「主婦の自殺」が映し出すもの
変革求められるバングラデシュ社会の女性観
- 2019/9/30
理由は夫からの暴力など
バングラデシュの英字紙「デイリー・スター」の週末版が、女性の自殺の実態を報告した。バングラデシュ南西部ジェナイダ県の6地区で、2014年から2018年の間に1,086人もの女性が自殺、9,373人もの女性が自殺未遂を図った、という。この問題に取り組むNGO、Society of Voluntary Activities (SOVA)からの情報をもとに、同紙は9月29日付の社説でこの問題を採り上げた。
社説によると、自殺や自殺未遂を図った女性の約8割は家庭の主婦だという。主な理由としえ、夫や義理の家族からの暴力、持参金に関する暴力、児童結婚、薬物中毒、一夫多妻、家庭内のもめごとなどが挙げられている。「女性が夫の収入に完全に頼らざるを得ない状況に置かれ、多くが危険にさらされている」と、指摘する。さらに、自殺または自殺未遂を図った女性たちの44.7%が、教育を十分には受けていなかったというSOVAの調査結果も紹介している。具体的には、15.8%が小学校まで、39.5%が中学校までし教育を受けていなかったという。
根強く残る児童結婚の文化
社説は、「わが国では児童結婚を禁止しているが、それでも、特に農村部では今も児童結婚がなくなっていない。持参金にまつわる事件から女性を守るための法律も制定されているが、完全には施行されていない。それは、児童結婚が文化の一部として習慣化しているからだ」と、指摘している。
その上で、「児童結婚と、持参金については、法律を破った者は厳しく罰せられるべきである。こうした習慣を罪とみなすだけでは十分ではない。多くの自殺者を生んでる社会的悪を排除するためには、社会全体の意識を変えていかなくてはならない」と、主張する。
さらに、社説は「そのためには、まず、政府が積極的に取り組むことが必要だ」と、強調する。ジェナイダ県では、女性だけでなく「農家の自殺の割合も他県と比べて高い」という。社説は、「首相がこの地域での自殺の問題を解明し、対応を検討する研究室の設置を命じたにも関わらず、いまだに実現していないのはなぜなのか、不透明だ」と指摘し、「この問題は深刻であり、いますぐ対策をとる必要がある」と、警告を繰り返している。
(原文:https://www.thedailystar.net/editorial/news/high-suicide-rate-among-young-housewives-1806580)