「リトルサーカス」上海国際映画祭にノミネート
逢坂芳郎監督に聞くカンボジアの少年たちの創造力と生命力

  • 2021/6/20

オールキャスト地元の作品づくり

 今回、監督とカメラマン以外、助監督から音響、照明、出演、そしてポスター制作に至るまで、現地の人々を起用して制作した映画が国際的に評価されたことに、逢坂監督は大きな意味を感じている。

ポスターも、映画に登場する学校で絵画を学んだ卒業生が制作した

 撮影から半年で吉報が届いたこの作品を、逢坂監督はまだファーのスタッフやバッタンバンの友人らに見せることができずにいる。コロナ禍が明け、人々が再び集まれるようになったら、まず、ファーで上映会を開いてもらう予定だ。ゆくゆくはバッタンバンをはじめ、カンボジア各地の映画館などで多くの人々に見てもらえたら、と期待を膨らませる。「彼らは、もはや僕にとって“仕事の用事がなくても会いたい人たち”。コロナが落ち着き次第、またカンボジアに会いに行きます。映画の感想もぜひ聞きたいですね」

「リトルサーカス」は、逢坂監督とカメラマン以外、スタッフもキャストも地元の人々だ ©Kimseng Suon

 一方、新しい夢もできた。「今回、のべ半年にわたりバッタンバンに滞在し、現地の人々と一緒に制作したのと同じ手法で、次作は故郷の北海道・十勝に住みながら、準備から制作、出演者まで十勝の人々とつくりたい」と、目を輝かせる。

 現地に飛び込み、撮影対象と深く、対等に関わりながら共に創作する逢坂監督だからこそ描くことのできる景色を、これからも期待したい。

 

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