コロナ禍から経済と社会の正常化を目指すスリランカ
地元紙がサービス業や観光業の規制緩和を歓迎

  • 2021/8/12

 ワクチン接種が進む一方で、感染者が今も増加しているスリランカ。5月下旬から6月にかけてのピーク時に比べれば減少傾向にあり、国内では経済復興への道筋も語られ始めた中、7月20日付のスリランカの英字紙デイリーニューズは、社説でこの問題を採り上げた。

経済再開を目指すスリランカでは、適切なコロナ対策を実施することを条件に、結婚式も150人以内の参加者であれば開くことが可能になる © Oliver Li / Pexels

進むワクチン接種

 社説によると、スリランカのゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領は、30歳以上の国民へのコロナワクチン接種について「9月までに完了するだろう」との見通しを語った。ワクチンの入手がスムーズだったため、期待していたより早く進んでいるのだという。実際、200万回分以上のワクチンがこの数日で確保された。

 スリランカでは、感染拡大は比較的抑制されていたものの、4月半ばのシンハラ・タミル正月をきっかけに感染爆発が起き、6月初めには、一日あたりの新規感染者が3000人以上に上った。しかし、その後、7月半ばにかけて減少傾向にあることから、ワクチン接種が進むにつれて、人々の関心は経済回復へと移りつつある。

 社説は、「ワクチン接種の目的は、国民の7~8割に接種を行って集団免疫を獲得し、9月までに通常の社会状態を回復するということだ」とした上で、着任間もない財務大臣が「経済活動にとっても、9月までに社会が正常化することが必要だ」と発言したことを紹介している。

 「財務大臣は、壊滅的な打撃を受けた製造業の回復が必要だと強調した。製造業が崩壊すれば、何千人もの失業者が生まれる。失われた職の回復と製造業をいかに再構築すべきか、非常に大きな課題だ」

不死鳥のような回復を

 スリランカ国内では、適切なコロナ対策を実施する条件で、多くの施設が再開されるという。結婚式も、150人以内の参加者であれば開くことが可能になる。社説は、こうした判断を「サービスセクターの回復にとって正しい決断だ」と評している。また、「国内外の移動が制限されたために深い打撃を受けた観光業にも目を向けるべきだ」と指摘し、エアフランスが11月にパリ・コロンボ便を再開すると発表したことを歓迎している。

 その一方で、社説は「経済を回復し、社会を正常化するのは簡単なことではない」との認識を示し、「政府は、製造業などの主要産業だけでなく、国の隅々にまで目を配り、中小零細企業に対しても回復に向けて十分に支援すべきだ」と述べる。

 「言うまでもないことだが、入国制限を解けばすぐにビジネスが通常に戻るというわけではない。現状からの回復は、ある意味、灰の中から立ち上がる不死鳥のようなものだ。財務大臣が言うように、国民への長期的な利益を考え、厳しい決断をしなければならないこともあるだろう」

 好むと好まざるとに関わらず、ウイルスとともに生きていかなければならない中、社説はワクチン接種の大切さも強調する。「世界にはまだワクチンを一回も接種されていない人たちも多く、新たな感染拡大が起きる危険性は依然として大きい。ワクチン接種を休むことなく継続し、集団免疫を一日も早く獲得して、ウイルスに打ち勝つ対抗策を取らなければならない」

 スリランカの新規感染者数が減少傾向にあることがワクチン接種の効果だとしたら、国民に希望と期待を与える良い知らせだろう。しかし、社説も触れているように、コロナ禍からの回復は容易なことではない。それは、世界のさまざまな国が経験している通りだ。経済回復にしろ、感染の再拡大にしろ、世界中が経験しているからこそ、多くの実例が存在する。誠実に情報を共有しながら、それぞれの国の実情にふさわしい社会の正常化と経済回復に取り組んでほしい。

 

(原文http://www.dailynews.lk/2021/07/20/editorial/254359/getting-back-business)

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