コロナ禍で打撃を受ける飲食業界に手厚い支援を
バングラデシュの地元紙が従業員30万人への影響を懸念

  • 2020/4/24

新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中で大きな打撃を受けたのが外食産業ではないだろうか。テイクアウト、デリバリーなどそれぞれに工夫をしてはいるものの、そもそも人々が外出をしない状況下では「焼け石に水」だと言う人もいる。バングラデシュの英字紙「デイリースター」は、厳しい外出制限を設ける政府に対し、飲食業者にもっと手厚い支援を、と呼びかける。

バングラデシュではコロナ禍による飲食業界への影響の大きさが懸念されている中、4月23日から約1カ月にわたり今年もラマダンに入った (c) Craig Adderley / Pexels

罰則もある外出規制

 バングラデシュ国内では、4月中旬までに2,000人を超える新型コロナウイルス感染者が確認された。感染拡大を防ぐため、政府は4月25日までの期間、基本インフラや緊急サービスを除く政府機関の業務を停止。すべての国民に対し、4月10日から当面の間、午後6時以降の外出についても禁止しており、違反した人には、法的措置を含む取り締まりが実施されている。さらに、企業も4月26日以降に営業を再開するとしていたものの、現段階では再開時期を延期するとみられている。

 「このような状況下で甚大な影響を受けた業種は多い。なかでも、飲食業への打撃は深刻だ」と、社説は指摘する。「飲食業は、一連の新型コロナウイルス対策によって最初に影響を受けた業種の一つだと言える。利用客が減り始めた2月末から、社員の解雇や無給の一時帰休などを検討してきた」

1世帯2,500円の支援策

 社説によると、バングラデシュ政府は、国内の約400万世帯に、現金2,000タカ(約2,500円)ずつ支給する計画を明らかにした。これは、ホテルやレストランなどの閉鎖に伴い、仕事を失った人の救助策として打ち出されたものである。

 しかし、社説は「それだけでは十分ではない」と、指摘する。「国内の飲食業者数は6万社にのぼり、150万人が従事していると推計される。首都ダッカだけでも、1万軒のレストランで30万人が勤務しており、その多くが今、職を失っていると推測される。彼らとその家族を助けるために、政府は支援額をもっと引き上げる必要がある」

 バングラデシュ・レストラン経営者協会によると、政府当局からは、支援を必要とする従業員のリスト提出をまだ正式に求められていない、という。社説は「政府は、飲食店経営者の協力を得て迅速にこのリストを集め、支援を行わなければならない。ラマダンやイードが近づき、従業員たちの経済的な負担が増えると考えられるためだ」と、訴える。

 また社説は、支援を必要とする従業員がこのリストからもれることがないよう、また逆に、飲食業の従業員ではない人が虚偽申請してリストに入ることにならないよう、十分に注意しなくてはならない、と指摘する。さらに、家賃の軽減措置などを通じ、状況がもとに戻った時に彼らがまたビジネスを再開できるように配慮することが必要だとしている。

 イスラム教圏の断食月であるラマダンは、今年は4月23日から5月23日まで続く。ラマダンが明ければ、イードという大祭が待っている。人々にとって、宗教行事は生活習慣であり、精神の支えでもある。今年は、コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、集会を避けるなど、さまざまな側面で形を変えざるを得ないと思われるが、忍耐と工夫で乗り切ってほしい。

(原文:https://www.thedailystar.net/editorial/news/restaurant-sector-hit-hard-the-crisis-1895392)

 

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