「各地に生まれる自発的な”防衛隊”」
ミャンマーの未来は、ミャンマーの人がつくる

  • 2021/5/22

【編集部注:】

ミャンマーでは、民主派政府NUGが国民防衛軍(PDF)の設立を宣言したことを受けて、市民たちによる自発的な防衛隊が次々に生まれているようです。「来たるべき時」に備えて軍事訓練を受けたり、内戦に備えたりしている人々の様子を伝えるFacebook投稿を紹介します。

~ 以下、Facebook投稿より ~

カレン族の武装勢力(KNU)の基礎軍事訓練を受ける活動家たち。ミャンマーの大都市から、弾圧を恐れて逃げてきた人たちだという。2021年5月撮影 (c) Mizzima, English edition/FB

ミャンマーでは最近「PDF」がもっぱらの話題だ。
PDF文書、ではない。 
「People’s Defence Force」国民防衛軍だ。
4月のミャンマー新年に樹立された、民主派の政府「NUG」が
5月5日に創設を宣言した人民軍で、
いずれ今のミャンマー国軍にとって代わるという。
(当然、国軍からは速攻で、テロリストめ!と糾弾された)
==
PDF創設の宣言を聞いた当初、私は
民主派政府(NUG)が少数民族武装勢力を軍として組織するのかな〜、
まだしばらく時間かかりそうだな〜、と思っていた。
ところが、予想外にミャンマー各地で
「PDF」の名を冠した組織が、ボコボコ誕生し始めた。
どうやらNUGのアナウンスに呼応する形で、
市民たちが自発的に「防衛隊」なるものを立ち上げているようだ。
ヤンゴンでもすでに地域ごとにいくつか防衛隊が立ち上がった。
姿形は見えないが(見えたら軍に攻撃されてしまう)
設立を宣言する文書がSNSで出回るので、あぁ、あの地域にもできたんだな、とわかる。
ミャンマー人の同僚に、どういう組織なの?と聞いてみると、彼女はこう答えた。
「誰が参加しているか、何人規模なのか、そういう情報は何もわからないの。
 Generation Zかどうかって?うーん、それもわからないのよ。
 私たちも、アナウンスが出て初めて知るんだから」
すでに3月下旬(つまり、毎日数十人が凄惨に殺され、非暴力の抗議に限界を感じ始めた頃)
一定数の若者たちが、国境の少数民族武装勢力たちに合流して訓練を受け始めた。
おそらく彼らが、こうした動きの中心になっているんじゃないか。
そうだとすれば、数週間のトレーニングを受けただけの即席チームだ。
もし軍と戦うなんてことになったら、、、大丈夫だろうか。
==
とはいえ、ヤンゴンには自発的PDFはどんどんできているものの
戦闘が起きているわけではない。
いったい彼らは何をしようとしているんだろう?
同僚が仕事の手を止めて、説明してくれる。
「今は、NUG(民主派政府)のアナウンスを待ってるんだよ。
 来たるべき時がきたら、みんな一斉に立ち上がろうというわけ」
国軍に攻撃をしかけるってこと?
「うーん、具体的にはわからない。
 でも、NUGの防衛省が昨日アナウンスを出したの。
 来たるべき時に備えて、軍事訓練を受けるように。
 そのうち作戦を伝えるから、それに従って行動してください、って」
内戦になる可能性はあるのかな。
さすがにヤンゴンを空爆したりはしないだろうけど。
私がそう言うと、彼女は真剣な顔でこう言った。
「わからないよ、ヤンゴンだって。
 MALはどんなことでもすると言ってる。
 もちろん、誰だって内戦したいなんて思ってないよ。
 だからクーデター直後からずっと、国連や外国に、助けを求めてきた。
 でも、それは起こり得ないことだとわかったの。
 もう、自分たちでどうにかするしかないんだよ」
そういえば、別の友人も同じことを言っていた。
水面下で抗議活動を続ける彼に、心配してるよ、と伝えたとき。
「ありがとう。でもこれは、僕らがどうにかするしかない」と。
思い起こせば彼は、クーデター直後に
「国連の介入を期待している」と言っていたのだ。
だけど、それにしても・・・内戦?この町で?
まったく現実味がない。
世間一般的にはみんな、PDFを歓迎しているの?
それとも、内戦を怖がってるの?
なおも質問を続けると、同僚は笑って答えてくれた。
「もちろん、歓迎!
 大部分の市民は、PDFの設立や来たるべき決戦のときを待ってる。
 市民だけじゃないんだよ。
 軍の中にもそういう人はいるはずなの。
 脱走した兵士たちはみんな、軍の中にも同じ気持ちの兵士たちがたくさんいるって言ってる。
 だって、知ってる?
 CDM参加者の中には、軍人の家に匿ってもらっている人もいるんだよ。
 軍人だって、何が正しくて正しくないか、もう気がついてる。
 PDFが立ち上がった時、きっと私たち側に立って戦う気持ちを持ってる兵士がいると思う」
諦めてないんだね、というと
みんなあきらめないよ、と、彼女はまた笑った。
安心したような、心配が増えたような、複雑な気持ち。
ミャンマーの未来は、ミャンマーの人がつくる。
何もできない部外者の私は、圧政と不平等に苦しんできた彼らが見出す希望を
せめて、一緒に大事にしていこう。

がんばれ、がんばれ。

市民による自発的なPDF(防衛隊)は、こんな風に宣言される。これはヤンゴンで戒厳令が出されたインセイン地区のPDF。 全国いろいろな町で設立が宣言されているが、場所によって微妙に「Civil」Defence Forceだったり、「National」Defence Forceだったりとややこしい。(そもそも別組織?) でも、いずれにせよ目的はひとつ。国軍クーデター政権の打倒だ。 (c) Mizzima News in Burmese/FB

ミャンマー南部で、「We support PDF」(国民防衛軍を支持します)と書いた横断幕を掲げて歩く人たち。 国民を守るはずの軍や警察が、国民を殺しているのだ。民主派政府のつくったPDFは、人々の希望でもあるだろう。 (c) Dawai Watchより。5月7日)

 

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