フィリピンの経済成長に陰りか
国際機関が軒並み「下方修正」を予想
- 2019/8/7
課題を抱えながらも、順調な経済成長を続けているフィリピン。しかし、2019年も半ばを過ぎ、国際機関が相次いで2019年のフィリピンの経済成長率予測を「下方修正」している。フィリピンの英字紙「フィリピン・デイリーインクワイアラー」は、社説でこれを採り上げ、「経済成長予測に振り回されるな」と述べた上で、「来るべき困難に備えよ」と警告する。
◆国際機関の予測修正
フィリピンの経済成長予測のうち、直近に発表されたのは、国際金融機関(IMF)による「世界経済アウトルック」のアップデート版である。この中で、IMFは4月に予測した成長率6.5%を6%に引き下げている。フィリピンの2019年度予算成立が遅れて4月にずれ込んだことや、米国と中国の貿易摩擦の影響で輸出が鈍化したことなどが、下方修正の主な理由だ。
さらに、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)も、フィリピンの2019年の経済成長率を下方修正した。理由はIMFと同じだが、加えてエルニーニョ現象によって乾季が長引き、農業に影響を与えることも挙げている。