米メディアがカンボジアの「中国化」を批判
「心理作戦だ」とカ側が反論
- 2019/8/12
カンボジアの、海に面したコッコン州やプレアシアヌーク州に、中国が軍事拠点を設けるのではないか、と話題になっている。米紙ウォールストリート・ジャーナルが、「中国がカンボジア・シアヌークビルに軍事拠点を置くことを決定し、両国が密約を交わした」と報じたからだ。この騒動は日に日に大きくなっているが、これまでのところ、両国ともこれを否定している。
カンボジアの英字紙クメール・タイムズはこの問題を7月29日付の社説で取り上げ、ウォールストリート・ジャーナル誌に対して激しい反論を展開している。「カンボジアを中傷する、ワシントンの本気の心理作戦」という社説のタイトルにも、強い反発が表れている。
「新しくない」ニュース
クメール・タイムズ紙は社説で、今回のウォールストリート・ジャーナル紙の報道を「フェイクニュース」だと断じている。「米国政府の工作員が、アメリカのメディアに<情報提供>だと称して<何かがプノンペンと北京との間で進行中だ>と嘘の情報を流し、ウォールストリート・ジャーナル紙の記者たちは、そうした伝聞や観測気球、根拠のないおしゃべり程度の話を<情報源の秘匿>として伝えた」と、手厳しい。
また、クメール・タイムズ紙の社説は、「こうした話が持ち上がるのは、今回が初めてではない」とも主張し、その根拠として、ワシントンに拠点を置く<C4ADS>というシンクタンクが2018年に発表したレポートについて言及する。「中国の港湾投資戦略がインド太平洋地域をどう再形成しているか調べているが、カンボジアに丸1章を割いて、中国がカンボジア経済にいかに深く関わっているか記述している点には驚くばかりだ」。