「家族を守るためにサガインの村に戻る」
ヤンゴンの街で故郷を思う青年の言葉

  • 2022/1/21

心ははるか遠くに

 今はヤンゴンで仕事をしているネーリンだが、心はヤンゴンにはない。故郷にいる家族や友のことが、片時も頭から離れない。ヤンゴンで自分だけ安全に暮らしていることが申し訳ないし、すぐにでも村に帰りたい思いでいっぱいだ。しかし、今、村に帰ることは非常に難しい。途中で軍に捕まったり、殺されたりする可能性が高いのだ。

 もっとも、軍はいつまでも同じ場所に駐留しているわけではない。今の兵力では、ミャンマー全土に一度に軍を展開することはできないからだ。ある地方を点で抑えたとしても、別の地方を制圧するために、軍は移動しなければならない。今はネーリンの故郷の村の周辺にいる軍も、近いうちに撤退する可能性が高い。とはいえ、彼の村が危険な状態にあることに変わりはない。

 筆者がネーリンに「村に戻ったらPDFとして軍と戦うのか」と尋ねると、彼はしばらく沈黙した後、「戦うかもしれない」と答えた。彼の気持ちは揺れ動いているようだった。ただ一つ、彼の心がもはやヤンゴンにはなく、はるか北のサガインの故郷の村に向かっていることは確かだ。

 

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