マレーシア政府が商店の夜間営業を認可
地元紙は経済刺激策の意義と感染拡大の防止を強調

  • 2020/10/9

 新型コロナウイルスはいまだ世界で感染拡大しているが、多くの地域で行動制限の緩和が始まっている。マレーシアでも、商店の営業時間が午前2時までに緩和された。9月20日付のマレーシアの英字紙ザ・スターでは、社説でこの問題を採り上げた。

マレーシアでは9月下旬、店舗の営業が午前2時まで延長された (c)Ben Cheung / Pexels

活動制限の段階的な緩和

 マレーシアでは、これまでの新型コロナウイルス感染者が1万人を超えているものの、新規感染者数の増加の勢いが以前よりも落ち着いたことから、活動制限の段階的な緩和が続いている。6月からはそれまでの条件付き活動制限令が、回復のための活動制限令へと移行し、州を越える移動や国内旅行、会議やワークショップ、人数制限をしたうえでの宗教活動などが許可された。学校も段階的に再開しつつある。

 このほどレストランなど食品関係やコンビニエンスストアの夜間営業が午前2時まで許可されることになったことについて、社説は次のように報じている。

 「午前2時まで延長されたことで“パーティータイムだ!”と喜ぶ人もいるだろうし、医療関係者をはじめ夜勤で働く人々にとっては、休日を待たなくても買い物ができるという意味を持つだろう。3月の活動制限令以来、多大な売り上げ減に苦しむビジネス界にとって、営業時間の延長許可は客足の回復につながる生命線だと言える」

 さらに、財務省の情報として「7月の経済指標を見ると、段階的に活動制限が緩和されてることで、国の経済活動に良い状況が現れており、8月以降の下半期も順調に推移することが期待されている」と伝える一方、経営者や経済団体が、免税措置をはじめ、さらなる政府主導の経済刺激策を求めていることも紹介。雇用を確保し、国民の生活水準の向上を図ることの重要性を訴えている。

警戒心を一気に緩めるな

 その上で社説は「新型コロナウイルスの感染防止が最優先事項であることは今も変わりがない」と指摘する。感染者数は世界中で3000万人を超えた。世界保健機関(WHO)は、今も一週間に世界で5万人が死亡し、脅威は収まっていないと警告している。

 「再び都市封鎖が行われるような事態になれば、経済と暮らしへの打撃はあまりに大きく、耐えられないことは明白だ。最悪の事態を避けるため、店側も客も、国家安全保障委員会が定めた新型コロナウイルスの予防策を忠実に守ることが必要だ。どんなに面倒だと思っても、清潔を保ち、距離を保ち、だれに接触したのかを記録しておかなければならない。それは私たちの集団的な責任である」

 深夜の営業再開によって、マレーシアの若者たちの警戒心が一気に緩むことを懸念してのことだろう、社説は最後にこう警告している。

 「店のオーナーたちは、営業時間が午前2時まで延長されたからといって、未明まで良いと拡大解釈してはならない。そして、私たち自身、いくらパーティー好きであっても、午前2時は家に帰らなくてはならないことを自覚すべきである」。

 

(原文: https://www.thestar.com.my/opinion/columnists/2020/09/20/its-not-a-licence-to-stay-out-late)

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