若者の理想と情熱を尊重しよう
~マレーシアで選挙権の年齢引き下げが議論
- 2019/7/16
法案支持派による超党派の動き
日本では、2016年から選挙権が18歳に引き下げられたが、マレーシアでも同様の動きが起きている。マレーシア下院は7月16日、選挙権をこれまでの21歳から18歳に引き下げる憲法改正について議論を始めた。改正には3分の2以上の賛成が必要になることから、法案を支持する超党派の動きが見られることをマレーシアの英字紙「The Star」は、歓迎し、引き下げを支持している。
「マレーシアでは、17歳で車の運転ができ、18歳で結婚ができ、21歳でお酒が買える。では、何歳が選挙権を与えるのにふさわしいのだろうか。18歳は投票するには若すぎる、という声があるが、では何歳ならふさわしいというのだろうか」。社説はこのような問いかけで始まる。
さらに、野党の指導者が「国の発展のために、そして若者たちの熱望に応えるために、政府に協力する」「他の野党議員たちも法案に賛成する」と述べていることを紹介し、「投票は、有権者が自らの生活に影響を与えるさまざまなことがらについて意見を伝える機会であり、民主主義の最も重要な部分である」「これまで、21歳未満のマレーシアの人たちは、彼ら自身にもかかわる問題、特に、教育や保健、住宅、環境、気候変動などについて、自らの考えを示すことができなかった」と述べる。
求められる有権者教育
その一方で、社説は、「18歳はまだ政治的な意識が未成熟だという主張ももっともだ」と一定の理解を示す。その上で、「この問題は、選挙管理委員会や学校、そして市民社会が若者に有権者教育を行うことで改善できる」「それ以上に、国の教育課程の一環として、初等教育段階から市民としての自覚や社会参加について教育する必要がある」と提案。そして、「若い世代は冷めていると思われがちだが、彼らも政治に対する意見を持っている。社会活動や政治活動に参加している者も多いのだ」として、「もっと若者の真の姿を見よ」と大人たちに呼びかける。
「若者たちが国家に貢献できることの価値をもっと認識するべきだ。選挙権年齢の引き下げを実現するということは、マレーシアをつくりあげる若者たちの理想と情熱が重要なものとして認識された、という明確なメッセージを次の世代に渡すことになるのだから」
(原文:https://www.thestar.com.my/opinion/columnists/the-star-says/2019/07/07/voice-of-the-youth-matters/)