フィリピンの経済成長に陰りか
国際機関が軒並み「下方修正」を予想
- 2019/8/7
◆「予測に振り回されるな」
軒並み「下方修正」されたフィリピンの経済成長率だが、インクワイアラー紙は社説で、「それでもフィリピンは不況からはかけ離れた状況にある」と述べ、強気の姿勢を見せている。さらに社説は「政府は何をすべきか」と問いかけ、「こうした予測に振り回されることなく、予算成立の遅延を取り戻すために政策を実施していくことが重要だ」「そのためにも、”Build, build, build”プログラムに基づき、インフラプロジェクトをこれまで以上に強力に推進していかなければならない」と述べている。
この「Build, build, build」プログラムとは、ドゥテルテ大統領が進める経済政策の一つで、鉄道、空港、工業団地、エネルギー施設といった公共インフラへの歳出を増やすことによって経済成長を促し、雇用を創出するのが狙いである。社説は、今回、予算の成立が遅延して公共工事が停滞したことを憂い、「まず、BBBプログラムを着実に実施することから始めるべき」だと説いている。
さらに、ドゥテルテ大統領に対しては、「政府の財政的な状況を健全に保つことができれば、物価は安定し、消費も活性化する。これは、国家が経済成長するための重要な要素である」「金利を低く抑えることで、事業拡大や住宅購入が増え、経済も活性化する」などと述べ、まだ議会を通過していない税制改革法案を早期に成立させて改革に着手すべきだと主張する。
その上で社説は、フィリピンの経済成長率について国際機関が軒並み鈍化すると予測していることに触れ、政府にこう警告を発している。「こうした予測は、経済に影響を与えかねない政治的なつまずきがすでに起きつつあることを示している。政府はこうした見解を真摯に受け止め、今後起きるであろう困難に備える必要があることを学び取ってほしい」
(原文:https://opinion.inquirer.net/122928/lower-growth-forecasts)