ラカイン州内戦でWHO職員死亡
ミャンマー政府は透明性のある調査を

  • 2020/4/30

 内戦が続くミャンマー西部ラカイン州で4月20日、新型コロナウイルスの検体を運搬中の世界保健機関(WHO)の車両が攻撃され、WHO職員の運転手(28)が死亡した。この事件について、ニュースサイトのエヤワディ(イラワジ)は、22日付の社説で「非人道的な残虐行為」と批判し、徹底した調査を呼び掛けている。

ミャンマー最大都市ヤンゴンの中心部(写真は記事と関係ありません、撮影:北角裕樹)

「許されざる行為」と批判

 WHOの車両は、新型コロナウイルスに感染した疑いのある患者の検体を、ラカイン州シットウェから、検査施設があるヤンゴンへ運送中だった。社説は「すべての人種や宗教が新型コロナに脅かされている中で、最前線で感染症とたたかっている医療従事者を攻撃するのは、ミャンマーにとっても、国際社会にとっても許せざる行為であり、恥ずべきことだ」と強く非難した。医療従事者の安全を確保するべきだと論じている。

 事件については、内戦当事者のミャンマー国軍とラカイン族系武装勢力の「アラカン軍」の双方が関与を否定している。そのため、社説では、どちら側の犯行か特定しないまま、事件そのものを批判した。そして、グテレス国連事務総長ら国際社会から、透明性のある調査が求められていると指摘。文民政府が中心となって国連との協力の下で調査を進めるよう求めている。そして、国軍には調査に協力するよう要求している。

双方の非人道的行為の停止を求める

 社説はまた、ミャンマーで2017年にイスラム系住民ロヒンギャの難民が多数出た武力衝突などが国際社会からジェノサイド(大量虐殺)と批判されていることに触れ、今回の事件が、より一層、ミャンマーの国際社会でのイメージの低下につながり、ますます国際社会で孤立することを懸念している。

 さらに、この内戦によって「ラカイン州の市民の犠牲者は増える一方だ」と指摘し、武装勢力のアラカン軍に対しても「自分たちに責任がないと知らんぷりはできない」と批判。国軍と武装勢力の双方に非人道的行為の停止を求めている。

ミャンマー語原文:https://burma.irrawaddy.com/opinion/editorial/2020/04/22/221087.html

関連記事

ランキング

  1.  「ロヒンギャ問題」を適切に理解するための情報を持ち合わせている日本人は限られている。メディアによる…
  2.  8月末、中国とインドの国境に位置するヒマラヤ地域の係争地ラダック地方に中国が侵攻を試みたのを機に、…
  3.  2020年7月1日、香港に国家安全維持法(国安法)が導入され、一国二制度が崩壊した。1997年7月…

ピックアップ記事

  1.  「ロヒンギャ問題」を適切に理解するための情報を持ち合わせている日本人は限られている。メディアによる…
  2.  8月末、中国とインドの国境に位置するヒマラヤ地域の係争地ラダック地方に中国が侵攻を試みたのを機に、…
  3.  2020年7月1日、香港に国家安全維持法(国安法)が導入され、一国二制度が崩壊した。1997年7月…
ページ上部へ戻る