マレーシアで進む若者層へのワクチン接種
「自分自身と周囲の人を守る」地元英字紙が社会的な意義を訴え

  • 2021/10/23

 世界各地で、若者や子どもへの新型コロナワクチンの接種が始まっている。9月26日付のマレーシアの英字紙スターは、社説でこの話題を採り上げた。

マレーシアで若者へのワクチン接種が進んでいる (c) Nafis Abman / Pexels

若者の関心高いワクチン接種

 マレーシアではこれまでに223万人が新型コロナに感染し、2万6000人以上が死亡した。一日の新規感染者数は8月下旬に2万人を超えたものの、9月下旬には1万人に減少した。その後も減少傾向にある。
 そんな中、マレーシアでは少なくとも1回以上ワクチンを接種した人が総人口の7割を超え、現在は12歳から17歳までの子どもへの接種が始まっている。社説は、「予約なしにワクチン接種を受けようと多くの若者が会場にやってきた。多くの人々がワクチン接種を希望している証拠だ。ワクチンを接種すれば、対面式の授業を受けたり、友達に会ったり、さまざまな活動に参加したりできると考えていることが、その理由だろう。何よりも、最も大切な理由は、新型コロナ、なかでもデルタ株から自分自身を守ることだろう」と、している。そのうえで社説は、「若者たちよ、辛抱強く待ってほしい」と、呼びかけた。さらに、「かつて新型コロナのワクチン接種が始まったころ、会場が混雑した光景を覚えているだろうか。接種会場でクラスター感染を引き起こしたくない」と、付け加えた。

接種は「地域社会のため」とも

 社説によれば、マレーシア政府は11月までに、12歳から17歳の若者320万人のうち6割が少なくとも1回のワクチン接種を済ませることを目指している。9月下旬現在、約69万6000人の若者のうち、67万人が少なくとも1回の接種を済ませ、そのうち25万人が2回の接種を済ませたという。
 ただ、ワクチン接種を不安に感じる若者がいることも確かだと社説は指摘する。8月下旬には、「ワクチン接種を拒否する権利」を掲げた若者たちも現れたという。彼らの主張は「未知のワクチンで生命を危険にさらしたくない」ということだった。
 これに対し、社説は「新型コロナとワクチンについての十分な情報を提供することは、若者たちやその両親の不安感を取り除くためにも重要なことだ」と、共感する。その一方で、「若い世代は、感染しても比較的軽い症状や、無症状であるが、中には死亡するケースもある。感染力が強いとされるデルタ株の拡大が始まってからは、その数は増えている」と、指摘した。
 また、「若者への接種はマレーシアが世界で初めてというわけではない。米国はすでに12歳から17歳の若者1000万人に対して接種を行った。カナダ、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、イスラエル、中国も若者への接種を開始している。副反応の心配は確かにあるが、それも一時的なもので、やがて回復する」と、強調する。さらに、「ワクチンを接種するということは、自分自身を守るだけでなく、家族や友人たち、地域社会の人々、特に、何らかの医学的な理由でワクチンを接種できない人たちや、効果が出ない人たちを守ることでもあることを忘れてはならない」と、ワクチン接種の社会的な意義を訴えた。
 ワクチン接種が進み、若者や子どもたちへの接種や、3回目のブースター接種について議論が進む一方、世界で深刻化している「ワクチン取得の格差」など、新たな課題も生まれている。一つ一つの課題と粘り強く、そしてグローバルに取り組んでいく必要があるだろう。

 

(原文https://www.thestar.com.my/opinion/columnists/the-star-says/2021/09/26/be-patient-your-turn-will-come)

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