新型コロナ第3波に見舞われるパキスタン
地元紙「休日もワクチン接種の実施を」
- 2021/4/2
新型コロナウイルス感染の第3波に見舞われているパキスタンでは、国民のワクチン接種が急務となっている。3月23日付けのパキスタンの英字紙ドーンでは、この問題を採り上げている。
足りない危機感
パキスタンでは3月半ばまでに約63万人が新型コロナウイルスに感染し、約1万4000人が命をおとしている。第3波が襲来している現在は、1日あたり3000人以上の新規感染者が出ているが、この数字は検査数が足りておらず、実際にはもっと感染者数が多いのではないか、という報道もある。
現状を踏まえ、社説は「新規感染者数が再び増加し、学校が閉校になり、新たな行動制限が始まった今、政府はあらゆる手段でワクチン接種を成功に導かなければならない」と指摘。その上で、「真剣に取り組んでいるとは思えない」という点を指摘する。
まず挙げられているのが、日曜や休日にワクチン接種を受けられないことだ。「日曜や休日にワクチン接種センターを休みにするなど、まったく愚かなことだ。ワクチン接種の担当者も休日が必要なのは当然だが、接種が急がれるこの時期にそんな理由はお粗末だ。実際、病院は休日や祝日でも休診していない。健康上の危機は待ってくれないのだ。新型コロナにも休日は関係ない」
政府の対応は危機感が足りず、のんびりし過ぎている、というのが社説の主張だ。さらに社説は、ワクチン接種が順調に進んでいる英国の取り組みを紹介。「英国ではボランティアを募ってワクチン接種を進めている。すべての成人にワクチンを接種するというのは気の遠くなる目標だが、いかなる努力をしてでも成し遂げなければならない」
ワクチン入手にも不安
社説によれば、パキスタンでは現在までに約50万人がワクチンを接種したという。目標は7000万人であり、まだまだ先は長い。同時に、それだけのワクチンを本当に入手できるのか、という問題もある。
「今、接種センターで無償で使用されているワクチンは、中国から寄贈された。今後、国際的なワクチン購入の枠組みであるCOVAXからもワクチンが寄付される予定だ、まだ届いていない。政府は昨年12月、ワクチン購入のために予算を1億ドル充てると明らかにしたが、実際、購入がどれぐらい進んでいるのか明らかではない」
社説は、ワクチン接種こそが市民生活を取り戻す重要なカギを握っている、と繰り返し指摘する。しかし、他の途上国と同様、ワクチン自体の入手方法と、効果的で効率の良い接種プログラムの推進に不安が残る。おりしも、パキスタンのカーン首相がワクチンを接種して2日後に陽性が判明した、と報道された。ワクチンをめぐる迷走は、まだ各地で続きそうだ。
(原文:https://www.dawn.com/news/print/1614113)