インドネシア首都移転
「ASEANの首都」は、どうなる?
- 2019/8/28
インドネシアのジョコ大統領は8月26日、首都を、同国中部カリマンタン(ボルネオ島)の東カリマンタン州に移転すると発表した。首都を移転する目的は、現在の首都ジャカルタの負荷を軽減するためだ。ジャカルタは、オランダ領時代から一貫して首都が置かれ、人口増加、渋滞、大気汚染といった都市問題が深刻化している。
この発表に先立ち、インドネシアの英字紙ジャカルタ・ポストは8月24日、社説で首都移転計画を取り上げた。ジャカルタは、インドネシアの首都であるだけでなく、長らくASEAN事務局が置かれ、いわば「ASEANの首都」でもある。こうした国際機関などの機能は今後、どうなるのか。社説は、国連本部などの例を挙げ、「機能分担」を主張する。
事務局移転は混乱招く?
ジャカルタ・ポストの社説は、首都移転について、「計画は数十年前からあった。当時は実現しなかったものの、その計画は1981年に設置されたASEAN事務局の外交官たちに混乱を招いた」と述べる。また、シンガポールやクアラルンプール、バンコクなどASEAN諸国を「代表する」都市に比べると、ジャカルタはブランド都市として「遅れを取っている」とした上で、今よりアクセスも悪くなる首都移転ということになれば、ASEAN域内の外交官たちに一層、悪評を買うだろう、としている。
また、「悪名高き渋滞の街、ジャカルタから首都を移転することは、確かにこの都市の負荷を減らすことになる」と、その効果に期待を示しながらも、「ASEAN諸国の外交官たちにとっては、各国の公館も新首都に移動するのか、移転にはどのぐらいの時間がかかるのかなど、気がかりなことが多いだろう」と指摘している。