ラテンアメリカの今を届ける 第6回
野党弾圧を加速させるニカラグア独裁政権

  • 2021/9/16

人権侵害の中で迎える大統領選挙

 ニカラグア全国紙「Confidencial」によるコスタリカ移民・外国人局への取材によると、2021年は、9月までに2万人以上のニカラグア人がコスタリカに亡命を希望し、今年1月から5月までの亡命希望者は、1カ月あたり平均1300人前後で推移していたが、6月に入って4378人に急増した。これは、反体制派への弾圧が強まった時期と重なっている。

政情不安から隣国コスタリカに亡命したニカラグア人家族(筆者撮影 2019年7月)

 かつて独裁者であるソモサ一族から国を解放し、自由を求める国民の期待を集めたオルテガ大統領が、現在、力で国民を支配している。

 米国による内政干渉が、現政権の態度を硬化させているという見方がある。しかし、オルテガ氏が行ってきたことは、親族や側近による権力の独占と、大統領の無限再選を可能にするための憲法改正、その上での対立候補に対する暴力を伴った徹底的な排除である。

 著しい人権侵害により公平性が犯されたまま、11月の選挙本番を迎えようとしている。

 

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