「黒旗」
「戦う覚悟はできている」
- 2021/3/29
【編集部注】
国軍記念日で多くの犠牲者が出た翌28日のヤンゴン市内の様子を伝えるFacebook動画をご紹介します。
~ 以下、Facebook投稿より ~
昨日(27日)に、国軍側の弾圧で114人もの犠牲者を出したとされる、その翌日。ミャンマー最大都市ヤンゴンのタケタ地区では、数百人の若者らがシュプレヒコールをあげていた。
大通りには土嚢を積み上げたバリケードが何重にも築かれ、最前線ではタイヤが勢いよく炎と黒煙とをあげていた。
双眼鏡を持つ見張り役の若者がバリケード越しにあたりをうかがう。その上には、2棹の旗がひるがえっていた。1つはよく目にする孔雀と星が描かれたNLDの党旗。そしてもう1つは黒塗りの旗だ。最近デモ隊が掲げるようになったこの黒旗の意味するところは「降伏しない」、または「戦う覚悟はできている」だ。
しばらくすると、デモ隊や住民が一斉に走り出した。バリケードの前線に駆けつけるもの、横道に入り避難するもの。近くに部隊が近づいてきているようだ。遠くからダーン、ダーンと銃声が聞こえる。デモ隊からは声があがり、「ハッピーニューイヤー」とヤジが飛ぶ。
若者たちは、バリケードに身を隠し、火炎瓶を準備する。部隊の侵入してくるルートに、タイヤを運んでいつでも火をつけられるように油をまく。大通りの左右に展開したデモ隊の中には、手製の弓矢をひくものもいる。
緊張は1時間ほど続いただろうか。デモ隊から歓声が上がった。部隊が移動したのだろうか、危機はいったん去ったようだ。多くの若者が前線から歌をうたいながら引き上げてきた。
そして、私がその場を去った後の同日夕、タケタ地区の友人から、鎮圧が始まったようだと連絡が来た。マシンガンの音なのだろうか、連続した軽い音が響く動画も届いた。被害の詳細は明らかではない。「恐怖から自由であるために、独裁は認めない」と話していた若者や住民たちが、無事であることを祈るしかない。
(動画は、28日午前、タケタ地区で部隊と対峙するデモ隊、黒旗を掲げてシュプレヒコールをあげるデモ隊)
引用元リンク:https://www.facebook.com/100002156974471/videos/4169950539753471/