未来を決めるために必要な「我慢」
ジャカルタの大気汚染と交通規制
- 2019/8/19
インドネシアの首都ジャカルタは、都市圏人口3,200万人を擁し、東京都市圏につぐ第2位の「メガシティ」だと言われている(JETRO「ジャカルタスタイル」より)。間もなく東京を抜いて、世界一の大都市圏になるという予測もある。
そんな右肩上がりの大都市で、交通渋滞などが原因で起きる大気汚染などの都市公害が深刻化している。8月10日付けのインドネシアの英字紙「ジャカルタ・ポスト」は、アニエス・バスウェダン知事がジャカルタ市内の交通規制の拡大を決めたことを報じ、「この街の未来は、我々の犠牲の上に成り立つのだ」として、環境保全のために努力するよう市民に呼びかけている。
「500メートルだって歩けない」
ジャカルタでは、以前より、車のナンバーを偶数と奇数に分けて交通規制を行ってきた。社説によれば、このほどアニエス・バスウェダン知事は、この車両ナンバー規制の適用範囲と時間を拡大することを決めたが、それに対して自動車利用者やビジネス関係者から怒りの声が上がっているという。「車両の規制に踏み切る前に、公共交通網をもっと充実させるべきだ」というのが彼らの気持ちである、と社説は代弁する。
ジャカルタ公共交通機関としては、都市高速鉄道(MRT)とバスがある。MRTの利用者は年々増えており、昨年はのべ3億人以上の人々が利用した。また、公共バスも車両を大きくし、一度に多くの乗客を運べるようにするなど、工夫を続けている。それでも、社説は「車の生活に慣れた人々にとって、公共交通を利用するのは悪夢のような洗濯だ」と表現する。「照りつける日差しのもとでバスや電車やバイクタクシーを乗り降りするのは大変だ。冷房の効いた乗り物に慣れてしまった人は、たとえ500メートルだって歩けやしない」