過激化するドイツの環境活動家たち
気候変動の悪化と緑の党の現実路線に募る苛立ち

  • 2023/2/28

対策が不十分でも受け入れられない反対運動

 そんな折、強力な接着剤を用いて通行を妨害し、渋滞を引き起こした前出のラスト・ジェネレーションのメンバー3人には、裁判で有罪判決が下され、罰金450ユーロ(約6万5000円)が課された。

 裁判所は、道路への座り込み封鎖は気候変動に直接的な影響を与えるものではなく、交通を妨害するという動機が「犯罪の遂行」の理由として正当でないという判断を下した。また、抗議運動の権利を有しているからとはいっても、第三者の権利を妨害することは認められないとした。

 遅々として進まない気候政策への不満に起因する同団体の過激な行動は、世界中のメディアの見出しを飾ってきた。しかし、都市生活を妨害してきたラスト・ジェネレーションの活動は、市民からそれほど受け入れられていないようだ。実際、彼らは2022年10月31日にベルリン付近の高速道路に座り込み、渋滞を引き起こしたことで、激しい批判を浴びた。その日はたまたまベルリン市内でトラックと自転車の衝突事故が発生したが、現場に向かおうとした救急車両も渋滞に巻き込まれ、動けなくなった。それが原因かどうかは不明だが、事故により重傷を負ったサイクリストは、そのまま死亡したという。

 2022年11月初旬に世論調査会社シヴェイが行ったオンライン調査では、市民5000人のうち86%が「環境活動家の抗議活動は行きすぎだ」と答えた。53%が「政府の環境政策は不十分だ」と回答しているにもかかわらず、だ。

 気候変動が深刻化するなか、その対策が十分でないことは、活動家だけでなく、一般市民も感じているところだ。フラストレーションがたまり、抗議活動も激しくなるなか、それを打破できるような政治はなかなか生まれてこない。こんな状況で、「気候変動を1.5度以内に抑える」というパリ議定書の目標は、果たして実現されるのか、はなはだ疑問と言わざるを得ない。

 

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