クリスマスを共に祝おう
民族や宗教の多様性と寛容さ誇るマレーシア

  • 2019/12/25

クリスマスは、言うまでもなく、キリスト教に基づくお祝いだ。とはいえ、「クリスマス」は、音楽や映画からショッピング商戦に至るまで、「季節の風物詩」として世界各地に広がっている。イスラム教徒の多い国では、「クリスマスを祝うべきではない」という議論も起きているようだ。マレーシアの英字紙スターは12月22日付けの社説で「民族や宗教の多様性を受け入れること」と題し、このテーマを論じている。

クアラルンプールにあるセントジョーンズ教会のクリスマスミサに白いベールを着用して出席するマレーシアの女性 (c) Samsul Said/アフロ

宗教と民族の多様性

 「もし、自分たちの祭りだけを祝うのであれば、それはマレーシア人とは言えない」。社説は、強い調子でそう述べ、マレーシアが多様な宗教を受け入れる国であることを主張する。「ほかのお祭りと同じように、マレーシア人のすべての宗教、すべての民族が一緒になって、私たちの多様性を祝福する季節がやってきた」

 たとえば、サバ州やサラワク州の人々は、そもそも多様な宗教や民族で構成される社会に生きている。だから、イスラム系のお祭りハリラヤ、ヒンドゥー系のディーワーリー、そしてもちろんクリスマスも祝わないということは難しい。実際、ボルネオの人たちが、キリスト教徒ではなくてもクリスマスキャロルに参加することは珍しくない。「彼らにとって、クリスマスを祝うことは、“彼らの親戚の宗教行事”を祝うことなのだ」と、社説は指摘する。

 さらに社説は歴史をひもとき、マレーシア人がポルトガルの支配を受けていた時代からクリスマスを祝ってきたことを指摘して、こう述べる。「クリスマスは、マレーシアの多様な文化の一部分である。私たちは、クリスマスを祝うことを躊躇する必要はない。これまで何世紀もの間、宗教を変えることなく、それを祝ってきたのだから」

英国の寄宿舎で

 社説は、ジョホール州のラジャ・ザリス・ソフィア妃殿下が英国での体験を振り返った文章を引用する。

 「私は、英国の寄宿舎に滞在していた十代のころ、学友たちとクリスマスを祝っていたものだ。宗教的な意味合いはなく、友情の証として、民族や宗教とは関係なく祝ったのだ」「寄宿舎のクリスマスツリーの飾りつけを担当したこともある。私を指名した寄宿舎の先生は、私がイスラム教徒だからあえて指名したのではなく、私が最もクリエイティブで芸術的なセンスを持ち合わせていると先生が認めてくれたからこそ、指名されたのだ。彼女は、私が当時、タスビ(イスラム教の数珠)を枕の下に入れていたことも、コーランを持ち歩いていることも知っていた。どちらも、私が故郷や自分の宗教を片時も忘れたことのない証だ」。社説はこう指摘し、「自らの宗教を捨てることなく、ほかの宗教を尊重することは可能だ」と、主張する。

 クリスマスの季節になると、イスラム教徒がクリスマスを祝うべきではないという議論が毎年のように起きる。「キリスト教徒の友人と過ごすことはよくない」とか、「キリスト教徒ではないマレーシア人にクリスマスのあいさつをすべきではない」といった主張だ。しかし、社説は、「われわれは、この議論からいいかげん抜け出さなくてはならない」と呼びかける。

 「クリスマスを祝おう。素晴らしい休日を」。マレーシアが体現しようとする民族や宗教の多様性と、寛容さという価値観は、今の社会に最も必要なものかもしれない。

(原文:https://www.thestar.com.my/opinion/columnists/2019/12/22/tis-the-season-to-be-jolly-together)

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