国連総会を前に在日ミャンマー人が各地でデモ
軍に解任されたチョーモートゥン大使の承認を訴え
- 2021/9/14
第76回国連総会の開幕を控えた9月12日、ミャンマー市民が選んだ国家統一政府(NUG)を正式な政府として認めるよう求めるデモが世界各地で行われた。ミャンマー国軍は今年2月、クーデターを批判したチョーモートゥン国連大使の解任を発表しており、今総会ではミャンマー代表をどうするかが焦点となっている。兵庫県神戸市三宮駅近くにある東遊園地でもこの日、市内に住むミャンマー人や日本人、さらに近隣の関西地方に住むミャンマー人ら100人以上が参加し、軍の代表を認めないよう訴えた。
神戸の参加者「最後まで戦う」
「NUGの正式承認を!」「軍を認めないで!」「軍政の終焉を!」と、懸命にスローガンを叫ぶ100人以上の声が、繰り返し東遊園地に響いた。
参加者の思いは、軍への抗議を国際社会に広げることだ。この日のデモを主催した神戸ミャンマーコンミュニティ組織のテッ・ルイン・ウーさん(30)は、「残念ながら国連は、はっきり決断しないことも少なくない。しかし、我々は最後まで戦うことを決心した」と、きっぱり語った。その表情には、国連がどのような判断を下すにせよ、NUGこそが自分たちの政府だという固い決意と信念が浮かんでいた。
「自衛のための戦争」も開始
国連総会の開幕1週間前にあたる9月7日、NUGは全土が今、緊急事態に置かれていると表明した上で、「自衛のための戦争」を宣言。軍に対して蜂起するようミャンマー市民呼びかけた。このことについて、デモに参加した日本人の奈津佳さん(76)は、「戦わなければ民主化が達成できないことは大変悲しくつらい」としたうえで、「これまで大きな犠牲を払ってきた市民らは、もはや軍への対抗措置を取らざるを得ないところまで追い込まれている」と話し、戦闘開始に理解を示した。
この日は、神戸のほか、東京や北海道、沖縄など、日本国内でも各地で在日ミャンマー人らを中心に、チョーモートゥン氏をミャンマー国連代表として承認するよう求めるデモが行われた。
ミャンマーでは、自衛戦争に突入した9月7日以降、戦闘が全土に広がっている。また、民主化を求めて非暴力の抗議行動を行ったり、不服従活動(CDM)に参加したりする公務員や医療従事者への弾圧も続いており、市民団体の調査によれば、この半年間に1080人以上が殺害され、6400人以上がまだ拘束されている。