電子タバコ規制の行方
政府は正しい検証と情報開示を
- 2019/8/30
日本でも広まりつつある電子タバコ。タイでは2014年に禁止されて以来、持ち込むことすら認められていない。しかし、タイの英字紙バンコク・ポストは、8月23日付で「政府は電子タバコの利点をきちんと把握していない」との社説を掲載。電子タバコの合法化を求めている。
減らない喫煙者
タイのプラユット首相は先日、国内での電子タバコの使用や販売の禁止措置を今後も継続していくことを発表した。しかし、社説はその説明を「事実をきちんと把握しておらず、浅はかだ」と、ばっさり切り捨てる。
電子タバコは、溶液を加熱してエアロゾル(微粒子)を発生させる仕組みだ。これには利害の両面がある。社説は、人間の健康への影響についてさらなる研究が必要だが、と前置きした上で、「電子タバコの煙は、一般のタバコの煙より毒性が低い」と指摘する。そして、首相はこの点に触れず、電子タバコの悪い面だけを強調した、と批判する。
他方、社説はタイ政府のタバコ政策を批判する。「政府は、一般のタバコ製品を禁止していないが、反タバコ・キャンペーンを掲げ、その販売や広告掲載には厳しい制限を設けている。にもかかわらず、タイの喫煙者は過去13年間で4%しか減っていない。年間0.3%ずつしか減少していない計算だ」
タイの喫煙人口は1,000万人以上とみられている。人口の約19%にあたる数字だ。そして、2014年には約5万4,000人が癌や心臓病など喫煙由来とみられる病気で亡くなっている上、喫煙者の寿命は、非喫煙者に比べて平均17年短いとの統計もある。