都市化が進むケニアで消えゆく奇習
悪戯か、呪術的行為か、血の定めかーー謎多き「ナイトランナー」たち

  • 2020/12/11

闇に包まれた真の姿

 これまで見てきたように、ナイトランナーをめぐる言説はさまざまだが、夜中に奇妙な迷惑行為を行って近隣の住民が被害を受けていることは共通している。また、前出のアスマンが話すように、誰がナイトランナーなのか住民が分かっていたり、時には彼らを助けようとしたりするなど、受容と黙認、共存が見られるケースもあるようだ。そんなナイトランナーの奇妙な習性はこれまで国内外のメディアでもしばしば取り上げられてきた。例えば英国放送協会(BBC)が夜通しカメラを回し、彼らの行動を撮影したこともある。

夜の闇を照らす電球の灯りとコンクリートの家屋によってナイトランナーが激減している(筆者撮影)

 しかし、近年、暗闇を前提とする彼らの活動が各地で急速に減りつつあるのは上述の通りだ。携帯電話やスマートフォンが普及した今日、行動を記録し、ネット上で拡散したり、犯罪行為として糾弾したりすることが容易になったことが原因なのであれば、ナイトランナーたちが行ってきたことは単なる迷惑行為だったと言えるかもしれない。他方、電気の普及や家屋のコンクリート化が原因なのであれば、呪術の使い手というより、身元がさらされるリスクや悪戯行為の意味を冷静に判断できる人物像が浮かび上がってくるとも言える。

 目に見えない力を信じ、恐れたり敬ったりしてきたこの地域の人々にとって、ナイトランナーたちはどんな力と意味を持ち、何を伝える存在なのか。多くの謎に包まれたまま、彼らは静かに消えようとしている。

 

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