します。
~ 以下、Facebook投稿より ~
全国各地で「ニャ・ダベイッ=夜間抗議行動」が連日展開されている。
夜間外出禁止となる夜8時以降に敢えて路上に出ることで強い抵抗の意思を示すため、そして、ろうそくを灯して死者を弔うためにも夜間に行うのだという。
このニャ・ダベイッの「ダベイッ」というのは、僧侶が托鉢に使用する鉢を表すミャンマー語だ。ダベイッ・フマウッ(鉢を伏せて抗議すること)が省略されたもの。本来は、僧侶が鉢を伏せて特定の在家者からの寄進を拒否すること(=寄進という功徳を積む道を閉ざすこと)で罪を自覚させることを意味する表現だ。仏教徒にとって寄進の機会を奪われることは、功徳を積む機会を失うことを意味し、仏教徒としてのメンツに傷がつくことを意味する。
1988年の民主化運動の際には、僧侶が軍の弾圧に抗議して軍関係者からの寄進をボイコットしたことで、ダベイッ・フマウッ(伏鉢)という言葉が民衆によるストライキ、ボイコット、デモ等の抗議行動の総称として定着した。ミャンマーの人たちにとって今回の一連の抗議行動は、静かに鉢を伏せる行為以上の何物でもない。デモにおいてもシュプレヒコールとして、
「ダベイッ ダベイッ」
「フマウッ フマウッ!」
というものが好んで使われている。
今、若い人たちが本義に立ち戻ってダベイッを展開している。
徹底した非暴力。命が危険にさらされる現場においても乱されない秩序。ますます強まった相互扶助の精神。
ミャンマーの人たちは今、過去から学んだことを命がけで未来へとつないでいるのだと感じる。