バングラデシュで海外移民労働者の家族が苦境
国家経済を潤す一方で強いられる大きな代償

  • 2022/2/16

 海外移民労働は、主に途上国の人々にとって、収入を得る重要な手段となっている。しかし、「大黒柱」のいない留守家庭の苦悩は大きい。1月31日付けのバングラデシュの英字紙デイリースターは、社説で彼らへの支援の問題を取り上げた。

(c) Tarikul Raana / Pexels

借金の返済に追われる日々

 社説はまず、「海外移民労働者たちがいかにバングラデシュ経済に貢献しているかについては、良く知られており、賞賛されているが、留守家族がどのように生活しているかについては、あまり多くの調査が行われていない」と、問題を投げかける。1月29日付けのデイリースター紙は、移民労働によって残された女性中心の家族が、どんな苦境に直面しているかについて報じた。社説によれば、彼女たちは夫や父親からのわずかな送金で何とかしのいでおり、子どもを学校へ行かせることさえままならない家庭もあるという。

 なぜこのような状況が生まれるのか。その背景として、社説は、海外移民労働のために仲介業者に莫大な手数料や支度金を支払わなければならない「仕組み」自体の問題を指摘する。男たちは、そうした費用を高金利で借りたり、わずかな土地を売ったりして工面せざるを得ないため、残された家族は男たちが帰ってくるまで、借金の返済に追われることになるのだ。このような状況に陥っている海外移民労働者は多いという。

「自分だけ楽な暮らし」という偏見も

 その上で社説は、海外移民労働者の家族の実態に関する2020年の調査結果を紹介する。バングラデシュの海外移民労働者の家族、女性831人と子ども1784人を対象に実施された同調査によれば、海外移民労働によって残された家族の女性たちは、一家の主がいないという重責を負うだけでなく、「夫を海外で働かせて自分は楽な暮らしをしている」という偏見にさらされている実態が明らかになったという。多くの家族にとって、それはあてはまらない事実だ。また、こうした状況を受け入れられず、生活に問題を抱えている子どもたちも15%いるという。「海外労働者が稼ぐ外貨は国の経済を潤すものだが、残された家族の支払う代償は大きい」と、社説は指摘する。

 移民労働者たちが海外に行くのは、言うまでもなくより良い未来を実現するためである。「にも関わらず、彼らの家族が苦しい思いをしているのでは、本末転倒だ」と、社説は指摘する。

「政府は、移民労働者の家族を援助するための施策を打ち出すべきだ。経済的な支援のみならず、心を支えるカウンセリングなども含めて必要だろう。また、人々への啓発活動も求められる。学校を通して、子どもたちのケアも必要だ」

 すでに、世界の多くの先進国は、外国人労働者に依存しなければ社会が成り立たない状況にある。海外移民労働は、「送り出し側」だけの問題ではない。「受け入れ側」の国々も、わがこととして真剣に考えることが必要だ。

 

 (原文 https://www.thedailystar.net/views/editorial/news/time-address-the-social-cost-migration-2950701)

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