「死ぬよりも怖いこと」
悩みぬいた末の勇気

  • 2021/4/11

【編集部注:】

軍の弾圧によりすでに650人以上の市民が犠牲になったミャンマー。それでも抗議の声を挙げ続ける人々の肉声を伝える動画とFacebook投稿をご紹介します。

~ 以下、Facebook投稿より ~

 数日前の朝の公園で30人ほどの若者が、プラカードを手に声をあげていた。大通りではなく、それほど人のいない公園だ。あどけなさの残る女性もいる。普段着でそのまま家から出てきたような格好の若者もいる。現在、大通りなどで大規模なデモをすることは危険なため、小規模の抗議活動を早朝や夜に行うのだという。
 3月末まではバリケードに黒旗を立てて、当局に徹底抗戦をしていたタケタ地区。その後当局の銃器による大規模な鎮圧があり、デモ隊と住民はこの地を拠点とすることはあきらめ、若者たちは各地に分散して活動をすることにしたという。
 今回のデモ参加者は近隣住民だ。参加した男性は「家の近くで昨日の夜、11人が逮捕された」と打ち明ける。それだけの弾圧があっても何故抵抗を続けるのか。「死ぬのは怖い。しかし、今のまま生き続けるのはもっと怖い」という。年齢を聞けば、19歳だった。
 「血が冷めないように、一人一人が命を使って行動している」と彼は表現した。デモをするものがいなくなれば、みんな意気消沈してしまい、抵抗の意思を失ってしまうという。だから、命を懸けてデモを行い、みんなを鼓舞したいのだという。
 主婦らもデモに参加している。ある女性は「いまはいつもびくびくしながら暮らしている。夜も眠れない」と話した。「ただ私たちが抵抗をやめれば、軍がもっと弾圧するだろう」とも考えている。声をあげる若者たちが、身を守る盾になってくれているというのだ。
 誰も死にたくて抵抗しているのではない。生活を守り、未来を取り戻すため、潜伏し、声を潜め、そして折を見て抵抗の声をあげる。彼らが守ろうとするものは大きい。決して一時の激情で動いているのではない、悩みぬいた末の勇気なのだ。

 

引用元URL:https://www.facebook.com/100002156974471/videos/4214161828665675/

関連記事

ランキング

  1. ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全…
  2.  かつて恵比寿の東京写真美術館で、毎年開催されていた「世界報道写真展」。その2024年の受賞作品が4…
  3. ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全…
  4. ミャンマーで国軍が与党・国民民主同盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏らを拘束し、「軍が国家の全…
  5.  2023年10月にパレスチナの軍事組織ハマスがイスラエルに大規模攻撃を仕掛けて以来、イスラエル軍に…

ピックアップ記事

  1.  中国とフィリピンの対立がにわかに先鋭化し、国際社会の関心を集めている。事態は、実質的に中国の第二海…
  2.  かつて恵比寿の東京写真美術館で、毎年開催されていた「世界報道写真展」。その拠点となるオランダ・アム…
  3.  台湾の頼清徳政権が正式にスタートして一カ月あまり。非党派・非営利団体・財団法人・シンク…
ページ上部へ戻る