アフガニスタンからの避難民流入を警戒する欧州
いまだ消えないシリア難民受け入れのトラウマ

  • 2021/8/30

祖国に残る家族への思い

 一方、ヨーロッパには、長い歳月をかけて多くのアフガニスタン人が難民として流入している。アフガニスタン系のドイツ国籍保持者も少なくなく、アフガニスタンに残る親戚や同胞を心配し、適切な対応を取るよう各国政府に求めるデモが各地で起きている。

アフガニスタン系住民がベルリンで行ったデモの様子(c) bassbernie / Twitter

 タリバンが国を制圧する前にアフガニスタンに残る親戚に会いに行こうとカブールに渡航し、帰国便の日の前にカブールが陥落し、ギリギリのところでドイツに戻って来られたというアフガニスタン系の住人もいる。

 しかし、本来のリストに載っていた人の半分程度しかドイツに連れて来られなかったことから、戻って来られなかった人もいるのかもしれない。救出作戦が終わった後の週末も、より多くの人の救出やアフガニスタンの平和と人権保護を求めるデモがドイツ各地で開催された。

 筆者も、これまでドイツに暮らすアフガン難民に何度か出会ったことがある。単身でドイツに来て、「難民申請を受けて生活が安定し、要件を満たしたら、カブールに残る家族を呼び寄せたい」と話していた人もいた。その心中は計り知れない。

 

ページ:
1

2

関連記事

 

ランキング

  1.  民族をどうとらえるか―。各地で民族問題や紛争が絶えない世界のいまを理解するために、この問いが持つ重…
  2.  シリアのアサド政権が2024年12月8日に突然、転覆してから約1カ月が経つ。新しいアハマド・シャラ…
  3.  大統領選挙で「ロシアとウクライナの戦争をすぐに止めさせる」と公約して当選した米国のトランプ次期大統…
  4.  ミャンマーでは、2021年の軍事クーデター以降、国軍と武装勢力の戦闘や弾圧を逃れるために、自宅…
  5.  2021年8月にイスラム原理主義勢力タリバンが20年ぶりに復権したアフガニスタンで、表現者や女性へ…

ピックアップ記事

  1.  民族をどうとらえるか―。各地で民族問題や紛争が絶えない世界のいまを理解するために、この問いが持つ重…
  2.  ドットワールドとインターネット上のニュースサイト「8bitNews」のコラボレーションによって20…
  3.  ミャンマーでは、2021年の軍事クーデター以降、国軍と武装勢力の戦闘や弾圧を逃れるために、自宅…
  4.  12月16日にオラフ・ショルツ首相の信任投票が否決された。それを受け、2025年2月23日に解散総…
  5.  ドットワールドとインターネット上のニュースサイト「8bitNews」のコラボレーションによって20…
ページ上部へ戻る