ヌオン・チア被告が死去
弔問に訪れる人たち
- 2019/8/15
1975年から79年までカンボジアを支配したポル・ポト派政権で、ポル・ポト元首相に次ぐ「ブラザー・ナンバー2」と呼ばれたヌオン・チア被告(元人民代表議会議長)が8月4日、プノンペン市内の病院で死去した。93歳だった。
ヌオン・チア被告は、国連とカンボジア政府が共同主催するカンボジア特別法廷で、政権最高幹部として訴追された。2014年には人道に対する罪などで終身刑を言い渡され、確定したが、虐殺の罪などについては特別法廷での審理が続いていた。
カンボジア国内で4年足らずの間に170万人以上の人々が犠牲になったといわれるポル・ポト派政権。スパイとみなされた者の拷問と処刑、強制移住や強制労働、強制結婚、知識層や宗教者などの虐殺――。ヌオン・チア被告は政権最高幹部として、それらの責任を問われていたが、「自分には実権はなかった」として容疑を否認していた。
「カンボジアを守った人」
ヌオン・チア被告の容疑は、「人類史上最悪の犯罪」ともいわれる。それでもカンボジアには、彼を今も慕う人たちがいる。8月7日付のクメールタイムズ紙は、ポル・ポト派消滅後も彼が支持者らとともに暮らしたタイ国境のパイリンで、遺体を迎えた人たちの様子を伝えている。
同紙によると、ヌオン・チア被告の遺体はパイリンに移送され、8月9日には火葬される。火葬の前に、遺体に別れを告げに来る人が相次いでいるという。