ミャンマーの英字紙がコロナ対策で勝利宣言
柔軟で効果的な経済支援策を訴え
- 2020/7/4
新型コロナウイルスは、特に医療体制の整っていない途上国での感染爆発が懸念された。しかし、東南アジア諸国を見る限り、感染爆発が起きているのはシンガポールなどの域内先進国であり、ミャンマーやカンボジア、ベトナムなどの新興国では、これまでのところ市中感染が起きている気配がない。とはいうものの、経済がグローバル化した今、新型コロナウイルスによる経済不況はこれらの国々にも一様に襲いかかる。ミャンマーの英字紙グローバルニューライトオブミャンマーは、6月29日付の社説でこの問題をとりあげた。
きめ細かな対策を
新型コロナウイルスの感染拡大は、ミャンマーの経済成長にも影を落としつつある。社説は、世界銀行が6月25日に発表した経済成長率予測を引用し、「2019/20年の経済成長率はわずか0.5%で、前年の6.8%を大きく下回る見込み」だとの見方を示す。
ミャンマーの財政年度は10月1日に始まり、9月に終わる。前出の報告書によると、今後、新型コロナウイルスの感染拡大が長引けば、経済成長率はさらに下がって翌年度の経済成長にも影響がおよぶため、骨太な支援策が緊急に求められるという。これを受け、社説は「ミャンマー政府は、新型コロナウイルス対策として小規模事業を対象に実施される経済支援策の幅を広げ、貧困層に支援が確実に届くよう、より柔軟で効果的な内容にすべきだ」と、指摘する。
社説によればミャンマー政府は3月、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた観光業や縫製業の小規模事業者を対象に、金利1パーセントで貸付する支援策を打ち出したほか、中央銀行や民間銀行は貸付金利を下げたり、医薬品や医療備品を課税対象から除外したり、ホテルや観光業の許認可費用を今年末まで免除したりして、さまざまな側面から対策を打ち出している。
感染者は299人
社説によれば、ミャンマー政府は経済回復資金として、国際通貨基金(IMF)から7億ドル、日本から2億7,000万ドル、世界銀行から2億5,000万ドル、アジア開発銀行(ADB)から12億5,000万ドルを受け取っている。社説は、「こうした資金が生かされ、必要な人にきちんと届けられるよう、政府は中小企業が貸付を受ける際の条件について十分に検討する必要がある。」と、指摘する。
国際社会の援助を受けながらの経済回復策。それでも社説は、国民に対して「自信を持て」と呼びかける。
「最も大切なことは、新型コロナウイルスの感染防止にわれわれ自身が取り組むことだ。ミャンマーでは、6月28日までに299人の感染が確認された。他国に比較すればそれほど多い数ではない。そのうち216人が回復し、202人は退院した。これは、国民と政府との協力の成果であり、感染拡大を抑えることができたことを感謝しなければならない。私たちは、ともに手を携え経済を守ったと言える。ミャンマーは決して富める国ではないが、直面する課題に立ち向かい、乗り越えていると胸を張り、自信を持っていいのだ」
新型コロナウイルスの感染拡大は、国際社会に新たな秩序を生み出しつつある。経済力や軍事力や人口規模で国力を比較できた時代は終わり、安全や健康といった新たな「物差し」が必要になったことは間違いないだろう。もっとも、その物差しも、一面的なものに過ぎない。バランスのとれた幸福な社会とは何なのか。新型コロナが生み出した新しい世界地図は、そのことをわれわれに問いかけている。
(原文https://www.globalnewlightofmyanmar.com/effective-economic-relief-plan-is-helping-economy-recovery/)