コロナ禍のミャンマー、感染者数が減少傾向も入国規制続く
変異種への警戒と国民の予防策を国営紙が呼び掛け
- 2021/1/12
新型コロナウイルスの感染が急増していたミャンマーで、ようやく減少傾向が見え始めた。しかし、新型コロナ変異種の感染を警戒し、国際便の乗り入れ禁止は継続されることになった。2020年12月31日のミャンマーの英字紙グローバル・ニューライトオブミャンマーは、社説でこの話題を採り上げた。
国内感染は減少傾向だったが……
社説によれば、ミャンマー航空通信省は2020年12月30日、国際旅客便の国内空港への着陸禁止を2021年1月末まで延長すると発表した。この方針は、支援物資の輸送、貨物便、医療救助便や同省に認可された特別機には適用されないという。
社説は、「英国やアジアの国々での新型コロナ変異種感染が確認されたことに伴い、こういう判断となった」としている。
新型コロナのミャンマー国内の感染者は、12月末現在で約12万3000人、死者は2600人を超えている。1日の感染者が増加し始めたのは9月に入ってからで、10月半ばに新規感染者数がピークを迎え、1日あたり2000人以上になった。しかし、その後は徐々に減り始め、12月末には1日あたり1000人を下回り、減少傾向にある。
入国規制の一部緩和などにも期待が高まっていたが、社説は「この判断は、政府が国民の健康を最優先で考慮していることを示すものだ。私たちは、感染拡大を防止するために努力し続けなければならない」としている。
多くの国と接するミャンマー
一方で社説は、「関係各省庁が協力して国際商用線の再開に向けて取り組んでいたことも、注目に値する。国内の感染拡大の抑え込みの状況を踏まえ、感染予防策のガイドラインに従いながら、わが国の経済を一刻も早く回復させるために検討を続けてきた」として、政府の努力を評価する。
しかし、新型コロナの変異種への不安は強い。
「コロナウイルスは、他のウイルスと同様に、時間が経てば変異を起こす。しかし、それが人間にどのように害悪をもたらすのかはまだ証明されていない。世界保健機関も、結論を出すのは時期尚早だとしている。しかし、変異種によって感染拡大が一層加速し、経済回復に影を落とすのではないかという見方もある」
特にミャンマーは、インド、バングラデシュ、中国、ラオス、タイと、複数の国々と国境を接している。現在、原則として外国人に対する国境を封鎖し、ビザの免除などの措置もコロナ対策の一環として停止しているものの、国境を越えてウイルスが広がる恐れは常に存在している。実際、ミャンマーの感染拡大は、移民労働者や違法入国者らを通じてタイに広がった。
社説は、国境での防疫措置についてこれ以上の考察や提案をしていないが、政府の施策に加え、国民レベルの予防策も非常に重要だとし、次のように呼びかける。
「一人一人が責任ある行動をとって政府に協力し、適切に対応し、私たち自身の健康リスクを最小限にしなくてはならない。それこそが、この危機下にあって社会経済への打撃を最小限にすることにもつながる対策だ」
多くの国の社説でコロナ問題が何度も採り上げられているが、結論はほぼ同じで、国民一人一人の予防対策に行き着く。その方法も、特殊なものや突飛なものではなく、手洗いの励行や、マスクの着用、そしてソーシャルディスタンスの遵守だ。私たち、は人類として共通の課題を抱えているのだと改めて思わされる。
(原文: https://www.gnlm.com.mm/keeping-public-safe-is-top-priority/#article-title)